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2023-07-12

2023年7月8日 新竹五峰 天頓山 訪れる人の少ない山頂

二つの基石がある天頓山山頂

台湾のいわゆる中級山は、一般的に標高1500mから3000m超の高山と称される山の間に存在する山々の総称である。中には多くの登山者が訪れる山があるが、一方山道すらはっきりしない山々も多い。筆者は、過去中級山を登っているが、その性格はさまざまである。ただ、森林限界以下のこれらの山々は、展望があまり望めない。しかし、その奥深い森林は登山者を魅了してやまない。難しい山はチャレンジ精神を満たしてくれる。

霞喀羅古道から望む天頓山(2020/4攝影)
山頂を往復
今回対象の天頓山は、その位置や性格上あまり陽の目を浴びない山である。人気ルート霞喀羅古道の霞喀羅溪を挟んだ対岸に位置するが、その奥の結城山から觀霧へと続く主稜線から北に伸びる支稜上の目立たないピークに過ぎない。三等三角点があるが、三角点ハンターでもなければ訪れたい山のリストには入りにくい。道筋は沢に下って登り返し、崩れた林道を高巻きしなければならない。つまりルートとしても厄介なのだ。それでも訪れたのは、今年5月に藍天隊が入り、マーカーなどをつけるなど整備が行われたことが大きい。訪れた感想としては、確かに厄介だが、それはそれで自然に近い山歩きができたことは、よかった。

天頓山山頂の全メンバー

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第三高速龍潭高原ジャンクション付近から望む山々

122県道を行く、前方は五指山
都合参加メンバー8人は、仲間が運転する二台の車に分乗し、5時に台北を出発する。第三高速を一路南下する。好天のもと、東側には早朝の山々が姿を現す。目的地方向の最高点、大霸尖山の特徴あるピークも明瞭だ。6時にいままで何度も訪れている竹東の街をぬける。目的地はまだまだ遠い。頭前溪の支流である上坪溪にそって122県道を進む。特徴ある五指山が前方に大きくなると、上坪の集落に着く。6時半、上坪のコンビニに立ち寄る。

上坪のコンビニに立ち寄る
清泉を過ぎる
上坪を過ぎると、山が迫って来る。今は122県道の車道になっているが、昔はシャカロー・サカヤチン警備道である。山岳原住民の部落を次々と過ぎていく。五峰(過去のシパジー)をすぐてすぐ、左に鬼澤山が谷の向こうに聳える。7時少し前、今は拡張された日本時代からの桃山トンネルをくぐる。抜けると左には面托油山が大きく存在を示す。清泉を過ぎて大鹿林道に入り、高度をさらに上げていく。

雪山民宿脇で大鹿林道から分岐する
廃棄産業道路を下る、前上方に主稜線
7時32分、林道のほぼ中間地点、雪山民宿の脇で林道から離れ、左の道を下っていく。途中の分岐は右にとり下って、7時40分産業道路の通行最終点で駐車する。8時過ぎ、支度を済ませて歩き始める。土砂崩れ部分を通り過ぎ、舗装された道路を下っていく。前方には、主稜線が高い。下っていくこと10分で、大霸鱒魚養殖場の廃墟が現れる。建物はまだしっかりしているが、ガラスなどはみな割れている。土砂崩れで道が塞がれ、営業ができなくなったのだろう。建物左手前の樹木に、まだ新しい藍天隊の道標が付けられている。ここから山道が始まる。

大霸鱒魚養殖場廢墟
沢を渡る
山道は下って沢を越す。ロープが渡してある。今は水量が少ないが、大雨の後は増水して渡渉は困難になるだろう。渡渉後すぐに左に進み、枝沢のところから急坂に取りつく。長い補助ロープを使って急坂を登る。標高差約300mの急登の始まりである。標高は約1200mだが、風がなく汗が噴き出す。沢の水音が消え、周囲は蝉の声が鳴り響く。尾根が狭まり、注意して進む。登るにつれ下草が少なくなり、地面は枯葉に覆われる。樹木はまばらで、陽光が差し込む。8時52分、標高約1390m地点で初回の休憩をとる。

狭い尾根の急登
倒木を越えて登る
風がある場所で休憩
更に急登が続く
更に高度差100mの急坂を登りつめ、9時20分廃棄林道にたどり着く。廃棄林道は、枝尾根の山腹を進む。林道は初めの部分は状態がまだよいが、すぐに土砂崩れが現れ、崩れた面を注意してトラバースする。樹木がきれた場所から、対岸に霞喀羅古道とその上の面托油山が見える。わずかな勾配の林道は、一部良い部分もあるが、路肩が崩れた場所なども多く、全体で見ると状態は良くない。進むと方向が変わり、樹木がない場所からは鵝公髻山から大窩山への五峰天際線の山々が望める。



まだ新しい藍天隊の道標

一部良好な部分も残っている
廃棄林道から望む五峰天際線の山々
ロープの架かる高巻開始部
9時55分、約1.5㎞ほど歩いた地点で高巻きが始まる。すぐにロープの急坂を越え、さらに進む。足場もあまり良くない場所もある。10時15分、高巻き最高点を過ぎ下っていく。下ること数分、水がちょろちょろ流れる沢を越え、その先で休憩をとる。

高巻き道を下る
高巻を終え林道に降り立つ
途中ちょっと登り返しがあるが、さらに下って11時に林道に降り立つ。高巻きは1㎞足らずだが、かなり時間をとられた。廃棄林道に下りたが、状態は良くなくすぐに崖崩れになり、左に沢に降りる。沢から登り返し、また少し林道を行く。11時25分、大石に押し出された沢筋に出て、少し石を渡って登る。11時半、沢わきで食事休憩をとる。冷たい沢水が心地よい。

小沢を渡る
また廃棄林道を少し歩く
石が押し出された沢を少し登る
また急坂を登る
12時少し前に歩き始める。またしばらく急登である。落ち葉の道筋は、頼りない。ただ、マーカーが適度にあるので、注意して進めば迷うことはない。登ること約30分、上方から人声がする。果たして数名のパーティが登頂を済ませ下山してくる。この不人気山として、意外だ。前の晩に登山口近くに宿泊し、早朝に出発したそうだ。

下山してくるパーティとすれ違う
広い稜線を行く
更に15分登ると、急坂はほぼ終わり、山腹を少し登り気味にトラバースしていく。この尾根の先に目的地天頓山山頂がある。トラバースが終ると、広い尾根上を少し登る。この辺りは注意しないと、方向を見失う。少し尾根が狭まったと思うと、13時23分に二つの基石がある山頂に到着する。約5時間20分の登りだった。標高1768mの山頂は、吹き抜ける風もあり、さすがに涼しさを感じる。

山頂の筆者
マーカーを追っていく
気持ちのよい山頂はゆっくりしたいところだが、厄介な往路を戻るにはまた時間がかかる。20数分の休憩後、往路を戻り始める。同じ道でも、主要な倒木などのランドマークは覚えているが行きと帰りでは風景が異なる。特に広い尾根は、マーカーに注意し方向を定める。山腹トラバースを終え、下りが始まる。14時46分、登りに際に長く食事休憩した沢わきで休憩をとる。

大きなランドマークで方向を確認

ガレ沢を下る
高巻道の登りはつらい
休憩後、廃棄林道を少し行き、沢を渡ってまた廃棄林道を少し戻る。15時20分、長い高巻きセクションが始まる。足元がしっかりしない登りは疲れる。15時54分、わずかに流れる沢のところで休憩をとる。しみだしてくる水は甘露だ。休憩後さらに歩きにくい高巻きを進む。ロープの急坂を下り、16時30分廃棄林道に降りる。林道を進み、崖崩れを通り過ぎる。16時54分、林道終点を通過、急坂を下り始める。途中一度休憩をとり、さらに下る。17時47分沢に降り立つ。10分ほどで全員が降り終わり、廃棄産業道路を登り返す。18時17分、駐車場所に戻った。


最後の枝沢わきの急坂を下る
廃棄産業道路を登り返す、もう少しで終わりだ

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下山後に現れた虹
日中時間が長い時期なので、往復10時間強を要したが、日暮れ前に余裕をもって下ることができた。最後の沢を越すときにちょっとパラパラッと雨粒を感じた。そのためだろう、帰路では虹が見えた。また、赤く染まった雲も望めた。距離は11.5㎞、累計登坂下降は約1000mである。コース定数32である。

帰路上見た夕焼けの空
帰路は竹東で夕食をとった。大鹿林道と122県道は時間を要し、竹東には8時にやっと着いた。この時間だと営業中の店が少なくなったが、幸い一軒の食堂で食事をとり、帰京した。




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