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2012-10-28

2012年10月27日 陽明山山仔頂古道-中正山 淡水から北投へ山越え

大屯山西峰の登りから見る面天山と向天山
先週はとても良い秋晴れの日が続いた。山登りに最適の季節だ。天気予報では、今日まで持ちそうだ。去年七月に陽明山の向天池のそばを歩いている時に、藍天隊の小さな標識を見つけた。そのころは、正規登山道以外を歩くことは慣れていないので、そのままであった。その後調べてみると、今春に花見に行った天元宮のそばから尾根を登ってくる古道であった。いつか歩くことを考えていたが、今回陽明山山塊北側を歩く第一弾として実行した。この道は、向天池山から向天山へ続く稜線の峠を越え、向天池へ下り、池の周囲を行く石畳の歩道に合流して終了する。ここから、面天坪へ石畳歩道を歩き、大屯山西峰を越えた後、南峰への分岐から中正山へ下る。その後は北投へ歩いて、山行を終了した。淡水側から山を越えて北投まで歩いたことになる。

陽明山山塊の西側が今回の山行場所
北側の淡水天元宮から山を越えて南側の北投まで歩く
山子頂古道は、向天池山から北にのびる尾根を標高約170mの麓から約870mの峠に登って行く、高度差約700mの登りが続く道である。標高500mぐらいまで上がった後はゆるやかになるが、登り始めのあたりは、一本調子の登りである。民家があるあたりは、淡水やその先の海岸線が望める。それを過ぎると林の中の登りだ。展望は殆ど無い。引き続き歩いた大屯山西峰や南峰は、陽明山国家公園の道としては珍しく、石畳ではなく補助ロープも登場する急な土の道だ。南峰への分岐からは、中正山へは尾根上の道と、谷を下り山腹をトラバースする道の二つがある。前者は途中、石段の中正山登山道と合流する。本来は、後者の山腹道を予定していたが、結局一部歩いただけだった。中正山から北投側には二、三本の道があるが、今回は台北市親山歩道である十八分歩道から郵政訓練中心步道を経由して、MRT新北投駅へ下った。

山仔頂への山道
陽明山の北側は、公共交通機関も発達し便利な南側とは異なり、アクセスはそれほど簡単ではない。それでも、登山開始点の天元宮へは北新荘行きの875番バスが、MRT淡水駅の前から朝は20分おきぐらいに発車しているので、まだよい。7時20分発の便に乗るために、自宅近くのMRT東門駅で6時半少し前に乗車、淡水には7時15分に到着した。875番バスは淡水客運が運行するので、淡水駅前中正東路を挟んだ対面の三箇所あるバス停のうち、淡水交通のバス停から発車だ。時間通りに発車後、淡水の街を過ぎ登輝大道を横切る。ここからは、これからの登る面天山の山塊がバスの窓越しに見える。登り気味の道をバスは進み、7時36分に天元宮バス停に着いた。自転車ライダー数名がやってくる。休みはライダーが多い。

山仔頂古道入口への途中、天元宮の天壇が見える
花見の頃は、行楽客で溢れかえり自家用車も制限されるこのあたりだが、オフシーズンの今はひっそりしている。101号県道を進み、天元宮の前を行く。県道の真ん中に土地公廟がある。道路が拡張されたので、今のような位置になったのだろう。その近くの路地を入る。ここでなく、更に先で右に曲がっても行けるようだ。右に天元宮の天壇を見て道を登っていく。そのうち左側に折れ、その先に道標がある。道標が要所要所に現れ、それに従い登っていく。石造りの民家の脇を過ぎる。石畳の山道が現れた。森の中を登って行くと、土地公廟の脇で舗装路に出て、石畳山道は終了する。有刺鉄線の囲い沿いに石畳の道が現れ登る。天元宮の天壇が下の方になってきた。もう一度舗装路に出ると、左方向に行く。コミュニティバスの山子頂バス停がある。舗装路は坂がきつくなり、最後の民家を過ぎると、古道が始まる。バス停から約30分の歩きだ。

展望台から淡水方向を見る、淡水は住宅ビルが多く建てられベットタウンに変身している
古道の登り、下にすそ野が見える
古道の石段を登って行くと、まもなく展望台が右に設けられている。ここはコンクリート製の大きな水槽がある。標高約300mのここからは、淡水の街も見える。眼前は陽明山山塊から海岸へのすそ野が広がっている。展望台からしばらく、以前は耕作をしていたと思われる段々畑があるが、それも過ぎると竹や雑木の林の中に入り、ひたすら急な石段を登る。一本調子で登る石段が終わり、道が左に向かって行き、枕木が現れる。途中ロープの手すりも結構設けられている。周辺の説明文がいくつか道端に設けられている。このあたりは地方行政が道のメンテをしている。枕木道が終わるあたりにベンチが二つある。標高は約460m、天元宮から約1時間登ってきたので、ここで一休みする。これからの登りに備えて、握り飯を食べる。ここからは、一部景色が望める。古道登りでの最後の景観だ。

枕木の道
森の中に入り、道はゆるかな登りになる
石がゴロゴロする道を登りつめると、峠だ
道わきの大菁
竹林の中を行くと、右に白石腳への道、そのすぐ先に左へ百卡拉公路への山道を分ける。ベンチの休憩所までの急な登りは、ここから比較的緩やかな坂になる。樹木もまばらになり、下草も少ない。台灣山菊や黃苞根節蘭の黄色い花が、道脇に咲いている。石を積み上げた壁らしきものも、道端に残っている。更に登って行くと、紫の大菁もある。老夫婦の登山客が下りてきた。山仔頂古道で出会った唯一の登山者だ。山道は山腹をトラバースしていく。その突き当りは、大きな石がゴロゴロする涸沢だ。石を踏みしめて登って行くと、沢状の石から土の道になる。登りつめるとそこが、向天池山と向天山の鞍部の峠だ。時刻は9時53分、約2時間15分の登りだった。右に向天池山への道標がある。所要時間3分とのこと、とりあえず登ってみる。ゆるい登りを行った突き当りが向天池山(標高881m)の山頂だ。周囲は木々なので展望はない。そこから続く道も無く、登ってきた道を引き返す。峠からは、向天山経由で面天山へもいけるが、今回は向天池へ降りることにする。


向天池山頂上
登山道わきの楠木樹林
向天池、水はなく大勢のハイカーがくつろいでいる
石畳の歩道、王爺菊が咲いている
数分で向天池の周囲を行く石畳道に着いた。ここは、ハイカーが多い。歩道や水の無い池には多くのハイカーが歩いている。向天池から面天坪へ向かう。ここは昨年六月に一度登ってきた道だ。下り基調の山腹の道を行く。登ってくるハイカーとたびたびすれ違う。黄色い王爺菊が道端に群生している。清天宮への道との分岐へ来ると、背後にあとで登る大屯山西峰が木々の上に頭をのぞかせている。道標の柱に気温計が取り付けられている、表示している温度は25度だ。今日は、曇がちの天気で、陽射しは無い。歩道の両脇の草は綺麗に刈られている。路程ポストを更新中のようで、板切れに作業用の指示が書かれたものが、本来の路程ポストの位置に埋め込まれている。5分ほど道を行くと、左側に歩かれていない石畳の道が分岐して、草むらの中に消えている。もともとどこかへ通じる道だったのか。10時半、右から土の道が合流すると面天坪のあずま屋が現れた。


面天坪と清天宮への分岐、奥に大屯山西峰が見える
面天坪でみたリス
あずま屋は、歩道補修のための材料やセメント袋が中に置かれている。数名のハイカーが休憩している。自分もここで休憩する。リスが近くへやって来た。いつも餌をもらっているのだろう、あまり人を恐れない。少し雨がぱらついてきた。15分ほど休憩し、大屯山西峰を目指す。標高差は200mぐらいだ。土の道は、はじめ緩やかだが間もなく急になってくる。滑りやすいところには、補助ロープも現れる。登って約20分、直線の急な坂を登り切ると、ススキの草むらにでて視界がひらける。面天山が後ろに見える。右に道が分岐し下りていく。これはどこかに通じるか。緩くなった草の間の坂道を進む。右側に北投や更に遠くには淡水河が見えが、今日は曇りがちではっきりはっきりない。手前は、あとで歩く大屯山南峰から続く中正山への尾根筋がある。11時13分に巨石が重なる西峰頂上(標高982m)についた。ここも数名の登山客が休んでいる。雨が少しぱらついてきた。幸いにして大降りはなりそうではない。


大屯山西峰から見る南峰の尾根上ピークと中正山(右)方向、遠くは霞んでよく見えない
西峰からの下り道
写真を写した後、そのまま下る。西峰の下りはかなり急坂だ。岩の下りが終わると、土の急坂となる。ここには補助ロープが張られている。下から登ってくる登山客と数回すれ違う。20分ほどで大屯坪へ下っていく分岐の鞍部に着いた。11時半過ぎ、ここで休憩し食事をとる。しばらくすると、南峰方向から大勢のパーティがやって来た、20名ぐらいだろうか。同じくここで休憩となりあたりは賑やかになる。グループメンバーではないが、親切に果物を分けてくれた。


谷筋の道、小沢を越えるあたり







15分ほどの休憩後、中正山に向かう。山腹を横切る道を数分行くと、左側に急坂の登りで南峰への道が分岐する。そのすぐ先右に、藍天隊の標識が谷に下る道を指している。これが大屯谷へ下り、大屯国小へ続く道だ。途中左の山腹道を行けば、中正山につながる。道は直線的に下っていく。それまでの登山道に比べると、歩く人が少ないので、踏み跡的な状態だ。補助ロープはかかっているが、一部はビニールの管が代用されいている。20分ほど下ると少し平なところに石が半円形に積み上げてある。これは以前大菁から藍染料を取り加工する池の跡ではないだろうか。もちろん今は埋まってしまって池状ではない。更にそこから下る道には石段が造られている。道は左側に水平に進んでいく。谷状に山が凹んでいる部分を過ぎ、また登り返す。地図で見ると確かに沢を越え少し登り返したあと、水平に進むように描かれている。登り返しが随分と続く。しかし右にトラバースするような道にならない。結局、この道は先程南峰分岐から中正山に続く道に登り返した。帰宅して確認してみると、確かにこの道がある。少し事前調査が足らなかったようだ。ただ、沢筋から登り返した直後、右に折れていく道は気づかなかった。約150m下り、また登り返したわけだ。


石畳の中正山登山道
腹の膨れたヘビが道を横切る
登り返した道は、去年六月歩いた道だ。少し行くと、草の丘を歩く。ここも草が綺麗に刈られている。陽明山公園では秋口までは生態保護のため草刈りをせず、六月のときは草深い中を進んだ。振り返ると、南峰が高い。その右奥には大屯山が半分霧の中に見える。草の道はすぐ下り始め、森の中の急坂となる。下りきると左から石畳の中正山登山道に合流する。登山道は実に程度が良い道だ。こちらは面天山、大屯山周辺に比べると登山者が少ないようだ。十数分下って来た時、石畳の上を横切る蛇に気づいた。数十センチの小さい蛇だが腹のあたりが膨れている。最近大きな餌を丸呑みにしたようだ。もともと歩く予定だった、谷沿いの道と合流し程なく、13時5分に中正山の展望台に着いた。


中正山展望台からのパノラマ、七星山、紗帽山、士林方向が見える
展望台から見る、大屯山西、南峰と手前のピーク
山を下ってくると天気は少し良くなった。青空も広がっている。展望台の上で休憩し、周囲を見渡す。背後は大屯山西峰から七星山まで見える。紗帽山から天母士林方向、その手前には烏尖連峰の山々がある。遠く東側には、五指山から下っていく大崙頭.尾山、それをずっと追っていくと劍潭山がある。淡水河の対岸は観音山だが、逆光であまりはっきりしない。中正山は、とても良い展望台だ。もし車やバイクで登山路を上って近くの駐車場までくれば、それほど苦労なく展望台へ登ってこれる。


駐車場に咲く芙蓉の花
30分ほどゆっくり休んだあと、13時半過ぎに北投へ下り始める。ここからは台北市親山歩道である。10分ほどの下りで駐車場に着いた。ピンクの芙蓉が見事だ。ここから自動車道は、山腹を大きくジグザグに下るが、その間を近道として土の山道が直線的に下っていく。一応親山歩道の一部なのだろう、親山歩道のプレートが方向を示すため、石やコンクリートに貼り付けられている。数回車道を横切り、下ると車道脇に親山歩道スタンプ台がある。そのすぐ近くから下がる近道が、この登山道部分の最終セクションだ。下りきり、右に車道を下っていく。ここで左に折れ車道を少し登り返し、その先右におれて郵政訓練所步道への入口へ行く事もできる。車道はヘアピンカーブで曲がると、木々がきれ展望が広がる。北投の市街が眼下に広がる。更に進むと、郵政訓練所步道が横切る部分に来た。ここからは石畳の郵政訓練所步道を下る。左に見えるアンテナが建っている山は、弘法大師碑がのこる丹鳳山だ。途中二ヶ所舗装路を横切り、20分ほどで下りきった。途中土地公があった。この道は、今は親山歩道だが、昔から地元で往来に歩かれている道だったのだろう。入口から舗装路を下り、磺港溪の橋を渡ったあと、泉源路を登り返す。15時少し過ぎ、MRT新北投駅に着いた。


下りに見る北投の街、左側の山は弘法大師碑のある丹鳳山の山並み
今回は、淡水から北投へ山越えをした。歩行距離は約13km、所要時間は7時間20分だった。登攀高度累計は1060mである。今回は、大部分が登山道である。陽明山山塊の北側を登るのは今回が初めてだ。北側にも非正規登山道がたくさんあるようだ。今後これらを登って行こう。また、中正山から谷沿いの山腹道を大屯山南峰へ登り、今回どこで分岐すべきだったのか確認したい。

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