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北宜公路小格頭雲海國小から北側烏塗窟へと縦走 |
台北近郊の山々には多くの茶畑がある。その中で台北から宜蘭へとつながる山越え道北宜公路はお茶の故郷大坪を通り過ぎて行く。その付近や台北に近い山は、バスでのアクセスができる良い山登りの対象である。初めて台湾を訪れて、登るような山ではないが、台北盆地周辺の山々を歩いたあと、ちょっと別の地域の山を歩いてみたい、というようなハイカーにとっては面白いルートである。山道は、ボランティアグループによってメンテされるような道で、道整備後しばらくたつと、草が多くなる。ただ、ここで紹介するルートは、ススキが道を防ぐような場所は少ないので、ルートガイドとして紹介する。
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台北の南東にある |
登山対象:
ルート台北MRT新店駅→(緑12番バス)→雲海國小バス停→(25分)→雲海山→(40分)→風露嘴(山)→(45分)→粗坑崙→(25分)→月扇湖1號民宅→(25分)→月扇湖山登山口→(10分)→月扇湖山→(25分)→大峭壁→(60分)→烏塗窟51號民宅→(10分)→烏塗窟バス停→(666番バス)→MRT木柵駅 歩行時間約4時間半(休憩含まず)約7㎞ 上昇300m 下降670m コース定数15
逆方向烏塗窟から月扇湖山へ登った記録は
こちら。
雲海山
名前だけをみると高い山のように感じるが、標高は580mの低山である。すぐ南に台北の水瓶翡翠水庫ダムがある。山頂周囲は樹木に囲まれ、残念ながらダムなどの景観はない。雲海国小(小学校)校庭脇から雲福歩道に入り、石畳が切れて土の山道をしばらく登ると山頂につく。雲海国小は、新北市の中では一番高いところにある小学校で、山中の静かなたたずまいの学校である。
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雲海山山頂 |
風露嘴(山)山をかっこでくくっているのは、実は山頂ではなく稜線上の基石があるだけの地点であるからだ。標高は550mである。ここから歩いて3,4分で北宜公路にでる。その地点の地名が風露嘴で、そこからの命名だ。北宜公路上に緑12番バスの風露嘴バス停がある。
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風露嘴基石 |
粗坑崙標高688mの樹木に囲まれた山頂の山である。その山腹には茶畑があり、そのわきからは周囲の展望ができる。新店から坪林へと続く北宜公路は、この山の西鞍部である風露嘴から南に回り込み当座山腹を東へと進んでいく。台湾には粗坑の名を冠した山や地名が多い。粗坑とは、おそらく石がゴロゴロしたようは沢或いはから沢を意味している。それ以外に小粗坑や大粗坑という地名も多い。
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粗坑崙山頂 |
月扇湖山月扇湖山の月扇湖は近くにある地名である。付近の民家も月扇湖の住所となっている。稜線から少し外れたところにある、標高583mの三角ピークで目立つ。山頂から伸びる稜線下には大きな岩壁があり、そこを歩く歩道がある。一方、稜線上を行く道もある。かなり岩が露出したところがあり、そこにはボランティアによるロープが多く取り付けられ、通行の安全に供している。当座の東麓を行く四分子古道には、石炭からコークスを造った窯の遺跡がある。
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月扇湖山 |
コース概要:MRT新店駅の改札口を出ると、コンコースがある。ここは臨時店が出てたりするが、その一番奥、トイレの近くに緑12番バスの乗場がある。緑12番バスは、本数が少ないのでかなり混む。特に休日などは、発車前の2,30分前にはすでに長い行列ができる。北宜公路を行くこと約30分で雲海國小バス停だ。
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発車15分前ですでに長蛇の列 |
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雲海国小バス停と校門 |
小学校は、山の中腹にある。バス停脇の校門から長い階段が校舎と校庭へと続く。平日は授業が行われているので、この階段ではなく少し台北側に戻ったところから分岐する道を進む。舗装された道を登ること約数分で小学校の校庭脇につく。そこに雲福步道の入口がある。
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小学校わきの道標が示す道を登る |
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舗装路終点の雲海國小校門 |
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校庭脇に雲福步道口 |
石段の歩道を登ると分岐がある。右にとり少し行くと石段が終了し、土の山道になる。尾根上の山道を少し登ると雲海山山頂だ。山頂から下り、また登り返す。道はそこそこはっきりしている。尾根上の道は小さな上り下りが続く。十数分歩くと森がきれてカヤの草むらにはいる。草の間の踏み跡は明瞭なので、問題ない。その先少し登ると茶畑脇にでる。視界が開け、
筆架山や
皇帝殿山、さらにその遠くの
四分尾山などが望める。
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校庭脇の雲福歩道入口 |
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石畳道はこの先で終わる |
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雲海山山頂 |
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道には倒木 |
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茶畑から広い範囲が望める |
尾根上の道は起伏を越え、左に大きなステンレス水槽が現れ少し下ると、風露嘴(山)の基石が鞍部にある。その先少しで、尾根道は終了し北宜公路に飛び出る。左に曲がり少しいくと北47-1県道とのT字路がある。T字路右にある屋根のある坂道を登り、土地公祠に着く前の階段を登る。そこはそこそこ広い湖亭園だ。雲海國小から歩き始めて約1時間ほどなので、休憩するとよい。
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尾根上の道を進む |
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ステンレス水タンク |
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北宜公路に出る |
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右の屋根付き階段を登る |
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広い涼亭 |
粗坑崙への道は涼亭の脇から始まる。階段を登り、土の山道が始まる。ここは、2、3カ月ほど前に整備されたので、急坂にはまだ新しいロープが取り付けれられている。急坂を登り切り、少し緩やかになった道を行くと、また急坂を登る。登りきると粗坑崙山頂だ。山頂は、周囲は樹木とシダ類で囲まれて、展望はない。
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涼亭脇の階段を登る |
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急坂を登る |
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しばし緩やかな道 |
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山頂下の急坂 |
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粗坑崙山頂 |
山頂のほんの少し先に分岐がある。直進すると坪林へと延びる稜線を行く。分岐は左にとり急坂を下る。下ること数分で、右へ山腹を行く道になる。そのうち道幅が広まる。以前の保甲路のようだ。一部杉林も過ぎる。起伏が少なく気持ちのよい道である。山頂から歩くこと約30分足らずで、月扇湖1號民家の脇にでる。
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分岐を左にとり下る |
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急坂を下る |
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急坂もそろそろ終わる |
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平らな山腹道 |
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気持ちよい保甲路 |
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民家脇へ降りる |
民家へと登ってきている舗装路を少し下り、また右に山道をとる。少し行くと、左の農地の向こうに顕著な三角ピーク月扇湖山が近い。さらに緩やかな道をいくと、坂道になり下りきって北47-1県道に降りる。民家から約15分ほどだ。舗装路は左に曲がり、少し登り気味に行く。10分ほどで四分古道入口とその少し先の月扇湖山登山口がある。月扇湖山へは、山腹を巻いていき直登する道と、直接山頂へと急坂を行く二つの道がある。
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また山腹の道を行く |
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ここも幅広のよい道 |
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北47-1県道に出る |
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県道をしばらく進む |
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四分子古道入口 |
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月扇湖山登山口 |
後者の直接山頂への急坂道を取り、登ること10分足らずで山頂だ。そこそこ広く平らな山頂は、草が刈られてよい休憩点である。展望は一部樹木が少ないところから見えるが、あまり望めない。下山は、急坂で始まる。すぐに右に先ほどのもう一つの山道との分岐を過ぎる。道は岩が露出する狭い尾根を急坂で下っていく。約20分の下りで、分岐が現れる。左は稜線を行く道、右は稜線下の岩壁を行く道だ。
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月扇湖山山頂へ急坂を登る |
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月扇湖山山頂 |
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急坂を行く |
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ロープが長く続く |
右にとり少し下ると、白壁の岩壁道が始まる。このような岩壁道は、台北近郊の他の山でもあるが、ここはとても長い。おおむね下りの岩壁道を15分ほどいくと、岩壁は終わり右に道を分岐する。ここを下っても四分子古道へと降り、烏塗窟へと下れるが、直進する。道は尾根上を追っていく。
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稜線道と岩壁道の分岐 |
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大岩壁の始まり |
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オーバーハングの下を進む |
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岩壁終了後の分岐 |
尾根道最後のセクションもかなり急坂が続く。下ること約40分、月扇湖山の山すそをトラバースしてくる四分子古道と合流する。左にとり少し行くと、平らな場所がある。その奥には台松炭鉱の廃棄坑道が口を開く。さらに古道を追って下り、最後に廃棄された炭鉱関連のレンガ建物をみてすぐ、烏塗窟51號民宅の民家脇で古道は終わる。
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急坂が続く |
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まだまだ続く |
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蜘蛛の巣のように張り巡らされたロープ |
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四分子古道との分岐点 |
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台松炭鉱廃棄坑道入口 |
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民家脇で古道は終わる |
ここから舗装路を行く。橋を渡り少し登って歩くこと約10分で烏塗窟の集落に入り、T字路のところに烏塗窟のバス停がある。ハイキングはこれで終了だ。666番バスは昼間は1時間に一本ほどの便数なので、先に時刻表を確認しておくとよい。また、集落脇の沢を橋で越えたところに公衆トイレがある。
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烏塗窟の集落に入る |
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バス停のあるT字路 |
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上の写真右の道を進んで橋を渡ったところにある公衆トイレ |
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666番バス |
アクセス:どちらの登山口もバスでアクセス可能だ。逆方向に歩くのも同じである。緑12番バス、666番バス、ともに台北市内から乗れるが、便数がそれほど多くないので事前に時刻表を確認しておくとよい。バス乗車時間は、緑12番が約30分、666番バスは木柵駅までだと約40分である。
装備:
一般的な日帰り登山装備で十分である。夏は台北近郊の登山がそうであるように、かなり暑いので水は十分に持っていくことをお勧めする。
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春と秋に多い大菁花(葉は藍染の原料) |