前回、大崙頭山から遠くにそびえる七星山を見て、次回に登ろうと考えた。その後中国への旅行や天候が優れないこともあり、間延びしてしまった。
七星山にまず登り、冷水坑、擎天崗を通り、風櫃口、聖人橋までの道のりは長いが、さすがに国家公園の管轄下なので道はよく整備されており、快適な 歩きであった。今回はこの陽明山国家公園Webサイトの
資料を参考にさせてもらった。
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陽明ビジターセンターへの人車分路
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今日は高低差が大きいことや歩行距離が長いこともあり、前3回に比べ早く7時過ぎにうちを出た。MRT劍潭駅で260番バスに乗り換える。混んでいたバスは中国文化大学で大半の乗客が降り、陽明山には8時半に着いた。陽明山バス停からは、陽金公路に平行した歩行者用の道をいく。陽金公路は交通量もそこそこあり、排気ガスを浴びながら歩かなくてすむ、この人車分道は助かる。
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七星公園への分岐点
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陽明山観光案内所を過ぎ、まもなく苗圃登山口につく。ここの標高は536m、七星山主峰は1120m、その差は約600m、前回数回に比べると標高も高く、一番の落差である。登山口からは登りが続く。特に半分を過ぎたあたり七星公園への分岐点以降は、急な登り一本の道となる。 朝早く登った人が下ってくる。やはり人気コースなのだ。
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稜線鞍部から見る東峰
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標高1000mぐらいからは、それまで森林の中でほとんどなかった景観が、少しづつ見えるところが出てくる。励みになる。やがて森林は過ぎ去り、笹藪の七星山への分岐点につく。左に行くと主峰、右に行くと東峰である。先に主峰へ登る。主峰は台北市の最高地点になる。
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台北市最高点七星山主峰 |
天気はよいが、水分が多い大気のせいだろう、遠くはぼんやりしている。台北市や前回の 大崙頭、尾山は見えることは見えるが、それを超えた先ははっきりしない。海側ももうひとつ。大屯山はさすがに近いので、小油坑の鞍部の先に構えている。次回は、この山を登ろうか。
苗圃登山口から1時間20分。途中写真を撮るために、ところどころ少し立ち止まっただけで、休憩はしていないが、上には上がいるものである。1時間ぐらいで登ってきたという、人がいた。筆者と同じくらいの年齢だろうが、体力のチャレンジということで、よく山登りをしているようだ。彼曰く、上り下りあわせて1時間10分で登った人の話を聞いたことがある、とのこと。距離は往復で4.5キロぐらいだが、標高差は600mである。どうやったらできるのだろうか。
鞍部まで道を戻り、そこから東峰へ上る。ここは海からの風が吹きつけるところ、植物は笹藪だけである。高い木がないだけに天気がよい日は優れた展望台である。東峰は、ちょっと低い1106m、本日の行程は、ここからずっと下り調子の道になる。
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東峰から士林方向を見る |
1000mを超えた山である。海側からガスが発生してきた。ほんの2,30分の違いで東峰からの景観の範囲が少なくなってしまった。今日の行程途中からは、七星山が見え隠れするが、山頂はずっとガスの中のままであった。
七星山から下ると、 冷水坑につく。駐車場やバス停もあり、ここから登る人も多いのだろう。冷水坑から擎天崗までは車道もあるが、それとは別に、菁山吊橋を渡り登山道を行く。途中沢の流れに沿ったところもあり、快適である。約2キロぐらいで擎天崗の草原にでる。
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冷水抗への下り道に咲く華八仙 |
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擎天崗で牛がくつろぐ
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牛がゆっくり寝そべっている。擎天崗は緑が広がる草原。今日は幸いにして、晴れてはいるが、照りつける太陽ではない。テレビドラマか何かなのだろう、草原でロケ撮影をしている。
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城門
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擎天崗観光案内所近くからは、右に道をとり、城門へと進む。こちらへ来る人は少ないのだろう。 先ほどの人通りはない。城門からは、金山側へと金包里大道が降りていく。この道はその昔は海からの物資を運ぶ街道であった。数年前、この道を下っていったことがある。
時間は12時半。これから風櫃口まで約7キロ弱、そこからさらに最終点聖人橋まで2キロ、合計9キロの道のりである。全体の半分少しというところ。ここで昼食をとり、少し休憩する。
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石梯山への道
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風櫃口までの縦走路は、途中草原や森林が交互に現れ、また鬱蒼とした杉林もあり、植相が豊富である。城門からは標高865mの石梯山まで100mほど登るが、その後は標高610mの風櫃口へゆっくり下がっていく。
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七星山方面を振返る |
石梯山から振り返ると、遠くにはガスに頂上が隠れた七星山東峰、その前に擎天崗の草原が広がっている。行く手には、これから歩く頂上山やその右奥には大崙頭、尾山の山並みがある。
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草原の道 |
道端に牛の糞が落ちている。石畳道の左右の泥は、牛が歩いた足跡と思われる溝がずっと続いている。国立公園表示の注意書きには、牛には近づくなということも書いてある。 擎天崗牧場には確かに牛もいたが、途中牛が通れないように作った柵もあり、不思議に思っていたら、本当に牛がいた。頂山までの途中、沢が流れ池を作っている谷がある。ここで水牛が水浴びをしていた。また山腹には数頭休んでる。
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水浴びをする水牛 |
杉は日本の山では一般的である。東京近郊の山でも多い。台湾ではそれなりの標高が必要なのだろう、今まで登った低い山ではなかった。せせらぎが流れる谷間に、苔むした杉林が茂っている景色は、本当に久しぶりである。手入れされているわけではないので、幹がまがったものなど、日本の杉林に比べれば、原生林の様である。
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杉林を抜けていく |
谷を離れ、頂山へ登っていく。程なく頂上と思われる開けたところに着く。広い尾根なので、山頂という感じではない。左に、萬里の谷あいが見えてくると、風櫃口ももうわずかだ。ここは車でも上がってこれるので、鞍部のあずま屋に大勢人がいた。こから、風櫃嘴歩道を下り、車道をさらに下っていく。聖人橋のバス停には3時半に着いた。
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萬里方向を見る |
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風櫃口
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聖人橋は、前回の大崙頭山へ登る際に乗ったと同じ、小18バスである。4時のバスにのり、劍潭駅へ戻った。
今日は全工程距離は16,7キロ、最高低差900m、休憩を除くと6時間、約2万6千歩の行程であった。前述の陽明山国立公園のガイドでは、七星山と擎天崗 - 風櫃口縦走路は、それぞれ別のルート紹介になっているが、先に最高点まで登り、その後下っていくような行程であれば、道も整備されており、それほど無理な行程ではない。七星山あたりは、多くの登山者とすれちがった。風櫃口縦走路は、それと比べると少ないが、単独登山者とは数人すれ違った。