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2019-03-21

2019年3月20日 基隆-瑞芳小山縱走 基隆から瑞芳に連なる山を越えて歩く

夕陽の中の縦走最後の峰、龍潭山 背後は基隆山
昨年末に瑞芳から基隆へ峰々を伝って縦走することを企画し、実際に瑞芳から最初の三山を登った。ただ、雨が降りそのまま行っても面白くないので、そこで終わりにして下山した。いずれは歩くこと考えていた。今回は、3か月前に果たせなかったルートを、逆に歩いて完了した。山そのものは高い峰でも200mぐらいで、決して高い山ではない。

五分山から見下ろす基隆(左)から瑞芳への山々
港町基隆には、紅淡山という小百岳がある。この山は標高217mに過ぎないが、基隆の街のすぐ後ろに位置し、港が望める山である。清朝末期に起きた清仏戦争で、1884年フランス軍が基隆を占領した時は、紅淡山から月眉山へ延びる稜線は、清朝軍の防壁でもあった。戦争そのものは、その後フランスのベトナムにおける利権を保証する清仏条約が締結され、基隆も解放される。紅淡山は歴史と景観の山だけでなく、街に近いので基隆市民の憩いの場所でもある。

西の基隆から東の瑞芳へ歩く
歩行高度表
基隆山からは東に、月眉山や四腳亭砲台がある稜線がある。これを追っていくと一度低い鞍部を通り越し、瑞芳の背後にある峰々がまた盛り上がる。今回の山行は、この稜線を縦走していくものだ。四腳亭砲台は、日本統治時代1901年に基隆港を守るために造られた一連の砲台の一つであり、最大規模のものであった。今は大砲はすでになく、台座や付属の施設建物が残っているだけだが、古跡として保存されている。

新基隆駅北口
最近は、周期的な天気で週末が崩れ、週中に良い天気が訪れている。すでにリタイアの筆者は時間的な制限が少ないが、若い人たちが山登りや戸外活動をするには、残念なパターンだ。水曜日の今日は、昨日午後から天気が回復し朝から快晴だ。自宅近くから1550番の直接基隆駅へ行くバスに乗るつもりであったが、30分ほど待たないと来ない。そこで急遽、台鉄の区間電車で向かう。8時半に着いた基隆駅は、建て直され前回とはずいぶん異なり、少し戸惑う。指定した集合場所が違うのだ。参加メンバーから連絡を受け、みんなが待っている場所に向かう。

廟口出店の入口
劉銘傳路を行く、背後に紅淡山
新しい基隆駅北口の1階に7/11コンビニがある。つい最近オープンしたそうで、筆者の考えていた集合場所のセブンイレブンとは別の位置になる。今日は筆者もいれて14名だ。8時50分、駅から銘傳國中わきの登山口へ、街の中を通っていく。有名な廟口夜市を通り過ぎる。通りを隔ててある二つの小学校のわきを進み、劉銘傳路へ曲がる。道は坂になり登山口に続く。坂を上がっていき、左に進むと中学校校門わきの登山口に来る。

登山口
桜並木の急坂階段を登る
紅淡山は街に近いだけに登山道がたくさんある。前回は西側の三坑駅から登ったが、今回は北側から登る。地図とそのわきに0.8Kのキロポストがある。道はすぐに階段で高度を上げる。階段には一定の間隔で紅淡山のプレートが埋め込まれている。左からの道を合わせ更に登る。道脇には桜の木が続く。まだ細い。葉桜になっているのが多いが、まだ花が残っているのもある。時期がもう少し早ければ桜並木だっただろう。一本調子の登りはつらい。9時28分、涼亭ですこし休む。

@紅淡山西北峰
まだ桜が咲いている
山腹を進む
お稲荷さんような像がある紅淡山直下の門柱
前方に紅淡山西北峰が見える。道を追っていき、少し右におれて西北峰に立ち寄る。もとの道に戻り、分岐を左に石像櫻花園へと進む。右に行けば前回訪れたロータリークラブの塔に続く。道は緩やかに山腹を進んだあと右に折れて階段を上る。そのすぐ先で左に進んで、お稲荷さんのような像がのっている門柱を過ぎ、9時51分紅淡山山頂に着く。ここからは海側がすべて見渡せる。これから歩く稜線と月眉山、そしてその向こうには基隆山が座っている。山腹には多くの住宅ビルが並ぶ。台北のベッドタウンは、住宅開発がそうとう行われている。

紅淡山から基隆の街を望む
紅淡山から歩く、前方にこれから歩く山々が見える
擁恆文創區のわきを行く
稜線道
山頂から下り、稜線道を進む。コンクリ舗装の登山道は右に下っていくが、土の道が左に稜線上を進んでいく。道の状態は悪くない。数分で大きな公共墓地、擁恆文創區のわきを過ぎる。山道は、石段などもあり本来しっかりしたものである。しかし、墓地などの開発で以前ほど歩かれていないようだ。10時33分、稜線を越えていく車道に出る。前方は、広大な開発が行われている。先ほど紅淡山山頂から見えていたものだ。舗装路を左に下り、涼亭で休む。

車道に降りたところ
大開発区
道なき道を行く
長命寺へ続く道に入りすぐ右に登っていく山道がある。これを登っていく。まもなく大水堀山(標高145m)を通り過ぎる。土地公がある。山道を進んでいくが、細くなり無くなる。少し戻り左に並行している保線路を進む。11時、送電鉄塔のわきを行くと開発地区に出る。地図上にある道は山が削り取られてすでにない。探しても道がないので、すぐ近くを行く保線路を追っていく。保線路は稜線から離れ山腹を行く。登り始めて枝尾根上に出る。地図上ではそこには道があることになっているが、踏み跡がない。経験のあるメンバーの協力で強引に樹木や草の間を進む。すると、山道にでた。以前使われていたトーチカもある。補助ロープのある岩場を越えていき、送電鉄塔の下にでる。開発工事のため思わぬ遠回りをした。時間は12時半近く、そこで少し開けた場所で食事休憩をとる。

開発区を振り返り見る
天外天墓園入口
墓園の中を月眉山へ行く
月眉山から基隆方向を望む、左手前に開発区
30分ほどの休憩後、保線路を行くとすぐ舗装路にでる。舗装路を進む。右に急斜面の月眉山が見える。この山裾を巻くようにすすみ、天外天墓園に入る。この共同墓地は、月眉山の南側山腹に開発された広大な墓地である。月眉山の山頂は、この墓園の奥にある。墓園の中を進み、末端からの山道を登る。すぐに月眉山東峰がある。そのわきの山道を入り砲台跡を過ぎて、13時15分月眉山山頂(標高215m)に着く。砲台は、清仏戦争の際に設けらたものである。

四腳亭砲台への入口
左にビジターセンター
同じ道を下り、墓園の入口に来る。ここから、四腳亭砲台への道が始まる。砲台への運搬用に開かれた道は広く、傾斜も緩い。10分ほど歩くと、左にビジターセンターがある。ここに登り休憩する。建物には給水機もトイレもある。13時55分、砲台跡へ歩き始める。兵舎の建物や弾薬庫などがあるセクションを過ぎ、左に坂を上っていく。昔の建物があるわきに、深澳坑砲台山(標高210m)への道がある。登ってすぐにちょっと開けた場所に基石がが埋まっている。降りて砲台の周りをまわりこみ、下っていく。関連建物のわきを行き砲台跡の端に分岐があり、右は下っていく道、左は稜線を六坑へ行く道である。

砲台台座
六坑口への道から瑞芳の街を望む
沢を渡る
稜線上の道は、道筋もはっきりしている。しばらく平らな道を進み、14時半稜線の端から景色が広がる。遠くには瑞芳の街と背後の山々が連なっている。急坂を下る。送電鉄塔のわきを過ぎ、更に下る。最後に急坂を下り、14時58分沢のわきにでる。沢を渡ったところが六坑口の集落だ。そのすぐ上を行く深澳坑路に上がる。ここで三名のメンバーが離れる。

瑞芳へ向かって車道を歩く
文字の刻まれた岩壁わきをゆく
深澳坑路を右に下っていく。鉄道踏切を渡り進む。左に瑞芳第一公墓への道が分かれる。この墓園の端から秀崎山への車道へ通じる山道が地図上にある。しかし、道の状態がわからないため、安全をとって車道をそのまま瑞芳へ歩く。高架道路の下を過ぎ、右に瑞芳高工を見る。15時40分、秀崎山へ続く交差点に着く。左に折れて道を登っていく。弘明寺を過ぎ、その先岩壁に大きな潛龍在淵の文字が刻まれている。16時に秀崎山登山口になる、紫雲宮につく。山門をくぐり廟に上がる。少し休憩を取る。

紫雲宮から西を望む
秀崎山山頂、背後に歩いてきた山々
階段道を登る。すぐに涼亭が現れる。今日は天気が良いので、基隆山や海が見える。更に少し進み、右に分かれる山道を行く。すぐに秀崎山山頂(標高195m)につく。ここはトーチカがある。少し傾きかけた陽光の中に、歩いてきた山々が重なっている。山を下って、次の山頂瑞芳山に向かい進む。瑞芳山は、石畳道から左に少し入ったところだ。狭い頂上だが、展望は抜群だ。石畳道にもどり進む。前方に最後の峰、龍潭山の三角ピークが見える。長い階段をひたすら登る。16時43分、龍潭山山頂(標高199m)に着く。前回は、霧で全く見なかった九份の山と、その左に基隆山が近い。ビールを開けて祝杯を挙げる。

瑞芳山からのパノラマ
@龍潭山山頂
三十分ほど頂上の涼亭で過ごし、階段を下る。左に舗装路を下っていく。下り切り、鉄道の踏切を渡る。右に曲がり瑞芳へ歩く。17時45分に台北への直通1061番バス停に着く。バスを待つがなかなか来ない。九份から下ってくる 1062番バスは満員で座れない。バス会社は 1061番バスの便数を大幅に減らしたようで、さらに駅へ歩き電車で台北に帰った。

基隆山と九份の街(右側山腹上)が近い
天気に恵まれ、前回濃霧で見えなかった景色も十分楽しんだ。今の季節は、太陽がでると気温が上がり夏のようになる。風があったのが幸いだった。行程途中車道部分があるが、都合約20㎞ほどを休憩込みで約9時間ほどで歩いた。月眉山へ途中、道探しが必要だ。大規模開発が終了すれば、また道がはっきりするだろうが、それまではこの部分は地図を読み進む経験がないと、ちょっと戸惑うだろう。

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