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2011-12-08

12月7日 三峽白雞山-雞罩山 雨の中休み快晴に登る

廃墟に咲く花
白雞山(標高740m)は三峡の南側にある山だ。台北から見ると土城の天上山の奥(南)に、また11月初めに登った獅仔頭山の西に位置する。雞罩山(標高780m)と鹿窟尖(643m)と3つあわせて白雞三山と呼ばれている。今回は、このうちの白雞山と雞罩山に登った。台湾北部は冬は東北季節風が吹き、この冷たい風が南からの湿った風とぶつかり、天気が悪く雨が多い。今年は11月からそのような状況が続き、天気のよい日が少ない。かなりの大雨が2日続いた後、ぽっかりと晴れ間が出てきた。白雞山からはよい展望が期待できるので、この晴れを逃さずに登ってきた。ただ、好天は長続きせず、また寒気が下がってきたため、午後になるとガスが発生してきた。登山路が山の北側で陽があたらないこともあるのだろうが、全体が濡れており、大量の雨水が流れたため、道が川のように掘られているところもあった。

台北中心から見て南西に位置する
白雞三山
行修宮の前、右を登山口へ登る
三峡は大型住宅開発プロジェクトが積極的に行われてきたので人口が増え、台北からのアクセスは思っていたより速い。MRT板南線の永寧駅から接続バスが頻繁にでている。白雞山の麓、行修宮までバスがあるが、これは三峡出発なのでまず三峡まで行く必要がある。家を7時過ぎに出発、永寧駅バス停で待っていると、922番バスが来た。バスは高速道路経由で行く。途中料金所あたりでは溪南山の奥に白雞山が見える。行き先標示が三峡なのでこの922番に乗ったが、白雞行きのバスがでる三峡の旧市街まで行かないため、終点三峡二站で916番バスに乗換え三峡老街で下車した。待つこと十数分8時48分に、白雞行き1078番バスが来た。朝は30分おきぐらいに発車しているので、都合がよい。
登山口

三峡老街から白雞までは20分で着いた。時間は9時10分である。乗換えがあるので、アプローチにはやはり時間がかかる。準備を済ませ早速出発、行修宮の右側の産業道路を登る。行修宮はちょうど修繕中で、建物全体がビニールシートで覆われている。禅光寺への道が左に分岐するが、そのまま川沿いの道を進む。間もなく、右に川を渡り土の道が延びていく登山口についた。今日は気温も上がり、シャツを着ていると暑い。ここで半そでのシャツだけになる。道は石も多いが、土の部分は雨水のためやわらかくなっている。地方自治体が整備した登山道の始まり0kmを示す標示が右にある。

道に残るレール
この道は以前炭鉱からトロッコが往来していたようだ。途中レール1本の一部分が残されていた。沢を越える橋は、鉄板が乗せてあるが前後に少しだけ、レールが残っている。勾配はあるが、道幅も広く歩きやすい。登山口から20分ほどで、今は廃墟になっている海山炭鉱忠義坑跡についた。ここは1986年に92名の炭鉱夫が、一酸化炭素が充満した坑道で死亡する災害が起きている。コストの上昇もあり、また同時期に発生したほかの2件の炭鉱災害のため、台湾の石炭産業はこのころ末期を迎えたようだ。レンガの建物はまだ残っているが、草が生い茂るなか少しづつ自然に戻りつつある。陽が当たらなく薄暗いので、なおさらのこと寂しさを感じる。

廃坑口と残されたウィンチ
小沢を越える
白雞山頂上直下の岩壁

登山道はここから2つに分かれる。左は急坂で登りつめ天后宮へつながる道と尾根上で合流し、岩壁を登りきり白雞山の頂上へ着く。右は、沢を離れると結構急な道となるが、鹿窟尖への稜線と合流した後、左に登って白雞山へ着く。今回は左の道を先に登ることにした。山の北側の谷あいであるため、陽が当たらず薄暗い。ところどころ、枕木が敷いてあるが草が左右からかぶさる。水量のある小沢を渡り、枝尾根を登っていく。道の石は濡れているが、苔があまりついていないので、それほど滑りやすくない。忠義坑跡から登ること40分、竹やぶを通り過ぎると周囲が明るくなってきた。尾根に近くなったのだ。さらに5分で、天后宮への道との分岐についた。木漏れ陽の山道を右にとり行くと、右側に木々がきれて三峡の街やその先の亀山あたりが遠くに見える。白雞山の直前は、ロープを伝って登る岩壁が4箇所ほどある。しっかりロープを伝っていけば問題がないが、一箇所だけ木が途中に飛び出し足場がとりにくいところがあった。登りきると突然枕木の階段が現れ、すぐに頂上に到着した。時刻は11時10分、歩きはじめてちょうど2時間である。

白雞山から見る樹林、新荘、三重と観音山
山間に木柵が見える、左には台北101ビル

白雞山山頂
頂上は道がつづく西側を除いて、展望が非常にきく。特に北側は、台北と周辺の街が遠くに広がる。尾根上のピークが真ん中にデンと座っているので、その部分はさえぎられるが、ピークの左には新荘や三重、そのさきに観音山が見える。ピークの右は101ビルや木柵の街が見えている。陽明山の山塊もはっきり見える。木柵から右に視線を向けると、東側に獅仔頭山の山並みや、大丘田山ののぼりで道がわからず、結局歩けなかった大丘田山からの長い尾根が見える。その奥には二格山の山塊、さらにその先は四分尾山、姜子頭山の山がある。南側は、尾根をつたっていくと、このあと登る雞罩山がある。本当によい天気のもと、食事をしながら景観を十分に楽しんだ。

行修宮が足元に見える
頂上から下ること少しで、雞罩山への分岐点についた。途中右側が開けたところからは、朝出発した行修宮が下に見える。分岐からは左に道をとり、雞罩山へ向かう。途中に小ピークが二つ、三つあるので尾根道は上下がある。ロープが張ってある急坂もある。白雞山から二十数分で、左に六寮茶場へ下る道が分岐する。右へほんの少しで雞罩山前峰へあがっていく道がある。これを登ると、北東方面が開けている雞罩山前峰(標高770m)につく。ここからは、先ほどの白雞山からは尾根上のピークでさえぎられていた部分、土城天上山の山並みやその奥には、台北市の中心部分も見える。雞罩山前峰から雞罩山もわずかである。時刻は12時。標高は前峰から10mだけ高い。ただ、三頭三角点のある頂上は周囲を木々に囲まれ展望がない。ススキに蝶がとまっている。展望もないので、早々に今来た道を戻ることにする。

雞罩山前峰から見る台北とその向こうの陽明山山塊、手前の尾根は白雞山から延びる尾根
谷あいにはガスが
12時半に白雞山からの分岐に戻りついた。下り始めて右を見ると、ほんの一時間前には見えた谷あいに霧がかかり始めている。左側はまだ天気がよいが。下り道は、ところどころ枕木の階段があり、おおむね歩きやすい。途中竹林の近くでは、地元の人が作業をしているのだろう、機械の音が聞こえてくる。下り20分で、尾根から右に下り道が始まる分岐点についた。このまま尾根を行けば、鹿窟尖へつながる。往復することを考えたが、ガスが多くなってきている、また鹿窟尖からは展望もないようなので、今回はこのまま下ることにした。天気は下り坂だ。

鹿窟尖への分岐
廃坑跡へ続く下り道
道は、登りのときの道と同じに、濡れている。乾かないのだろう。石もかなりごろごろしている。ひとつの石をひと階段にした部分もある。枕木の階段もところどころある。小沢には木の橋がかけられている。沢が近づくと、坂は緩んでくる。道に水があふれている。連日の雨で水量がやはり多いのだろう。木はしらとロープでできた手すりがでてくると、ほどなく忠義坑跡の廃屋に着いた。下りは尾根の分岐から40分であった。

廃屋
忠義坑跡からは、朝登ってきた同じ道を下る。鉄板の橋までくると、赤犬がうるさく吼えている。振り向くと後ずさりをする。1時50分に行修宮へ戻りついた。振り返ると山はガスの中で、稜線は見えない。歩行距離は8km、標高差は550m、歩行時間4時間40分である。次のバスは2時25分発、ちょっと時間があるので行修宮をのぞいた。この寺は台北市内の行天宮の別宮とのことで、行天宮と同じように老若男女の信徒がたえない。寺の前には商店街もあり、にぎやかである。

行修宮の近く、山は霧の中
1078番バスで三峡老街にもどり、すぐにやってきた916番バスに乗り換える。高速道路から白雞山を眺めると、すべて白い霧の中で朝のような景観はない。今日は本当に幸運なことに、雨の中休みの晴天山行であった。

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