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向陽山への登りで見る向陽山(中央のピーク)と、右遠くに三叉山 |
南北に走り台湾の背骨を構成する中央山脈は、先月末に訪れた
南湖大山の北一段から始まり、南一段の南部卑南主山まで脈々と続く。今回の登山対象である、嘉明湖は南二段に属する三叉山の頂上直下にある池である。もともとは、台湾の高山にたくさん点在する高山池のひとつであるが、「天使的眼淚(天使の涙)」というキャッチコピーが多くの人をひきつけ人気コースになっている。今回の登山でも、どちらかというと観光客に近い性格の登山者や、70代の高齢者登山隊と出会うなど、その人気度がうかがえる。
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霧の中の嘉明湖 |
標高3310mに位置し台湾高山池の中で二番に高い嘉明湖は、1930年吉井隆成がこの地を探検したときに見つけ、三叉池とよばれた。その後、20数年前聯勤測量隊が、メンバーの二人の名前から現在の嘉明湖と名づけ、地図上に記載したことから現在の名前になった。ゆるやかな草原の頂上をもつ三叉山のすぐ下にあり、以前は隕石の衝突によってできたという見解があったが、今は台湾の他の高山池と同様に、氷河の作用でできたというのが定説だ。水が流れ込む沢もないが、枯れることもない。
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登山口から往復するルート |
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三日間の歩行高度プロファイル |
一般的に嘉明湖への行程は、向陽山(標高3602m)と三叉山(標高3496m)を合わせ歩く。我々もこの二つの山を合わせて登った。時間が限られていれば、前夜発一泊二日でも可能だ。我々は余裕をもたせ、前夜発二泊三日で登った。
三月に訪れた太魯閣海鼠山の山行を主宰した伍さんがちょうど山小屋の管理人として滞在している期間に合わせて訪れた。五月は天候が変わりやすい。初日は天気が良かったが、二日目稜線に上がったあと天気が崩れ、雨や霧のなかの登山となった。
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台湾島南部に位置する |
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第一日 5月18日 (木) 池上 - 向陽森林遊樂區 - 向陽山屋
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向陽山屋に着いた後、付近を回遊 |
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第一日歩行高度 |
前日夕方、メンバー四名と台北駅で落ち合い、普悠瑪號特急列車で池上に向かった。台湾東海岸へは、この特急列車ができたのでかなり速くいくことができる。18時20分発車で、21時33分に到着した。約3時間の乗車だ。駅から数分歩いて、民宿へ行く。週末は観光客が多いが、平日の今日は宿泊客は我々だけだった。
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池上の水田から中央山脈方向を望む |
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金城武のCMにでた田園中の樹木 |
翌朝6時に起床する。窓から陽光が差し込む。天気がよい。民宿の三階から望むと、谷間の向こうに雲をかぶった高い峰々が見える。地図で確認すると、南一段の小關山のあたりのようだ。7時半に朝食をとる。宿泊客が少ないので、民宿の朝食は自前のものでなく外から買ってきたものだ。
今日の行程は、2時間ちょっとで向陽山屋に着くので、9時出発としてある。まだ時間があり、せっかく台東まできたので近くの観光スポットを自転車を借りて訪れる。日本でも知られている金城武がコマーシャルにでて、一躍有名になった池上の水田風景を訪ねる。この地は、東に標高1000m台の海岸山脈と、西に中央山脈が走る盆地で、ここでとれる池上米は有名だ。朝の水田の中を、自転車で進むのは実に気持ちが良い。
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自転車のメンバー |
金城武のCMに出てきた大木を過ぎ、民宿に帰る直前写真を写したところ、今回天候が良くないことを想定して持ってきた防滴仕様のカメラ、オリンパスE-M5 IIのシャッターが何の前触れもなく故障してしまった。それなりのカメラだが、まだ2万ショットも撮っていないのに壊れてしまうのは、いただけない。少し意気消沈だが、今回の記録はスマホで写すしかない。
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向陽森林遊樂區入口、左の白い建物は管理所、右奥は派出所 |
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松景歩道入口(0KM) |
民宿に戻り、9時少しすぎ事前に頼んでおいた車で出発する。台湾を横断する主要な三本の横断道路の一つ、20号南横公路を進んでいく。他の横断道路と同様に、日本時代に造られた関山越嶺警備道をもとに、1968年から自動車道として四年間を費やして開通した。しかし2009年の莫拉克台風による土砂崩れで、登山口の向陽までは問題ないが、いまだに全線復旧していない。新武呂溪沿いに進みはじめ、ほどなく谷は狭まる。太魯閣ほどではないが、両岸は高い渓谷が続く。天龍溫泉ホテルの前を通り、そのすぐ上の集落を過ぎると、車はジグザグに登りはじめ高度を上げていく。約1時間半の乗車のあと、10時40分に向陽森林遊樂區の入口に着く。
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松景歩道0.8K |
入口には、チェックポイントがある。ここで入山許可書や山小屋など宿泊許可を見せる。管理人の説明を聞く。最近は毒蛇やクマが出現するという。
今回宿泊する山小屋は、林務局が建設管理下にある。今まで利用した、国家公園管理下の山小屋とは異なり使用料(休日600元、平日400~500元)が徴収される。また、管理人が駐在している。宿泊申請はネット上で行えるが、現在の規則は台湾籍のない外国人が申請することができない。今回は、台湾人メンバーが申請してくれた。
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松景歩道のあづま屋 |
11時過ぎ、入口を入り歩き始める。車道を少し登り、左にビジターセンターを見る。訪れる人が少ないのか、ずっと閉まっているようだ。もともと木材伐採のために開かれたが、今は森林遊樂區となっている。登山道の入口までは、二つ道がある。車が通れる(一般車両は進入禁止)向陽歩道と松景歩道だ。管理人は、向陽歩道は工事中なので松景歩道を進むように、とのこと。ビジターセンターを過ぎてすぐ左に、松景歩道の石段が現れる。
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時々林道に陽がさす |
松景歩道は、その名の通り二葉松の林の中を、緩やかに登っていく。気持ちのよい道だ。道脇に100m毎に路程が示される。20分ほどであずま屋が現れる。少し休憩する。更に登っていく。数分で右から向陽歩道を合わせ、松濤步道と名前を変える。ここまで約1.2㎞だ。11時53分、展望台が現れる。説明板には、關山や南橫三星の山々が見えるとあるが、霧の中。想像するしかない。
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説明板の建つ山道入口、霧の中に新しい橋が見える |
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松葉を踏んで急坂を登る |
更につづら折りの道を登り、12時25分入口から約2.7㎞の林道終点に来る。ここからは、山道(嘉明湖國家步道)だ。小休憩後、最近架設された橋を越え、歩きはじめる。山道は、よく整備されている。落ちた松葉を踏んで、急坂を登っていく。坂が終わると、山腹を緩い坂で横切っていく。時々、陽光が松の林に差し込んでくる。13時23分、4K 近くから少し下っていき、沢を越す。急坂を上りつめ、別の沢を越して上がると、13時32分向陽山屋が現れる。標高約2300m向陽遊樂區入口から、2800mの小屋まで標高差500m距離4.3㎞、約2時間半の道のりだ。
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平らな山腹道を行く |
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最後に登り向陽山屋が現れる |
今月は21日まで10日間、管理人として来ている伍さんが出てきた。今日は平日なので、小屋の利用者は少ない。時間も早いこともあるが、中はガラガラだ。料金をとることもあるのだろう、小屋の設備はよい。トイレも水洗だ。二段ベットの部屋に荷物を降ろす。伍さんは、これからちょっと裏山へ登るという。小屋は携帯電話が通じないが、裏山へ登ると通じる。一緒に登ることにする。
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山小屋から望む |
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道なき道を登っていく |
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水鹿の骨 |
登山道を少し進んだ後、左に谷にそって登っていく。道なき道や、獣道を行くので茨などが邪魔をする。10数分登ってくると、空が近くなる。水鹿の骨が散らばっている。ここで死んだようだ。14時15分、ちょっとした岩のピークに上がる。小休憩後一度下って、谷間からまた獣道を進む。池がある。鹿などがここで水を飲むのだろう。普段登山者がやってくることがない、動物だけの世界だ。小高い場所からは、向陽山から続く溪頭山が、霧の中に見え隠れしている。稜線を少し進んだあと、少し窪みになっている草原で寝そべる。雲間から陽光がさし、微風がほほを撫でていく。
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遠くに溪頭山を望む |
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人の訪れることのない山中の池、獣たちの水場だ |
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向陽山屋へ下る、左に明日登る山が見える |
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道なき道を下る |
10分ほど休憩し、小屋に向かって下り始める。こちらも道なき道だ。20分ほどで小屋の屋根が見えてくる。15時25分小屋に戻ってくる。1時間半ほどの散歩といったところだ。伍さんのおかげで、普段行かないような場所に行くことができた。
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山小屋内部 |
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水洗トイレの壁に熊注意の張り紙 |
休憩後、夕食の準備をする。今回は時間もあるので、メンバー全員が持ってきた食料を一緒に料理し食べる。嘉明湖は人気コースなので、多くの山岳旅行社がツアーを行っている。こうしたツアーに参加すれば、私物だけを担いでいくこともできる。食事なども業者が提供する。筆者は、自分で企画、実行することにこだわっている。自分にとっての登山は、自力で実行してはじめて意味があると思っているからだ。初日の今日は各自15㎏ぐらい担いできたが、皆がそれに同意してくれている。
明日は朝出発が早い。遅く到着した登山者が、まだにぎやかに話しているが、我々は19時には床についた。
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第二日 5月19日 (金) 向陽山屋 - 向陽山分岐 - 嘉明湖避難山屋 - 向陽山 - 嘉明湖避難山屋
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向陽山屋から嘉明湖避難山屋へ、その後向陽山へ往復 |
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右のピークは向陽山への往復 |
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闇の中、5.5Kキロポストを通過 |
今日は嘉明湖山屋へ登ったあと、軽装で嘉明湖へ往復する長丁場の予定だ。そのため、2時過ぎに起床する。朝食を済ませ、3時20分出発する。夜明けまであと2時間だが、よい道なのでヘッドランプを頼りに登ることも問題ない。十数分の歩きのあと、服装を調整する。今日は、それほど寒くない。4時16分、林務局から受注して山道整備をしている業者が寝泊まりするテント脇を過ぎる。そのあとまもなく、5.5Kのキロポストを過ぎる。嘉明湖山屋まであと2.9Kとある。昨日は100m毎の表示があったが、今日は500m毎だ。山道整備後は、100m毎の表示になるのだろう。
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稜線上を進む |
4時50分、樹木が低くなってきた。空も少し白み始めた。そのあと数分で稜線に上る。5時、前方に向陽山が見える。その右のほうに雲海から平らなピークが頭を出している。三叉山だろう。感動の一瞬だ。休憩後、なだらかな稜線を登っていく。
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左に関山が雲の上に頭を出している、雲間に南横三星の峰々が見え隠れする |
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向陽斷崖 |
5時19分、稜線の左が大きく崩れている。向陽斷崖の上部だ。雲の向こうにひときわ高い山が見える。関山だ。その右には、南橫三星の塔關山,關山嶺山,庫哈諾辛山などの山々が雲の間に見え隠し、昨日見た溪頭山も見えている。5時25分、6.5Kキロポストを過ぎ、坂が急になる。玉山圓柏が、道脇に様々な姿を呈している。ひたすら登り5時50分、道はピークの左を平らに巻いていく。
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圓柏を見て坂道をのぼる |
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雲峰と背後に玉山山脈 |
前方左に、高い山が見える。雲峰だろう。その遠くにさらに高い山々が、頭に雲をかぶっている。玉山山脈の山々だ。7Kキロポストを過ぎ、前方に向陽山の主峰が大きく現れる。6時2分、向陽山頂上への分岐に来る。残念なことに、霧がだいぶ上がってきて、周囲の展望がなくなってくる。もともとは、ここから頂上へ軽装で往復するつもりだったが、展望が望めないのでそのまま嘉明湖山屋へ先に下ることにする。
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向陽山山頂への分岐 |
小屋へは標高差100mほど下っていく。6時19分、小屋まで0.4Kのキロポストを過ぎる。大岩の露出した場所を過ぎ、岩屋の脇をいくと嘉明湖山屋が霧の中に現れる。6時36分、小屋に到着する。向陽山屋から約3時間20分ほどの道のりだ。標高は3450mほど、約500mぐらいの高度差を登ってきた。嘉明湖避難山屋という名称だが、80数名の収容能力やトイレなどが完備し、普通の山小屋である。水は雨水を利用している。この小屋の管理人は、伍さんの後輩になる小米さんだ。彼に挨拶する。
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嘉明湖避難山屋 |
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後続パーティが到着 |
管理部屋でお茶などをいただく。時間はまだ7時、しかし天気はすぐれない。明日は良くなる可能性があるという。そこで今日予定の嘉明湖往復は、明日に延期する。先ほど登らなかった向陽山へ行くかどうかは、この後の天気次第で決めることにする。今日も、昨日と同じように、実に楽な一日となった。
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道脇に咲く石楠花の花 |
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向陽山山頂のメンバー |
11時半過ぎに昼食をとる。昨日遅く向陽山屋に到着したパーティがやってくる。12時半、天気は回復しないが向陽山へ向かう。午後もまったく何もしないでは、山に申し訳ない。雨具に身を固め、軽装で出発する。約30分で分岐へ登る。右に折れて、山頂へ向かう。坂はそれほどきつくない。石楠花の花が咲き始めている。まだつぼみの状態が多い。最後にちょっとした大石セクションを過ぎ13時27分、山頂につく。三角点だけの、ちょっとそっけない山頂だ。勿論、霧で展望はない。
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嘉明湖山屋へ物資を運ぶボッカ |
写真を写して往路を引き返す。山頂からはもう一つの道もあるが、歩かれている程度が低く、雨だと踏み跡がわかりにくいという。下りで二人の登山者とすれ違う。13時47分、分岐に着く。大型リュックが二つ置いてある。先ほどの登山者のものだ。引き続き下っていく。鉄杉(ツガ)の大木が現れ、その向こうに嘉明湖山屋が見えた。小屋の近くに馬酔木が咲いている。14時20分小屋に戻る。二時間足らずの向陽山頂上j往復が終わった。
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雨に咲く馬酔木 |
金曜日なので、登山者が多い。次々と小屋に到着してくる。16時に早々と夕食をとる。今日は朝がとても早かった。明日は、今日の本来の予定を消化するので、早く出発する必要がある。18時には床に就く。無情な雨がひっきりなしに屋根をたたいている。
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第三日 5月20日 (土) 嘉明湖山屋 - 三叉山 - 嘉明湖 - 嘉明湖山屋 - 向陽山屋 - 登山口
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朝に嘉明湖を往復、その後下山 |
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三日中一番距離を歩いた |
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雨具を付けて白み始めた山小屋を出発 |
雨は引き続き降っている。3時過ぎに起床し、食事をとる。荷物の整理をして、軽装で出発を待つ。4時40分、雨も小降りになり、ヘッドライトをつけて出発する。5時、9.2K地点を過ぎるころから明るくなる。山腹から稜線に出る。左側が霧が少なく、山影が見える。向陽山北峰の西側を巻き、5時半過ぎ10.5K付近から下りが始まる。高度差約150mほど下り鞍部を過ぎる。これから三叉山まで約200mの登り返しだ。11Kキロポストを過ぎてまもなく、道端にエーデルワイスが咲いている。
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一時霧が少し晴れ、遠景が望める |
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10Kキロポストを過ぎる |
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山道脇の二本の樹が印象的だ |
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エーデルワイス(ウスユキソウ)が咲いている |
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広い草原の三叉山を登る |
11.5Kを過ぎてまもなく、6時5分左は三叉山、右は嘉明湖への巻き道との分岐を過ぎる。ここでまた別のパーティを追い越す。だだっ広い草原は、霧の中だ。緩い坂が続く。踏み跡がしっかりしているので、霧でも迷うことはないが、もし積雪があり濃霧であればわからない。石が多いピークは偽ピークで、登ると先にまたピークがある。少し下り登り返す。6時半、三叉山山頂に着く。一等三角点のある山頂は、天気がよければ絶景が望めるだろう。むべなるかな、今日はすべて霧の中、想像するしかない。
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三叉山山頂の一等三角点 |
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嘉明湖へ下る |
山頂から下り始める。こちら側は坂が少し急だ。10分ほどで分岐に来る。左は南二段の縦走路、直進する道は嘉明湖へ下る。左にヘリポートを見て下っていくと、ぼんやりと霧の中に目的地嘉明湖の輪郭が見える。
写真で見ていた、晴れのもとの碧い湖とは違う、別の表情だ。ここも多くの登山者がいる。霧雨の中でこれだけの登山者、やはり人気ルートだ。しかし、それだけ多くの登山者が、そこここと歩くため玉山箭竹は踏みつけられ、植生が傷んでいる。傷んだ後は、土壌が露出し土砂が流れていく。
合歡山東峰で見たような、桟道をつけて保護する必要があるのではないだろうか。
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土砂の流出が激しい嘉明湖上部の山腹草原 |
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三叉山の分岐 |
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往路を登り返す |
下ってきた道を戻り分岐へ、そこからは三叉山の山腹巻き道を進む。最後は少し登り気味に進み、7時32分三叉山への分岐に着く。左に往路を戻り始める。約20分で鞍部へ下り、登り返しが始まる。大分登ってきたところで、70歳台がメインと思われる高齢者パーティとすれ違う。話に聴くには、ここは結構高齢者登山が多いそうだ。9時過ぎ、向陽山への別の登山口を過ぎ、まもなく9時10分嘉明湖山屋へ戻る。嘉明湖へ往復9㎞を4時間半で往復してきた。
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嘉明湖山屋に戻ってきた |
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山道整備中のセクションを下る |
お世話になった小米さんに別れを告げ、11時に荷物を担いで下山を開始する。約30分で分岐へ登り返す。分岐には十数個のリュックが置いてある。向陽山へ軽装往復しているようだ。往路を下る。右に断崖を見て下り、6K キロポストあたりから稜線を離れる。来るときにはまだ暗くて気づかなった、向陽名樹(圓柏)は下りでもわからずに通り過ぎてしまった。山腹を下る道は、現在整備中だ。今日は雨なので作業は行われていないが、材料がところどころに置かれている。
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鉄杉の森を下る |
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二葉杉の林を下る |
12時24分、森の中に入る。今日は風があまりなく、雨でもそれほどつらくはなかったが、森の中に入るとひと安心だ。往路では、暗くて気づかなかった二葉松の美林を下っていく。13時向陽山屋に着く。寒暖計は11℃を示している。伍さんとしばし談笑し、13時20分再び下り始める。14時5分、登山道入口に着く。ここからは、林道下りだ。広い林道を、メンバーと話ならが下っていくうちに、14時52分ビジターセンターに着き、すぐに向陽森林遊樂區入口に到着、今回の歩きが終了した。朝の9Kmの嘉明湖を含め、約18㎞の距離を都合8時間半で歩いた。
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登山口に戻った |
入口管理所で、登山の終わったことを伝え、出迎えの車に乗る。約1時間半の乗車で、17時過ぎ関山駅に着く。今日は麓も雨だ。19時16分の普悠瑪號までまだ時間がある。池上と同様にお米で有名な関山の弁当を食べたりして待つ。2,3分の遅れで普悠瑪號がやってきた。23時前、台北駅に到着した。
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伍さんと裏山を歩いた時の写真 |
天候があまりよくなく、期待していた中央山脈南部からの山景は望めなかったのは、少し残念だ。しかし、山の天気はいつも晴れではない。前回の南湖大山は、期間が長かったので後半は好天に恵まれたが、ちょうど梅雨時期になるこの時期の山は、天気が良くないことをはじめから覚悟する必要がありそうだ。嘉明湖コースは、道の状態もとてもよく、山小屋を確保できれば、台湾の高山では楽に行ける場所だ。玉山や雪山と同様に、台湾高山入門コースとしてお勧めできる。
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嘉明湖山屋を発つとき小米さんと |
今回は、伍さんを訪ねていくという意味もあったが、今まで足を踏み入れていなかった中央山脈の南部を、交通なども含めて体験するという目的もあった。台東は、台北から最も遠い台湾の地区になる。今回の経験は、今年秋に行おうと思っている、南二段の縦走(期間一週間)には十分生かせる。縦走する登山者は、もちろん嘉明湖への往復登山に比べたら、ずっと少ない。すべて自分が頼りだ。
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普悠瑪號特急列車@関山駅 |
今回の費用は、特急列車往復約1400元、池上から登山口、また登山口から関山へのシャトルサービスが、それぞれ500元(一台2500元)、山小屋400元+600元である。遠いこともあるので、費用は今までの登山のうち、一番かかっている。