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2017-11-19

2017年11月17日 たった一日秋晴れの桃源谷

草原の広がる桃源谷を望む、中央のピークが彎坑頭山
台湾には台北近郊の低山から3000m級の高山を含め、相当数の峰々がある。限られた時間の中で、できるだけ多くの山を登りたい。同じ山を何度も登るのは、筆者の好みではない。知らない新しい山を登ることは、事前に調査研究しそれを実行するという、好奇心や冒険心を満たしてくれる。過去数年のブログで紹介してきた山は、もちろん同じ山もあるが、ルートが違ったり上り下りの方向が違ったりと、変化をつけたものが多い。

大里から彎坑頭山へ登り、桃源谷を歩いて大溪へ下る
一気に最高点に上り、そのあと下る
そうした中で、再び訪れてもいいと思う場所もある。それは今回の海が見える草原の山、桃源谷だ。谷という名がついているが、実は緩やかな斜面である。過去に訪れてだいぶ時間も経っている。初回訪問後、近くを訪れたことはもちろんあるが、灣坑頭山から鹿窟尾尖との鞍部分岐までの稜線は、もう6年歩いていない。草原の山は、霧に閉ざされてはつまらない。ましてや、雨風の中では隠れるところもなく、風雨中の行軍練習でもなければ、行く意味がない。そうしたことで、天気予報で確実に晴れを待って訪れた。

この範囲は山頂からはっきり見えた
山行後聞いたところ、実は訪れる前の日は雨は降らなかったようだが、霧がかかっていたようだ。また、翌日には雨が降り、当日は寝転がって休んだ同じ草原の近くで、雨と風に打たれて筆者と同年齢の登山者が遭難し、救助されたときは心肺停止の状態だったということだ。一日だけの秋晴れだったようだ。今年の秋は、台湾北部は本当に天気が悪い。まさに、雲のない晴天で日焼けまでしたが、実にラッキーな登山ができたということだ。

大里駅前から灣坑頭山を見上げる
吾居吾墅民宿わきから登る
天気予報をにらんで、実行の前々日夜に行くことを決め、Facebook上に予定を載せたこともあり、また平日なのでメンバーは少ない。また、参加を予定していた二人も、予定の電車に乗り遅れ、結局しばしば一緒に山登りをするLさんとの二人だ。6時25分に台北駅を204番自強号の急行で出発、雙溪で途中追い抜いた区間ローカル電車に乗り換える。8時前に大里駅に到着した。

灣坑頭山へ1500mの表示、下って沢を渡る
滝のある沢を渡る
ほかに数名のハイカーが下車する。かれらは、草嶺古道から登るようで、駅の右に向かう。こちらは、駅らから直接灣坑頭山へ登り稜線に上がる。駅前の民宿吾居吾墅民宿のオーナーがメンテする吾居吾墅歩道を経由して登る。この道は、去年下ってきた道で、かなりの急坂が続く。8時5分、多くの大型トラックが高速で通り過ぎる濱海公路を渡り、吾居吾墅民宿の脇の道を行く。吾居吾墅民宿の壁には、灣坑頭山へは2㎞と記してある。

龜山島を望む
舗装路を少し行き、畑わきの土の道を歩き始める。すぐに山腹を行く保甲路との分岐を過ぎ、急坂が始まる。8時11分、駅まで200mの標識を見る。この坂には硬漢坡(さしずめ日本でいう、男坂)と名付けられている。8時22分、急坂が終わり右に石積の低い壁と見ると、彎坑頭山まで1500mの標識が現れ、下って行って沢を超える。雨が長く降り続いているので、水量が多い。わきの滝も見ごたえがある。

灣坑頭山はまだ高い
急坂が続く
沢を渡ると、また急坂が続く。8時36分、枝尾根に上がる。左に展望台があるので行ってみる。すでに200mぐらいは登ってきている。海に浮かぶ龜山島は、背後の水平線がぼんやりして空と海の区別がつかないので、宙に浮いているかのごとくだ。去年この道を下ってきたときは、山は霧でこの辺りまで下ってきて初めて、景色が見えた。引き続き登る。右手に灣坑頭山がまだかなり高い。少し緩やかな道を過ぎ、8時52分残り1000mの標識と硬漢嶺の看板を見ると、また急坂が始まる。9時15分、残り500mの看板を通過する。その少し上で休憩をとる。標高は500m弱、残りは少なくなってきた。

大里簡山への分岐
しっかり刈られた矢竹の急坂を登る
9時33分、右に大里簡山方向への道を分ける。その上少しで、別の展望点がある。今日は天気が良いので周囲が見渡せる。9時40分、灌木から抜けて矢竹の間を頂上に向けて山道が登っていく。矢竹はしっかり刈られて、手入れがよい。最後の急坂を登り9時52分、石畳の登山道に合流、左におれてすぐに彎坑頭山の頂上だ。標高616mの山頂は、桃源谷の山並みでは最高点だ。海抜ほぼ0mからのスタートなので、約600mを2時間弱で登ったことになる。
吾居吾墅歩道の分岐(白の標識)上から北方向を望む

灣坑頭山山頂にて、背後は五分山や燦光寮山や草山
数羽の鷹が空を舞う
今日は、本当に良い天気だ。雨で洗われ、空気は澄んでいる。燦光寮山や草山から、その左に五分山から姜子寮山の山並み、その間には遠く陽明山系の山々が見える。貢寮から福隆の平地と、その右には海岸線、そして卯里尖、隆隆山や福隆山からここへ脈々と続いてくる山並みで海が左右に仕切られている。西から南側にかけては、坪林や雙溪の山々が見える。360度がすべて展望できる。空には数羽の鷹が空中を舞っている。暫くぶりに天気が良いので、獲物を探しているのだろう。30分ほどゆっくり休憩をとる。

登山道からは眼前には大パノラマが広がる
灣坑頭山からの下りで海側を望む
振り返り灣坑頭山を望む
草原で寝ころび休憩
石畳の道を下る。桃源谷は、左海側は切り立っているが、右の山側は緩やかな草原が広がる。灣坑頭山は矢竹でおおわれているが、草原には芝生が広がる。そこには、放牧された水牛が草を食み、くつろいでいる。道脇には、ススキの穂が風になびく。陽ざしは強いが、風が心地よい。少し登り返し、また下る。10時54分、鞍部に来る。海側の道脇の草原で休憩する。横になり休んでいる間に、うたた寝をしてしまう。ひなただが、風があるので気持ちがよい。ただ、そのため結構日焼けをしてしまった。知らないうちに1時間ほどの休憩となった。しかし、時間も早いし天気もよい。この草原をエンジョイするために来たのだ。何も焦って進むことはない。

水牛がくつろぐ草原
福徳山へ向けて草原をゆく
11時54分、歩き始める。すこし登りが続く。4Kの標識をすぎ、12時5分新しくできた展望台に着く。すぐ下は、駐車場だ。ここまで車で来れるので、遊楽客が多くなる。下って左に石観音寺への道を分ける。登り返して福德山を超える。下ったところで、12時23分左に蕃薯寮溪古道の入り口を見る。もともとの計画では、ここからこの古道をくだるつもりであった。ところが、かなりの不人気コースのようだ。二年半前に藍天隊が、道を整備をしたが、そのあとの歩行記録があまりない。登りの時の沢の水も多く、かなり渡渉があるこの道を行くのはちょっと不安だ。そこで、予定を変更して石畳歩道を下ることにする。そのまま草原の道を行き、12時30分涼亭に着く。大勢のハイカーが休んでいる。自分たちも休憩する。

蕃薯寮溪古道の入口
牛止め石柵の向こうに涼亭
今日は、凍らせて持ってきたビールがちょうど溶けて、実にうまい。昼食をとり、ゆっくり休む。13時10分、大溪へ向けて歩き始める。この先は遊楽客は少なくなる。ススキが多くなり、秋の到来を感じる。振り返れば、歩いてきた草原の向こうに彎坑頭山の芋虫のような山塊が望める。6年前に初めに大溪から登ってきて初めて桃源谷を望んだときは、霧がかかりはじめ全容が見えなかった。今日は、お釣りを払っても余るぐらい、全部が見渡せる。13時31分、土地公がある鹿窟尾尖への鞍部から下り始める。

ススキの分岐、前方右に鹿窟尾尖(右)、睏牛山
水洗トイレの休憩所
牛止めの石柵を過ぎ、13時41分休憩所にくる。ここは沢水を利用した立派な水洗トイレがある。少し休憩をとっている間に、もともと一緒に歩く予定だった二人が、貢寮から草嶺古道をへてやってきた。我々は、途中ながい休憩をとり、ゆっくり来たこともあり、追いついた。二人が速く歩いたことも、もちろん関係している。ここから、四人で下り始める。

@蕃薯寮山
大溪の集落を見る
数分下ると、石畳が敷かれた休憩所にくる。左に蕃薯寮山の山腹をまいていく古道がある。しかし黄色のテープで立ち入り禁止となっている。以前歩いているので、問題はないはずだが、今回は石畳道をそのまま行く。道は忠実に稜線を追って上り下りがある。14時11分、蕃薯寮山頂上(標高456m)に着く。先ほど歩いてきた、桃源谷の稜線がすでに遠い。右下には大溪の集落が見える。

桃源谷はすでに遠い
石畳道を下る
石畳道をさらに下っていく。この道は、蕃薯寮山の稜線を行くので、吾居吾墅歩道に比べると桃源谷の稜線に上がるには、結構歩く。距離も4㎞ほどで倍ある。14時29分、先ほど分かれた古道が合流する。ここも黄色のテープでふさがれている。標高は380mほどあり、登山口まではまだしばらくかかる。濡れた石畳は滑りやすい。14時37分、涼亭を通過する。左側に海が見えてくる。ジグザグの道をくだり、沢沿いに道が下りていくと、ほどなく登山口だ。15時5分、小公園わきの登山口に着く。わきに井戸があるので、汚れた長靴を洗う。時間に余裕があるので、大溪漁港へ歩く。そこで海鮮料理を食べ、17時過ぎの区間ローカル電車で帰京した。

登山口についた
大溪漁港から七兄弟山を望む
終日好天気で、実によい山歩きができた。時間的にも7時間の行動時間中3時間弱が休憩だ。台北近郊の山は結構歩いてきたので、かなりの部分がすでに歩行済みだ。以前に比べると、気持ちに余裕がある。今回のルートは、彎坑頭山の登りがきついが、そのあとは楽である。道もとても良い。クラス3だ。ただ、天気が悪いと避難する場所がない。特に冷たい雨風にさらされると、上記のように危険なこともある。天候には注意が必要だ。

2 件のコメント:

  1. 晚輩期待和老師一起登山,並請教日本朋友來台登山的步驟。
    晚輩的FB: 金艾迪 ,Line: eddie65

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    1. 不好意思答覆的那麼晚。很歡迎來一起爬。

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