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| 興福寮水管路 |
台湾北部は、気温が十数度になり郊外低山登山のよい時期になった。好天の休日には、台北大縦走路などがある陽明山公園の登山道は、多くの人が訪れ登山を楽しんでいる。登山人口が増えたこともあり、また手ごろなので、山頂には多くの登山者が登頂する。それ自体はよいことだが、静かに山を楽しみたいという趣向には、そぐわない。でもそれを可能にする山道がある。そのような道を経由して登れば、山頂で他の登山者に遭遇する以外は、ほとんど会うことがない静かな登山ができる。筆者は、数度訪れている山に対しては、このような道を経由して同じ山を別な角度から楽しむことをしている。今回の山行もその趣旨だ。
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| 時計回りに歩く |
陽明山山系の西端にある面天山やその近くの向天山及び向天池山は、その斜面が住人の生活のために利用された場所である。農耕地への往復や移動にために開かれ歩かれた古道が少なからずある。国家公園の正式官製山道も、そうした道の中の一つを整備整頓してできたものであるのだろう。それなので官製以外の道があり、一般の登山者には知られず歩かれていない。それが今回山行の経路である。特に、最近は熱心なボランティアがこの地域の山道を整備しているので、道の状態はよい。
先月訪れた紗帽山もその斜面には、網の目のような道が開かれている。この登山対象の面天山の西南面や大屯山西峰の南面には、同じように網の目のような道がある。これらの道を経由することで、ほとんど官製登山道を経由せずに登頂できる。面天坪から大屯山西峰への部分は、ほかの道がないので官製縦走路を歩いたが、その他の大部分は静かな山道であった。何度も訪れている清天宮から歩き始め、興福寮水管路を登り向天池山へ登り、その後向天山を越えて面天坪へいったん下った。大屯山西峰を登頂した後は、十数年ぶりに西南稜の道を下り、さらに竹林步道を経てMRT新北投駅へと下った。
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| 清天宮 |
緯度が日本より低いが、台湾の日照時間も12月になるとそこそこ短い。6時過ぎにならないと日出が来ないし、17時には日没となる。できるだけ早く出発して登山開始にしたい。今回もそのために7時20分発の小6番バスに乗るべく、MRT北投に集合し、清天宮には8時前に全員がそろって出発する。清天宮は、今まで何度も訪れているが、今日も対岸には淡水河を挟んで八里觀音山が高い。目を凝らせば、その脇には林口高台のビル群も見えている。
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| 対岸の八里觀音山 |
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| ここから水管路に入る |
大屯產業道路を進み、興福寮18号の住宅わきの細い道に入り、少し登ってくだったところの興福寮17号民家脇から興福寮水管道に入る。登山道はコンクリによる階段がずっと続いている。そこそこ古いが、これだけ長くしっかりと舗装されていることに驚いた。単なる土の山道ではない。水管道というように、山上の沢水を民家へと送る塩ビパイプがところどころ見え隠れする。勾配はそこそこある。気温は20度ちょっとだが、汗が流れる。8時40分、勾配が緩くなったところで休憩する。
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| 石段の右側に土留壁、以前の農地か |
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| 新稜道への分岐、幹に道標 |
水管道をさらに10分ほど行くと、分岐がある。ここから左にとって興福寮新稜道と名付けられた道を登る。少し平坦で石積壁もある場所を通り、さらに高度を上げて9時15分、稜線上に上がる。反対側の窪みは、向天池である。樹枝を通してみる池は、ほとんど水がない。稜線道を少し行き、官製石畳の興福寮歩道を突っ切り、向天池山へと登る。この道もはっきりしており、急坂にはロープも取り付けられている。9時26分、山頂(標高881m)に登りついた。十数年前に訪れたきりだが、その後地元登山団体による基石が設置されていた。
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| 急坂を行く |
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| 樹木を通して水のない向天池が見える |
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| 官製石畳道を突っ切ってまた山道へ |
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| 向天池山山頂 |
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| 山仔頂古道分岐の道標 |
向天池山から少し下り、
山仔頂古道との十字路分岐を過ぎる。その先勾配が増し、斜面を登る。そのうち森からススキの中に出る。道筋が少し不明で、鎌を取り出し少しススキを刈り進む。そのうちしっかりした踏み跡にでて間もなく、10時10分向天山山頂(標高947m)の標識前にひっこりと出た。石畳道を渡り、またススキの中に入る。少し進んで、基石の脇を通り、火燒山へと向かう。この部分は、踏み跡はわかるが、それまで歩いてきた道と比べると、歩かれている頻度が少ないようだ。下って少し登り返し、10時32分火燒山(標高895m)についた。山頂と言っても、ススキの中の基石がある平らな場所だ。引き続き土道を下り石畳道に出て、10時48分面天坪の涼亭に着き、休憩をとる。ここは大勢の登山者が行きかいしている。
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| ススキの部分に入る |
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| 鎌を取り出し刈りながら進む |
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| 向天山山頂 |
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| 火燒山へ下る |
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| 火燒山 |
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| 石畳道に出た |
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| 大屯山西峰へ登る |
11時、大屯山西峰に向かい登り始める。この部分は官製登山道であるが、石畳ではなく土の道である。一方それがゆえに、赤土の路面はかなり削られてしまっている場所もある。急坂であることも関係している。約20分ほどで山頂(標高985m)に着いた。ここも何度目の登頂か。周囲は霧で遠望はない。登山者も多く、11時半過ぎに往路を少し戻り、西南稜線の道に入る。
13年ぶりである。この道はそこそこ歩かれているようで、ススキの間の踏み跡もはっきりしている。そのうち森に入り、11時52分大屯山西南峰(標高863m)に着き、基石周りの草が刈られた場所で昼食をとる。
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| 森から出て大屯山西峰へ最後の登り |
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| 大勢の登山客であふれる大屯山西峰山頂 |
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| 左に西南稜の道をとる |
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| かなりの勾配がある |
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| ススキの間の踏み跡もOK |
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| 大屯山西南峰 |
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| 大屯山西南南峰 |
12時20分、西南稜をさらに下る。十分ほどで、大屯山西南南峰と表示されている基石を見る。さらに5分ほど下ると、右に清天宮への道が分岐する。前に歩いた時にはなかったと思うが、その後開かれたのだろう。この道はとらずにさらに下り、12時50分広い水管路との十字路に出る。前はこの水管道を右にとって清天宮へ下ったが、今日はそのまま吳氏宗祠へ直進だ。この部分はあまり歩かれていないようで、それまでに比べると踏み跡はもうちょっとだ。マーカーはそこそこあるので、GPSと見比べて進めば迷うことはないだろう。倒木も多く出てきて、閉口する。石段が現れ、下って13時17分、吳氏宗祠が右に現れそこで小休憩をとる。
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| 清天宮への新道入口の地図 |
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| 水管道の十字路、ここは直進 |
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| 厄介な倒木 |
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| 階段を吳氏宗祠へ下る |
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| 吳氏宗祠 |
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| 復興三路に出る |
休憩後、下って小6番バスが通う復興三路を右にとり、竹林步道へと進む。地図上の歩道入口は、私有地ということで囲われている。その少し手前の道に入って進むと、台北盆地が眼前に広がる広場に出た。その脇の道を進むと、竹林步道へと出てさらに下る。二埼農場わきをさらに下ると、台地の脇から石段が下り始める。そのうち、他でも見るような台北市登山歩道の標識が現れる。ただ、ほどんど歩かれていないようで、途中は大きな倒木が道をふさいで遠回りしなければならないなど、整備はされてない。14時12分、歩道は中和街錫安街にでて終わる。舗装路を下り、14時半過ぎMRT新北投駅について、山行を終えた。
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| 竹林歩道近くの広場から淡水河方向を望む |
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| 二埼農場を行く |
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| 竹林歩道の標識 |
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| あまり歩かれていないようだ |
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| 中和街錫安街を下る |
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約11キロ、累計登攀820m、下降1240mで今回は下りのほうが多い。休憩を入れて6時間40分、コース定数24であった。同じ山を、このようなあまり登山者が通わない道で訪れるのも面白い。特に休日で混雑をする道を避けて、静かに歩くにはとてもよい。
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