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大溪三層付近から見る金面山のピーク(奥の山頂) |
初めて大溪の山を登った。今回登った金面山や白石山は、行政区分としては桃園県大溪鎮に所属するが、今年
六月に訪れた三峽五寮尖と同じ尾根に連なる山塊の一員である。金面山は烏嘴尖とも呼ばれている、頂上が尖った三角ピラミッドで麓からすぐに判別できる。一方、白石山は、大溪方向からだと、前に石厝坑山があるので、それの陰で山容全体は見えないが、砂岩の尾根道が続き、ミニ
皇帝殿山の雰囲気の山だ。それぞれ特徴のあるこの二つの間の山には、十三分山がある。この三座をつないで縦走した。同山塊のもう一つの端にある五寮尖、龍山嚴を経由し金面山、白石山まで縦走する猛者もいるようだ。
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大溪の南にある金面山と白石山、付近の登山も表示(クリックで拡大) |
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大溪から歩き、金面山から白石山まで縦走、打鐵寮古道を下る(一部GPS軌跡途切) |
今回の登山は目的の山に取り付くまで、登り下りを含むアプローチが必要だ。台北から9103番バスで大溪市街中心に着く前、大溪国中バス停で下車、尾寮崎(田心仔)古道を登る。古道は県道の舗装路に合流して終わり、美華国小の前を進む。一度草嶺溪の谷あいへ下り、そこからまた登り返す。第一、二の登山口を通り過ぎ、産業道路終点、阮家莊土雞の奥にある第三登山口から登る。尾根に登り着くと、左へ金山面山を往復、分岐へ戻って尾根を金面山へ目指す。金面山からは、龍山嚴からの主稜線尾根道に合流し、十三分山を経て、白石山へ縦走する。縦走後は慈湖方面へも出られるが、今回は打鐵寮古道を下った。打鐵寮古道は、一度谷に降りた後、また石厝坑山から下ってくる尾根へ登り返し、そこから草嶺溪へ下る。太平橋をわたって登り返し、三層の集落に着く。第七号公路を歩き、大渓の大溪国中バス停へ戻った。
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尾寮崎古道 |
大溪へのアクセスは時間がかかる。台北から9103番バスが大溪へ往復している。45分おきぐらいに運転しているので、山登りの足としては十分な頻度だが、高速道路は通らず街道のバス停を一つ一つ停まっていくので、時間がかかる。始発点台北市博愛路から、朝は6時より45分おきに出発している。途上MRT永寧駅にも停まるので、博愛路6時45分発の便に乗るべく永寧駅に6時50分過ぎに着いたが、早すぎたようだ。結局7時35分まで待って、やっとやって来た。通勤ラッシュのせいもあるが、台北市内の始発点から50分かかっている。車内は満員だ。2,30分ほど走ると、多くの乗客が下車し、車内はまばらとなる。三峡を過ぎ第三号公路の山道を下り、8時38分に大溪国中バス停に到着した。MRT永寧駅から約1時間だ。永寧駅での待ち時間を入れないでも、台北市内から1時間30分ほどかかることになる。
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農夫と忠犬 |
バス停からすこし中華路を戻って、曲がり角にある尾寮崎古道の道標に従い、右に曲がって中華路121巷を進む。小朋友幼稚園のわきを過ぎ、橋をわたって進むと尾寮崎古道の石畳の道が始まる。とても程度の良い道だ。つづら折りを登り、10分足らずで県道に出た。もともと古道は、もっと長いはずだが、舗装されてしまったので、現在はこの坂の部分だけが本来の姿をとどめているようだ。県道を進むと集落を過ぎ、美華国小に着く。小学校の正門脇には大きなコマを回している銅像がある。規模の小さな小学校だが、特徴がある。小学校を過ぎると道は草嶺溪の谷へ下っていく。福徳宮わきを過ぎると左側が開け、これから登る山々が見える。道を下りきるころ、細い枝道を、天秤棒を担いだ老農夫と連れの犬が、やって来た。昔に戻ったような風景だ。
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草嶺溪の谷あい田園風景、目の前にこれから登る山々が控えている |
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道端の大花曼達拉 |
美華橋をわたると、道は登り始める。山腹に取り付き登っていく。時々車やバイクが通り過ぎる。先にはゴミ埋蔵所もあるので、ゴミ回収車も登っていく。左に聖德寶塔への道を分岐し、さらに数分登ると、右に茄苳坑山への登山口がある。これを登っていけば尾根伝いに十三分山へ行ける。道端に大きな白い花が沢山咲いている。清楚な白なのに、神経毒のある曼達拉の花だ。清龍宮の前を過ぎ、左側が波型鉄板で覆われた部分を過ぎると、大きくヘアピンカーブしていく。そこが金面山第一登山口だ。雨水で削られ、深く溝状になっている山道が山腹を登っていく。更に進むと人家がある。数匹の犬がやってきて一斉に吠えだす。相手にせず登り、鳴き声が聞こえなくなるころ、第二登山口がある。この辺に来ると、産業道路の勾配もきつくなってきた。大雨で山崩れが起きた場所二ヶ所を過ぎ、10時8分に、阮家莊土雞に着いた。ここは阮家莊と言うぐらいで、数軒の土雞の料理店が集まっている。お店の主人から行程を聞かれ、白石山まで行くと答えたら、随分歩くのものだと、驚かれた。大部分の登山者は、金面山だけ登るようだ。
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阮家莊土雞のお店群、第三登山口はこの先 |
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孟宗竹の登山道入口 |
数軒並ぶ店の一番奥まったところが、第三登山口だ。登山道と言っても、最初は土の産業道路だが、暫く行くと孟宗竹林があり、標識リボンがかかっている。ここが登り口だ。薄緑の竹林が美しい。時刻は10時15分、1時間半ほど歩いてきたので、ここで休憩し腹ごしらえをする。竹林を過ぎ、下草の急坂を数分登ると、尾根にたどり着く。道標には金山面山まで二分とある。展望は無いようだが、ちょっと立ち寄ってみる。本当に2分で三角点のある金山面山(標高363m)に着いた。頂上から尾根を下っていく道もある。すぐに引き返し、先の分岐から金面山を目指し登り始める。金面山頂上まで、標高差は300mぐらいだ。
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切り立った岩壁、ロープを伝って登る |
尾根上の道を数分登ると、右に白いタイル張りの小屋がある。その少し先には、阮家莊土雞への産業道路から見えていた、通信用鉄塔がある。分岐から30分ほど登ると、尾根は痩せてきて大石が尾根上に現れる。谷から拭きあげてくる風が涼しい。秋の山は、それほど汗を流さずにすむ。切り立った数メートルの高さの岩壁が現れる。下がっている補助ロープを使って登る。五寮尖と同じようなものだが、こちらは数が少なく規模も小さい。11時27分、第二登山口からの道と合流する。更に数分登ると第一登山口からの道と出会う。ここからもうひと登りで金面山頂上だ。補助ロープの急坂を登り、11時42分、金面山頂上近くの展望台部分に着いた。ここは、西側に展望が開け、眼下には鴻禧山莊やゴルフ場が見える。頂上に向け進むと、先ほど産業道路で出会ったバイクで来た登山者とすれ違う。これから下山するとのこと。標高667mの金面山頂上は、周囲が樹木で囲まれ、展望はきかない。
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金面山頂上近くの展望点から見る、左の山が白石山.石厝坑山と十三分山、下には中壢,龍潭が広がる |
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金面山頂上 |
金面山頂上からは、先に登ってきた道を戻る。第一登山道との分岐から左に折れ、下ると頂上から直接下りてくる道と合流する。その先で第一登山道と別れて、主稜線の尾根道を目指す。少し下った後、登り返す。12時11分に尾根道の分岐に着いた。左に取れば龍山嚴を経由し、五寮尖へつながる。右に折れて十三分山を目指す。歩き始めてまもなく、左側山腹の樹木が少なく、展望がきく部分を通過する。熊空や滿月圓の山並みが遠くに見える。また、森に入り登ると、今度は大岩の露出尾根道を行く。細い青いロープがあるだけだが、この助けで登ると、その上は展望がきく。先ほど登った金面山と登山道の尾根、その右奥には五寮尖の山も見える。更にその先は
白雞山のようだ。
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十三分山への途中で見る、金面山、右奥に五寮尖が頭をのぞかせている |
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岩の露出した登山道、山茶花が落ちている |
山茶花の季節なのだろう。樹上に咲いているところも見かけるが、登山道にも沢山花が落ちている。松葉も沢山落ちている。松が多いのが、今まで登った台北近郊の山と違う。雑木林や竹林を抜けていく。最後に大きく登ると12時54分、十三分山(標高610m)に着いた。金面山から約1時間の歩きだった。頂上は少し広いが、周囲は樹木で展望はない。焚き火をしたのだろう、土の上には黒く焦げた部分がある。食事をして休憩する。十三分山から下りていくと、また孟宗竹の林につく。その下は産業道路がある。一旦道路に降り、標識リボンに従い左に折れて進む。道路は終点になり、そこからまた竹林の中を山道が登っていく。
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十三分山頂上 |
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孟宗竹の美林 |
十三分山から15分ぐらいのところで、また右側が開けて展望がきく部分に出た。ここからは、先に登った十三分山とそれから伸びる枝尾根が見える。その枝尾根の遠くには、桃園市街が望める。更に十数分歩くと、右に大きな裸岩がある。道はこの下を行くが、登ってみるとここもよい展望が得られる。
鳶山の山塊とその右に三峡の市街、その更に右には尖った金面山のピークがある。金面山から左側に下りていく枝尾根は、今朝登ったところだ。枝尾根上の通信アンテナも判別できる。目を南方向に移すと、石厝坑山がある。白石山ももうすぐだ。金面山からの尾根道は、概ね森の中で展望がないが、こうしたところどころの展望点はとても良いアクセントだ。
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白石山への途中から見る十三分山、遠くには桃園の市街が望める |
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皇帝椅子の石、中には水が溜まっている |
果たして先の第二の展望点から数分歩くと、1時48分に石厝坑山への分岐点に着いた。ここからは、白石山の山腹を巻いていく道がある。尾根道を進むと、中心がえぐれた大きな岩が道ばたにある。皇帝椅子ということだが、中は水が溜まってとても座れない。
平渓の石筍尖頂上にも皇帝椅子の石があるが、これよりもずっと大きい。石筍尖のは座ることができるが。13時51分、白石山頂上(標高625m)の露出岩の基部についた。十三分山から約1時間、金面山から約2時間の縦走であった。露出岩には補助ロープがかかっている。これを使って、岩の上部に上がる。けっこう幅広の頂上で、休憩することができる。東側は樹木があるが、それ以外は良い展望が得られる。金面山の三角ピークが顕著だ。西側には桃園,中壢の平原台地が広がる。手前には石門水庫から流れる大漢溪岸に大溪市街がある。台北方面は、霞んでもうひとつはっきりしない。
大棟山の向こうには、観音山の輪郭がかすかに判別可能だ。ここは、とてもよい展望台だ。
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岩が露出した白石山の頂上、遠くに金面山の尖ったピークが顕著だ |
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白石山から見るパノラマ、左手が石門水庫、龍潭,中壢、手前には大溪の街、直前は石厝坑山の尾根 |
十数分休憩した後、下り始める。大溪へはまだ遠い。少し下ると、右手に先程は見えなかった、石門水庫とその周辺の山々が見える。裸岩上の道が下って行くが、安全用の補助ロープが渡してあるだけで、皇帝殿山のようなこれでもかという、ゴツいものではない。皇帝殿山も以前は、このような感じだったのだろう。下って行くと、今度は左側が開け、手前の金平山の山塊とその背後の滿月圓から復興郷への山並みが展望できる。尾根上に樹の枝を沢山利用して造った椅子などの休憩場ある。地元ボランティアが造ったのだろう。更に下り、そのまま慈湖方向へ尾根を下る道と、打鐵寮古道へ下る道が分岐する。右に取り、急な坂道を下っていく。下りきると東興橋のあたりから登ってくる幅広道に下り切る。この道を進むと、今度は木橋への下り道が右に下っていく。これを進むと打鐵寮古道へつながる。途中、老夫婦の登山者とすれ違う。
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裸岩の尾根道、前方には石門水庫と周辺の山が見える |
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復興郷方面を望む、少し紅葉している |
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打鐵寮古道、鉄門の右に登りが始まる |
木橋に15時に着いた。橋のたもとから、石厝坑山からの尾根上の鉄塔へ登る道と、沢沿いに打鐵寮古道へつながる道が別れる。沢沿いの道を取り、下っていく。そのうちに谷の斜面に造られた小さな土地公と、その対面にある多くの名前が刻まれた石碑を通過過ぎる。途中、山崩れで斜面の土が全て流され、岩が露出した下部を通り過ぎる。前回の台風による大雨で起きた災害のように見える。沢沿いを更に下って行くと、正面に鉄門がある。軍事用地立入厳禁の表示がある。道は、ここから右に折れ、山の斜面を登っていく。道の左側は有刺鉄線の柵が続く。10分ほど登り返すと、尾根にたどり着いた。これは石厝坑山から下がってくる尾根だ。左に折れて、尾根道を下る。下りきった部分は、廃棄された歩哨小屋である。前には椅子が設けられている。15時35分、ここでしばし休憩する。
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古道の石段 |
休んでいると、谷側から数名、打鐵寮古道を登ってきた。見たところ軍隊関係の人のようだ。ここも尾根を更に下る道があるが、右に取って谷側へ下る。道には綺麗に並んだ、石の階段が続く。古道の趣だ。結構歩かれているので、それほど苔むしていない。急な階段を下りていくと、また二人登ってくる登山者と行き違う。石段を下りきると、小橋で沢を越え、あとはゆるやかな土の道を下っていく。廃屋から20分ほどで、一面石を敷き詰めた道になり、そのすぐ後で石畳の道が現れた。打鐵寮古道の整備で、最近造られた部分だろう。その先には、小さなアーチ橋、斉安橋、すぐに草嶺溪を渡る太平橋を過ぎる。ともに橋のたもとの柱には、大正15年という建立年が記されている。太平橋をわたった右側には、橋建設の寄付者の名を刻んだ石碑がある。道は沢から登り返し、民家が現れて古道は終点となる。
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大正15年建立の濟安橋 |
ここからは、舗装路を三層へ歩く。右側には、今日歩いた山々が連なっている。一番遠くの三角ピークは金面山だ。第七公路と合流するところが、三層の集落だ。桃園客運のバス停があるが、バスはやってきそうも無いので、そのまま大渓へ歩くことにする。9103番バスの時刻表を確認すると、次は16時45分発だ。急げば間に合いそうだ。下り坂になった公道を速足で下り、大渓の街に入った後すぐに現れる中華路を右に曲がる。ちょうど下校時刻で、大勢の生徒が大渓国中から出てくる。その先のバス停には16時45分に着いた。大溪總站からここまでは、少し時間がかかる。バスは16時53分にやって来た。待っていた中学生徒と一緒に乗車し、約1時間で永寧駅へ戻った。
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三層近くから、今日歩いた山並みを眺める |
今回の行程は距離約19km、所要時間は8時間5分(休憩を含む)だ。累計登攀高度は1179mだった。
玉山登山も含め、最近は十数km以上の行程が続き、今日も特に多く歩いたという感覚は無い。全行程19kmでも、舗装部分の歩きやすい道を数キロ含んでいるので、純粋の山道は約10km強である。大溪へはちょくちょく来ることも無いと思い、一回で三座を縦走したが、白石山は特徴があり、再訪も悪くない。次回は慈湖周りとあわせて訪れるのもいいかもしれない。ここからは、台北市街を展望するには遠すぎるが、別の景観がある。