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2024-02-15

2024年2月3日 苗栗南庄 橫屏背山 - 茶園坪山縱走

田美からの登りで見る橫屏背山
苗栗縣南庄は、かつての炭鉱の街である。炭鉱は閉鎖され久しいが、今は当時の街並みが残る観光地として賑わいを取り戻している。登山者にとっては、その奥に多くある人気の山、加里山などを含む多くの山への往復に通り過ぎる街でもあり、馴染みがある。筆者も、いままで何度もこの街をおとずれ、観光もまた登山の際に食事をとる場所としても馴染みが深い。今回の山行は、通過するのではなく、その背後にある標高779mの橫屏背山を訪れ、南庄老街へと下山した。

北から南へ縦走
今回のコースは、南庄の手前田美集落から橫屏背山を登り、稜線を東村山、茶園坪山へと下る稜線を追って南庄老街の直上に出た。集落から橫屏背山へは、かなり上まで舗装された産業道路が続く。その先は、かつてしっかり整備された登山道があり、また山頂には展望台が設けられていた。しかし、これらが造作された後メンテされることがなく、また登山者も少ないため、かなり荒廃していた。残念なことに、このような予算を投じて登山道整備をしたはよいが、その後放置されるケースが後を絶たない。税金の無駄遣いである。明確な事前調査を怠り、また的確な公知宣伝活動をしたのか、疑いたくなる。稜線上の道は、予想に反してかなり多く歩かれ、明瞭であった。意外であった。

橫屏背山山頂

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自強號竹南駅到着
苗栗客運5806番バス、右背後に竹南駅

台北駅を6時半の自強号急行列車で、竹南駅へ向かう。7時55分到着し、駅舎二階の改札口前で参加者全員が集合する。今日は都合13名である。すぐに東口を出て、そのすぐ近くの苗栗客運の竹南東站へ向かう。橫屏背山へはもう一パーティも向かうようで、同じく竹南東站で並ぶ。ただ、彼らは田美ではなく南庄へ行くので、5805A台湾好行バス停へと移動する。我々は、台湾好行バスが停まらない田美変電所バス停で下車するので、間もなくやってきた5806番バスに乗車する。

田美変電所バス停

集落の向こうに橫屏背山

各バス停に立ち寄る5806番バスは、9時3分田美変電所バス停についた。下車して間もなく竹南を15分ほど後に発車した急行とでもいう5805Aバスが、我々を下ろした5806番バスを追い越していった。竹南はどんよりとした曇り空であったが、ここは青空が広がる。今日の天気は大丈夫のようだ。9時11分、やってきた方向に少し戻り、右に折れて坂を登り始める。登るにつれ、何軒かの民家脇を過ぎ、遠くに橫屏背山が見えてくる。

金柑をいただく
歩き始めて十数分上がってくると、脇の民家住民が裏庭の金柑を採っていっても良いという。みんな言葉に甘えて、さっそく収穫する。袋に詰めるメンバーもいる。金柑はみずみずしくおいしい。最近の山行は、前回も下山途中で大根を現地農民からもらった。その前もミカンなど、思いがけない好意を受けている。

急な上り坂
道脇の山桜が満開
さらに数分登ると、集落は終わり急な坂道が始まる。ほぼ直線的に登る急坂道は、かなりつらい。天気が良いのも相まって汗が流れる。途中小休止をし、さらに登り桜並木が現れると、間もなく舗装路は終わる。田美のバス停から約1時間の行程であった。付近は寒緋桜(台湾原種山桜)が多く植えられ、ちょうど満開だ。その中の一本は、純白の花を咲かせている珍しいものだ。平らな樹木が植わる場所の端から北を見ると、獅頭山と猿山が足元に近い。

純白の山桜
桜のむこうは獅頭山
山道入口
10時半、山道を登り始める。苗栗縣消防隊の救援連絡番号札1番が取り付けられている。何年か前の登山道整備の時につけられたものだろう。しかし少し進むと、道はかなりあれている。重なる倒木に遭遇する。その昔林業が盛んだった時のものと思われる事務所宿舎跡の平らな段丘では、道筋がわかりにくい。

土留壁のある台地、過去の林業時代のものか
草に埋もれた道
草に埋もれる踏み跡を登ること数分、足元にはアルミ製の踏板を利用した階段が始まる。これだけ数量のアルミ板は、そこそこの金額であろう。つづら折れ状の道を行くと、トゲトゲの黃藤が邪魔をする。鎌を取り出し刈り取る。さらに草に埋もれたアルミ板階段を登っていくと、半分腐って壊れた木製欄干が続く。11時8分、左に炭焼き窯跡と思われる大きな穴を見てすぐに稜線上の道と合流する。

アルミ製の階段板
厄介な倒木
トゲトゲの黃藤
朽ちた木製手すり
炭焼き鎌跡

稜線上の分岐
杉林を登る
意外なことに稜線の道はかなりよい。おそらく東河集落方向から訪れる登山者が多いのだろう。右に折れて稜線を進む。途中また半壊の木製手すりを見て、11時20分橫屏背山山頂に着いた。頂上の三角点石の番号は、何と1111番である。山頂の東側の樹木が刈られて視界がっ開け、鵝公髻山の大きな山容が鎮座している。その左下の方には五指山も判別できる。山頂で昼食休憩をとる。

救助札10番
獅頭山と猿山(右)のパノラマ
橫屏背山山頂から望む鵝公髻山と五指山(左端)
1111番の三角点石
食事中に、南庄方向からの登山者パーティがやってくる。12時6分、稜線を歩き始める。すぐに半壊の展望台と、林業時代の建物を見る。展望台からは、本来かなりの範囲が見えたのだろうが、今は半壊状態で尚且つ樹木が育ったので、それほどは見えないだろう。稜線道は、基本下りだが、ところどころピークを越えていく。すぐに左に下っていく道を分岐する。この道も草深い。

半壊の展望台と家屋
杉林を下る
踏み跡ははっきりしている。しかし急坂でも、台北付近の山のようなロープはないので、足元に神経を集中して下る必要がある。登り返して12時37分、橫屏背山南峰(標高675m)に着く。さらに稜線を追っていく。途中、右が少し視界が開けた場所を過ぎる。朝出発した田美方向の麓が見える。13時16分、東村山山頂(標高582m)に着いた。

橫屏背山南峰山頂
滑りやすい急坂
東村山山頂

大石の下り坂
野生動物撮影カメラ
古い道しるべ
引き続き下っていく。砂岩の塊がいくつかある急坂を注意深く下る。尾根幅が広がり、道脇に野生動物の自動撮影するカメラが取り付けられている。13時49分、古い道しるべを左に曲がって下り数分行くと、急に樹木が無くなり左下に開けた場所と民家が見える。その先また森の中を下り、先ほど上から見ていた広場に出る。民家はすでに住人が去って久しいようだ。入口に着けられた飾りはまだ鮮やかだ。

左下に民家が見える
廃棄された民家
ここで左の山道をとる
民家から先は、広い土の道になる。今は廃屋の住人が使用していたものだろう。山襞をぬっていく道を行くこと数分、左に山道入口を見る。この道をとり少し登っていく。14時18分、今日の最後のピーク茶園坪山(標高320m)に着いた。樹木に囲まれた狭い山頂で、茶園とはおよそ縁がない。




枝のトンネル

茶園屏山山頂

茶園坪歩道


山道をさらに追って数分、広い茶園遊歩道にでる。左に曲がり下っていく。14時44分、南庄老街の最上部民家が現れ、すぐに右下に小学校が見える。道なりに進んでいくと、遊楽客が散歩している。道脇の家々も喫茶店や土産物屋に改装され、いよいよ観光地に入ってきた感じだ。15時少しまえ、ビジターセンター前のバス停に着いた。

南庄國小
5808Aバス
15時25分発の5805Aバスで帰途に着く。途中頭份の人気牛肉麵店に立ち寄り食事をした後、竹南駅へと歩く。大きな住宅開発が進行中で、新竹周辺のサイエンスパークを中心としたハイテク産業の展開を感じる。18時29分発の区間電車に乗車し、約二時間で台北に帰りついた。

頭份牛肉麵店
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大きな鳥居のアーケード入口、背後は新開発住宅地区
活動時間5時間50分、約8㎞、総上昇615m、下降569m、コース定数は19だ。ネット上の情報があまりなく、道の状態は良くないかと想定していたが、多くのハイカーに出会った。前半の田美からの道は良くなく、鎌をもちだしたが、その後は問題なかった。多くのハイカーは、南庄からの往復のようだ。天気が良く、山桜や梅の花々を見ることができ、思いのほか良い山行であった。

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