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獅仔頭山から見る直潭山、右手前は東獅仔頭山とその尾根 |
直潭山は台北盆地を取り巻く山のうち、判別しやすい山である。稜線上にはいくつかの送電線鉄塔が、頭の上にさされたかんざしの如く建てられているので、特徴がある。自宅の近くから南方を見ると、手前にたたずむ低い山の奥に標高729mの直潭山が控えている。今までの登山では、獅仔頭山の登りで、北東方向に東獅仔頭山のすぐ左側奥に並んでいた。今回の登山は、下山路に四分子産業道路を経由したが、木々のあいだから新店溪をはさんだ対岸に去年11月に登った獅仔頭山の山々が見えた。
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台北の南方にある直潭山、左は獅仔頭山 |
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ルート、ただし前半登り部分は記録なし |
今回は、今後烏來の山や直潭山に連なる山塊縦走の下見の意味も含めて行って来た。烏來行きの849番バスは、便数も多く便利である。家からは公館で乗車し乗り換えなく、そのまま目的地までいける。休日であることも関係するのか、往復ともにバスは混んでいた。
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民壯亭の登山口 |
家を7時に出発、849番バスに乗車。バスはMRT新店駅で乗客が大勢乗り、ギュウギュウ詰め満員となる。新烏路に入ると道はカーブが多くなり、勾配もきつくなる。ほとんどが烏來までの乗客なのだろう、直潭山の登山口民壯亭で下車したのは、自分も含めて二人だけである。時刻は8時15分、青空が谷あいから見える。数日間の冷たい雨の後、また好天となった。
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登山道登り始め、民壯亭方向をを振り返る |
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小沢を渡る |
ここから直潭山へは、すぐに山道になる直潭山からの南尾根を登る道、南西の谷あいをいく舗装路を登って二龍山、長春觀から直潭山の西尾根を登る道の2つがある。これらは新北市の直潭山登山道としてメンテされている。今日の行程は、南尾根の道を登り、西尾根を長春觀まで下り、その後四分子産業道路を経て金興路口バス停まで歩いた。
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枕木の階段 |
民壯亭バス停から、新下亀橋方へ歩き左に分岐する道をわずかに入ると、左へ登る道がある。ここが登山道入口だ。新北市の登山案内板は、しばらく登っていった上にある。ここは小さな印が民家の壁に張られているだけなので、注意が必要だ。石階段の下に一匹の三毛猫がじっとこちらを見ている。階段を登ると、右奥に山体の大きな大桶山がある。道は、はじめしばらく畑などの脇をところどころ現れる枕木階段や土道を上っていく。振り返ると民壯亭の家々と新店溪が見える。登ること15分ぐらいで、人里を離れ山道となる。送電線鉄塔の下をくぐり、さらに行くと小沢を2箇所渡る、2番目の沢は大水のとき削られてしまった道の部分に丸太で橋が掛けてある。長い雨のため、道はところどころぬかっている。森も全体が湿っている。
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隘勇寮遺址 |
山腹のジグザグ道を行き、登りはじめて1時間ぐらいで南尾根に取り付く。風が結構強く吹いて、山が鳴いている。さらに登ること30分で、隘勇寮遺址(標高515m)についた。ここは尾根が平らになっている。残り200mぐらいの登りだ。隘勇寮とは、昔大陸から移民してきた漢族が、原住民の泰雅族からの攻撃に対し、警戒する警備人員のために設けた小屋である。台湾開発史の証人だ。ここの遺跡は、他の場所と同じように石を積み上げた壁が残っている。
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補助ロープの登り |
662mの無名ピークを過ぎると登り下りをして、稜線上の小ピークを二、三つ超えていく。補助ロープのある登りも現れる。10時40分、民壯亭から約2時間20分で直潭山についた。山頂は、計測器や通信用の設備,小屋が設置されている。周りは木々が立ち並び、視界はほとんど利かない。高曇りで雨は降っていないが、空は雲がかかっている。食事をとり、休憩する。
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直潭山山頂 |
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急な下り道 |
他には誰もいない長細い山頂から下り始める。直進すると暗寶劍山へ続く稜線上の縦走路、左に折れるとこれから下る直潭山の東尾根の道である。この尾根は登ってきた南尾根にくらべるとやせている。急な土の下り道が現れた。ここは木々が切れて正面に台北の街が、さらにその先には観音山や大屯山の山並みが見える。濡れている道は滑りやすい。補助ロープがあるので助かる。下から人の声が聞こえてきた。5人のパーティ、また続いて4人のパーティとすれ違った。それほど人気があるとは思えない直潭山でも、休みには結構登山客が来るようだ。
さらに下り道が少し平らになった先に、台北側に木々が切れている場所がある。ここは今回の山行中、最良の景観を見れる場所だ。下には碧潭や新店の街がある。それから広がる中和、永和や大台北全域が見える。淡水の河口やその先の海も見える。右側には台北101ビルと南港山まで俯瞰できる。ここで、いつも歩いたルートを記録しているAndroid携帯電話のMy Trackプログラムが停まってしまっていることに気付いた。残念なことに再開すると、それまでの記録が消えてしまった。
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大台北全景(クリックで拡大) |
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下り道の分岐点案内 |
また、急な下りをくだると、右に花園新城方面への道への分岐点がある。古い道案内では二龍山まであと2.1kmとある。このあたりは尾根幅が広がってきた。途中、また右への分岐を過ぎ、10数分ほど下ると茶畑がいきなり現れた。道は茶畑の中をいく。結構急な下りはまだ続くが、竹林が現れると程なく山道は終わりだ。12時半、山頂から約1時間半で長春観の登山口についた。カラオケの歌声が聞こえてくる。大桶山やその右には拔刀爾山や獅仔頭山から南西に延びる稜線の山々がある。ここで少し休憩する。
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長春観の登山口 |
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大桶山が見える(左の大きな山塊) |
長春観から舗装路を下ると、犬が吼えている分岐についた。ここを福徳祠の山門をくぐって左に行けば二龍山を経て新烏路に下る、右に行けば四分子産業道路である。犬は近づくと吼えるのをやめ、この分岐を守る主であるかのように、また道の真ん中に座った。
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二龍山、四分子産業道路の分岐点 |
四分子産業道路は、山腹沿いに花園新城方面につながる。ところどころ道端に休憩所が新設されている。果たしてここで休む人がいるのかどうかわからないが、車両の往来も少なく歩くには快適だ。木々の切れ目から、下には新店渓、その対岸には東獅仔頭とそれから降りる尾根、獅仔頭山から大邱田山へと続く尾根が見える。前回行く手を阻まれたあたりの大邱田山人口砂防壁もみえている。緩やかな下り道を数分行くと、今度は角度がかわり台北全体が俯瞰できるところに出た。この道を選んだのは正解だ、気楽に時々広がる景観を見ながら歩ける。二龍山への分岐から10数分で、つづら折の下りが始まる。これを下りきると永福路との分岐に着く。ここを左にさらに下ると、金興路へとつながる。山櫻の花が咲いている。ここまで来ると下に家々や新烏路や花園新城の入口が見える。小岡の向こうには観音山が見えている。分岐から約1時間、14時少し前に新烏路についた。バス停で待つことわずかで849番バスがやってきた。バスは満員であったが、MRT新店駅でほとんど下車した。
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四分子産業道路から見る東獅仔頭山(左)と獅仔頭山、手前は新店渓 |
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金興路に咲く山櫻 |
今回の行程は約10km、標高差は約660m、休憩も含めて所要時間は5時間半である。ネット上の情報では、頂上の景観がないことがわかっていたので、それほど期待していなかったが、登山路上で見ることができた景観は台北の街や周囲の山もはっきりわかり、とても良かった。標高差600数十メートルの登山はそれなりに登りがいがある。改めて縦走する場合は、時間に余裕を持ってきたほうがよいだろう。
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