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反時計まわりに回遊するルート |
台北市の內湖區は、今やサイエンスパークや新興住宅で見違えるような変化を迎えた。しかしその奥の標高300メートル台の山には、まだ自然が残り半日で水際の道や滝、眺めのよい山頂や歴史を感じさせる蒋介石銅像が残る山頂など、台北を訪れて半日の時間があれば、近郊登山の醍醐味を味わえる。今回は、台湾を訪れた日本からの山友達が半日で訪れることができる場所を、このルートにもとめて一緒に歩いた。
筆者は、十三年前に台湾の山をしげく通うようになった当初にこの付近の山を巡った。それから時間が経ち、道の整備などが進んでさらに安心して歩けるルートになっている。そのような背景で、友人と歩いたルートをルートガイドとして記載する。
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台北の北東内湖区の山 |
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登山対象:
ルート
台北MRT内湖駅→內湖路三段60巷→(12分)→碧湖步道口→(25分)→梘頭山→(10分)→藍鵲亭→(8分)→新福本坑(碧湖步道口)→全台葉姓祖廟→(5分)→圓覺寺步道口→(20分)→圓覺瀑布→(15分)→圓覺寺→(20分)→圓覺尖→(25分)→白石湖吊橋→(10分)→碧山巖→(15分)→忠勇山→(35分)→金龍寺 3時間20分(休憩を含まない)約7㎞、登り約310m、コース定数12
碧湖步道
台北市政府がメンテする親山歩道(山を親しむ道)であり、ほぼ全長にわたり石畳が敷かれている。鯉魚山の南すそ野を巻いて内湖路三段60巷と大溝溪の谷間とをつないでいる。途中から土の道で梘頭山山頂へ往復できる。山頂は木々に囲まれ展望はない。峠の部分には藍鵲亭あずま屋があり、休憩できる。大溝溪側の登山口には、新福本坑というトンネルが設けられ、過去内湖区にあった炭鉱の様子を再現している。なお内湖区には碧湖という大池があるが、当歩道はこの湖とは違う場所である。
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住宅地の脇からスタートする碧湖步道 |
全台葉姓祖廟碧湖步道の大溝溪側入口のすぐそばにある、鯉魚山を背後にした大きな廟である。葉姓祖廟とは、葉の姓を名乗る人全員の祖先を祭る廟ということである。日本人も祖先を祭る風習があるが、それよりも強いとおもぅ。華人の姓氏は日本人に比べるとはるかに少ない。同じ姓は同じ家族から発生している、とう考えであり、昔ほどではないが同姓同士は結婚しないという風習もある。登山口の脇には門があり、車は入れないが歩行者は小門から入れる。
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大きな規模の葉姓祖廟 |
圓覺寺步道台北市がメンテする親山歩道である。台北大縦走の第四段の一部に指定されている。大溝溪の谷間を行く道で、道脇には地層や生態についての説明板などがある。途中には圓覺瀑布があり、その手前には休憩用にあずま屋などが設けられている。圓覺瀑布を見ると道は沢から離れ、山腹にとりついて急坂を登る。登り切ったところが、圓覺寺である。
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沢沿いに進む歩道 |
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圓覺寺境内の端にある歩道案内図と標識石塊 |
圓覺尖 圓覺寺の上に聳える標高292mの山峰である。山頂は岩が露出し南側の展望ができる。空気の澄んだ晴天であれば、台北盆地やその周りを囲む山並みまで望める。登山道は、圓覺寺歩道が終ったすぐ右に登る土の道である。この道は親山歩道ではないが、常に多く歩かれ、またボランティアによるロープが設置され、前半は急坂だが問題ない。送電鉄塔まで登ると、そこから先は保線路なので、電力会社によりメンテされている。山頂は二番目の鉄塔脇から往復する。
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圓覺尖山頂 |
白石湖吊橋農業観光振興のために2010年に架設された全長116mの吊橋である。いちご園などが付近にあり、家族連れの遊楽客が多く訪れる。
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白石湖吊橋 |
碧山巖18世紀後半に開山された、中国本土からの移民である福建漳州後裔の守り神陳元光を祭る道教の廟である。その後何度か改増築され、今日の姿となっている。焼香客の絶えない古拙である。鯉魚山と忠勇山の鞍部近くにあり、廟脇の展望テラスからは台北盆地の広い範囲を望める。上記の圓覺寺は、約100年前に開山された仏教寺院であり、碧山巖の近くでもある。
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碧山巖 |
忠勇山蔣介石の銅像が立つ山頂の山は、台北盆地を囲む山の一つである。碧山巖から稜線を行く、或いは金龍寺側から長い階段道を登り山頂に行く。もう一つ大崙前山方向から稜線をやってくることも可能だ。山頂には、スタンプラリーの台やいくつかのあずま屋がある。標高310mの山頂は樹木が育ち展望はそれほど望めない。
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蒋介石銅像がたつ忠勇山山頂(2020/1撮影) |
コース概要:MRT内湖駅の第一出口から出て北側に進む。金龍路を渡り碧湖步道を示す道しるべに従い内湖路三段60巷を行く。途中左に大きな土地公廟のある公園をみて間もなく、右に碧湖步道入口がある。大きな入口看板があるので、見逃すことはないだろう。トイレは駅か途中の土地公廟にある。
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內湖路三段60巷、左の建物角に道標 |
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公園の角に土地公がある、右遠くの山は鯉魚山 |
歩道は緩やかに山腹を登っていく。途中石段もある。5分ほど行くと、民家の前を通り方向を180度換えて山腹を登っていく。しばらく進むと、右に土の道が分岐する。梘頭山山頂(標高81m)の小さな山頂は、分岐から登りきると現れる。往復は数分もあれば十分だ。特に訪れずに、そのまま碧湖歩道をすすんでもよい。
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石畳の碧湖步道 |
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民家前の階段が続く |
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道脇に石炭運搬トロッコ複製品 |
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右に梘頭山への土道が分岐 |
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梘頭山への道 |
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梘頭山山頂 |
ゆやかな道をさらに進むこと3,4分で右に藍鵲亭への道が分岐する。ほんのちょっとで着くので、駅からずっと歩いてきて一休みによい。藍鵲(本文末尾に写真)とは、台湾の国鳥になっているからだが青い鳥で、家族を構成し暮らしている。台湾の低山で多く見かける。
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引き続き緩い坂を登る |
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藍鵲亭 |
藍鵲亭が、碧湖歩道の最高点でその先下り坂となる。途中、現在の石畳道ができる前の歩道がすぐわきを行くような場所を通り、前方に坑道入口を模したトンネル新福本坑やトロッコレールを見ると歩道は終わりだ。橋を渡り入口の看板を見る。入口のすぐわきは葉姓祖廟の入口だ。私有地という表示があるが、山門前の広場を横切ることは問題なく、進んでいく。下って圓覺寺歩道の入口に来る。
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三本の道が並行していく |
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新福本坑のトンネルと手前の説明板 |
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碧湖步道説明板 |
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歩道入口とすぐ右に葉姓祖廟 |
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葉姓祖廟の前を横切っていく |
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下って圓覺寺步道入口へ |
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圓覺寺步道入口 |
歩道は大溝溪の右岸を進む。ここも石畳の道で、右下の谷はちょっとした渓谷の様相を呈する。歩道入口から3,4分で左に
鯉魚山步道が分岐する。この歩道を登って鯉魚山を越していくと、碧山巖の下で合流する。そのまま圓覺寺歩道の緩い坂道を行くと、小橋を越えて右にいくつかのあずま屋がある圓覺瀑布展望台の広場に出る。ここで一休みもよい。
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大溝溪右岸を行く歩道 |
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鯉魚山への分岐 |
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道脇に地層解説板 |
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園覺瀑布脇の休憩場所 |
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園覺瀑布 |
圓覺寺歩道は、滝のところから沢沿いをはなれ急階段で高度を稼いでいく。登り切ったところが、圓覺寺境内の端でそこから圓覺尖への土の道が分岐する。ロープもある急な坂を登ること数分で、尾根に上がり送電鉄塔を見る。道はそこから山の右側を巻いて進み、二番目の鉄塔にでる。圓覺尖へは鉄塔左脇の細い道を少し行くと、大きな岩の山頂に着く。
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急階段を登る |
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左に園覺尖への道 |
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ロープの急坂 |
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初めの送電鉄塔で稜線に上がる |
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二番目の送電鉄塔 |
それほど大きくない山頂は、南側が開けて展望ができる。往路を鉄塔にもどり、つづら折りの保線路を下る。下りきったところは、土地公である。土地公手前の碧山路を左に馬丁農場ぞいに少し下ると、白石湖吊橋への道標がある。分岐で右にとって下っていく。民家をみて、そのすぐ前の右へ登る道を登り、その先左へ吊橋へと続く春秋歩道を進む。春秋歩道は三、四分で吊橋のたもとに出る。
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大石の山頂 |
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山頂からの展望 |
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碧山巖と忠勇山 |
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土地公脇に降りる |
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土地公脇の道標 |
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馬丁農場の塀 |
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碧山路上の道標 |
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家族づれ遊楽客の行く春秋歩道 |
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白石湖吊橋 |
吊橋を渡った対岸の左は大きな駐車場で、その右に碧山巖の山門がある。山門をくぐり、左に公衆トイレを見ると石段道が始まる。登り切ったところは碧山巖の入口である。右に供物を洗うための流し台を見て、主要な建物で囲まれた境内に入る。左側が展望テラスで、101ビルなど広く景色を望める。流し台の脇には飲水機があるので、ここで水補給もできる。また境内にはトイレもある。
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吊橋の説明板 |
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碧山巖山門 |
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左に公衆トイレ、石段を登る |
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碧山巖境内 |
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境内の洗い場、飲水機 |
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展望テラスからのパノラマ(2020/1撮影) |
境内をでてすぐ左に、忠勇山への道が始まる。平らな道を少しいくと、長い直線的な階段道が始まる。途中涼亭を通り過ぎ、登りきると忠勇山山頂だ。銅像が中心にたち、その周りで休憩ができる。
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碧山巖をでてすぐ左に行く |
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涼亭を抜ける |
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長い石段道 |
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蒋介石象 |
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山頂の樹木切れ間から望む大崙尾山/大崙頭山方向のパノラマ |
山頂からは、大崙尾山方向への道があるが、左に金龍寺方向へ下る。約1200段の長い急な石段道である。上りにとるとけっこうきついだろう。途中で方向を左へ90度換え下りきると、普佛祖慈聖宮があり、舗装路が始まる。舗装路を行き、大きな白い観音像が立つ金龍禪寺のところから、沢ぞいに行く歩道を下る。舗装路をそのまま下って行ってもよいが、車の往来があるので、歩道を進むことを勧める。
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長い石段の下り道 |
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なかなか終わらない |
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歩道案内板 |
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金龍禪寺 |
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沢沿いの歩道 |
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歩道終点、上部遠くに碧山巖 |
下りきったところにも道しるべがある。そのまま道なりに進み金龍路にでる。対面の金龍寺バス停でバスに乗る、或いは金龍路をさらに歩いてMRT内湖駅へ戻っても良い。約1㎞、15分ほどの距離である。
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金龍寺バス停 |
アクセス:MRT内湖駅或いは金龍寺バス停が登山口最寄りの交通機関である。ともに市内交通で便利である。後者のバス停は、多くのバス路線が通るので、目的地に応じて乗車できる。
装備:
半日の近郊低山ルートなので、行動食や水、また季節に応じて暑さ寒さに対する服装や装備などで十分である。ロープセクションが少しあるので、手袋があったほうがよい。水は上記のように、途中での補給もできる。登山口への途中にはコンビニもあるので、登り始める前に食料飲料など購買できる。
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台灣藍鵲 |
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