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古い磺溪頭山山名板
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左の竹子山の高さ半分の磺溪頭山(中央奥)、手前は下七股台地(2014/01撮影) |
過去十数年にわたり、台北郊外の陽明山山系は、陽明山公園の官製登山道から、ボランティアがメンテする古道や登山道のほぼほとんどを歩いてきた。しかし、それでも足を踏み入れていない場所がある。それが、新北市金山區の磺溪左岸にある低山磺溪頭山を含む山域である。この山の西側には標高1000m台の竹子山連山が控え、その前にある半分の高さしかない山は霞む。このような環境の山は、ほとんど見向かれない。つまりは、不人気山の代表のような存在だ。
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陽金公路の林莊から往復、時計回りに回遊 |
しかし山は山である。各々の個性がある。いずれは訪れようと、ずっと思っていた。数年前に、この地域の登山記録を見た。だがその後訪れずに過ぎてしまった。今年5月に藍天隊が再び入り、山道の整備をした。今回はその恩恵を享受しての登山だ。大部分が下草が少ない森の中を行くが、一部カヤが密生した峠を通り過ぎた。この部分は、もし最近の草刈りがなければ、かなり苦労するセクションだ。この峠は、もう一つの古道が合流する部分であるが、それはわからなかった。標高も高くなく、距離もそれほどないので、途中の休みは多めだったが、4時間で歩き終えた。
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@磺溪頭山山頂 |
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台北の始発バス停 |
最近の天気は、午前は快晴だが午後になると雷雨が発生することが多い。時にはかなりの雨量になる。午後の雨を避けるために、台北から陽金公路を経て金山へと行く、皇家客運の1717番の始発バスで登山口に近い林莊バス停へと向かう。筆者は6時40分ごろに台北市公園路にある、始発バス停に着いたが、すでに10数人が行列を成している。正直驚いた。そうこうしているうちに、列はさらに長くなり、バスがやってきた7時直前にはその倍になっていた。バスは幸い大型の観光用にも使えるバスで、座席数が多く発車時には、まだ少し空席があった。
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1717番バス |
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出発時のメンバー@林莊バス停 |
バスは市内を進む。途中のバス停でも多くの乗客が乗り、狭い通路は立っている乗客で埋まる。陽金公路を登り、8時13分に七星山登山口である小油坑に到着、多くの乗客が下車し、バスは半分空になる。つまりは、天気のよい今日は、多くの登山者が七星山を登るということだ。バスは陽金公路を一路下り、8時44分林莊バス停に到着した。
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廃業のカラオケ |
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磺溪を渡る、正面は磺溪頭山 (山頂は見えない) |
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陽明山公園の表示 |
下車し、道路対面のバス停待合建物(標高113m)で支度して、8時50分歩きだす。道は下り、T字路で左に曲がる。カラオケがあるが、もう廃業のようだ。下って赤褐色の石が転がる磺溪を渡る。川の上流には硫黄などの吹き出しがあり、この影響で石が染まっている。そのすぐ先で小さい沢を渡るが、こちらは着色がない。
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登山口 |
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初めの沢を越す |
産業道路は登りになる。陽明山国家公園の標識を路傍に見る。車が一台道端に駐車してある。メンバーの友人が車でやってきて、先に登っているという。9時3分、左に登山口を見る。道路の路肩表示ポールに直接、登山口と表記してある。山道は、道筋ははっきりしている。沢を越す。簡易橋板が架けてある。さらに2,3分進み、また別の沢を越す。
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二番目の沢 |
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廃棄された棚田 |
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澤脇の棚田を行く |
沢を越すと、左に段々畑が現れる。郊外低山ではよく見るが、ここの棚田は、まだ樹木などがなく、廃棄された時期は比較的新しいのだろう。道は更に上部の棚田の脇を行く。棚田が切れて、石段を登る。その先にまた棚田がある。9時25分最上部の棚田(標高220m)で休憩する。ここまでの山道は、実は農民が造った農道でもある。
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廃棄されて久しい棚田 |
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石段 |
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最高部の棚田 |
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遠くに海が見える |
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新しいロープの急坂 |
高度が上がってきたので、樹木の間に金山方向の海が見える。道は勾配がきつくなる。まだ新しい補助ロープも取り付けられている。汗が噴き出る。登ること約20数分、勾配が一度緩くなる。左下に陽金公路とその上の天籟溫泉社區の建物群が見える。また勾配がきつくなり、10時20分磺溪頭山山頂(標高508m)に着く。先に登っていた二人が山頂で待っていた。一時間半の登りであった。今日の行程上の最高点であり、また一番の難所を登ったので、長めに半時間の休憩をとる。風を感じる山頂は、心地よい。
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天籟社區が見える |
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山頂に到着 |
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白鶴藍 |
10時48分、方向を西に大きく換えた稜線を進む。上り下りはあるがそれほど多くない。樹木がまばらな稜線は、風を感じて歩くと、実に快適だ。稜線を行くこと約5分で、馬鞍格と名付けられた地点を過ぎる。今が開花期なのだろ、登り途中や山頂にもあったが、ここでも白鶴藍の花を見る。11時7分、反經石となづけっれた石を見る。磁針を近づけると、確かに動く。ちょっと積み上げられた石なので、どこからか持ってきた石のようだ。
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馬鞍格 |
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反經石 |
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近づけると磁針が動く |
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幅のある道を下る |
尾根上をさらに数分行くと、また方向を北に換えて下り始める。道はそのうち幅が広がり、山道というよりは廃棄林道の様だ。11時23分、カヤの草むらに入る。ここは草刈りされていなければ、苦労する場所だ。地図上では、左側からの道が合流するがこの草むらではわからない。鞍部でもある。道は谷間に入り、薄暗い。道も雨水で洗われている。11時33分、沢わきにおり昼食休憩をとる。
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カヤの密生する峠 |
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峠にある石、有應公か? |
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谷間を下る |
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沢わきで昼食休憩 |
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林道のような広い道 |
約半時間の休憩後、残りの山道を行く。少し登り返した後は、ずっと下りだ。道の一部は先ほどのように、幅が広い。途中沢を三回越え、12時25分山道は舗装された産業道路(標高302m)にでる。少し下り振り返ると、先ほど登った磺溪頭山とその稜線がすでに高い。舗装路の状態はとてもよい。10分ほど下り、苗木畑脇を通過、その先橋で沢を渡る。12時45分、朝の登山口に戻る。さらに進み、13時に林莊バス停に着いた。
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最後の沢渡渉 |
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舗装産業道路に出る |
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苗木場脇を下る |
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台北行バスがやってきた |
待つこと約40分、台北行の1717番バスがやってきた。通常のバスで我々全員がかろうじて座れる席があった。その先、さらに登山者が乗車、小油坑バス停では立つのも大変なぐらいな混雑となった。今日は七星山山頂は、街中のマーケットのような人出だったのだろう。それに比して、磺溪頭山は我々だけで他人には出会わなかった。不人気山の良い点である。距離7.4㎞、昇降480m、休憩を含み約4時間で、コース定数は15であった。
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小油坑では窓外の行列者も乗車しすし詰め満員 |