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茶の木の花 |
10月に入ると天気がよくない日が続き、結局1週間以上山には行かなかった。今日は秋晴れではないが、薄曇で雨の心配はなさそうだ。前から考えていた台北市の指南茶路親山歩道を歩くことにした。台北市の南にあるこの一帯は、猫空ロープウェイなどがあり、台北の著名な観光スポットでもあるが、稜線を越えた反対側の銀河洞歩道側は、そのにぎやかさはない純朴な感じのルートである。行政単位としては、台北市と新北市をまたいでおり、山道の整備度は差がある。台北市側は石の立派な道、新北市側は、ひなびた昔ながらの道、というところか。
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台北の南にある指南茶路親山歩道 |
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中生橋から歩き始め北に抜けた(図の出発ポイントはエラー) |
今日は早起きしたこともあり、6時半に自宅を出発した。MRTで新店駅へ行き、そこでバスに乗換え銀河洞登山口へ向かう。新店から北宜公路を行き銀河洞バス停を通るバスは緑12番があるが、本数が多くない。そこでやってきた緑5番のバスで終点の中生橋頭まで行った。時間は7時20分。ここから銀河洞バス停までは、数百メートルぐらいであるし、たいしたことはない。北宜公路は10年以上前はよく車で通過したが、歩くのははじめてだ。その後宜蘭へは高速道路が開通したこともあり、この北宜公路の交通量は、それほど多くない感じだ。時間もまだ7時半で早いこともあるだろう。
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北宜公路上の銀河路入口 |
北宜公路がヘアピンカーブを描くその付け根から、銀河路がはじまる。野良犬が3匹いるが、おとなしい。川に沿った銀河路は次第に勾配がきつくなってくるが、かなり奥まで集落がある。約20分で銀河洞越嶺步道の入口に着いた。ここからは山道である。谷あいの石段の道は、苔むしているが、手すりがしっかり作られているので安全だ。上から農具を担いだ農夫が降りてくる。ひと仕事を終えたのだろう。
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銀河洞歩道入口 |
登ること10分ぐらいで、銀河洞についた。落差3、40メートルぐらいだろうか、滝がかかっている。水量はそう多いわけではないが、絹糸のような水がたえず落ち、汐止の大尖山を登ったあとたずねた秀峰瀑布よりは立派だ。滝の裏側は空洞で、その周りにお寺が築かれている。この銀河洞は民国元年に発見されたそうで、ちょうど100年前のことである。階段をあがって、お寺を参拝する。線香がともされている。自分以外にだれもいないが、朝だれかが焼香したのだろう。滝の裏を登っていく道を行くと、奥に呂仙祖が祭られている。ここも線香がともされている。
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銀河洞 |
滝の脇から眺めると、今しがた歩いてきた銀河路が足元にみえる。その先には北宜公路にそって大崎脚まであたりに建てられている高層住宅がある。目を遠くに向ければ、土城の天上山の山並みや、塗潭山の山腹に開発された華城など住宅郡などがみえる。それにしても、かなり高いところまで住宅開発されているものである。
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上からみる銀河洞 |
銀河洞から、また石段の道を登りきると緩やかになり、枕木を敷いた細い川沿いの道になる。せせらぎをまたぐコンクリート橋のたもとで、四面頭山へいく川沿いの細い山道とわかれ、稜線への道になる。この辺には、小さいが畑も作られている。枕木の道が続くが、それほど勾配はきつくない。茶畑がみえると、稜線上の樟湖歩道と合流した。時間は9時10分、銀河洞から30分ぐらいの登りであった。
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滝の脇から遠くを眺める |
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銀河洞歩道から見る鵝角格山 |
樟湖歩道は石畳の立派な道である。この道を右にとり、鵝角格山へ往復する。石畳の道をすこし行くと、標識が鵝角格山と猫空ロープウェイの分岐を示している。鵝角格山へは、右の山道である。細い道だが、踏まれているので迷うことはない。ただ、あまり整備はされていないので、雨水が流れ、溝のようになっていたりする。途中山腹を登っていく道があるが、これは茶畑への道である。山腹をまいたあと、ロープ補助がある急なのぼりとなる。
時刻は9時40分、分岐から登ること20分、朝歩き始めてから2時間20分で三角点のある鵝角格山(標高475m)についた。今日の行程の最高点である。ここは北側に向かって開けている。ちょうど、猫空やそのさき台北の全貌、さらに陽明山や八里の観音山が一望できる。今回は、この眺めを目的にしていたが、高曇りの空のもとそれがかなった。突出した台北101ビルや新光超高層ビルは目立つが、それ以外にも台北は本当にビル建築が多い。人口密度が高いゆえんだ。目をこらすと、南港山の鉄塔や拇指山頂上の巨石などがわかる。この角度からみる陽明山は、西側の面天山から大屯山、小観音山、七星山、磺嘴山が並び、その全容が見える。もちろんロープウェイや指南宮なども見える。
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鵝角格山から見る台北、左奥は観音山、右の山は陽明山の一部(面天山) |
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木柵、101ビルと背後の陽明山 |
鵝角格山をさらに行けば二格山まで通じる縦走路となるが、今日は今来た道を下り、待老坑山へ向かう。先ほどの分岐から先は、すべてよい道だ。右や左に下がっていく道の分岐を3箇所過ぎ、約20分少しで待老坑山(標高382m)についた。山頂は三角点があるが、視界はまったくきかない。ベンチがつくられているので、休憩し食事をとる。時間は10時半である。
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優人神鼓 |
時間もまだ早いので、頂上のすぐしたの分岐から右に下り、優人神鼓に行ってみる。木製階段を下り、10分足らずで着いた。広場には木製の大きな舞台ができているが、犬が一匹いるだけである。こちらの近づく気配を感じたあと、ずっと吼えていたが、近づくと怖がっているのだろう、かげに隠れてしまった。さきほど、待老坑山への登りで優人神鼓へと示されている分岐があり、おそらくそれだろうと思われる山腹をまく道があったが、今降りた道を登り返す。
待老坑山からは、鵝角格山からやってきた道を戻り、指南路三段34巷を示している分岐で分かれた。これからは、基本下りのみである。小石を敷き詰めたところや、枕木の道を過ぎると、石畳の道になる。茶畑の脇にでると、視界が開けた。鵝角格山に比べれば高度は低いが、同じく台北の街や陽明山などが見える。茶畑の茶の木は白い花をつけている。茶の木はこんな花を咲かせるのか、と気付かされた。鵝角格山から二格山までの山並み、また猴山岳の山並みも目前だ。
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歩道脇の茶畑、台北もよく見える |
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樟山寺からの眺め |
石畳の親山歩道は民家の軒先で終わり、少し舗装路を下ると、また別の歩道が始まる。これを下りきると、指南路に合流する。バス停の先に樟山寺へ続く道がある。これを行くと、樟山寺に着いた。時間は12時少し前、下ること40分だ。樟山寺は山の斜面に境内が造られているので、眺めがすこぶるよい。足元には3号高速道路も通っている。
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政大への道、指南国小分岐 |
さらに歩道を下る。途中指南小学校への分岐をすぎ、高速道路のトンネル上をこえていくと、政治大学の管轄地に入る。下りきると、大学内の環山二道の登山道入口だ。ここからはこの舗装路を下ってもよいが、道の反対側に山道が続いている。これを行くことにした。ちょっとした小山を越えると、頂上公園がある。この公園の端からは2つ道があるようだが、行健路と書かれている道をくだることにした。これは、道というより急な階段である。落差は相当あるようで、下端は見えない。下りはよいが、登るとしたらかなり骨だろう。だから行健路か。
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行健路の急な階段道 |
下りきると、そこは大学キャンパスの端である。行きかう学生とは、すこし風貌の違う人間であるが、キャンパスを通り抜け政大の正門まで歩き、そこから帰りのバスに乗った。時刻は1時少しまえであった。
今回のルートは、合計11キロ、時間は5時間半(含休憩)である。高低差は約420mであり、それほどでもない。親山歩道でもあるので、鵝角格山往復を除いては、よい道で気楽なルートでもある。説明看板には、自分の歩いたのと同じルート(鵝角格山を除いて)が表示されている。それには健脚向けとはなっていたが。