このブログを検索:山名などキーワードを入れてください

2012-02-13

2012年2月12日 新店直潭山 四分子産業道路経由で下る

獅仔頭山から見る直潭山、右手前は東獅仔頭山とその尾根
直潭山は台北盆地を取り巻く山のうち、判別しやすい山である。稜線上にはいくつかの送電線鉄塔が、頭の上にさされたかんざしの如く建てられているので、特徴がある。自宅の近くから南方を見ると、手前にたたずむ低い山の奥に標高729mの直潭山が控えている。今までの登山では、獅仔頭山の登りで、北東方向に東獅仔頭山のすぐ左側奥に並んでいた。今回の登山は、下山路に四分子産業道路を経由したが、木々のあいだから新店溪をはさんだ対岸に去年11月に登った獅仔頭山の山々が見えた。

台北の南方にある直潭山、左は獅仔頭山
ルート、ただし前半登り部分は記録なし
今回は、今後烏來の山や直潭山に連なる山塊縦走の下見の意味も含めて行って来た。烏來行きの849番バスは、便数も多く便利である。家からは公館で乗車し乗り換えなく、そのまま目的地までいける。休日であることも関係するのか、往復ともにバスは混んでいた。

民壯亭の登山口
家を7時に出発、849番バスに乗車。バスはMRT新店駅で乗客が大勢乗り、ギュウギュウ詰め満員となる。新烏路に入ると道はカーブが多くなり、勾配もきつくなる。ほとんどが烏來までの乗客なのだろう、直潭山の登山口民壯亭で下車したのは、自分も含めて二人だけである。時刻は8時15分、青空が谷あいから見える。数日間の冷たい雨の後、また好天となった。

登山道登り始め、民壯亭方向をを振り返る
小沢を渡る
ここから直潭山へは、すぐに山道になる直潭山からの南尾根を登る道、南西の谷あいをいく舗装路を登って二龍山、長春觀から直潭山の西尾根を登る道の2つがある。これらは新北市の直潭山登山道としてメンテされている。今日の行程は、南尾根の道を登り、西尾根を長春觀まで下り、その後四分子産業道路を経て金興路口バス停まで歩いた。


枕木の階段
民壯亭バス停から、新下亀橋方へ歩き左に分岐する道をわずかに入ると、左へ登る道がある。ここが登山道入口だ。新北市の登山案内板は、しばらく登っていった上にある。ここは小さな印が民家の壁に張られているだけなので、注意が必要だ。石階段の下に一匹の三毛猫がじっとこちらを見ている。階段を登ると、右奥に山体の大きな大桶山がある。道は、はじめしばらく畑などの脇をところどころ現れる枕木階段や土道を上っていく。振り返ると民壯亭の家々と新店溪が見える。登ること15分ぐらいで、人里を離れ山道となる。送電線鉄塔の下をくぐり、さらに行くと小沢を2箇所渡る、2番目の沢は大水のとき削られてしまった道の部分に丸太で橋が掛けてある。長い雨のため、道はところどころぬかっている。森も全体が湿っている。

隘勇寮遺址
山腹のジグザグ道を行き、登りはじめて1時間ぐらいで南尾根に取り付く。風が結構強く吹いて、山が鳴いている。さらに登ること30分で、隘勇寮遺址(標高515m)についた。ここは尾根が平らになっている。残り200mぐらいの登りだ。隘勇寮とは、昔大陸から移民してきた漢族が、原住民の泰雅族からの攻撃に対し、警戒する警備人員のために設けた小屋である。台湾開発史の証人だ。ここの遺跡は、他の場所と同じように石を積み上げた壁が残っている。
補助ロープの登り

662mの無名ピークを過ぎると登り下りをして、稜線上の小ピークを二、三つ超えていく。補助ロープのある登りも現れる。10時40分、民壯亭から約2時間20分で直潭山についた。山頂は、計測器や通信用の設備,小屋が設置されている。周りは木々が立ち並び、視界はほとんど利かない。高曇りで雨は降っていないが、空は雲がかかっている。食事をとり、休憩する。

直潭山山頂
急な下り道
他には誰もいない長細い山頂から下り始める。直進すると暗寶劍山へ続く稜線上の縦走路、左に折れるとこれから下る直潭山の東尾根の道である。この尾根は登ってきた南尾根にくらべるとやせている。急な土の下り道が現れた。ここは木々が切れて正面に台北の街が、さらにその先には観音山や大屯山の山並みが見える。濡れている道は滑りやすい。補助ロープがあるので助かる。下から人の声が聞こえてきた。5人のパーティ、また続いて4人のパーティとすれ違った。それほど人気があるとは思えない直潭山でも、休みには結構登山客が来るようだ。

さらに下り道が少し平らになった先に、台北側に木々が切れている場所がある。ここは今回の山行中、最良の景観を見れる場所だ。下には碧潭や新店の街がある。それから広がる中和、永和や大台北全域が見える。淡水の河口やその先の海も見える。右側には台北101ビルと南港山まで俯瞰できる。ここで、いつも歩いたルートを記録しているAndroid携帯電話のMy Trackプログラムが停まってしまっていることに気付いた。残念なことに再開すると、それまでの記録が消えてしまった。

大台北全景(クリックで拡大)
下り道の分岐点案内
また、急な下りをくだると、右に花園新城方面への道への分岐点がある。古い道案内では二龍山まであと2.1kmとある。このあたりは尾根幅が広がってきた。途中、また右への分岐を過ぎ、10数分ほど下ると茶畑がいきなり現れた。道は茶畑の中をいく。結構急な下りはまだ続くが、竹林が現れると程なく山道は終わりだ。12時半、山頂から約1時間半で長春観の登山口についた。カラオケの歌声が聞こえてくる。大桶山やその右には拔刀爾山や獅仔頭山から南西に延びる稜線の山々がある。ここで少し休憩する。

長春観の登山口
大桶山が見える(左の大きな山塊)
長春観から舗装路を下ると、犬が吼えている分岐についた。ここを福徳祠の山門をくぐって左に行けば二龍山を経て新烏路に下る、右に行けば四分子産業道路である。犬は近づくと吼えるのをやめ、この分岐を守る主であるかのように、また道の真ん中に座った。

二龍山、四分子産業道路の分岐点
四分子産業道路は、山腹沿いに花園新城方面につながる。ところどころ道端に休憩所が新設されている。果たしてここで休む人がいるのかどうかわからないが、車両の往来も少なく歩くには快適だ。木々の切れ目から、下には新店渓、その対岸には東獅仔頭とそれから降りる尾根、獅仔頭山から大邱田山へと続く尾根が見える。前回行く手を阻まれたあたりの大邱田山人口砂防壁もみえている。緩やかな下り道を数分行くと、今度は角度がかわり台北全体が俯瞰できるところに出た。この道を選んだのは正解だ、気楽に時々広がる景観を見ながら歩ける。二龍山への分岐から10数分で、つづら折の下りが始まる。これを下りきると永福路との分岐に着く。ここを左にさらに下ると、金興路へとつながる。山櫻の花が咲いている。ここまで来ると下に家々や新烏路や花園新城の入口が見える。小岡の向こうには観音山が見えている。分岐から約1時間、14時少し前に新烏路についた。バス停で待つことわずかで849番バスがやってきた。バスは満員であったが、MRT新店駅でほとんど下車した。

四分子産業道路から見る東獅仔頭山(左)と獅仔頭山、手前は新店渓

金興路に咲く山櫻
今回の行程は約10km、標高差は約660m、休憩も含めて所要時間は5時間半である。ネット上の情報では、頂上の景観がないことがわかっていたので、それほど期待していなかったが、登山路上で見ることができた景観は台北の街や周囲の山もはっきりわかり、とても良かった。標高差600数十メートルの登山はそれなりに登りがいがある。改めて縦走する場合は、時間に余裕を持ってきたほうがよいだろう。

2012-02-07

2012年2月5日 內湖大崙尾山-大崙頭山-白石湖山-龍船岩縱走

今冬は雨降りの寒い日が、例年に増して長く続いている。寒波が緩み、久しぶりの青空が戻った。次の寒波が襲来する前、中休みを利用して内湖の山へ登った。今回は台湾ではじめて山登りをするH氏が同行する。台北近郊の山を知ってもらう目的で、アクセスが簡単で変化のあるコースを歩いた。大崙尾山から歩き始め、北東方向へ五指山への稜線を行き、碧山から南方向に折れて白石湖山、龍船岩をへてMRT大湖公園駅へ縦走した。

内湖の山は台北の町に近い、右は前回の新山
左の中社路登山口から大湖公園駅まで歩く(クリックで拡大)
霧の中の登山口
内湖の山は、昨年5月以来だ。台北の街をはじめ陽明山塊も間近に見える展望台の大崙頭山もあり、登山客が多い。久しぶりの晴れの休日で、大崙尾頭山や龍船岩から下の道は多くの人とすれ違った。この2点の中間部分は、もともとあまり歩かれていない部分で、連日の雨でかなりぬかった山道も多くあった。道しるべのリボンはかなりの数がかかっているが、方向を示す標示が少なく、五指山と白石湖山との分岐で、少し迷った。また、白石湖山から龍船岩への下りでも、本来は開眼山を経ていくつもりであったが、開眼山へ続く枝尾根のひとつ前の小尾根を下る道へ入りこんで、結局先に一度碧山路に出たあと、龍船岩歩道を経て龍船岩へ行った。

霧を通して 朝日が 差し込む
今日はMRT大直駅からスタートだ。朝8時過ぎにH氏と落ち合った後、棕13番バスで外双渓の中社路にある大崙尾山登山口に向かう。昨日もよい天気だったが、そのためだろう空気中の水蒸気が多くなり、朝は霧が濃い。自強トンネルを抜け、外双渓の谷を中社路へ登っていくと、視界がきかなくなる。9時に登山口でバスを降りると、あたりは霧のなかだ。

行程のはじめに歩く台北市の親山歩道は、しっかり整備されている登山道である。石段の登りが続く。途中道脇に、訓練に使うのだろうか、石製ダンベルや担ぐために紐がくくりつけてある60kgと記された石がおいていある。15分ほど石段を登ると、右から来る細い舗装路に合流し、これを進むとガジュマロ大樹の広場があった。太陽が顔を出し始め、あたりは木漏れ陽が霧に映るファンタジーだ。広場からまた石段の登りが始まり、さらに登ること15分、9時半に大崙尾山(標高451m)についた。広い山頂の左側にある小屋からは、双渓の谷を埋める雲海の上に頭をだした大屯山や七星山の山並みがくっきり見える。雲海のなせる業だろう、とても1000mを少し越えるだけの山とは思えないほど立派な山容だ。

大崙尾山から見る雲海に浮かんだ陽明山塊、左から面天山、大屯山、七星山

碧山路との合流点
大崙尾山から石段の道を下る。途中木々の切れ間から、次に登る大崙頭山が見える。霧はすっかり上がり、晴天の登山を約束している。スタンプ台がある九蓮寺方面への歩道と合流点を過ぎ、左に碧渓産業道路へ下る山道が分かれると、すぐに碧山路の峠部分に着く。多くの車が駐車し、遊山客が多い。前回5月に来た後に道路整備がされたのだろうか、立派な歩道が舗装路の脇に造られている。この道を行くと外双渓側に展望台もできている。碧山湖の脇から大崙頭山への登りが始まる。石段の道とその左に土の道がある。どちらも頂上へ続くが、土の道は濡れて滑りそうだ。登ること15分、10時15分に大崙頭山(475m)に到着。広い展望の利く頂上は、登山客が多い。展望台へ登り360度の展望を楽しむ。雲海はすっかり上がり、双渓の谷底も見える。台北側は101ビルがかすみの上にその頭を浮かべている。背景にかすかに見える山は新店獅頭山だろうか。内湖や汐止の方向は、霧がまだ十分上がっておらず、ぼんやりしている。これから進む五指山方面や、白石湖山などは目の前に続いている。

大崙頭山展望台からの眺め
土の山道が始まる
30分ほど写真を撮ったり、腹ごしらえをして休憩した後、北へ向かって出発する。石畳の道を下るとすぐ左に枕木歩道が分岐、さらにいくと右と左に道が分岐する。左は昨年5月に登ってきた森林木桟歩道である。石畳の道は、それから2,3分ほどいくと右に恒禅光寺方面へと下っていく。ここからは、土の山道が始まる。連日の雨のため、山道は結構ぬかっている。稜線は広く、森の中をいく感じだ。大崙頭山から15分、道は渓山里山方向へ直進するが、五指山方面はここを右に折れる。「大崙頭山友会館」とある小屋の脇を下る。補助ロープが張っている登り下りを過ぎる。

白石湖山と指している道しるべ
分岐から20分ほどで、古ぼけた道しるべが立っている分岐についた。ここの分岐は左に五指山と右に白石湖山を示している。実際に歩いたあと軌跡を見てわかったのだが、この白石湖山という指示は間違っている。この指示にしたがってここで右に取ったのだが、結局遠回りをして左に行ったと同じ道に合流した。なぜこんな指示になっているか不明だ。白石湖山そのものもまだまだ先である。ただ、Google地図ではこの近くが「白石湖山」と記されており、われわれはこの指示板にしたがって、間違った白石湖山をぐるっと迂回したことになる。途中、岩の上に造られたビニールシートが掛けられた小屋のようなものを過ぎたが、これも何のためかわからない。

道脇の土地公
森の道は、マウンテンバイクも通ったあとのある広い道に変わる。脇に土地公の古い石の祠がある。その少し先に右に登る切り通しがある。これを登ってみると反対側にまた山道がある。実は、そのままこれを右に取るべきであったが、前の間違った道しるべのため少し方向の勘違いをしており、左へといった。道は産業道路で途切れ、反対側にまた山道が続いているが、そこの道しるべは五指山方面となっている。これで何かおかしいことに気付いた。産業道路を右に下ると、五指山公路があった。時刻は12時15分、とりあえず五指山公路脇の石のテーブルで腹ごしらえをする。テーブルには汐止公所製と刻まれている。

石像のある峠
食事小休憩のあと、降りてきた産業道路を登り返す。峠には二体大きな石の神像が向かい合って置かれている。だれが何のために据えたのだろうか。五叉路となる峠から向かい側下る道を行ってみたが、間もなくこれは間違いと気付いた。この道は内双渓へと下っていく道である。結局、先ほど本来右に取るべきであった道を進む。ちょうど反対方向からやってきた登山客に聞いたところ、間違いないこと確認できた。この付近は先ほどの古い指示板以外には方向を示す道しるべがなく、はじめて通過する時は少し注意が必要だ。

四叉路、中間の道を行く
道はところどころ石畳になっている、しばらく行くとこの石畳の道が急に左に下がっていく四叉路についた。脇の古い道しるべは、今歩いて来た五指山方向をさしているだけで他には方向を示すものがない。ここは中間の尾根を行く道を取った。左はどうやら五指山公路へ降りる道、右は碧山路56号へ降りていく大崙頭山古道のようだ。四叉路分岐から10分で、白石湖山への登りを示す道しるべがあった。少し登ると、458mの白石湖山頂上に着いた。時刻は1時15分。周りは木々で展望はない。そこそこに下り始める。5分ほど下ると、また古い道案内がある。開眼山をさしており、また脇の木の幹につけられた小さな方向札は別方向の道を大邱田山と示している。開眼山の方向へ取り、下り始める。ほぼ下り一本の道であるが、涸れ沢の脇にを行ったりやせた尾根道になったりする。石畳のところもある。下りきると、いきなり碧山路に飛び出た。もともと開眼山を目指していたが、どうやらその前に分岐して別の道を下ってきたようだ。地図上には出ていなかったので、取り違えたようだ。

白石湖山山頂
龍船岩は左に長く下っていく枝尾根の先に、小さく白く載っかっている。緑の海に浮かぶ小船のようだ。ここから龍船岩歩道が続いているので、これを進む。龍船岩の標高は300m、この場所より少し高く、道は緩やかに上る。石畳の道を10分ほど進むと、開眼山から下りてくる道との十字路に着く。ここを右に取り、少し進むと大きな白い龍船岩である。岩にはチベット文字のような文が刻んである。さえぎるもののない岩の上からは、歩いてきた山並みが見える。とんがり山の忠勇山の右奥の大崙尾山から大崙頭山、さらに右に碧山へと続く稜線が延びる。すぐ上は開眼山から下がってくる尾根がある。反対側は太湖、その先には汐止方面が広がっている。太湖脇の高架線を行く、MRTも見える。台北101ビルもかすんでいるが遠くに見える。

龍船岩から歩いてきた稜線を見る、左から大崙尾山、大崙頭山、白石湖山、開岩山
急な下り道
龍船岩からは、急な下りの山道が続く。ところどころ補助ロープなども現れる。半分ぐらい下ったところには大湖方面が展望ができるスポットがある。さらに下ると尾根道から涸れ沢に降り、そのうちみかん畑が現れると、下り道は終わりだ。約30分の下りである。大溝渓を小橋でわたると、大湖から円覚瀑布へ続く沢沿いの歩道と合流する。せせらぎを聞きながら歩くこと十数分、途中鯉魚山からの道と合流し、3時少し前に大溝渓公園に着いた。多くの遊山客が快適な午後の自然を楽しんでいる。公園で小休憩したあと、3時半にMRTの大湖公園駅に着いた。

大溝渓公園、山は鯉魚山
今日の行程は約11.5km、休憩を含んだ行動時間は6時間半である。出発点の大崙尾山登山口は標高が300mぐらいあるので、登りは多くない。一方、大湖公園は20数十mなので、下りは400m以上であった。地方行政が整備している立派な石畳の親山歩道、それほどではないが歩きやすい山道、さらにあまり歩かれていない素朴な道と、同じ行程中にかなり質に差のある道を歩いた。天気にも恵まれ、雲海の陽明山など今までめぐり合わなかった景色も遭遇でき、ラッキーな山行であった。


歩行高度プロファイル