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西峰登山道から見る皇帝殿山連峰、右の尾根が登りの朝天洞枝尾根 |
石碇の皇帝殿山は、岩が露出した尾根が続く、スリルある三大岩稜山の一つである。もし、今日のような足場や手すりが無ければ、かなり危険な道だが、主要ルートはしっかり整備されているので、台北からアクセスも便利で人気がある。子供と登りに来る人もいる。友人Wさんの希望もあり、皇帝殿山を一緒に登ってきた。休日なので登山客も多く、難所は対向方向の人たちとのすれ違いの時待つこともあった。朝方はすこし曇っていたが、そのうち晴れて快適な登山ができた。
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回遊式に登山した反時計周りのルート |
今回は三度目の皇帝殿山登山になる。主稜線の部分は
前回と同じだが、登りに小粗坑の登山口から朝天洞のある枝尾根を登った。この尾根道は、主要ルートとは対照的に、登山クラブメンバーが道標を残しているような、踏み跡的ルートだ。実際、主稜線へは石段の道が谷の中並行している。尾根上に深い朝天洞があるこの枝尾根の道は、小粗坑から東峰への石段道が始まってまもなく、右にある階段から始まる。尾根上に取り付き朝天洞を過ぎたあと、途中右に華梵大學のすぐ上にある崩山大崙への道を分け、登りつめると蝙蝠洞への分岐を過ぎて、主稜線のほぼ下で小粗坑からの石段道と合流する。東峰への主稜線道を往復、その後折り返して西峰へ縦走したあと、
湳窟山登山道を石碇へ下った。
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106乙公路、左側に登山口への道が分岐する、高架橋は第5号高速道路 |
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小粗坑登山口山門 |
石碇への666番バスは、さらに奥の烏塗窟まで行く便は多いが、小粗坑登山口のある皇帝殿バス停までの便は少ない。MRT木柵駅バス停でWさんと落ち合い6時47分に、MRT景美駅6時30分発の烏塗窟行バスに乗車する。時間が早いのか、登山客はあまり多くない。7時10分過ぎに石碇バス停で下車した。支度を済ませ106乙公路を小粗坑登山口に向かって歩く。石碇老街の近くを通り過ぎるが、時間が早いのでまだ静かだ。公路は登って行くと二車線の広い道になるが、交通量はそれほど多くない。時々オートバイや自転車が通り過ぎていく。谷あいの公路を歩くこと二十数分、小粗坑登山口の山門に着く。道の右側に、第五号高速道路の高架橋がとても高い。
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東峰登山口、ここから石段の道が始まる |
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踏み跡の山道を尾根へ登る |
山門をくぐり山に向かって歩き始める。道の右脇に石で造られている「皇帝殿風景區小粗坑登山口」の標識を過ぎると、舗装路は二本に別れる。地図を確認するといずれの道を取っても、あとで合流するようで、ここは左の道をゆく。放し飼い鶏の囲いや人家をすぎていく。先ほど別れた道が合流し、右に駐車場を見る。勾配がきつくなり、ジグザグに登って行くと、8時少し過ぎに石段の登山道入口についた。ここは標高約270m、石碇から約50分の道のりだ。石段を登ってまもなく、右に苔の生えた小さな階段がある。ここが朝天洞への道の入口だ。この道は地方行政が整備している山道ではない。踏み跡のような道が進む。さしあたりCクラス登山道といったところ。登って行くと、倒木がある。これをくぐって行くと踏み跡が細くなってしまった。標識リボンも見当たらない。道を戻って探ると、倒木の上の方にリボンがある。木が倒れて、このあたりの踏跡がわかりくくなってしまったようだ。
石段の入口から登ること二十分弱、道は尾根に取り付く。もともと木に打ち付けてあった、詩の紙が地面に落ちている。ここからは下草が少なくなるが、それまで草深い中を来たので念のために、ズボンの裾を上げて見ると、果たして蛭が一匹血を吸っていた。尾根道を更に十分ぐらい登ると、左側にロープで囲われている一角がある。これが朝天洞だ。どれだけの深さかわからないが、直径1mぐらいの穴がポッカリ口を開ている。蝙蝠洞への分岐がある枝尾根の最上部の約中間地点だ。歩き始めて約1時間半なので、ここで休憩する。
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朝天洞 |
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枝尾根ピーク部、蝙蝠洞へ分岐する |
尾根道は下草も少なく、歩きやすい。朝天洞から20分ほどで右に崩山大崙への道を分ける。この道は山腹を急な坂で下っていく。尾根道はかなり狭い部分も現れる。ところどころ緑の苔で覆われた岩も現れる。補助ロープを使って登る。一度下り、登り返すと崩山大崙分岐からさらに10分で、蝙蝠洞への道を分岐する。ここは枝尾根の最上部になる。左に道をとり下がっていくと、山腹を蝙蝠洞へ行く道との分岐に着く。ここも左に取って進むと、急な土の坂が現れる。とても滑りやすい。下りきると人声がきこえてきた。小粗坑からの石段道がすぐ近くだ。ひょっこり石段の道が現れる。そこで休んでいたハイカーは、我々が来た道を知らないようで、石段の道にどこからか突然現れ、不思議に思っているようだ。補助ロープを使って登り、9時半少し前東峰へ続く主稜線も道に出た。小粗坑登山口から、1時間半の枝尾根歩きである。
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東峰から西方向を見る、左のピークが朝天洞枝尾根のピーク、右は天王峰 |
今年六月に下ってきた東峰への道を登る。この道は、登ってきた朝天洞枝尾根に比べれば、ずっと状態がよいBクラスの道だ。急な岩場を補助ロープなどを使い、しっかり登る。約10分ほどの登りで、9時38分、東峰(標高593m)についた。前回来訪時からの間に付けられたのだろう、東峰の大岩に藍天隊の標識がある。上りの途中は、木々の間から見える隣の山はぼんやりしていたが、天気が晴れてきて、六月の時ほどではないが周囲の山々が望める。石覇尖(皇帝殿山北峰)やその奥の
峰頭尖が見える。七月にWさんも一緒に登った、
獅公髻尾山から伏獅山の尾根も見える。南方向を見れば、登ってきた朝天洞枝尾根の最高点ピークが判別できる。食事をとり休憩する。
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大岩の下をくぐって進む |
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天王峰への岩尾根登り |
10時に東峰を出発、先ほど登ってきた道を下る。主稜線は登山客が多い。登ってくる登山チームとすれ違う。分岐をすぎ、天王峰に向けて道を進む。二番目の分岐で、左に道を分けたあと、また登り下りを繰り返す。天王峰の前に一つピークを越す。ここは岩の露出した頂上だが、その先は大岩の下りになる。十数名の登山チームが登ってくる。行き違いはできないので、ここで通り過ぎるまで数分待つ。下りきり少し行くと、三番目の分岐で左に石畳の下り道を分岐する。露出した岩に刻まれた階段を登る。先ほど待つ間に登山者が登っているのが見えた階段だ。登り切ると天王峰(標高562m)の頂上だ。時刻は10時40分、ここも藍天隊の新しい標識が岩につけてある。これが無いと、気づかずに通りすぎてしまいそうな頂上である。周囲に木があるが、東側は展望があり東峰が見える。ここで三度目の休憩をする。
下りまた左に道を分け、その先から皇帝殿山主稜線のハイライト、岩尾根がずっと続く。ステンレス製棒とロープを使った手すりが無い、裸岩が続く。一度森に入り、次の岩尾根セクションになる。ここで、また対向のハイカーを待つ。このグループには、まだ幼稚園児と思える子供もいる。楽しそうに歩いている。数分待った後、尾根道を進む。11時15分に、右下に仏光寺が見える、最後の裸岩のピークに着いた。ここからは西峰が近くに見える。登山道途中のスレンレス製梯子を登っている、登山者が見える。
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山腹に建つ仏光寺と中央坑の谷あい |
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西峰への最後の梯子を登る |
大岩を補助ロープを使って下りきり、左に駐車場への道、そのすぐ先で右に佛光寺への道を分け、西峰への道を進む。道端の緑色の大きな道標看板は、「西、東峰」と矢印を示しているが、西峰は間違っている。一番目のスレンレス梯子を登ると、西峰が大分近くなった。その先に道端に少し土や砂利で盛り上がっている場所がある。二番目の梯子のあたりから人声が聞こえる。どうやら山慣れていないハイカーのようで、下りるのに苦労している様子だ。このまま行っても、梯子の下でかなりの時間待たなければならない。そこで、ここで休憩することにした。景観は無いが木陰なのでよしとする。時々吹いてくる微風が涼しい。
十分ほど休憩した頃、どうやら全員梯子をおり切った様子なので、出発する。梯子の下に着くと、六人のうちの最後の一人がまだ降りている。この梯子は三つある登りでの梯子のうち一番高い。途中梯子が岩に張り付くような箇所がいくつあり、足を置きにくく特に下りではそこで戸惑うのだろう。三番目の梯子を登りきり、最後の急な坂を登ると西峰(標高579m)だ。狭い西峰の頂上は、写真を写した後休まず下ることにする。下りはステンレス梯子が2箇所ある。二つ目の梯子を下りきったところで、登りの数名の若者グループとすれ違う。主稜線ルートは、実に人気ルートだ。土の道が終わり石段が現れると、縦走コースは終わりだ。ここの分岐は左にとり、石碇へ下る。
昨年初めて皇帝殿山に来たときは、この道を登ってきた。
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大岩の脇をくだる |
この山道は
湳窟山登山道と名付けられているが、湳窟山へは行かない。石碇から登り、西峰への分岐を分けた後、石段のこの登山道は下って、串穴湖へ通じる産業道路の登山口に通じる。湳窟山は、そこから更に産業道路を左に取って、別の土の山道を登ってはじめて行ける。むしろ、皇帝山西峰登山道としたほうが、誤解が少ないのではないだろうか。石段の道は、かなり急に高度を下げていく。数カ所、道脇にベンチが設けられている。途中、石段が崩れている部分がある。下り部分三分の二ぐらい下ると、あづま屋に着く。時刻は12時40分。犬が三、四匹道に寝そべっている。石は冷たくて気持ちがいいのだろう。近づくと吠えてくる。あずま屋の入口の脇に、餌が置いてある。土地の人が養っているようだ。ここでしばらく休憩する。Wさんは一ヶ月ぶりの登山のようで、少し疲れ気味だ。
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あすま屋の前で昼寝する犬 |
二十分ほど休憩した後、最後の下りを行く。登山口を過ぎ、西峰登山口の山門をくぐると、そこは石碇老街だ。時間は13時13分、まだ早いので老街を見ていくことにする。橋を渡り老街に入る。ここは岩璧の脇に造られた街である。百年石頭などを見たあと、名物の豆腐をビールと共に食べる。山登りの後の、ビールは特にうまい。14時20分、皇帝殿バス停から下りてきた666番バスで木柵へ帰った。
今回の行程は、距離10km、休憩込みの所要時間6時間6分、登攀累計高度は828mだった。三度目の皇帝殿山だったが、登りの部分は初めてである。この山はよく整備されている山道以外にも登山道が結構ある。次回行く事があれば、そうした道から登ってみたい。
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高度プロファイル |
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