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2014-12-18

2014年12月17日 新店五尖峰 - 大丘田山 - 粽串尖 - 安新山縱走 草に埋もれた不人気ルートを歩く

台北華城の開発宅地が山腹に広がる塗潭山から大丘田山への稜線(獅仔頭山から、2012/12撮影)
新北市新店区には、かなり上の方まで開発されている山がある。そのうち特に目立つのが塗潭山から大丘田山へ連なる山並み両側の山腹に開発されている宅地である。付近の獅仔頭山や大丘田山は、過去に訪れている。今回は、大丘田山から塗潭山の稜線上にある五尖峰から南へ大丘田山を越え、獅仔頭山への稜線道から粽串尖へ進んだ。その後は、粽串尖から西へ安新山への尾根を下った。

北側玫瑰中國城からスタート、尾根を安新へ歩く
右のピーク粽串尖から長い尾根を下る
今回の山域は、台北市内からも見える身近な山である。しかし、登山の対象としては人気がない。獅仔頭山と粽串尖の間はまだしっかりした道があるが、その他は草深い道である。特に五尖峰から大丘田山の間は、ほとんど歩かれていないようで踏跡はほとんど消失していた。草むらの中を、ところどころに現れる色があせたりちぎれたりしている標識リボンや地図を頼りに、歩みを進めた。通常の約二倍の時間がかかった。開発が進み、人里が近いのに歩かれていないのは、不思議である。

台北の街に近い山域
吉祥路の突き当りにある階段を登る
今回は、塗潭山から五尖峰の稜線北側山腹に、開発されている玫瑰中國城からスタートである。この開発地はかなりの住宅数があり、バスも頻繁にある。玫瑰中國城中最も高い場所のバス停になる滿堂彩を通る648番バスにのるべく、MRT新店區公所駅に7時に集合する。不人気山域であるが、5名のメンバーが同行する。みな、以前に一緒に歩いている仲間だ。この時間帯は通勤通学時間帯になるので、バスの運行数も多い。7時12分にやって来たバスに乗る。乗客は学生が多い。学生が下車すると多くの通勤客とは反対方向なので、車内はガラガラになる。約20分の乗車で滿堂彩バス停に到着する。

状態のよい雙城步道





標高約100mにあるバス停から、7時40分過ぎに歩きはじめる。玫瑰路57巷から吉祥街へ抜け、右に登っていく。道の突き当りから階段が登っていく。雙城步道である。更に上部にある達觀鎮社区との間を結ぶ歩道である。見たところ、このコミュニティーが管理維持しているようだ。枕木を使った階段や休憩用椅子、あずま屋などがあり、地域住人の散歩道でもある。道標もしっかりしている。二叭子植物園方向へ登っていく。バス停から30分ほど登ってくる。前方に高い住宅ビルが望める。達觀鎮が近い。道なりに進む。8時18分、植物園の標識が現れそのすぐ左上に達觀亭がある。一休みする。

二叭子植物園達觀鎮側の入口
植物園を過ぎ、コンクリ階段を登る、右は工事中
二叭子植物園へ下っていく。道脇に芳香萬壽菊の黄色い花が目立つ。管理家屋の前を通る。BBQエリアなどもあり、家族などで訪れるには良いだろう。ただ、公共交通機関はここまで来ていないので、自家用車でくるか我々のように歩いてくる必要がある。更に道なりに下り、駐車場のある入口を過ぎる。分岐を左にとり進む。コンクリ階段の道を登る。8時45分、展望台までくる。この辺りは工事中で、土が掘り返されている。歩き始めて約1時間、ここから山道が始まる。

水たまりを越して急登が始まる

木製展望台はまだ新しく立派だが、ここまでどれだけの人がやってくるのか疑問だ。山道は、それを物語るように細々とした草の踏跡だ。途中、路面が舗装されている廃棄産業道路を越え、細い沢を渡る。水たまりを越えると、急登が始まる。9時過ぎ、稜線に取り付く。道は最近整理がされたように見える。多くの場所で姑婆芋の太い幹が切断されて、その切断面はまだ新しい。草の間を行く道は、細いが踏跡はしっかりしている。9時16分、隘勇寮遺跡に着く。隘勇寮は、獅仔頭山のものがしっかり保存されているが、この山域の稜線はその昔原住民との実質的な境界であり、そこに警察官が滞在し境界を警備していた。具体的には、獅仔頭山から熊空山、そして西に曲がって白雞山へと続く長い稜線である。理藩政策の進展で原住民の抵抗がなくなると、境界であった隘勇線も意義を失い、隘勇寮も必要無くなり歴史の1ページとして忘れ去られた。

狭い尾根を五尖峰へ登る
ところどころ狭くなる稜線上を急登する。9時半、五尖峰のすぐ下に来る。ここは台北華城の土地になるようで、展望台の周囲は有刺鉄線が張り巡らされている。そのわきを進み、切れ目から展望台下に出る。私有地であるので、囲っているということなのだろう。ただ、草深い山道を登ってくるような登山者は、単に通過して次に向かうだけなので随分と偏狭なことだと思う。立場が違えば、また別の考えになるのかもしれないが。ここは、西側を除いて展望が広がる。展望台に上がると、広い範囲の展望ができる。すぐ下は華城の別荘群だ。遠くには陽明山山塊も望める。近くは、谷を挟んで直潭山から大桶山が見える。直潭山の左遠くは二格山だ。稜線の反対側は、中和の住宅群から立ち上がる外挖子山-南勢角山-五尖山-文筆山の天上山連峰が連なっている。先ほど通過した達觀鎮の住宅ビル群も下に望める。

五尖峰からは広い展望ができる
華城の住宅の向こうに大丘田山(右端の山)
冷たい風が吹きすさぶ展望台を降り、9時45分、次の目標大丘田山へ歩き始める。稜線を進み別荘住宅が並ぶ道(華城三路9巷2弄)を通り過ぎる。宅地の道は左に折れるが、そのまま稜線上の道を行く。舗装路は密生した茅草ヤブの中に消えている。ここからは藪こぎだ。方向を見定め、草の間を進む。踏跡は無い。藪こぎをすること数分、ひょっこり草むらが途切れる。前方に伸びる草の間の踏跡を進む。しばらく進み右に折れると雑木林の下に着く。

道無き道の尾根を進む
藪こぎをして登る
赤い標識テープが木の枝に取り付けてあるが、踏跡は全く無い。覆い重なる草や灌木の間を進む。そのうちに踏み跡らしいもののあるが、とぎれとぎれである。棘の草が行く手を邪魔する。方向を定めて進む。鎌を取り出し、邪魔する草を刈って登る。約30分ほど尾根上を進んでくる。水源保護区であることを表す基石が埋まっている。地図と対照して、コースが間違っていないことを確認する。華城から大丘田山への約中間点である。

下方に草薮が広がりはじめ、大丘田山まであと僅かだ





稜線は、ここから勾配がきつくなる。標高差約100mを登る。相変わらず草をかき分けての行進である。踏跡らしいもは殆ど無い。幸い雨も霧もないので、方向を確認しやすい。11時半、左下に森ではなく草むらが広がり始める。大丘田山直下の開発中止地帯が現れ初めた。11時40分、新しい藍天隊の標識が木に取り付けてある。ここから左に康橋高中や秀岡山荘方向へ草の中に道が下っていく。藍天隊は、ここから先の草刈りをしたようだ。標識のすぐ先をチョット登るとそこが大丘田山の頂上(標高728m)である。五尖峰から約2時間を費やした。藍天隊の道標は50分と記してあるが、現状の道無き道を進むのであれば下りでも不可能な行程時間である。昼食休憩を取る。

大丘田山頂上からの眺め、左は猴洞尖、右は獅仔頭山
高い山留壁の上を行く
これで二度目の大丘田山頂上である。前方には獅仔頭山、谷を挟んで猴洞尖-鹿鵠崙が近い。その間から拔刀爾山-高腰山がのぞいている。12時14分、粽串尖へ道を歩み始める。下ってまもなく右に十七寮山への道が分岐する。今年春に歩いた道だ。左に道を取り、草薮の間の道を下る。急坂が続く。今年春に草が刈られた道は、その直後には多く歩かれたようだが、夏を過ぎたこともあり少し踏跡がはっきりしなくなっている。右に草の中に道が下っていく。とりあえず下っていくと、山留壁の上部に出た。ここはまだ高さが二階建て以上ある場所で、下に見える道に下りるわけにはいかない。左に壁の上を歩いて行く。注意深く歩みを進める。ところどころ灌木や草が覆いかぶさり、慎重に歩く。落ちれば大ケガをするだろう。

山留壁わきから前方のを望む
綠花肖頭芯蘭
左に十数メートル進むと、藍天隊が切り開いた道に着く。壁の高さはここでは1メートルぐらいである。前回無かった灌木の枝で造った梯子が掛けてある。壁を巻いて下に降り、壁沿いに進む。途中、大きく土留壁が切れている場所を過ぎる。大丘田山山頂から約30分ほどで、土留壁部分が終わり、森の中の道となる。更に15分ほど踏跡を進み13時、粽串尖への分岐に来る。左に進めば獅仔頭山だ。右に折れて上り坂を行く。ここはよく歩かれているようで、道筋もはっきりしている。冬の森のなか綠花肖頭蕊蘭の黄色い花が目立つ。13時8分、粽串尖頂上(標高729m)に着く。周囲の灌木が切ってある。大丘田山方向だけでなく、反対側の山々の望める。熊空山や竹坑山から竹崙山への稜線が対岸に長く伸びている。その背後は白雞山の峰々だ。

粽串尖頂上から木が切られて開けた西側を望む
紅葉がいっぱい落ちている
ここからは、基本下りである。ただ、安新山までの稜線は結構長い。下り坂はすぐに補助ロープのある岩場を通り過ぎる。岩に足場が刻んであるので助かる。その後も急坂が続く。別の岩場も現れる。地面いっぱいに紅葉が落ちている。前回霞喀羅古道では見れなかったが、ここではOKだ。13時53分、十字分岐に下りる。右は安新炭鉱跡を経て安新路へ下りる道だ。二年前に歩いた道だ。左は、建安路へ続く。安新山へは尾根上の道を直進する。急坂がまた現れ、補助ロープを頼りに岩場を下る。尾根は結構痩せている場所もある。14時17分、分岐に着く。左に建安路131-7号へ道が下る。ここには、とても立派な道標があるが、このような山道には似合わない。

岩場を下る
忽然と現る木製プラットフォーム
分岐から10分ほどで、人工的に石を積み上げた場所がある。これも隘勇寮遺跡だろう。その先、また岩場が現れる急坂を下る。踏跡は、先の十字分岐までの部分に比べると歩かれている程度が低い。標識リボンも少なく、地形を読んで進む。小ピークから方向が大きく右に曲がって下る部分は、注意が必要だ。14時43分、檳榔林が現れる。だいぶ人里に近づいてきた。とは言っても、安新山までの尾根の約半分地点だ。尾根上を忠実に追っていく。この辺りは、ゆるやかな道が続く。15時木製のプラットフォームが道の真中に突然現れる。テントを張るためのものなのか。しかし、こんな場所に誰がテントを張るだろうか。それ以外の目的であったとしても、このような不人気ルートに金を掛けて、このようなものを造る理由が判らない。予算の無駄遣いとしか、思えない。

新しいベンチがわきに造られている隘勇寮遺跡
道に似合わない立派な道標
15時9分、木製イスが設けてある。まだ新しい。ここで休憩を取る。日暮れまであと2時間、だいぶ日が傾いてきて、黄色い光線が森のなかまで差し込んでくる。更に少し進む。大きめの隘勇寮遺跡とそのわきにベンチが二つ設けてある。この尾根にはこうした遺跡があり、それを身近に歩けるようにベンチなどの施設が造られているのか。しかし、現在の道の状態では、一般ハイカー向けではない。道そのものの整備が必要だ。道脇に板橋市公所とある土地境界コンクリート製柱が現れる。ここは新店市(現在は新北市新店区)であって、板橋ではないが。15時32分、分岐に着く。左に建新路へ続く道がある。ここにも新しい立派な道標と案内板がある。

板橋市公所と記された境界コンクリ柱
15時35分、右に道を分岐する。道は大きな起伏はない。板橋市公所のコンクリ表示が引き続き同一間隔で現れる。15時51分、小暗坑山頂上(標高334m)到着。樹木の中の展望がない山頂である。少し下ったところに、石を積んだ低い壁がある。これも隘勇寮遺跡のように見える。この長い尾根はこの遺跡も含め3箇所の隘勇寮遺跡があり、一世紀前は平地と原住民のテリトリーを分ける境界であったわけだ。少し登り返す。291峰を越すが、なかなか安新山頂上に着かない。踏跡もところどころはっきりしない。五尖峰-大丘田山に比べればずっとましだが、ここも不人気ルートである。16時20分、安新山(標高280m)に着く。三角補点基石が埋められている。陽もだいぶ傾いた。

覆いかぶさる倒木をくぐって安新山へ進む



日暮れ前に下山すべく、下り始める。しばらく尾根上を進んだあと、右に山腹を急斜面で下っていく。補助ロープの急坂も現れる。16時40分、檳榔林が現れ細い道を下る。小沢に下りる。大きな木が根こそぎ倒れている。細々と続く道は、この檳榔林へ続く農道である。沢に降り、ぬかった沢底を歩く。木橋のわきを通り過ぎ、16時56分民家わきに出る。17時に110号道路に突き当たり、右に少し安新バス停に進む。これで今日の歩きはおしまいだ。十数分待ち、日暮れ迫る中779番バスでMRT新店駅へ帰った。

下草が密生する檳榔林を下る
沢の中を進んでまもなく終點だ
今回は約11kmの山道を9時間強を要した。想定以上に道の状態が良くなかったことが影響している。五尖峰-大丘田山間は平均時速0.85km、と通常よりはるかに遅い。粽串尖から安新山までの尾根道も、思っていたより苦労した。困難度はルートはクラス4~5、体力はクラス4である。道の状態が良ければ、上り下りもそれほど大きくなくそれぞれクラス3ぐらいだが。台北の街に近くても、必ずしも状態は良くない。不人気の山に行く場合は、自分で道を踏み分けていくぐらいの心構えが必要だろう。

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