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2011-09-17

9月16日 平渓 五分山 展望台の山

台北市内からアクセスが簡単な山は、過去十数回の登山でかなり登ったので、これからは少し遠いところにある山へ登ることを考えている。その第一弾として、展望の利く平渓の五分山に登ることにした(新北市登山道紹介)。今後どの山へ登るかも、今回の五分山登山がヒントをくれるかもしれない。


五分山は台北市内から見て東、汐止四分子尾山のさらに先(クリックで拡大)
五分山は、7月に登った四分子尾山の山並みをさらに北東にたどっていくと、姜子頭山のピークを超えその先にある、757mの瑞芳第二のピークである。頂上には気象観測レーダーの白い球状ドームがあるので、天気がよければすぐ判別できる。実際、台北から汽車で行く途中、車窓から見えた。


ルート図(クリックで拡大)


レーダへは車道があり、もし車でくればほとんど苦労なく登れるが、それでは意味がない。今回は平渓の十分寮から登り、登頂後反対側の暖暖東勢寮へ下った。天気が非常によく、景観を十分に見ることができた。登りのときは、高曇りでよかったが、帰途は晴れたのでさえぎるもののない稜線の道は、もし登りのときであればつらかったかも。


十分駅
十分寮へは、バスで木柵から行くこともできるが、今回は汽車で行った。7時半過ぎに台北駅から区間電車で八堵まで行き、ここでディーゼルの平渓線列車に乗り換える。さらにこの列車で50分、十分駅には9時15分に着いた。自宅を出てから2時間と少し、台北市周辺の山が1時間でアクセスできるのに比べると、やはり遠い。平渓線は1時間に一本ぐらいの運行である(台鉄時刻表)。はじめての平渓線乗車だったので、いつも使用している悠悠カードが使えることを知らなかった。平渓線は無人駅もあり、カード読取機械も導入されていないので、悠悠カードは使えないのだ。台北駅ではカードで問題なく入れてしまうので、注意が必要。もし平渓線の駅へ行くときは、切符が必要だ。


十分老街と日本人観光団
駅から線路沿いに瑞芳方向に歩いていく。線路が道の真ん中を通り、その両側に商店や家がならぶ十分老街を過ぎる。ここは有名な観光スポットで、たまたま日本人観光客団体も来ていた。この町並みをすぎ、さらに行くと背後に大きな石炭処理の廃墟がある台湾炭鉱博物館の入口建物につく。この廃墟の裏側にある道を登っていくと、博物館エリアまでつながっているトロッコの乗場がある。ここはもともと1997年まで操業されていた新平溪煤礦公司の一部である。脇には処理場やボタ山などもある。坑道口とこの間を往復する電動トロッコは、稼動時には架線が張られていたようだが、それは撤去され、現在は車載バッテリーで運転しているようだ。


炭鉱博物館のトロッコ乗り場
今日は平日で運転はないようだ。このトロッコ線路に沿って歩いていく。途中並行する道路の拡張工事が行われている。右にボタ山、といってもすでに草木に覆われているので、人口山であることがわからなくなっている。この山の奥には、これから登る五分山が見える。さらに歩くと、坑道入口とその周辺設備をもとに改造した炭鉱博物館につき、その左奥から登山道が始まる。

脇に花がさく登山道
登山道は、花崗岩でつくられた立派な石段の道である。下りに通った十分古道とおなじ歴史のある道だが、手の入れ方の差で峠を挟んでずいぶんと感じが違う。石炭産業が興り、平渓線の鉄道ができるまでは、平渓と外をつなぐ交通路であった。今は登山の目的で存在している。

古いままの登山道
橋を超え、沢にそって道が登っていく。道の両側にはひな菊が茂り、蝶が飛び回っている。途中、沢の支流を越えるが橋はなく、石段の道が突然に途切れるところが、2箇所ある。また、登りのちょうど中間あたり、沢から離れていくあたりに、新設石段ではなく、古道の風情を残した道が一部残っている。わざと残したのだろうか。ひたすら登っていくと、大きな屋根を掛けた土地公廟があり、峠についた。登山口から40分強、十分駅から1時間半である。

福徳宮
峠の福徳宮土地公廟は、この地十分寮ではじめて造られた石造りの小廟で、200数十年経っている、ということだ。十分古道を往来する人たちが、旅路の安全を祈願したのだろうか。日本であれば道祖神やお地蔵さんというところだろう。脇には、その当時に建てられたと思われる小さな石碑がある。建立に関した人たちなのか、人名がいくつか判読できるが、だいぶ風化している。廟前の香炉には、まだ線香がともされており、お供物も置かれている。

稜線上の登山道、右奥のピークが五分山
少し休んだあと、五分山へ登り始める。同じく石段の立派な道だ。行くとすぐに左へ暖暖東勢寮へ下がっていく、十分古道の入口がある。五分山に登った後、ここまで戻ってきて下った。稜線上の道は、はじめ小山を超え、少し下がるがそのあとは五分山西峰までずっと登りである。峠が標高500m強なので、山頂まではまだ200mぐらいの登りがある。暖暖側の谷から吹きあげてくる風は、涼しい。秋が訪れ始めている。稜線上の道だが、両脇の草がかなり高く、両側の視界はそれほどでもない。ただ、高曇りで太陽をさえぎり、日差しが強くないのが幸いだ。

瞭望亭とレーダードーム
登り途中にあずま屋がある。まわりは草深く使っている人は少ないのだろう。西峰に着き道が平らになると、ところどころにベンチも設置さている。遠くには、目的地の瞭望亭と頂上のレーダードームが見える。あとは1km足らずだ。また一度下り、登り返すと瞭望亭に着いた。時間は11時45分、峠から50分、十分駅から2時間半弱である。

ここは、天然の展望台だ。ほぼ同じ高さの五分山頂上方面は見えないが、そのほかはぐるっと展望が利く。台北の101ビルや、その前には汐止大尖山、その右(北)には陽明山の山塊、さらに右にを見渡すと、基隆港とその沖に浮かぶ基隆嶼、さらには独立峰の基隆山が見える。反対側を見ると、谷底には今日の出発点である十分寮の街、その右奥には平渓三尖の特徴ある山頂が、ずっと遠くにある山は二格山だろうか。東北方面にも東北海岸の山並が広がっている。

稜線上をゆく五分山登山道(緑の万里長城とも言うそうだ)、その先のピークは姜子頭山
基隆港が遠くに見える

谷間の十分寮
食事休憩をとった後、五分山頂上に行く。また下りがあり下がっていくと、右に草むらの間に狭い道が分岐している。これが頂上へ続く道である。ほんの少しの登りで、草が刈られ開けた頂上に着く。三角点と登山会の残した看板がある。レーダードームが先に見えるが、草の背丈が高く、展望はない。そこそこに帰路につく。



峠の十分古道入り口
雲がすっかり消え、日差しが強くなった。往路を反対方向に進む。途中で、登山道整備の作業者とすれ違うが、他には登山客と出会うことはなかった。ほとんど下り一本の登山道は、道がよいこともあって、楽勝である。峠からは、十分古道を下る。はじめはロープがはられた、急な下りがしばらく続く。時間は1時を少し回ったところ。東勢渓谷のバス停から2時のバスが出た後4時までないので、道を急ぐ。幸いにして、基隆市が整備をしており、木板の階段などができている。昔ながらの石段もあるが、そこそこに歩かれているのだろう、それほど苔も生えていない。100m毎に路程表示もある。

ロープが張ってある古道
十数分下り、半分を過ぎると沢の音が聞こえ始める。800m下ったところで、荖寮坑歩道とであった。以前ここ荖寮坑も炭鉱があり、その遺跡が整備されている、ということだ。時間があれば見ていきたいのだが、バスまでの時間がないので、そのまま十分古道を下る。沢を横切って間もなく、舗装路の東勢坑産業道路に飛び出た。ここが十分古道の登山口である。舗装路をさらに3kmほど下ると、ボーイスカウトのキャンプ場もある東勢渓谷のバス停に着いた。時間は1時50分。しばらく待つと、2時発の暖暖駅まで行く基隆市公車603路線バスが来た。バスで暖暖駅まで行き、区間電車で台北に戻った。台北へは3時過ぎに着いた。


老寮坑步道合流点
今日の行程は、歩行11km、時間は約4時間半である。高度差は最高点の五分山が757m、最終点の東勢渓谷が約170mなので、500数十mになる。他の山とつないで縦走も考えられるが、道の整備状態もあまりよくないようで、とりあえずは今後のこの地帯の山登りをするための調査行として十分な収穫があった。平渓は基隆川の上流になるが、先に東北方向に流れ、この五分山も含む山塊をぐるっと回って、汐止方面に流れているのが実感できた。

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