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洞口部落から望む夫婦山のピーク、左が夫山すぐ右に寄り添うように婦山(2015/1/10撮影) |
先週の
那結山登山に続き、今回も復興三尖の一つ夫婦山を登った。那結山登山の際に、大漢溪を挟んで対岸に二つの尖ったピークが寄り添うようにそびえていた。これが夫婦山である。標高1870mのピークが夫山、そのすぐ西に1780mの婦山がある。二つのピークの間は、婦山から約80m下がったところに鞍部がある。夫山をさらに稜線を追っていけば、拉拉山へとつながる。拉拉山から南へ行けば
塔曼山である。
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登山口から夫山を往復 |
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単一ピーク登山 |
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夫婦山は復興三尖の中で中間に位置する |
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登山口は近い、前方の夫婦山は霧の中 |
三尖の中で一番高い夫婦山であるが、登山口は標高約1430mとかなり高い場所にある。そのため、頂上との落差は那結山と比べると少なく登山自体は楽である。稜線上を行く登山道もそれほど長くなく、補助ロープの急坂も現れるが比較的に短時間で往復が可能だ。そんなこともあり、今回はTaipei Hiker Clubに山行計画を公開したあと、もともとの一台に更に二台のカーシェアの申出があり、都合18名の山行となった。今回は、山名のように三組の夫婦が参加した。
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登山口で集合写真 |
MRT古亭駅に集合し、7時過ぎに三台の車に分乗し出発する。すべて定員いっぱいの乗車だ。先週と同じに北横公路を進み、雪霧隧道前で左に谷に下りる雪霧鬧產道に入る。道は大きく下り、橋で渓谷を渡る。北横公路を走っていると気づきにくいが、橋から見上げると断崖絶壁の間の流れとその谷の深さに気づく。橋を越すと今度は登りが始まる。つづら折りに高度を上げていく。雪霧鬧溪の左岸上部を進み、曲がり込んだところの集落を過ぎ、右にまた山を登っていく。分岐には夫婦山登山口との標識があるので、わかりやすい。
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霧の森を進む |
台北を出発した時もどんよりした曇空、ここも山の上部は霧の中だ。道脇にはすでに満開の山桜がある。大分高度を上げ前方に夫婦山の方角が見える。しかし頂上は隠れて見えない。9時半過ぎ、道路の突当りにある伊萬農場に着く。台北から2時間強である。北横公路から約30分ほど要する。他の登山者も来ているようで、車がすでに三台停めてある。気温は10度以下のようで、手袋がないと手がかじかむ。支度をすませ9時50分に出発する。登山口は、農場入口の鉄の門の脇である。農場と言っても入口の周辺はキャンプ場になっている。
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霧の森に日が差し込んできた |
入口で見かけた犬がついてくる。登山者慣れしているようで、道案内をするかのように前を歩く。以前、
坪林でも一緒について歩いた黒犬がいたことを思い出す。果樹園の脇から森の中に入る。しばらく巾の広い尾根の上りが続く。10分ほど歩いて体が温まったところで、衣服調整のための小休憩を取る。高度が上がると霧の中に入る。森のなかは霧で、離れたところの樹木は幻想的だ。しばらく緩い登りの道が続く。そのうち森の中に陽が差し込むようになる。霧を通して来る光は後光のようだ。
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日差しの差し込む森を進む |
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婦山頂上 |
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ギャップの急坂を下り |
10時13分、道の中央にとても高いクスノキが立っている。幹の周囲は数メートルあるだろう。更に10分ほどでまた急坂が始まる。道筋ははっきりしているが、木の根が多く路面に出ている。10時40分小休憩をし、また登る。森のなかの霧は晴れ、冬の日差しが差し込んでくる。最後の補助ロープ急坂を登りきり10時56分、婦山に到着する。先に登っていた4人パーティが休んでいた。また、登山口で先に登っていった犬も待っていた。集合写真を写す。頂上は周囲が樹木で展望が無いが、進行方向には木々を通して夫山がそびえているのが判る。
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夫山の登りで婦山を振り返る |
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岩の登り |
夫山の前には大きなギャップが待っている。急坂を降りていく。十分ほどで最低鞍部にたどり着く。ここからまた急登が始まる。落ち葉が堆積してできたフカフカした地面もある。10分ほどの登り返しで樹木がきれた場所にでる。振り返るとそこには婦山のピークが霧の上に浮かんでいる。急坂はなおも続き、岩のギャップを乗り越えていく。すでに登頂を済ませた登山者が二人降りてっくる。晴れて頂上は展望ができるということ。勇気づけられる。偵の字がペンキで道端の岩に書かれている。理由は判らないが。11時55分、夫山頂上に到着する。思っていたよりあっけなく着いた。
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偵の字の書かれた岩、頂上はすぐだ |
三角点基石の埋まる頂上は、そこそこ広い。南側と特に北側は広く展望が開けている。すぐ北側には、南插天山や盧平山があるが、雲に隠れて頂上は見えない。南側は、かなり遠くに雲の上に山塊が浮かんでいる。方向からすると南湖大山や中央尖山のように思える。いずれは登りたい、台湾の高山だ。温かい冬の日差しの中の頂上は、食事休憩を取るのに最高だ。みな思い思いに休み休憩する。今日は、あと往路を下って帰るだけなので気楽だ。休んでいる間にも、周囲の雲は少なくなり、下山前には前方に拉拉山も見えるようになる。
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夫山から北側を望む、南插天山は雲の中 |
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南側を望む、雲海に浮かぶのは南湖大山と中央尖山と思う |
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頂上で記念撮影、手前に三角点基石 |
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一緒についてきた犬 |
12時45分、下山を始める。きつい登りは、下りも大変だ。足もとに注意し、手足を使って下っていく。岩のギャップは、足場が見えずに苦労するメンバーもいる。ただ、幸いに高くない。犬が下りてきて、我々を追い越していく。岩のギャップもわけなく飛び越えていく。30分ほどで鞍部を通過、婦山への上りが始まる。犬は慣れたもので、先に行っては我々が追いつくのを待っている。今まで何度も登山者と一緒に歩いているようだ。13時40分、きつい上り坂が終わり婦山頂上に帰ってきた。開けている場所からは、遠くに雪白山は低陸山方向が望める。その手前には雲海が稜線を越えて滝のように下に流れている。空は晴れているが、動かずにいるとやはり寒くなる。
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婦山から望む雲の滝 |
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高いクスノキ |
13時48分、登山口へ下り始める。朝とは違って、陽光が森のなかまで差し込んでいる。残りは、この下りだけなのでとても気楽だ。朝は、霧でまったく展望がなかった木々のきれた展望点からは、対岸の南插天山の頂上から、大漢溪の谷へ下っていく長い尾根が望める。谷を向こうには、拉號山の尾根がうっすらと見える。14時50分、果樹園とキャンプ場が現れ登山口戻ってくる。入口近くには、先に下って行った犬が出迎えてくれた。全員疲れた様子もなく、愉快な登山を終えそれぞれ車に乗り帰途に着いた。
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登山口の農園とキャンプ場 |
今回は、休憩込みで約5時間、距離は約4kmである。休憩は全部で1時間半ぐらいなので、実際の往復歩行時間は4時間足らずだ。復興三尖の中では、一番高いが登山としては一番楽な山である。困難度は、山道クラス3、体力要求度はクラス2である。交通手段は、自家用車で行くしかないが、誰にもでもおすすめできる手頃な中級山である。台北から片道約2時間と、距離的もそれほど遠くない。チャンスがあれば、拉拉山まで縦走したい。
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帰路の産業道路脇果樹園から見る夫婦山 |
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産業道路から望む、右のピークは南插天山 |
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