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2020-03-13

2020年3月11日 百岳西巒大山 林業跡地の3000m峰日帰り登山

人倫林道工作站付近から見る西巒大山
台湾百岳は、標高3000m超の山々から選ばれた山岳である。数日の縦走で初めて訪れることができる山もある一方、車でかなり近くまで行ける山もある。今回の西巒大山は、標高1560mの登山口まで車でアクセスでき、そこで一泊して翌朝早く出発すれば一日で往復できる。ただ、標高差1500m強ありかなりの急坂が続く、日帰りでは厳しい山でもある。

登山口から山頂を往復
歩行高度表
西巒大山は、原住民布農(ブヌン)族の部落巒社部落の西にある山で、この命名である。東側に東巒大山もある。こちらも百岳の一座である。山系としては玉山山脈に属している。玉山主峰や北峰の北側に位置する、山脈最北端の3000m峰となる。

郡大山や玉山との位置関係
日本時代から始まった林業は、戦後国民政府のもとでこの山にも及んだ。日本時代の主要林場は、森林鉄道が主要な材木搬出手段であったが、戦後の伐採は林道になる。当時材木を運んだトラックが通った林道は、台湾の林業が衰えると廃棄され、自然に任され荒廃していく。新たな目的を得た林道は、たとえば高山果物の運送などがあれば、まだメンテされるところもある。台湾の高山登山は、廃棄されたものも含め、林道経由でアプローチするところが多い。西巒大山も翌日登山の郡大山もともに林道で登山口へアクセスする。

夜明け前に登山口を出発
昨日、九份二山から夕方人倫林道17K近く林務局の事務所の上にあるテント場(林道上の平らな部分)でテント設営投宿した。夜中に目が覚めると、時々テントにしずくが落ちているのを聞いた。4時半に起床し外に出ると、雲があるが月は出ている。天気は大丈夫のようだ。支度をして、テントをそのままに日帰ザックで5時40分過ぎに出発する。

ギャップ部を過ぎて雑木林を登る
杉林の間の短い階段部分
まだ暗いのでヘッドランプをつけて登る。足元しか見えないが、それほどの急坂ではない。6時を少し回り、あたりが白んでくる。一度休憩し、衣服の調整をする。幅の広い緩やかな稜線を少し下り、造林帯の間を行く。6時34分、ギャップに下る。右に林道へと続く道がある。すぐ前には西巒大山の表示が取り付けられている登り口がある。登り始めて間もなく、坂が急になる。少しのセクションには階段があるが、板はだいぶ傷んでいて固定の鉄棒が露出している。7時10分過ぎ、休憩をとる。

急坂を登る
ワイヤーが埋まっている
急な勾配が続く。7時30分過ぎ路面に半分埋まっているワイヤロープを見る。林業時代の残り物だ。勾配が緩くなり、手前にかなり太くなっている人工の杉林のなかを進む。焚火跡を見る。そのうちまた雑木林に変わる。太く切り株が残っている。周囲の樹木はそれほど太くないから伐採された後に、自然に生えた林相だろう。さらに10分ほど進むとヤタケが現れる。標高は2200mを越えた。坂はまた急になる。ヤタケの間の道は、多く歩かれているので、そこそこ幅がある。しかし昨日の雨のため、しずくでズボンが濡れる。また杉林が現れ、8時17分倒壊した木造の見晴らし台が現れる。休憩をとる。

焚火跡の残る緩やかな傾斜の杉林道
ヤタケの間の坂を登る
見晴らし台が現れる
見晴らし台は、林業が行われていたころ、森林火災を発見するための見晴らし台だ。風雨に去れされて柱が折れ、屋根も一部なくなっている。利用することはすでにできない。標高は2400mを越え、頂上までの半分と少しを歩いてきた。見晴らし台の位置は、尾根上で少し小高くなっている。少し長めの休憩後、残り半分を歩き始める。先に少し下っていく。そのうちヤタケの間の急登が始まる。

根が道にうねる、ヤタケの間の道
霧の中を登る
台湾ツガ(鐵杉)の大木
最後の急登
路面には、太い樹木の根が蛇のようにうねっている場所もある。台湾ツガの大木や、かなり太い扁柏も道わきに現れる。濃霧の中で、枝をのばしたツガは森を守る巨人のようだ。ロープのある岩場も出てくる。9時40分過ぎに一度休憩をとる。坂は急だが、難しい場所はない。濡れた倒木の一本橋は慎重に渡る。霧のかかる層を出た来たのか、霧が薄くなり一瞬、近くの山が見える。11時、再度休憩をとり、最後の急坂を登る。高度も上がってきたので、空気は薄くなり急坂はつらい。11時45分坂が緩くなり、間もなくコンクリ製の小さな小屋と、木製見晴らし台のある山頂(標高3081m)に到着する。

西巒大山山頂の全メンバー
山頂の見晴らし台の上に青空
陽光の差し込むヤタケの急坂を下る
全員が到着し、長めの休憩をとる。先ほどの霧が少し晴れ、瞬間麓のほうが見える。頂上見晴台家屋の上に青空がのぞく。陽光はとてもうれしい。知らず知らず時間が過ぎる。約45分ほど山頂で過ごし、いよいよ往路を下り始める。下りも長くて急な坂が待っている。手足を使い登った急坂は、慎重に下る。上りでは霧の中のヤタケの道は、日差しが差し込み明るい。台湾ツガが生える辺りは、ちょうど雲がかかっているあたりのようで、また霧の中になる。15時18分、中間点の見晴らし台に戻る。

霧の中の急坂
見晴らし台に戻る
ゆるかやなセクションを行く
残りはわずかだ
残りはまだ長い。急坂を過ぎると、緩やかで幅広い人工杉林の間を行く。歩きやすい道は、ペースも上がる。16時過ぎ、また坂が急になる。16時50分過ぎ、名板のあるギャップに戻る。残りはわずかだ。緩い坂をすぎ杉林を抜けていく。朝には暗くてあまり覚えていなかった、急坂を下る。17時35分、登山口に戻る。歩いた時間は登り約6時間、下り5時間であった。9時間を切るような登山者もいるようだが、このぐらいは見ておいたほうが良いだろう。

林道の登山口に着いた
閉じたゲートから見る西巒大山
車は、林道のゲートが17時以降は開いてもらえないので、テントを撤収してくれて、登山口から先に下ってゲートで待っている。そこでさらに林道を下る。角を曲がると、前方高くに大きな山容の山がそびえている。今日登った西巒大山だ。山頂へ続く急な尾根が前方に続いている。18時にゲートに着き、今日の歩きを終える。

民宿の部屋




車に乗車して林道を下り21号線に出る。左に折れて南方向にさらに進む。19時過ぎまだ営業している食堂で食事をとる。この辺りのお店はコンビニを除き遅くまで営業しない。20時半前に、望鄉の民宿に投宿する。今日は平日なので、宿泊客は多くない。22時までに就寝する。明日もまた山登りが待っている。

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