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2023-09-30

台湾登山ルートガイド:陽明山系 貴子坑 - 大屯山西峰/南峰 - 小屯山 - 頂湖 - 湖底 - 天母

西の復興崗から山を越え天母へ
ここで紹介するルートは、過去の経験をもとに本来大きな山へ登る前の荷重訓練として構想し、実際に筆者を含めた数名が歩いたルートである。訓練としてある荷重を担ぎ全部のルートを歩くのも良いし、また部分的に歩いてもよい。台北盆地のすぐ北側、大屯山の西峰(とついでに南峰)を最高点として、そのふもとから約1000mの落差を登り、また麓へ同じくその落差を下るものだ。前半は、台北市親山歩道や陽明山国家公園の歩道で整備され多くのハイカーが歩くが、後半はずっと自然に近い部分や台北市親山歩道などを行き変化に富む。天気が良ければ、途中での景観や、大屯山西峰・南峰からは眼下に台北盆地とその向こうの山並みが望める。
陽明山山系の西南部

登山対象:

ルート
台北MRT復興崗站→(秀山路経由35分)→貴子坑步道口→(30分)→貴子坑福德正神廟→(30分)→復興路352巷16弄登山口→(18分)→清天宮→(面天山步道30分)→面天山分岐→(8分)→面天坪→(35分)→大屯山西峰→(45分)→大屯山南峰分岐→(南峰往返30分)→(25分)→小屯山→(10分)→中正山步道→(25分)→第一登山口→(45分)→頂湖→(10分)→頂湖福德宮→(鼎筆橋步道 15分)→湖底路→(20分)→湖底→半嶺步道→(45分)→中山北路七段219巷→(30分)→中山北路七段圓環(バス停) 
休憩無しで約8時間20分、約15km,上昇1075m、下降962m、コース定数31

貴子坑步道
大屯山山塊(上部はちょうど面天山)が淡水河に西南方向に下る支稜下部に位置する。その地層には、石英をはじめ陶業で必要な土があり長く採掘された。しかし、過度の採掘で災害が発生したため採掘は禁止され、その後台北市により地質教室や河川整備、また歩道が整備された。災害が多く鬼仔坑と呼ばれたが、整備に伴い貴子坑と称されるようになった、ということだ。8キロ弱の回遊式の台北市親山歩道があり、軽いハイキングとして歩くこともできる。
歩道入口の道標
大台北縱走路
貴子坑步道の上部で、大台北縱走路という道しるべを見る。数年前に台北市が画策し実施している、台北市の周囲を巡る山と平地の道である。山道は合計で92㎞あり、七つのセクションに区分けされている。スタンプラリー的な要素もあり、業者と連携で全行程終了すると景品がもらえるような企画もある。このルートガイド中、貴子坑步道から面天坪、また面天坪から大屯山南峰までのセクションは、台北大縱走の第一、第二セクションの一部になる。
貴子坑歩道上の台北市縱走路道標とスタンプ台
面天坪
台湾の山ではよく坪という字を目にする。この坪は日本で使う土地の広さ単位ではなく(その意味もあるが)、山の中の平らな場所を指す。面天坪は、面天山と大屯山西峰との鞍部であり、また二子坪へと続く道の峠でもある。涼亭があり、休憩にはよい。

面天坪
大屯山西峰
大屯山山塊中の標高983mのピークである。1092mの大屯山主峰の西南に位置する。その南には中正山が頭をもたげるが、台北盆地に面しているので、天気がよいときは台北盆地を広く俯瞰できる。空気が澄んでいればさらにその遠くの雪山山脈や中央山脈の山々まで望める。斜面はそこそこ急で、道にはロープが取り付けられている。多くのハイカーが歩くので、赤土の路面は削られて滑りやすい。
秀山路から見る大屯山西峰(中央)
大屯山南峰
西峰のすぐ東にあるピークで、標高は少し低い959mだ。このピークも同じく台北盆地に面しているので、すぐれた展望台だ。ススキが多く、秋にはススキの穂が風になびく。西側は急坂だが、西峰に比べると穏やかな山容である。縦走路を西にさらに進むと、主峰への道へ合流する。
大屯山西峰から見る南峰(左)と小屯山(中央)
小屯山
大屯山南峰から中正山へ伸びる尾根上の小ピーク。標高約870m。コンクリ製の基石がある。周囲は背の高いススキで、展望はない。陽明山国家公園管理外の山道にある。

小屯山の基石
中正山(步道)
中正とは、蒋介石のことである。北投からよく見える当座の南斜面に中正という文字をかたどった植林をしてあった。本来彌陀山と呼ばれた当座は、のちにこの文字のために中正山と呼ばれるようになった。今ではその文字はメンテされず判読できない。
炭焼きかまど跡などが山麓にあり、また石畳の台北親山歩道が十八份から山頂を通り、さらに竹子湖からくる道へと続いている。ちょっとした単独ハイキングとして訪れるのもよい。

中正山歩道第一登山口
半嶺步道
紗帽山の西側山麓湖底から南へと下っていく、台北市親山歩道にひとつである。上部はほぼ石段で、下にいくとコンクリ舗装面の道もある。半嶺はこの道が通過する土地の名前。

半嶺步道口

コース概要:
出発点はMRT復興崗駅で、標高15m。このルート最高点の大屯山西峰983mまで1000mに近い標高差を登る。駅をでて、交通量が多い中央北路を進む。そこから秀山路へと左に曲がる。途中、住宅地を横切る形で秀山路へでてもよい。川沿いの道を進んでいき、住宅がすくなくなると道の勾配も強くなる。だんだん山に入ってくる趣だ。貴子坑水土保持教學園區への方向へ登っていくと、貴子坑步道の入口にくる。左側の高台は水土保持教學園區である。

MRT復興崗駅より出発
川沿い(欄干の向こう)の秀山路を行く
ここは右へ曲がる
貴子坑水土保持教學園區
貴子坑步道入口
入口からすぐ階段道が始まる。少しいくと左に回り込み尾根に取りつく。登りきると涼亭がある。さらに進み、別の涼亭、とすぐ近くに土地公を過ぎる。その先にも涼亭があり、休憩ができる。お手洗いもある。高度がすこし上がったたので、涼亭脇から北投方向の街が見える。
石階段の歩道
土地公
涼亭
北投方向の景観
歩道は少し谷沿いに進み、橋を渡ってさらに登ると水路にでる。スタンプ台があり、ここで台北大縦走路に合流する。左に進めば稜線沿いに關渡方向へ下る。右にとり、登っていく。最後に階段を登りきると復興路352巷16弄の登山口だ。車道は右へ曲がり進む。道しるべに従い、集落の中に登り進んで清天宮へとつく。ガジュマル大木の脇は、MRT北投駅からやってくる小6番バスの終点がある。ハイカーの多くは、ここまでバスでやってきて登り始める。トイレや飲水器もある。
沢を渡って登る
水路を渡って尾根沿いの道と合流
更に登る、大台北縦走の道標がある
歩道入(出)口
舗装路を進む
道標に従い集落に上がる
ガジュマル大樹のある清天宮
ちょうど小6番バスが到着
清天宮の上にある面天山への登山口から石段道が始まる。清天宮から面天坪を経由せず、直接大屯山西峰へとつづく支稜上の道があるが、こちらはボランティアによるメンテの山道で、経験者向けだ。休日であると、ハイカーが多い。地元民が野菜などを販売している。石段道がずっと続き、途中左に三聖宮の入口を過ぎる。雑木林の階段道は勾配が強くなり、分岐に着く。左は面天山方向、そのまま直進し勾配が緩くなると面天坪が現れる。
面天山步道口
地元民の小販売店
觀音山、手前の谷間を登ってきた
階段道が続く
面天山方面への分岐、ここは直進
面天坪に着いた
大屯山西峰への道は、涼亭の脇から始まる。ここからは石畳はなく、土の道である。雨のあとなど、急坂は滑りやすい。森の中の急坂から直線的な登りが終ると草原の道にでる。すぐ右に土の道が合わさるが、こが直接清天宮からやってくる道だ。緩くなった稜線上の道を登りつめると西峰山頂だ。山頂は大きな岩が特徴だ。
土の道を行く
急坂もすぐ終わり
背後の面天山も同じ高さになる
大屯山西峰山頂
西峰からの下りは急坂だ。ロープがたくさん取り付けられているが、足元の赤土は滑りやすいので注意が必要である。下りきり、少し登ると分岐がある。左は二子坪と大屯山主峰とを結ぶ山道へ続く。右の山腹道を進んでいく。しばらくいくと、分岐がある。左へ登れば南峰山頂だ。ちょっと往復するのも良い。30分ぐらいである。
急坂が始まる
ロープの長い坂
滑りやすいので足元注意
分岐、道標に従い進む
南峰(左)への分岐
ここから天母まで長い下りである。分岐には警告板がありこの先未開放とあるが、小屯山へはこの細い山道をいく。道は歩かれているので、別に問題はない。山腹を山襞にそっていき、分岐を右にとって草原の間の緩い坂を登る。基石が埋まっているところが、山頂だ。道は、急な下り坂となる。ロープも取り付けられている。下りきると石畳の中正山登山道に出る。
大屯山南峰山頂
自然に近い細い山道
南峰を背景に小屯山へ登る
小屯山山頂
急な下り坂
中正山登山道を左にとり、少し登っていく。最高点を越えるとずっと下り道である。下りきると竹子湖から来る車道(中正山産業道路)にでる。歩道の第一登山口である。そのちょうど車道対面にまた入口がある。頂湖へはこの道を進む。ここは、歩く人が少ないので苔が覆う石畳道で、ずっと行けば十八份へと続く。途中の竹林を過ぎたあたりで左に行く道をとる。この辺りの道は、ボランティアのつけた道しるべがある。急な滑りやすい坂をずっと下っていくと、頂湖の民家前に出る。
中正山歩道
中正山歩道から七星山を見る
歩道入口についた
舗装路の対面からまた山道
石畳道が続く
竹林を過ぎてすぐ左の道へ曲がる
ここで左に取る
急坂を注意深く下る
頂湖の集落の間を湖山路に下る。バス停があるので、もし疲れたらバスで下山可能だ。バス停脇の道を進み、頂湖土地公へと着く。左の道を行きそこから始まる鼎筆橋步道を下る。通行者があまり多くないが、石段の良い道である。下りきると陽投公路(紗帽路)にでる。ここにもバス停があるので、バスでの下山も可能。左にとり車道を進む。分岐で左に湖底路を登り、半嶺步道入口の道標で左に歩道を登っていく。車道をまたぎ、さらに歩道を行くと車道が横切る最高点を越える。

頂湖バス停
頂湖土地公近くから降りてきた山をふりかえる
頂湖土地公
鼎筆橋步道を下る
陽投公路に降りる
ここから半嶺步道を歩く
半嶺步道の最高点
ここからは、同じ半嶺步道だがずっと下りだ。石段道を下っていくと車が駐車できる広場がある。簡易トイレブースもおいてある。広場を突っ切りさらに歩道を進む。道はコンクリート舗装の部分が多い。水路わきを行き、中山北路七段219巷の登山口に降りる。山道は終わり、ここから車道をずっと下っていく。天母上部の住宅地が現れる。その中を進み中山北路七段のロータリー(圓環)が見えれば歩きは終わりだ。バス停はロータリーのすぐ下だ。

半嶺步道はここから下り一方
途中の広場にお手洗い
水路沿いに下る
リノベーションされた土地公
半嶺步道もあとわずか
歩いた山がすでに遠い
天母中山北路七段バス停
反対方向に歩くことは勿論できるが、山頂までの距離が長くなり、ちょっとうんざりするかもしれない。

アクセス :
MRT復興駅から歩き始めるので、行きは簡単である。下山後については、上記文中にもあるように、途中頂湖などから小8番、小9番などのバスでの下山もできる。天母まで歩き終えて降りれば、多くのバス路線があるので、MRT石牌駅や士林駅へと行ける。

装備 :
荷重訓練であれば、いろいろと持っていけるが、途中での問題があればすぐに対応できるように荷重に水を使うのも一つの方法である。バテたらその場で水を捨てればよい。その他は季節に応じて、衣服などを対応するが、一般的な日帰り装備は必要だ。夏は暑いので、盛夏期はあまりお勧めしない。