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南側から北へ |
冬の晴れ間の台湾北部低山は、実によいハイキングの目的地である。前回紹介した
坪林三星の北勢溪南岸に連なる山々を超えていくルートも、茶畑を見て進むところがある。また、この稜線の一部は、ここ数年間注目を浴びている淡蘭古道の三ルートの一つ南ルートの一部となっている。筆者は、十数年前にはじめて訪れて以来、何度かこの稜線を歩いた。今はだいぶ整備も行き届き、一般的なハイキングルートとしても十分に紹介できるようになっている。前回に
ガイドとして紹介した北宜公路の山粗坑崙月扇湖山の近くでもある。このガイドの山々と合わせて、歩くのもよい。たとえば、
粗坑崙~獵貍尖~烏窟子山や
月扇湖山~獵貍尖~黃櫸皮寮山などである。
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赤線が当ガイドルート、青線、緑線は付近の以前紹介ガイドルート |
淡蘭古道は、
いろいろな紹介があるのでルートガイドでは特に取り上げないが、個々に存在してる古道を、台北から宜蘭へと続く長距離トレールとしてまとめ整理されたルートである。筆者は、淡蘭古道としてまとまられる前にそれら個々の古道は歩いているので、淡蘭古道としてその全行程を一度に歩くことはしていない。当ガイドでの淡蘭古道南線は、北、中、南とある三つのルートの南線の一部になる。
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鉄塔があるのが獵貍尖、その右手前に烏窟子山へ稜線が伸びる |
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登山対象:
ルート
台北MRT新店駅→(923公車 約40分)→坪林バス停→(8分)→水柳腳步道入口→(15分)→展望台涼亭→(40分)→烏窟子山登山口→(15分)→烏窟子山→(60分)→淡蘭古道分岐→(30分)→獵貍尖→(30分)→四分子古道分岐→(25分)→古道出口→(舗装路及四分子古道 60分)→烏塗窟バス停→(666公車)→木柵等台北市内
4時間45分(休憩時間含まず)約9.5㎞ 累計上昇620m 下降680m コース定数19
坪林
以前のガイドで紹介しているので、そちらを参照
水柳腳步道
地元政府が整備したハイキング道である。水柳腳とは土地の名前である。その昔は柳が多かったということだが、今はない。上記坪林老街の近くから歩道が始まる。入口には表示があるのでわかる。民家の前を通るので、ちょっと戸惑うが、道筋を追っていくと山にとりつく。急な登りが始まり、鉄製構造の階段を過ぎる。登りきると涼亭があり、天気が良ければ坪林の街や坪林三星の山々など、広い景色が広がる。この歩道は、坪林の高速道路よりにある観音像からの道へとつながる。
この登山歩道は、本来上部の烏窟子山へと続くもので、階段があったようだが、今は補修されていない。この部分はボランティアによる整備である。
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坪林老街近くの水柳腳步道入口表示 |
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展望涼亭 |
烏窟子山二格山方向から北宜公路がその脇を通る山脈の最東にある山峰である。山頂はかなり尖っているが、周囲は茶畑に囲まれている。標高448mの山頂には説明板がある。樹木に囲まれて山頂からはあまり展望ができないが、すぐ下の茶畑からは広い範囲が望める。
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烏窟子山山頂 |
獵貍尖(樹梅嶺山)頂上に送電鉄塔がたっている標高706mの山峰である。山頂には展望台と涼亭が設置されている。この山も周辺に茶畑があり、樹木も少ない展望からは広い展望ができる。空気が澄んでいれば、北側に台北の街やその後ろの陽明山山系や八里觀音山など、また南西方向遠くには逐鹿山・卡保山などをはじめとする插天山脈なども望める。宜蘭と新北市の境界である、阿玉山,大/小礁溪山などの連山も判別できる。台湾北部の山々のかなりを一望できる展望台である。当ガイドルート中での最高点でもある。
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獵貍尖山頂展望台 |
四分子古道(大格門保甲路)淡蘭古道の一部に指定されたので、道標も整備されている。道そのものは石段やコンクリート舗装されたよい道である。途中後に開かれた北47-1県道を横切る、近道的なものになっている。四分子古道の名称については、月扇湖山登山口わきから下り、コークス窯遺跡の跡を通り過ぎる部分を四分子古道とも称するので、ちょっと誤解をしないように。
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四分子古道入口(烏塗窟側) |
烏塗窟名前の由来は近くにある石炭の黒(閩南語=台湾語)から来ている。過去には近くに台松煤礦(炭鉱)が操業していた。現在は、山間のひなびた集落である。バスの終点地ともなっている。
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烏塗窟集落 |
コース概要:MRT新店駅から923番バスの終点坪林バス停へと向かう。新店駅からは北宜公路経由の緑12番バスも坪林バス停へ行くので、こちらでもよいが時間が少し多くかかる。バス停から老街のほうへ、小学校(坪林國小)や区役所の前を通って進む。その脇の道を行くと、水柳腳步道の表示がある。住宅の前の道を行くと、急な階段道が始まる。そのうち鉄製階段がある。設置後の補修が十分でなく、踏板に穴が開いているところもあるので注意。登りきると細いコンクリ歩道が現れ、右に曲がるとすぐに涼亭がある。下方が大きな茶畑で、よい展望台である。正面に坪林三星が大きい。
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区役所(區公所)わきを左に進む |
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急な階段道 |
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鉄製階段 |
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水柳腳步道説明板(対面に坪林三星の鬼子瀨尖) |
さらに整備された階段道を下って登り返すと、左に道が分岐する。直進すると観音像へと下る。左の山道をとり進む。2025年初にボランティアに整備され、しばらくは問題ない。ちょっと下って登り返すと、苗木が植えられた茶畑のわきを行き、また雑木林に入る。勾配が急になり、補助ロープなども現れる。登り切ったところから、右に下ると車道に降りる。車道を渡り、段々の茶畑の間を行き、その端のところから登っていく。開けた茶畑なので登るにつれ視界も広くなる。最後に雑木林に入り出ると、反対側の茶畑のわきでそれを登りきると烏窟子山山頂である。
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枕木道を進む |
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この分岐は左の山道へ、右は観音像へ下る |
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苗木の植えられた開墾地から坪林三星を望む |
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ロープの急坂を登る |
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登り切ったところから右の道へ |
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下って車道に降りる、対面が烏窟子山 |
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茶畑の間の道を進み、上部の畑のわきを登る |
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登り切った地点前方が山頂 |
山頂わきの道を下り、登ってきた反対側の斜面を下ってまた車道に降りる。右に車道を5分ほど進むと、土地公のすぐ先右上に民家がありその脇の道を登っていく。畑や雑木林の間を行くと、道は緩くなり広い茶畑の上に出る。茶畑の向こうには広い景色が広がる。道はまた雑木林に入り、道幅が狭くなって進む。道は斜面の南側から尾根を越えて北側へと回り込む。登り気味に行き、右に茶畑を見ると杉林に入る。その先に、淡蘭古道との分岐に出る。古道の道標がたっている。
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烏窟子山から下る |
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舗装路に降りる |
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この民家右わきの道を登る |
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茶畑の上から広い展望 |
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山腹を進む |
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淡蘭古道(右)との分岐 |
分岐から少し進むと、右にドアも車輪などもすべてはぎとられた車が捨てられている。それを過ぎるとすぐに車道にでる。左に登っていく。また茶畑が広がり、その上でまた分岐がある。淡蘭古道の道標は左を差している。実はここは右も左もどちらも獵貍尖へと続く。右は茶畑の間の道、左は山腹を行きその後右に登っていく。ここでは右にとって進む。そのうち階段が現れ、それを登りきると送電鉄塔がある。その下に獵貍尖基石があり、すぐ右は展望台だ。送電鉄塔や電線、また少しある草木がちょっと視界を遮るが、ここは360度の展望台である。
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廃棄車両 |
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茶畑のわきを登る |
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この分岐を右へ |
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この鉄塔の下が山頂 |
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山頂の基石 |
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台北の街と背後の觀音山 |
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翡翠水庫とその背後に插天山脈 |
獵貍尖山頂から少し下ると、右に急坂の山道が降りていく。この道をとって進む。下り切り、またちょっと登り返す。その先に淡蘭古道の分岐がある。稜線上の道をそのまま進むと大格門や粗坑崙方向へと進む。この分岐は右にとり進む。古道としての整備が行われ、手すりや自然工法による石段などが設けられている。杉林を下っていくと、沢音が聞こえそのうち竹47-1県道に出る。
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急坂を下る |
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稜線上を進む |
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稜線上の分岐を右に下る |
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杉林を下る |
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小沢を渡る |
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県道に出る |
県道をとり、下っていく。左が開け月扇湖山のピラミッドが顕著だ。家屋わきの下っていく道が四分古道であり、この道をとる。板石の橋(長壽橋)を渡り、入口から数分で福興宮土地公のわきの県道をまたぐ。福興宮は水や机いすもあるので、休ませてもらうのもよい。台湾の廟などは、一般に開放されているものが多い。
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左に月扇湖山 |
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民家脇から四分子古道に入る |
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板石の橋 |
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福興宮 |
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階段が続く |
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許家麵線店 |
さらに古道を下っていく。ほんの数分でまた県道に降りる。ここは少し県道を歩く。右に許家麵線のお店がある。ここで立ち寄って休憩してもよい。古道はさらに少し下ったところからまた始まる。このセクションは最後で、一番長く15分ほど下る。民家のわきで古道は終了だ。古ぼけた案内板がある。ここからは県道をずっと下っていく。通る車は少ない。左から月扇湖山や
台松煤礦のもとトロッコ道などからやってくる道と合流すると、終了点烏塗窟はすぐだ。
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ここからまた古道に入る |
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古道を下る |
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ここは直進 |
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古道出口(県道にでる) |
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烏塗窟バス停に到着 |
アクセス:坪林へはMRT新店駅から923番あるいは緑12番バスも同様につく。便数と時間を考えると923のほうが良い。一方666番バスは、昼間は一時間に一本ほどの頻度で、木柵駅までだと約40分である。逆ルートで行く場合は、666番バスは、同じ番号でも途中の石碇までは同じだが、最終地が烏塗窟以外に華梵大學や皇帝殿があるので、注意が必要。
装備:
一般の日帰り登山装備で十分である。ただ、交通時間や休みも含めると一日行程なので、季節や天候を考慮し水や行動食などもそれに合わせて持ってくことを勧める。沢渡りはほとんどない。ただ、土の道は長めの雨のあとは、ぬかるみもけっこうあるので、足回りには注意。時期的に夏は暑いので、あまりお勧めしない。
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