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2017-06-29

2017年6月25日 三峽逐鹿山-卡保山縱走 三年前のルートを逆にたどる

水源路から見る逐鹿山(左奥)卡保山
卡保山山頂のメンバー
筆者にとって、三峽と烏来との境界をなす山々は台湾の中級山の入門であった。今回は三年前に歩いたルートを逆にたどった。山道は登りにとるのと下りにとるのでは表情が変わる。両方歩いて、はじめてその山道を歩いたといえるのかもしれない。今回は、8月初めに予定している日本での高山登山を控え、参加するメンバーと訓練の意味で歩いた。本来は、志佳陽山を一泊二日で登る予定を立てていた。ところが、直前の豪雨で沢沿いの道が崩れ、管理する国家公園が封鎖したままのため、急遽変更した。実は昨年も同じように、日本登山の事前訓練として歩いたが、その時はメンバーの体調が悪く逐鹿山だけの往復に変更した。その意味では、今回は昨年の予定の訓練山行ができたことになる。

時計周りに回遊
登りの方が勾配がきつい
駐車場で、これから出発
四年前に身近な中級山としてはじめて逐鹿山だけを訪れたときは、山の大きさやその違う植生に驚き、それまでの台北近郊登山とは違う雰囲気に、緊張したことを覚えている。それから四年、多くの中級山や高山を登ったあとはそうした緊張感はすでにないが、その大きさやそれに伴う苦労などは、何も変わらない。経験したとか近いからと言って、決して侮っていはいけない。ちょうど一年前に、この地で退職した教師が遭難し命を落としている。

石の転がる沢を渡る

今回は自分も入れて六人で行動だ。以前よく中級山へ車をだしてもらったVさんが、今回も古亭から運転して三峽へ向かう。予定より少し遅れ6時50分過ぎに出発する。水源路からは、曇りのない青空のもと住宅ビルなどの遠く向こうに前衛の猴洞尖塗潭山の山並から、目的地の逐鹿山と卡保山が頭をだしているのが見える。熊空をへて産業道路を奥まで進む。8時前に駐車場に到着、すでに多くの車が駐車してある。ここは雲森瀑布へ一番近い駐車場なので、登山者以外にも滝だけの往復をする遊楽客もやってくる。

急坂を登る
8時少し過ぎに出発、駐車場のすぐ近くの雲森瀑布へ続く山腹道を進む。よく歩かれているこの道は、途中一昨年の台風による大雨で一ヶ所崩れ、高巻き道が造られている。右の沢が近づいてくる。8時35分、石のごろごろする沢を渡る。対岸に入ったところすぐ左に、逐鹿山西峰経由で登る山道が分岐する。今日は、この急坂から登る。急坂は、いままで二度下ったことがある。登りにとるのは初めてだ。訓練の意味を含めてこの急登を行く。すぐに補助ロープが現れる。汗が噴き出してくる。下草の間をひたすら登るだけだ。9時8分、約30分の急登のあと、樹木がすくない場所から遠く白雞山や五寮尖が望める。風が少し吹いている。休憩をとる。このような急坂は30分に一回ぐらいの休憩ペースがよい。

遠望ができる、五寮尖(左)と白雞山が望める
倒木を越えて進む
急坂はまだ終わらない。さらに30分ほどの急坂が続く。最後わずかの部分は、もともと砂袋が敷いてあった場所ではなく、さらに右側に新しい道が歩かれている。その部分を上り詰めると、道が右に山腹を進む。以前は林道であったようだ。草に埋もれているが道幅や勾配が林道のように見える。もともとはふもとまで続いていたのだろうが、沢上部の大崩落で途切れたのではないか。数分で林道から左に折れ、また山道を進んでいく。勾配はだいぶ緩くなった。倒木を越えて進み、左に遺跡へという道標を見るとすぐ、逐鹿山西峰(標高931m)の山頂だ。頂上といっても、ちょっとした森の中の小高い場所で、印がなければ見過ごしてしまいそうだ。9時45分、休憩をとる。

赤い道標のある分岐部
最後の急坂をひと踏ん張り
杉人造林を進む。ところどころ倒木が道をふさぐ。また廃棄林道に出る。左に沢が近づいてくる。ヘアピンカーブで右に曲がり、また沢から離れて緩い坂を行く。林道から離れ、雑木林の中を登る。涸沢を越え、10時33分、直接駐車場から尾根を登ってくる道と合流する。逐鹿山への登りの約三分の二は登ってきた。涸沢をすぎ、水場に降りる。ここで水を少し補給する。急坂がまた始まる。補助ロープの急登セクションが三、四箇所現れる。少し緩くなったあと、若い4,5名の登山者とすれ違う。彼らは逐鹿山だけの往復だそうだ。最後に一登りし11時40分、逐鹿山(標高1414m)に着く。出発して三時間半だ。これで5回目の登頂だが、前よりも標識が増えている。すでに登山者が三人頂上で休んでいた。

@逐鹿山山頂
低い灌木の間、稜線を進む
30分ほどの食事休憩をとる。天気予報では午後に雷雨の可能性もあるとういう。霧がかかってきたようだ。12時10分、卡保山にむけて縦走を始める。歩いて二、三分で右に谷沿いを登ってくる道との分岐を過ぎる。この道は歩いていない。いずれは歩いてみよう。しばらくは小さい登り下りを行き、そのうち大きく下り始める。低い灌木の向こうには、卡保山が高く見え隠れする。高度が下がり霧からでたのか、左(東)側は、波露山の大きな山容が頭に雲を被ってたたずんでいる。小さなピークを二つほど越し、鞍部に着く。風が鞍部を吹き抜けていく。1時間ほど下ってきた。休みを取る。

木炭古道分岐部
道が登り始める
狭い稜線を進み、少し登りが始まる。新緑の山毛櫸(ブナ)が現れ始める。卡保山は插天山脈に原生する台湾のブナの北端である。13時30分木炭古道の分岐に来る。右の道は卡保山の山腹をトラバースしていく巻き道である。昔この辺りで木炭が造られていたので、木炭古道と名付けられているが、本当にあったのかわからない。左に登り始める。分岐から約15分ほどで大岩が現れる。少し休憩する。メンバーは少し疲れが出てきたようだ。

大岩の脇を登る
岩壁をロープを頼りに登る
ロープの下がる岩壁をよじ登り、最後の坂を行く。低い灌木の間を縫って進んでいく。時々陽光が背中をさす。雷雨は来ないで済むかもしれない。14時半ごろ道の脇に矢竹が現れる。頂上は近い。14時33分、左に福山からの道を合わせる。二年前に苦労して登ってきた道だ。その先2,3分で頂上が現れた。ここも新しい標識が取り付けれられいる。逐鹿山から約二時間半である。

卡保山山頂、蝶が二匹、三角点の上にとまっている
ブナの生える稜線を行く
登りはこれで終わりだが、下山路も長い。あまり長居はできない。20分足らずの休憩後、下り始める。標高差はまだ1200mある。数分進むと左の森が切れるが、今日はガスっていて何もみえない。おおむね下りの道を行き15時22分、稜線から右に雲森瀑布への道を下り始める。坂は急になる。ロープセクションをいくつか下る。まだかまだかと、なかなか木炭古道の分岐が現れないのにいらだつ。日暮れ前に下り切ることが大切だ。16時、やっと分岐に到着する。

木炭古道の分岐
灌木の間を下る
小休憩のあと、残りの下りを下り始める。すぐ左に、木炭古道の続きの道を分岐する。この道は、以前樂佩山の下りにとったことがある。道はしばらく緩い坂を進み、そのうちきつくなったかと思うと、右に沢を有する尾根脇を下る。尾根筋から左に大きく曲がり、さらに下っていく。16時53分、水場に着く。標識は標高950mとあるが、自分のGPSは1000mの標高線上の位置を示している。ここまで来ればだいぶ安心だ。雲森瀑布までの山道の三分の二は下った。しばし休憩する。

標高950m(?)の水場で休憩
組立山方向への分岐を過ぎる
急坂が続く。左に山腹を横切り始める。道も広くなってくる。17時40分、左側から沢音が大きくなり、道は稜線上を進むようになる。17時41分、組合山滿月圓方向への道の分岐を過ぎる。道の状態はかなり良くなる。ここであれば、ヘッドランプ頼りに歩いても問題ない。18時4分、雲森瀑布に降り立つ。小休憩後、朝に登りはじめた逐鹿山への登山口を過ぎ、駐車場へ向かう。途中でヘッドランプを取り出し準備する。18時40分を過ぎ、薄暗くなってくる。18時55分、駐車場へ戻る。この時間はさすがに遅いと見えて、他の車はすでになく、我々の車が一台ポツンと停まっていた。

逐鹿山西峰への分岐へ戻ってきた
休憩時間を含め約10時間半の行動である。逆回りにくらべて1時間多いが、それはメンバーが違うことも影響している。トータルの上り下りは同じなので、道そのものの影響は大きくないはずだ。幸いにして、雷雨はなく、稜線では結構風があり、その意味ではラッキーだったと思う。記録では距離12.3㎞、累計登攀と下降高度は 約1350mであった。今回は、長靴での登山であったが、山蛭にやられた。おそらく長靴の中に入り、脛を登って膝の近くで血をタップり吸っていた。塩を振りかけて落とした。蛭はナメクジと同じで、塩をかけられると、体液を塩に吸い取られ、吸った血を吐いて死んでしまう。

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