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2011-05-31

2011年5月30日 七星山 - 擎天崗 - 風櫃口縦走

前回、大崙頭山から遠くにそびえる七星山を見て、次回に登ろうと考えた。その後中国への旅行や天候が優れないこともあり、間延びしてしまった。

七星山にまず登り、冷水坑、擎天崗を通り、風櫃口、聖人橋までの道のりは長いが、さすがに国家公園の管轄下なので道はよく整備されており、快適な 歩きであった。今回はこの陽明山国家公園Webサイトのを参考にさせてもらった。

陽明ビジターセンターへの人車分路
今日は高低差が大きいことや歩行距離が長いこともあり、前3回に比べ早く7時過ぎにうちを出た。MRT劍潭駅で260番バスに乗り換える。混んでいたバスは中国文化大学で大半の乗客が降り、陽明山には8時半に着いた。陽明山バス停からは、陽金公路に平行した歩行者用の道をいく。陽金公路は交通量もそこそこあり、排気ガスを浴びながら歩かなくてすむ、この人車分道は助かる。

七星公園への分岐点
陽明山観光案内所を過ぎ、まもなく苗圃登山口につく。ここの標高は536m、七星山主峰は1120m、その差は約600m、前回数回に比べると標高も高く、一番の落差である。登山口からは登りが続く。特に半分を過ぎたあたり七星公園への分岐点以降は、急な登り一本の道となる。 朝早く登った人が下ってくる。やはり人気コースなのだ。

稜線鞍部から見る東峰
標高1000mぐらいからは、それまで森林の中でほとんどなかった景観が、少しづつ見えるところが出てくる。励みになる。やがて森林は過ぎ去り、笹藪の七星山への分岐点につく。左に行くと主峰、右に行くと東峰である。先に主峰へ登る。主峰は台北市の最高地点になる。




台北市最高点七星山主峰
天気はよいが、水分が多い大気のせいだろう、遠くはぼんやりしている。台北市や前回の 大崙頭、尾山は見えることは見えるが、それを超えた先ははっきりしない。海側ももうひとつ。大屯山はさすがに近いので、小油坑の鞍部の先に構えている。次回は、この山を登ろうか。

苗圃登山口から1時間20分。途中写真を撮るために、ところどころ少し立ち止まっただけで、休憩はしていないが、上には上がいるものである。1時間ぐらいで登ってきたという、人がいた。筆者と同じくらいの年齢だろうが、体力のチャレンジということで、よく山登りをしているようだ。彼曰く、上り下りあわせて1時間10分で登った人の話を聞いたことがある、とのこと。距離は往復で4.5キロぐらいだが、標高差は600mである。どうやったらできるのだろうか。
 
鞍部まで道を戻り、そこから東峰へ上る。ここは海からの風が吹きつけるところ、植物は笹藪だけである。高い木がないだけに天気がよい日は優れた展望台である。東峰は、ちょっと低い1106m、本日の行程は、ここからずっと下り調子の道になる。

東峰から士林方向を見る
 1000mを超えた山である。海側からガスが発生してきた。ほんの2,30分の違いで東峰からの景観の範囲が少なくなってしまった。今日の行程途中からは、七星山が見え隠れするが、山頂はずっとガスの中のままであった。

七星山から下ると、 冷水坑につく。駐車場やバス停もあり、ここから登る人も多いのだろう。冷水坑から擎天崗までは車道もあるが、それとは別に、菁山吊橋を渡り登山道を行く。途中沢の流れに沿ったところもあり、快適である。約2キロぐらいで擎天崗の草原にでる。

冷水抗への下り道に咲く華八仙
擎天崗で牛がくつろぐ
牛がゆっくり寝そべっている。擎天崗は緑が広がる草原。今日は幸いにして、晴れてはいるが、照りつける太陽ではない。テレビドラマか何かなのだろう、草原でロケ撮影をしている。

城門
擎天崗観光案内所近くからは、右に道をとり、城門へと進む。こちらへ来る人は少ないのだろう。 先ほどの人通りはない。城門からは、金山側へと金包里大道が降りていく。この道はその昔は海からの物資を運ぶ街道であった。数年前、この道を下っていったことがある。

時間は12時半。これから風櫃口まで約7キロ弱、そこからさらに最終点聖人橋まで2キロ、合計9キロの道のりである。全体の半分少しというところ。ここで昼食をとり、少し休憩する。


石梯山への道
風櫃口までの縦走路は、途中草原や森林が交互に現れ、また鬱蒼とした杉林もあり、植相が豊富である。城門からは標高865mの石梯山まで100mほど登るが、その後は標高610mの風櫃口へゆっくり下がっていく。

七星山方面を振返る
石梯山から振り返ると、遠くにはガスに頂上が隠れた七星山東峰、その前に擎天崗の草原が広がっている。行く手には、これから歩く頂上山やその右奥には大崙頭、尾山の山並みがある。

草原の道

道端に牛の糞が落ちている。石畳道の左右の泥は、牛が歩いた足跡と思われる溝がずっと続いている。国立公園表示の注意書きには、牛には近づくなということも書いてある。 擎天崗牧場には確かに牛もいたが、途中牛が通れないように作った柵もあり、不思議に思っていたら、本当に牛がいた。頂山までの途中、沢が流れ池を作っている谷がある。ここで水牛が水浴びをしていた。また山腹には数頭休んでる。

水浴びをする水牛
杉は日本の山では一般的である。東京近郊の山でも多い。台湾ではそれなりの標高が必要なのだろう、今まで登った低い山ではなかった。せせらぎが流れる谷間に、苔むした杉林が茂っている景色は、本当に久しぶりである。手入れされているわけではないので、幹がまがったものなど、日本の杉林に比べれば、原生林の様である。

杉林を抜けていく
谷を離れ、頂山へ登っていく。程なく頂上と思われる開けたところに着く。広い尾根なので、山頂という感じではない。左に、萬里の谷あいが見えてくると、風櫃口ももうわずかだ。ここは車でも上がってこれるので、鞍部のあずま屋に大勢人がいた。こから、風櫃嘴歩道を下り、車道をさらに下っていく。聖人橋のバス停には3時半に着いた。




萬里方向を見る
風櫃口
聖人橋は、前回の大崙頭山へ登る際に乗ったと同じ、小18バスである。4時のバスにのり、劍潭駅へ戻った。

今日は全工程距離は16,7キロ、最高低差900m、休憩を除くと6時間、約2万6千歩の行程であった。前述の陽明山国立公園のガイドでは、七星山と擎天崗 - 風櫃口縦走路は、それぞれ別のルート紹介になっているが、先に最高点まで登り、その後下っていくような行程であれば、道も整備されており、それほど無理な行程ではない。七星山あたりは、多くの登山者とすれちがった。風櫃口縦走路は、それと比べると少ないが、単独登山者とは数人すれ違った。

2011-05-10

2011年5月9日 大崙頭山 - 內湖鯉魚山 を歩く

先週内湖から金面山を登るとき、平行して走る鯉魚山、忠勇山の山並みを見て、次はこれを登ろうと考えた。今日は、外双渓から大崙頭山に登り、その後忠勇山、鯉魚山を下って内湖に戻ることにした。天気はとても晴れ暑いが、曇り気味の先週に比べると、はるか遠くの山まで見えた。

 大崙頭山は、大崙尾山とともに、五指山系の中では、標高450mを超え、内湖からは一番奥まった位置にある。今日の行程は、先に一番高いところに登り、その後は内湖に向かって下っていくことになる。


碧溪橋バス停
MRT剣潭駅から小18バスに乗り、30分ほどで碧渓橋のバス停で降りる。時間は10時過ぎ。内双渓を渡り、産業道路を歩き始める。山腹には、桐の花が咲いている。しばらくいくと、産業道路のジグザグをまっすぐに近道する山道が現れ、これをいく。


花の登山道




途中新たな公園が建設中である。30分ぐらいで、大崙頭山木桟歩道の入り口についた。多くの人はここまで車で来て登っているようだ。付近には車が何台か停まっている。


桟道歩道の入口
桟道上のリス
この道は、尾根道に合流するまで、全部やぐらで組まれた木の階段桟道である。歩道面を地面から離しているのは、森林に対する影響を少なくするためのものだろうか。途中ところどころに、森林の生態を紹介する説明表示がある。散った桐の花が歩道上に落ちている。リスも人慣れしているのだろうか、手すりの上を一緒に登っていく。


大崙頭山山頂
木桟歩道が尾根道と合流し、しばらく行くとあっけなく大崙頭山についた。標高476mの山頂には展望台があり、もともと視界の開けている山頂の眺めを助けている。特に展望台上の鉄塔に登ると、360度の展望が満喫できる。七星山や観音山、台北市の景観、よい天気とあいまって最高である。

次回は七星山を登るか、そのまた次は大屯山か。目の前に山々が見えると、台北近郊の山を登る意欲がますますわいて来る。
 


大屯山,七星山
信義區方面を見る、背後の山々もはっきり見える
内湖方面を見る
スタンプ台のある分岐
目の前に見える大崙尾山へは、いったん下る。下りきったところは、碧湖産業道である。舗装路をいくと、大崙尾山への登山口につく。平坦な道を行く。先週歩いた金面山の山並みと合流する道が左に分かれる。スタンプ台のあずま屋もある。あとでここを歩いていくのだが、先に大崙尾山頂上へいく。

ここから大崙尾山頂上へは道が2つある。右には台北市親山歩道の石畳の道がいく。左の道をいくと、土と根っこの細い山道となる。大崙尾山の山腹を巻くような形で進むと、急な石段の階段が現れる。これを一気に上ると標高451mの頂上についた。

大崙尾山から五指山方向を望む
大崙尾山は、潅木が茂り、視界が利かない。一部北側に開けたところがある。あずま屋があり、ここで休憩昼食とした。時間は12時を少しまわったところ。ここは、友人と4年前にきたことがある。そのときとほとんど変わっていない。

忠勇山への登山道入口
先ほどの分岐点へは、別の道を下る。4年前には、途中にやぐらがあり、登ると展望ができた。ただし、その時点でやぐらはかなり傷んでおり、その後撤収されたのだろう。今回はなかった。さきほどの分岐点を過ぎ、下っていく。金龍産業道路にでる。ここを左に碧山キャンプ場方面へ歩き、忠勇山歩道の入り口についた。

 忠勇山は標高325mでこの辺りと同じぐらいの高さだ。平らな道をいくと、途中山腹にできた墓地を横切る部分がある。日本の墓地とはイメージがずいぶん異なる。お墓の位置は、風水で末代まで影響するという考えがあるので、山腹のよい場所を選ぶ。このような位置にあるお墓は、それなりの家族のものである。

墓地の建物
 忠勇山の前は、急勾配の登りとなる。これを登りきると、蒋介石の銅像が建つ、山頂についた。周りは木があるため、視界はあまりきかない。銅像が建てられた70年代半ばごろは、まだ木が低かったのだろう。山頂からの景観を説明する、そのころの表示がある。高い銅像の視線からは、眺めはさぞかしよいのだろうが。

蒋介石の象の立つ忠勇山頂上
山頂からは急な石段が下っていく、途中に展望台をかねた塔が建っている。塔の上に上がることができるが、中はホームレスの住処になっていた。人はいなかったが。


塔から内湖方面を見る、左下の寺院は碧山巖
さらに下ると、碧山巌の寺院についた。ここは香火が絶えることのない、有名な寺である。山腹に乗り出す形でできている、寺院の側面の展望台からは、先週登った金面山の山並み、その向こうには台北市、真正面は101ビルと南港山、左には内湖、汐止の街がある。180度さえぎるもののない、景観である。

碧山巖
参道の460段の石段を下ると、内湖からの碧山路に出る。まっすぐ進み、鯉魚山の山道を行く。山道の脇には、おそらく付近の学校の生徒たちが作ったと思われる、箱庭がたくさんある。かなり前に作られたものように見えるが、桃園空港をかたどったものもあるから、30年ぐらい前だろうか。なかには、二宮尊徳や富士山など、日本にゆかりのあるものもある。二宮尊徳は、箱庭テーマの説明書きに勤勉とされている。台湾の人たちのなかに、こうした日本の価値観が生きている、少なくともこれが作られたときまであったことに、驚かされた。

山道脇に作られた二宮尊徳の象
鯉魚山も山頂からの展望はあまりない。山道を下りきると、大溝渓の橋があり、川脇をいく歩道がつながる。これが終わると、大湖の街である。大湖山荘街を行くと、MRT大湖公園駅についた。時間は午後3時すぎだ。

鯉魚山の下り
今日の行程は約11キロ、18000歩、5時間であった。途中上がり下がりはあるが、最初に最高地点まで登り、その後下がっていく道のりは、楽である。もちろん長い降り坂は、それなりに気をつかい、ひざにもよくないかもしれないが。大崙頭山森林桟道は、よくできた道である。その他の山道も整備された、よい道であった。

2011-05-05

2011月5月4日 內湖金面山-劍潭山縦走

(2013年9月追記:本記事はアクセスがとても多く見ていただいています。ただ、この時点から時間が過ぎ、山道の整備など変更もあるので、反対方向に歩いた地図入りの新記事も是非合わせてご覧ください。)

この山並みは、家からはちょうど北にある。全行程中での最高地点も260m足らずで低いが、獣道より少しましな道としっかり整備された親山歩道との部分があり、山道のレベル落差は大きい。前者はそこそこ山歩きの経験がないと、迷うかもしれない。実際、台北市の親山歩道HPでは、勇脚級というレベル指定になっている。

南港山のほとんど石畳の山道とは異なり、もっと自然に近い土と石と根っこの山道である。それなりの靴を履いていく必要がある。

金龍路の登山口
内湖の街に行くのは、久しぶりだ。高架式のMTR木柵線を内湖駅で降り、金面山の登口まで金龍路を行く。金龍隧道近くの登山口はしっかりした案内標識はなく、登山クラブが金龍寺一バス停付近に残した簡単な表示を見ないと、ちょっと迷う。道路からの立派な石段とは大違い、いざ登り始めた道は、倒木が道をふさいでいるようなところもあり、地図と登山クラブの残した目印が唯一の頼りである。


山道
40分ほどで、金面山に着いた。この前には、別の山道が合流するが、これはしっかりした親山歩道で、整備度が俄然よくなる。金面山は標高181mであるが、視界の開けたところから台北の町並み、101ビルとその隣に先週登った南港山の山並みが見える。それにしても内湖は建物がびっしりと建ち、ずいぶんと発展したものだと改めて実感する。


金面山から内湖方面を望む
剪刀石山への登り
金面山からいったん下った後、巨石を登るような部分を行く。視界が開けてくる。登りつめると剪刀石山山頂である。スタンプ台のあずま屋が頂上に建っている。時間は12時を少し回ったところ。登山口から約1時間である。

ここで昼食を食べる。台北市側は潅木があるので、視界はもうひとつ。反対側は遮るものなく、忠勇山、鯉魚山の山並みが標高450mの大崙尾山から延びている。碧山巌も稜線近くに見える。次は、この山並みを歩こう。



剪刀石山山頂

大崙尾山步道
剪刀石山から下ってしばらく行くと、カラオケの歌声が聞こえる。鄭成功廟から大崙尾山へいく歩道との合流点に着いた。大きなあずま屋があり、多くの人がそこでカラオケを歌っている。右に行けば大崙尾山である。この道は4年ほどまえ、友人と歩いたことがある。

文筆山登山口
苔むした石畳の道を左に、 故宮博物館のある外双渓方面に向かう。緩やかな下り坂が終わると、舗装された産業道路への下り坂になる。いままで歩いてきた親山歩道が産業道路で終わる。大直へと続く舗装道を南方向に登っていく。この道の峠からは、「勇脚級」の細い山道が文間山へが延びている。

文筆山の椅子
わずかな登りで文間山頂上につく。木に囲まれ視界はきかない。待合室にあるようないすが置かれているが誰も座らないのだろう。苔むしたいすには枯葉だけが座っている。ここから劍潭山への道も細い、あまり整備されていない道である。標識もほとんどなく、また登山クラブの目印と地図が頼りである。

北側に視界の開けた場所についた、ここはちょうど大直から外双渓へと貫く自強トンネルの真上になる。故宮博物館が、そしてその後ろには陽明山が見える。

故宮博物館と後ろの陽明山山塊

劍潭山への分岐
細い山道を行くと、突然また舗装路に出る。標識もないので右に行くと、物々しい軍施設がある。その直前の左側に登山クラブの目印がある細い道が下っていく。するとまた、舗装路に出る。また、右方向に行くと、東呉大学環山歩道という案内板があり、歩いている道の正しいことを確認する。白い桐花が満開である。

劍潭山への道から台北方向を見る
この舗装道が終わる近くからは、別の軍施設を迂回するように、整備された歩道が劍潭山に続いている。ここからは、劍潭山親山歩道である。老地方に着くと、松山空港とつい最近まで開催されていた花万博の会場跡がすぐ真下に見える展望台がある。もちろん全台北が見渡せる。今日は曇りなので、遠くの山々は雲の中だが、町並みはよく見える。


展望台から台北を見る
劍潭山歩道から士林方面を見る
ほとんど人と出会うことのなかった、金面山の山道と違い、ここは大通りである。多くの人が行きかう。すでに使われていない、歩哨用施設がところどろに残っている。この辺は昔から軍事的重要地点なのだ。32年前はじめて台湾来て生活を始めたころ、YMCA語学補修班(予備校)の同僚だった米国人が、事情を知らずこのあたりの山に登ったときに、呼び止められいろいろ尋問されたということを、思い出した。
観景坪という、北側に木がなく開けたところがある。士林は天母が眼下によく見える。 士林官邸のちょうど上ぐらいか。

中山北路の登山口
ここからさらに約30分で、中山北路の登山口についた。時間は15時半。11時から登りはじめて4時間半、11Kmぐらいの距離(スマートフォンのGPSプログラム記録)を歩いた。金面山登山口の台北市親山歩道標識では、3時間50分とある。休憩時間を除けば、ほぼこれと同じぐらいの時間を要したことになる。今日の山道は、台北市を俯瞰するには非常によいルートだ。