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三日間の行動軌跡図(下山ルート最初2.4Kは未記録) |
台湾3000m高山は、その数二百数十座をカウントし、日本の20数座に比べはるかに多い。九州ほどのサイズの島に、これだけの高山がひしめいているのは、一般の登山者にとって想像を超えるかもしれない。しかし、その存在は日本の山を多く歩き、ヒマラヤ、ヨーロッパアルプスあるいはその他海外の山を登った人でも認識が低い。それは、情報の偏りによる。筆者が十五年ほど前から、当ブログを通じて紹介してきた動機でもある。今回は、日本からの友人が訪れ、台湾の仲間と一緒に雪山山脈の重鎮大霸尖山(
標高3492m)とその付近の百岳三座を、山中二泊三日で歩いた。筆者が以前歩いた時に比べ、登山口までの公共交通も整備され、日本から訪れても比較的容易に歩くことができるようになった。ただ、登山口に前泊が必要なので、それを含むと四日になることには注意が必要だ。今まで、台北近郊の山のルートガイドを記したが、今回は高山のルートガイドとして記すことにする。
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中霸坪から見る大霸尖山(左)と小霸尖山、背後は雪山北峰/主峰 |
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登山対象:
ルート
第一日 觀霧山莊→大鹿林道東線0K→(5分)→0.3K公園管理所→(130分)→9.9K林道支線分岐→(70分)→14.5K東線瀑布→(35分)→17K分岐→(15分)→馬達拉溪登山口→(210分)→九九山莊宿泊 約8時間 約21㎞ 登坂1260m 下降590m コース定数34
第二日 九九山莊→(70分)→稜線加利山分岐→(85分)→伊澤山分岐→(20分)→中霸山屋→(70分)→大霸尖山→(90分)→小霸尖山往復→大霸尖山→(45分)→伊澤山分岐→(20分)→伊澤山往復→(65分)→加利山分岐→(60分)→加利山往復→(50分)→九九山莊宿泊 約10時間 約17㎞ 登坂下降各約1300m コース定数37
第三日 九九山莊→(140分)→馬達拉溪登山口→(260分)→大鹿林道東線0K→觀霧山莊バス停 約6時間半 登坂下降高度については第一日の逆、距離は同様 コース定数25
*上記所要時間は、休憩を含まず。距離や登攀高度などは、筆者の記録による。
大霸尖山
標高3492mの当座は、その独特な形状から世紀の奇峰と呼ばれてきた、山頂四方を切り立った岩壁で囲まれた山である。天気が良ければ、遠くは台北付近の山上からでもその特徴ある頂を望むことができる。現地のタイヤル族原住民の聖山でもある。そのこともあり、現在ではその頂まで登ることは、禁止されている。1927年に日本人により初登頂されて以来その岩壁を登る梯子、戦後は救国団などによる登山活動が盛んで金属桟道なども設けれられたが、その後1989年撤去されている。現在は、その頂をすぐ上に臨む登山道上に、登頂したことを表すための表示板があり、ほとんどの登山者はそこを訪れることで登ったことにしている。台湾の数ある高山の中で、五岳三尖という山が選ばれているが、その三尖の一座である。もちろん台湾百岳の一座である。台湾の500元紙幣の裏面には、当座が台湾最大の草食動物水鹿の背後に印刷されている。ちなみに1000元紙幣は、台湾最高峰玉山である。
1927年の初登頂は、まだ成立して間もない台湾山岳会のメンバーが中心で都合7名で登頂した。そのメンバーの中で日本での登山経験が豊富な沼井鉄太郎は、初登頂の一人だが登頂の際、その感激の余韻で南に聳える雪山主峰まで続く台湾の最高高度を誇る稜線を、聖なる稜線と称した。今日までの約100年間、当稜線はずっと聖稜線と呼ばれてきている。
小霸尖山
標高3418mの当座は、大霸尖山から派生する枝尾根上に、これまた四方を急な岸壁で囲まれた山頂を有する尖峰である。通常は、大霸尖山から南に延びる聖稜線の付け根から西に分岐し、そこから往復する。百岳の一座に数えられている。
伊澤山
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稜線上の登山道から望む伊澤山 |
過去には井澤山とも記される当座は、標高3297mの山頂を有する山である。日本の山岳でいえば、第二の高峰南アルプスの北岳とほぼ同等な高度である。緩やかな頂の当座は、実は現在の大鹿林道から登ってくる登山道が開設される前、主に日本時代には
境界山からここへ登ってきて大霸尖山へと向かっていた。百岳の一座である。
加利山
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加利山山頂(2017/9撮影) |
九九山莊から登ってくる道が稜線にたどり着いたところから登山道が分岐し、そのなだらかな尾根を西に進んだ先に位置する標高3112m山頂の山である。百岳の一座である。
中霸尖山
大霸尖山と鞍部を挟んで主稜線上に対峙する、標高3392mの山であるが、縦走路上通過点のすぐ上であまり注目は受けない。登頂する登山者は少ない。鎮西堡方面から馬洋山経由で登ってくる登山道(大霸尖山北稜ルート)が合流する地点中霸坪があり、またこの峰の西側山腹には中霸山屋(無人避難小屋)がある。なお大霸尖山北稜ルートは途中テント泊が必要で、経験者向けのルートである。
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中霸山屋 |
觀霧その名の通り霧が多く発生する場所で知られる。日本時代には、原住民語の地名モギリと呼ばれた。苗栗縣大湖や泰安(日本時代は上島と呼ばれた)温泉から、鹿場大山稜線沿いに開かれた警備道のモギリ駐在所があった場所である。その場所には現在、觀霧山莊が建てられている。戦後は、1964年に大鹿林道が開かれ林場として発展していく。ヒノキは標高1700mから2500mぐらいの、湿潤は山域によく育つ。霧がよく発生するこの地は、まさに最適な場所であった。1980年代までは林業の作業中心地であったが、台湾のほかの林場と同様に森林遊楽区と変身している。ビジターセンターや生態関連施設(サンショウウオ館)などが設けられている。
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觀霧山莊 高台の上に平屋の施設 |
大鹿林道大鹿林道は、その昔井上と呼ばれその後清泉と改名された温泉地から山にとりつき、高度を上げて觀霧へとつながる。この部分が本線で約27㎞、さらに觀霧から西線、東線(そして東線支線)が馬達拉溪の流域に延びている。本来は林業に供されたが、1980年代に伐採などの林業作業は終了し、現在は森林遊楽区となったので、基本は観光遊楽用として使用されている。東線は、大霸尖山の登山経路の一部として利用されている。過去は馬達拉溪登山口まで車両が使用されたそうだが、今は徒歩か自転車(電動自転車を含む)だけが通行許可されている。しっかりとメンテされているので、公用車などは通行している。
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林道の説明板 |
九九山莊 |
九九山屋入口(2017/9撮影) |
戦後林務局(現林務保育署)により新設された大霸尖山登山道の約4.1㎞地点にある、山小屋である。標高2699mなので九九という命名で、1971年に設置され、現在150名の収容人員である。いくつかの建物に別れ、そのうちの一つが管理及び食堂である。林務保育署の管理下にあり、管理人が常駐する。宿泊代は現在一日200元で、後述する雪霸國家公園の暫定入園許可が下りた後、代金を支払う。食事および寝具(寝袋)は、委託された業者が提供する。食事と寝具が必要な場合は、山荘予約とは別に後述する業者に直接連絡し対応が必要である。もちろん自炊や自己の寝袋を用意することもできる。
コース概要:
一日目
前日觀霧山莊に宿泊後、早朝から出発する。長い大鹿林道及びさらに4Kⅿで約900ⅿほどの高度を稼ぐ急登がまっているので、早く出発するに越したことはない。さらに夏では、午後ににわか雨の場合が多いので、なおさらである。季節に関わらず5時には出発することを勧める。山荘から少し行くと林道0Kの分岐がある。ここから林道歩きがスタートだ。数分進むと、左に国家公園の管理所(大霸尖山登山服務站)がある。時間が早いとまだ開いていないが、入口脇の入園許可証の投入ポストに入園証をいれればよい。許可書は登山開始日5日前から、PDFファイルをダウンロードできるので、それを印刷して持参する。
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大鹿林道東線0K起点 |
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公園管理所(帰路時に撮影) |
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入園許可書の例 |
林道は、おおむね標高1900mを中心とした高度を小さな登り下りしながら行く。はじめは少し下り気味に行く。道端には100mごとの里程標があるので、進捗を確認できる。ところどころ、自然環境などの説明版が取り付けられている。東線は全線未舗装であるが、メンテされているので状態はよい。台風や大雨のあとで土砂崩れなどが発生することもあるが、比較的早く回復されている。早朝で暗くても、道がよいのでヘッドランプなどで十分問題ない。
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0.4K林道ゲート、ここから先は一般車両通行禁止 |
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2Kキロポスト、100mごとに表示
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3.5K作業小屋とそのわきの休憩所 |
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林道わき説明版の一例 |
17㎞は、実に長いが休憩を適度にとり、歩を進めるとそれほど苦でもない。約3㎞おきごとに、石を利用して作った休憩所が現れるので、そのたびに休憩をとって進むとよい。筆者は、4~5㎞ほどのスピードで40~45分ほど歩いたあとに、この休憩所で休み歩を進めた。はじめの3.5Kと15K付近には、作業小屋があり雨の時などは、その中で休むこともできる。前者は、土間で後者は板張りの床がある。日本の林道でもそうだが、沢を越したりまた細い水が流れている場所が途中たくさん出てくるので、こうした水を利用することもできる。移動式簡易トイレが、途中4か所ほど設置されている。
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4.8K休憩所、簡易トイレも設置 |
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林道を横切る小沢の例(8.6K付近) |
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9.9K支線(左)分岐 |
9.9Kで左に支線を分ける。林道は、その一部は日本時代の警備道を拡張した部分や新設の部分がある。支線を登っていくと当時の
警備道跡に行ける。ただ、まったくメンテされていないので、警備道を伝ってのは現実的ではない。14.5K近くには、東線瀑布と呼ばれる、大きな滝が左に見え、橋でこの沢を越す。この滝を過ぎると道は、おおむね下り始め17K地点のヘアピンカーブの場所で、林道の近道となる急坂に入る。もちろん自転車で来た場合は、林道をそのまま下り終点に行くこともできる。その場合は全部で19Kmとなる。ロープもある急坂を下ると、林道終点の作業小屋前にでる。この小屋も内部に入り休憩することもできる。4~5時間の林道歩行のあと、小屋で長めの休憩をとり、その後の登山道に備えるのもよい。
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林道12.3K付近、ぬかるみも多い |
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自転車で林道を進む下山中の登山者 |
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東線瀑布 |
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15K地点の作業小屋 |
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17K地点、突当たりのところから近道が下る |
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急坂を下る |
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馬達拉溪登山口近くの作業小屋 |
小屋を見て左に少し進み、鉄製の橋を越えるといよいよ登山口である。以前の吊橋やコンクリ橋の残骸が見える。過去の大水で流され壊されたものである。吊橋橋脚のわきから、急登のつづら折れ道が始まる。大霸尖山まで約11㎞の登山道4.1K地点の九九山莊へは、落差900mほどある。つづら折れ道は約0.5Kで終了し、ベンチの並ぶ休憩所を過ぎる。このようなベンチのある場所が、そのあと2か所、1.5K地点までに出てくる。
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馬達拉溪を渡る |
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ここから山道にとりつく |
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はじめはつづら折れで山腹を登る
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0.5Kの初めのベンチ |
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0.9Kベンチ |
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杉人造林を進む |
登山道は、杉人造林の中を行き、また急坂にとりつく。2Kを過ぎる地点から、路上に比較的大きな石が目立ち始める。シャクナゲ林を過ぎ、その先にはヒノキ大木が並ぶ石の道が始まる。このヒノキは扁柏で、樹幹がまっすぐな経済価値の高い樹木である。その昔、日本に搬送され神社に使用されたのはこうした扁柏である。ちなみに台湾のヒノキはこの扁柏と紅檜(ベニヒ)の二種類のヒノキを指す。
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急坂が続く |
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九九山莊へのほぼ中間地点 |
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2.1Kシャクナゲ林を登る |
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扁柏原生林の道 |
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2.5K大石が転がる道 |
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勾配が緩くなってくる |
2.8Kを過ぎるあたりから、急坂は終わりまた林相も広葉樹林になる。道はしばらく緩い坂で、山腹を巻いていく。3.4K付近から、また坂がきつくなり最後の登りとなる。階段道で高度を上げ、道が少し下り気味になると、左に九九山莊が現れる。入口近くは、六角型のパオ式建物がたち、その先右に管理所がある。建物入口にある管理デスクで、管理人に身分証明を提示して確認入所手続きを行う。その後、宿泊指定場所に案内される。
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3K地点、あとわずか |
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山腹をトラバース |
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桟橋を渡る |
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3.5K最後の登りが始まる |
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階段の急坂道 |
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最後の頑張り |
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九九山莊に到着 |
食事は、もし業者に頼んでいる場合は、17時半ごろから始まる。お椀や箸など食器は自前で準備する。食堂は、管理所の隣奥である。トイレや更衣所は、さらに奥にある。トイレは、紙などは自分で持ち帰ることになっている。また、業者に寝袋を頼んでいる場合は、各自業者から受け取り使用する。宿泊所は、上下二段の床になっていて番号がふられているので、それに従い使用する。照明は20時には消灯される。最近は、携帯電話も近くに地上基地が増設されたので、小屋でも十分に使用することができる。小屋の電源は、照明用など公共のためなので、携帯などのための電源は各自パワーバンクを用意すること。水源は、沢から引いた水が使用できる。
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受付所 |
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宿泊棟に案内される |
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建物内部 |
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食堂内部 |
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食事はセルフサービス式 |
二日目小霸尖山まで往復し,伊澤山や加利山を訪れるのであれば、かなりの距離(約17㎞)と高度(約1300m)を登るので、早めに出発することを勧める。筆者は3時半、まだ暗いうちに出発した。業者の食事は2時半から対応するので、朝食については問題ない。山荘脇からすぐに急坂で高度を稼ぐ。未明でも、登山道はしっかりしているので、ヘッドランプでも十分問題ない。5.3Kを過ぎるあたりからは、森から抜け天気が良ければ台湾西海岸の街の灯火がよく見えるようになる。さらに山腹を登り、6K近くで稜線に上がる。ここは、標高約3120mで右に加利山への道が分岐する。
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ヘッドランプで登る、5K地点 |
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西海岸都市の灯火が見える |
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明けの明星 |
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だいぶ高度が上がった、5.9K地点 |
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稜線上の加利山分岐 |
先に加利山へ往復しても良いし、帰路立ち寄っても良い。夏は午後ガスが発生しやすく、またにわか雨の可能性がある場合は、先に大霸尖山へコマを進めたほうがよいだろう。天気が良ければ、谷を挟んで大霸尖山から小霸尖山、そしてさらに
雪山西稜の長い尾根と峰々が望める。尾根上の道を登り気味に進み、下ってしばらく登り返し伊澤山の南斜面をトラバースしていく。
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明けゆく境界山 |
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登山道前方に伊澤山、中霸尖山、大霸尖山のシルエット |
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対岸に大霸尖山、小霸尖山 |
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台湾ツガ林のトラバース |
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聖稜線から雪山西稜へと延びる峰々 |
約8.7K地点で、左に伊澤山への道を分ける。道は少し低いヤタケの草原が広がる尾根上を進み、中霸尖山の北斜面を横切っていく。約9.5K地点の中霸山屋を過ぎると、道は森の中に入り、さらにトラバース気味に登っていく。伊澤山の斜面は台湾ツガ(鐵杉)がメインだが、ここまでくると、樹幹が白く日本のシラビソに似たニイタカトドマツ(冷衫)が多くなる。登り切って中霸坪に出ると、視界が開け眼前に巨大な大霸尖山とその右に小霸尖山が連なる。感動の一瞬である。小霸尖山の後ろには、雪山北峰やその奥には雪山主峰が連なる聖稜線が伸びている。視線を北方向に向ければ、中央山脈北部の
南湖大山や中央尖山が望める。
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ヤタケ草原の道を進む |
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緩やかな山腹道を登る、9.1K地点 |
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大霸尖山北稜、中央の山は馬洋山 |
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ニイタカトドマツ林の山腹を登る |
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中霸坪からのパノラマ |
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東霸尖山の向こうに中央山脈北部の山々 |
一度鞍部に下り、登り返すと大霸尖山の大岩壁が覆いかぶさる。鉄柵が続く部分に大霸尖山の山頂表示板があり、大岩壁を背後に記念写真を写す。歩をさらに進め、11Kキロポストを過ぎると大岩壁基部を進む。ところどころ岩壁からの水が滴る。岩壁下の道が終わり、少し登り返すと聖稜線へと進む道と、小霸尖山への道とが分岐する。
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鞍部へ下る |
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急な下り |
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岩壁直下の部分、左下に山名板 |
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岩壁基部を進む、11K地点 |
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深谷の対岸の峰々を歩いてここまで来た |
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小霸尖山分岐 |
右にとって進む。ヤタケの間の道が終わると開けた稜線の道になる。一度少し下り登り返す。途中ロープの急坂を登り切り、あまり広くない岩の山頂に到着する。登頂後は、今までやってきた往路を戻る。往路もそこそこ長いので、時間配分は大切である。
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小霸尖山はすぐそこ |
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最後の落差50mの登り |
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小霸尖山山頂から見る大霸尖山と聖稜線(2017/9) |
往路で登っていなければ、帰路上で伊澤山山頂を往復、また九九山莊へ下る前に、片道1Kmほどの加利山へ往復するとよい。加利山へは一度緩やかに下り、登り返すと山頂である。道はヤタケの草原なので、天気が良ければ展望がよい。加利山は西側の樹木が育ってきている。
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伊澤山分岐 |
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加利山分岐 |
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加利山登山道脇に設置された携帯電話地上局 |
九九山莊へと、そこそこ急な道を下る。山荘に着いたあとは、管理所を訪れ管理人に無事に帰還したことを伝える。自分の小屋に戻り夕食まで休憩するのも良いだろう。
三日目 (地図は一日目のものを参照)
二晩宿泊した九九山莊を後にし、一日目の道を戻る。馬達拉溪登山口までの道は、途中一度の休憩ぐらいでちょうどだろう。登山口からの林道歩きは、まず近道の急坂を登り返す。17Kからしばらくは登り気味だ。登山口から約200mぐらいの落差が過ぎると、林道は小さな登り下りが続く。往路の時と同じように、3㎞ぐらいごとにある休憩所で休み、リズミカルに休み歩くと、楽かもしれない。最後の1,2㎞ほどは登りが多くなり、公園管理所に着く。ここで下山したことを係員に伝える。
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ヒノキ原生林を下る |
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林道15K作業小屋内部 |
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九九山莊管理人と業者のバイクが行く |
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林道ゲートに着いた |
もしバスで下山する場合は、一日二便なのでその発車時刻を事前に確認し乗り遅れないように。早めに到着したのであれば、森林遊楽区内を散策しても良いかもしれない。車に乗車し、二泊三日の登山は終了である。
アクセス:
数年前から、新竹高速鉄道駅から觀霧山莊までの台灣好行バスが運行を始め、手軽に觀霧に行けるようになった。ただし、事前の電話予約が必要である。時刻表や料金などの最新詳細情報は上記のネットを参照いただきたい。午前と午後の二便であるが、登山を考えた場合は、往路新竹からもまた帰路觀霧山莊からも、午後便を利用する形になると思う。第一日出発前泊の觀霧山莊は、ネット上で予約できる。
装備:
冬でも積雪は多くないが、台湾高山の経験が少ない場合は、1~2月の厳冬期は避けたほうがよいと思う。それを除けば、日本の無雪期高山登山と同じ装備でよい。ただ、日本の山と比べると雨が多く湿潤であることは、考慮する必要がある。夏でも標高が高いので気温は10度代になるので、薄いダウンジャケットはあったほうがよいと思う。冬季には、零下まで気温は下がる。日本でも全く高山などの経験がない登山者が、いきなり登ることは勧めない。標高が高く、またそれなりの体力が必要なので、事前の高山経験は大切である。
登山許可書申請:
登山道の多くの場所が、雪霸國家公園内になるので、公園の入園許可が必要である。ネット上で申請できる。ここからアクセスできる。英語や日本語もある。以前は必要であった警察局管轄の入山許可は、すでに必要がなくなっているので、許可申請は国家公園だけでよい。九九山莊宿泊の場合は、まず暫定許可がおり宿泊料金支払い後、正式な許可となる。それらについては、公園からメールで連絡があるので、その指示に従い対応する。
許可人数上限があり、台湾の祝祭日や土日など申請者が多くなるので、できるだけ平日に登ることをすすめる。また、二か月前から申請開始なので、できるだけ早めに申請するほうが良い。夏は台風が接近し海上警戒警報が出されると、入園許可は取り消しになる。筆者の今回山行は、下山時に海上警戒警報が出されたので、林道上で入山してくる登山と出会うことがなかった。こうした天候リスクを考えると、日本から訪れて登るのであれば4~6月、10~12月ぐらいの時期が良いかもしれない。台湾気象台による大霸尖山の天気予報はこちらで確認できる。
食事寝具:
九九山莊での食事と寝具は、二社の業者(台湾では一般に協助と呼ばれる)が許可を得て、受託対応している。いずれかの業者に連絡し、料金はそれぞれの指示に従い事前に支払う。連絡先は、「布農卡里布灣企業社」(聯絡人:全先生0921-486289)或「原力企業社 」(聯絡人:林小姐0966-123501)である。利用者には、お湯や湯冷まし飲料水などが無料で提供される。食器は自分で用意する必要がある。料金は現行、一日朝夕二食(寝袋込み)で900元である。
その他:
手配時に電話連絡などが必要な場面があり、中国語ができない場合はちょっと難しいことがあるかもしれない。その場合は、登山手続代行(入園許可をはじめとした各種必要な手続き)を利用するも、一つの方法である。例えば、野樵旅行社などがそうした代行サービスをしている。
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