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2017-08-24

2017年8月23日 北插天山 赫威神木群、多崖山、原生林を抜けて歩く

烏來区福山村から望む北插天山(中央奥)とその前集落の上に林望根山、右は樂佩山(2015/7撮影)
台北から車で1時間半ほどの桃園市復興區小烏來は、新北市烏來區と隣合わせだ。ここは北部の標高1000m超の山々が続く插天山脈が奥に控えている。最も北側になる逐鹿山から始まり、卡保山樂佩山を越えて、北插天山に続く。さらに稜線は魯培山を越えて南插天山へとつながっている。その中で北插天山は、台湾では珍しいブナ(山毛櫸)の原生林を山頂周辺の高度部分に抱え、自然保護区になっている。1000mから3000m級のいわゆる中級山は、入山証が必要になるところが多いが、ここはさらに林務局の自然保護区入場許可も必要である。
赫威神木(紅檜ベニヒ)
高山登山の事前訓練場所として台湾北部の登山者が登ることも多い。登山口はいくつかある。今回の小烏來からは、標高差が一番少なく約800mほどだが、滿月圓などからだと更に500mほど多く登る必要がある。反対の烏來區福山からの道は、高度差は滿月圓と同じぐらいだが、歩かれている程度が少ない。山の中でも、多くの道が平行してあったり、登山道は結構込み入っている。いくつかある登山道の一つは赫威神木群を過ぎていく。ここは、紅檜巨木にふられている番号も十数番まである。勿論、多すぎて感動が薄れてしまうぐらいある、司馬庫斯の山奥に残る巨木群に比べると少ないが、台北の近くでこれだけ見られるのは十分訪れる価値がある。

西側の登山口から反時計回りに回遊
北插天山への上り下りは急登だがほかは緩い坂
我々は今回5名で小烏來の第一登山口から入り、赫威山の山腹道を行き、赫威神木群を過ぎて木屋遺址(山小屋跡)に出て、北插天山を登頂した。稜線をさらに追って多崖山を越え、そこから岩戸ルートを下る。樂佩山へ続く道へ出た後、少し登り返して東満歩道と交差し、さらに赫威山を経由して第二登山口に降りた。一周ぐるっと、回遊するルートである。北插天山への上り下りは、かなり急な坂だが、その他は緩い勾配だ。距離はそれなりにあり、約17㎞ほど歩いている。

插天山脈と北插天山の位置
駐車場
晴れの暑い日が続いていたが、接近した小型台風の周辺の雲のためにもうひとつすっきりしない。台北から第二高速道路に行く途中でみる插天山脈も、雲の中だ。今日は、展望は期待できないようだ。いままで、三回ほど企画したが、天候などのせいで実現しなかった。少しぐらい雨でも、今日は登りたい。中級山は、もともと頂上も含めて森林の中が多く、それほどの展望もない。三峽から北横公路の枝道に入り、三民より北横公路を進んで角板山を越え、小烏來への道に入る。入ってすぐにある警察派出所で、入園許可を見せ、入山許可を申請する。ここまで台北から約1時間15分だ。

第一登山口
山腹道を登っていく
許可申請を済ませ、登山口へさらに進む。途中南插天山への登山口へいく道を右に分け、8時15分派出所から約30分で登山口下の駐車場へ着く。広い駐車場は我々の車一台だけだ。晴れていれば、南側に南插天山の大きな山容が望めるはずだが、雲の中だ。支度をして8時20分出発する。駐車場から少し登り、大きな鉄の門を過ぎる。ここからは一般車両進入禁止だ。舗装された産業道路を数分登ると、ヘアピンカーブのところに第一登山口が現れる。

分岐部、ここで休憩
沢際で休憩
よく歩かれている山道は、雑木林の山腹を進む。補助ロープの急登もあるが、おおむね緩やかな登り道だ。8時53分、第二登山口への分岐に着き、小休憩する。気温は28度だが、風がなく汗がかなり流れる。枝尾根の山襞を越えると道は平らになる。9時44分、少し下って沢に降り、休憩する。10分ほどの休憩後、すぐ幅の広い沢を越す。濡れた岩板を越すところには、補助ロープが張ってある。少し登り稜線に取り付くと、10時5分、分岐が現れる。左は塔開神木(北插天山は別名塔開山という)への道、我々は右にとり下っていく。

濡れた岩板を越える
右に神木群へ下る
根もとが空洞の八仙神木
下ってまもなく、道端に大木が現れる。ただ、これは神木と呼ぶには小さいようで、分岐から5分ほどで、No.1の札がある卜派神木が現れる。そのすぐ左上にはNo.2の巨木、いよいよ赫威神木群の核心部分に入ってきたようだ。進むにつれ、神木はさらに現れる。赫威神木の根本は、どれだけの円周なのか。ここは柵など一切ない。道はさらに下り10時25分、沢に降り渡渉する。登り返していくと、根もとが大きな洞穴となっている八仙神木の脇を通り過ぎる。さらにいくつかの巨木の脇を登り、10時43分、木屋遺址につく。森の中に開けたこの場所は、以前小屋があったようだ。左から東滿步道からの道が合流する。一休みする。

木屋遺址で休憩
梯子の坂道
ここから高度差約400mの急登の始まりだ。10時56分に歩き始めてすぐ、補助ロープの急坂が現れる。赤土の道は、多くの登山者があるいているのて、削られてしまい登りずらいところもある。坂をこえてまもなく、道前方に藍腹鷴が歩いている。今回持ってきたレンズが望遠側が短いのを後悔する。根が四方八方に張り巡らされた道を行くと、尾根の形状がはっきりしてくる。補助ロープの岩場や梯子を登り、11時36分岩の露出した場所で休憩する。ブナの薄緑が印象的だ。左にこれから登っていく尾根の様子が、霧の中に見え隠れする。晴れていれば晴れたで暑いだろうが、霧で何も見えないのも残念だ。

更に急坂を登る
二つの三角点の北插天山山頂
さらに急登をこえ12時10分、道は平らになり、先に少し下る。少し登り返した小ピークから右に南插天山への道を分岐する。また下り、最後に梯子をふくむ急登を登り、12時半北插天山(標高1727m)に到着。歩き始めて4時間10分だ。周囲は樹木で展望はない。三角点の基石が二つ並んでる。ここで昼食休憩をとる。持ってきたビールを開ける。ただ、今日はそれほど暑くない。

@北插天山山頂(Vさん撮影)
稜線から濃霧の多崖山を望む
約半時間の休みのあと、下山開始だ。多崖山は直線距離は近いが、途中一度下ってまた登り返す。木立がきれて、晴れていれば今で登った插天山脈峰々が見えるのでは、と思うと少し残念だ。最後に補助ロープの岩場をのぼり、13時23分多崖山に着く。標高1700mの山頂は、北插天山とは異なり、木々がない草だけなので、展望があるだろう。そのまま矢竹の稜線を2,3分ほど下り、森に入る。13時33分、分岐に来る。右は普通の稜線縦走路、左は岩戸路線、歩く人が少ないと道標にある。

岩戸路線上部、かれ沢を下る
空瓶や碍子がころがる分遣所跡
大石のある岩戸路線分岐の近く
岩戸という名づけは途中にある大岩が岩戸の感じなのでその名づけなのだろうが、日本的な響きだ。天の岩戸を思い出させる。道は、急な下りで始まる。霧が濃く、谷あいの道は薄暗い感じだ。水のない沢筋を大石を踏みながらしばらく下る。10数分くると、沢を離れて左に山腹を進む。雨が降り出した。雨具を付ける。14時06分、隘勇線分遣所の跡地に来る。建物などは何も残っていないが、割れた碍子と空瓶がいくつか転がっている。瓶には銘柄などの刻印がなく、調味料などの瓶なのだろうか。すぐ近くに大岩がある。

緩やかな斜面の道を行く
その昔、この場所まで警察関係者がやってきていたのだろう、道筋は少しはっきりし、歩きやすくなる。沢を越え、下っていくと次第に勾配は緩くなってくる。14時43分、樂佩山ほうからの道と合流する。その近くにも大きな岩が二つある。雨は止み、雨具を脱ぐ。左に折れて、東滿步道方向へ向かう。道はおおむね緩い下り坂で、途中沢を越えていく。ここは緩やかな勾配の山腹地だ。15時08分、大きな沢脇にでる。ここで休憩する。

沢を越える
東満歩道との分岐部
また雨が降り出し始めた。休憩後、緩やかな登り道を行く。沢を越えていく。稜線に登り返し、15時32分東滿步道に合流する。右に行けば東眼山や滿月圓へ続く。左は木屋遺址へ続く。我々は直進の道だ。さらに登り15時39分、稜線につく。左におれてすぐ、右にこれから歩く、赫威山への道が分岐する。直進すれば木屋遺址方向だ。右に山腹道を進む。この道は、往路で歩いた道と、稜線を挟んで平行に進む。二、三分で大きな岩板が現れる。湿って滑りやすいが、幸いにロープが渡してある。慎重に岩を越える。

慎重に濡れた一枚岩を渡る






緩い坂の山腹道を進んでいく。16時23分、左に第二登山口への道を分岐する。そのまま稜線上の道を進む。三分ほどで右に赫威山山頂への道が分かれる。ほんのわずかの登りで頂上(標高1150m)に到着する。森林三角点基石の周囲に四個の石が埋まっている。周囲はすべて樹木で、展望はない。これで今日の予定の山頂はすべて歩いた。後は下るだけだ。先ほどの分岐に戻り、右に折れて下る。16時42分、左からの道と合わさり、さらに下る。16時50分、第二登山口に着く。舗装路が始まる。

@赫威山山頂
舗装路を下っていく。左は金網フェンスで囲われている。その先、右から第三登山口の道と合わさり、さらに下る。17時09分、朝に通り過ぎた第一登山口を通過、17時16分、駐車場に戻ってきた。駐車場には我々の車一台だけ、今日は山中でも他の登山者とまったく合わなかったが、一日中我々の車だけだったようだ。濡れた衣服を着替えている最中に、この駐車場を管理者と思う人がやってきて、100元の駐車料金を徴収していった。17時38分、駐車場を後にし、帰京した。

第二登山口
今回は、3Dで勾配を計算し距離を測る腕時計では約17.7㎞、単に水平距離だけを測る普通のGPS記録では12㎞強である。登攀高度は累計1128m、約9時間の歩きだった。小烏來からだと、それほどの高低差ではない。訓練目的であれば、やはり滿月圓から登るほうが良いだろう。その場合は、1300mぐらいの高度を稼がなければならないので、卡保山や樂佩山を登ると同様に、結構きついだろう。木屋遺址からの登りは急登であったが、それ以外はそれほどの坂ではなく、紅檜の巨木なども見れてよかった。今回のルートは、体力的にはクラス4、ルートはクラス3といったところだろう。

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