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縦走を終えて登山口で集合写真 |
台北からそう遠くない新北市石碇區にある皇帝殿山は、露出岩の尾根が続く面白い山だ。台湾北部の山の多くは、砂岩でできている。この山も砂岩が露出し、風化して岩尾根を構成している。地方政府による登山道整備で、主稜線の岩尾根にはしっかりした手すりや鎖、梯子などが取り付けられ、ハイキングコースとなっている。
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皇帝殿山東峰からこれから歩く西峰(中央)や湳窟山(右の低い峰)を望む |
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皇帝殿山西峰から東峰(右)から歩いてきた稜線を望む |
岩尾根にとりつくアプローチの道は、主要なものは花崗岩の石階段もできている。しかし、実はそれ以外にも草深い自然に近い道もある。皇帝殿山には、いままで数回訪れているが、まだ歩いてないそうした道がある。今回は、落穂ひろい的に歩いていない道を歩く目的で企画し、Taipei Hiker Clubにその予定を載せた。台湾北部は、二、三か月ほど週末になると天気が良くなかったが、今回は久しぶりの晴天だ。そうしたこともあって、今回は筆者も入れて28人と、多くの仲間が参加した。普段は多くても10数名のパーティだが、今回は約2倍であった。
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東側から西へ縦走 |
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歩行高度 |
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大溪墘バス停からスタート |
石碇や平溪方面へのアプローチは、いつもMRT木柵駅近くから795番バスで行く。天燈で一躍有名になった平溪へ往復する795番バスは、台灣好行バスとして週末や休日は30分に一本の頻度で運行されている。数年前に初めて訪れたころに比べると、随分と便利になったものだ。木柵7:30発のバスは、40分前にやってくる。今日は天気がよいので、登山客が多い。車内は満員となる。
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草深い道を登る |
40分ほどで大溪墘バス停に到着、多くの乗客が下車する。もともと参加をフェースブック上で表示していた人数は11名、ほかの乗客は別のパーティだとおもっていたところ、実は二名を除いて全部参加メンバーであった。初めて筆者の活動に参加する人も多い。簡単な行程の説明をし、8時20分に出発する。バス停わきの階段を登り、天鳳宮の前を通り過ぎる。細い道を少し行くと、右に道が分かれていく。直進して山道に入る。ここからは、草深い土の道が続く。
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小沢を越す |
ここ三、四日天気が良いが陽がほとんど当たらない谷間は、じめじめしている。草が道を覆い隠すが、幸いに草葉は濡れていない。しばらく緩い坂が続いたあと、急坂を登り始める。谷の右岸から左岸に移り、8時50分ロープのつけられた岩場を越える。水が流れる小沢を過ぎる。振り返れば、谷の向こうの山がだいぶ低くなっている。岩に階段が彫られている。特に古道というわけではないが、周囲には大菁(藍染料の原料)の花が多く咲いているので、これを採取するために地元の人が歩き、そのために彫られたのかもしれない。
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蚯蚓坑山頂上 |
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前方に小霸尖 |
9時8分、分岐が現れる。左は蚯蚓坑山へ続く。こちらを進む。坂はさらに急になり、大岩の下を行く。稜線に上がると右にアルミ梯子が岩に取り付けれらている。ここから直接
石霸尖(皇帝殿北峰)へ続く道だ。左に少しくだり9時21分、圖根點基石のある蚯蚓坑山(標高447m)に着く。頂上という感じはなく、ここに基石があるだけだ。もちろん展望もない。往路を下り、先ほどの分岐へ戻る。
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一面の大菁の花の間を登る |
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小霸尖から東峰と玉京山、右遠方は台北 |
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主稜線を東峰へ向かう |
全員がそろったところで、小霸尖へ向かう。さらに急坂を登り、右へ山腹を少し進む。前方には独立した小霸尖が大きくそびえている。主稜線と小霸尖との鞍部へ,大菁が一面に咲く間を登る。鞍部から右にロープの取り付けられた急坂を登る。10時5分、狭い小霸尖頂上(標高520m)につく。頂上から上がった道の左側は、樹木がなく
皇帝殿東峰と玉京山が谷を挟んでそびえ、その右奥には台北の街が遠くに見える。人数が多いので入れ替わり、先に鞍部へ下って待つ。稜線へ急坂を登り、10時18分救助連絡用の5番札のところで休憩をとる。倒れた道標があるが、そこに記されている蚯蚓坑山への距離は正しくない。
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東峰から東方向を望む |
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東峰から西方向を望む |
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前方に天王峰を見て鎖場を下る |
ここでメンバー一人が、先に行きパーティを離れる。ここからは、多くの登山者に歩かれている道で、状態もずっとよい。20分ほどの休憩後、東峰へ向かう。稜線上の道は先に下り、登り返す。11時4分、大きな岩が露出した東峰に着く。後続のメンバーも次々と着くが、岩の頂上は狭いので交代で岩に上がる。軽装のハイカーたちも反対方向からやってくる。展望の利く頂上からは、平溪,坪林の山々はもちろん、
插天山脈やさらにその向こうに拉拉山や
塔曼山なども見えている。晴上った青空のもと、冬の陽ざしは優しく、微風の頂上は実に気持ちがよい。
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ビールがうまい |
11時22分、東峰から下り始める。10分ほどで左に山麓駐車場への石段道を分ける。11時44分、天王峰への途中の岩場を越える。新しい鎖が取り付けれている。一度くだり天王峰へ登り返したあと、すぐ下の休憩場で食事休憩をとる。11時54分、ちょうど昼時だ。冬なので自分は持ってこなかったが、ほかのメンバーはビールを持ってきていて、分けてもらい飲む。今日は天気もよく、ビールはうまい。
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岩尾根を行く |
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鉄はしごを登る |
12時37分西峰へ向かう。下ってすぐまた左に道を分ける。ここから西峰は途中に裸岩の尾根が現れる皇帝殿山歩きのハイライトセクションだ。岩の先端は平らに削られ、手すりもつけられているので、危険はない。こうした整備がされる前は、結構スリルがあっただろう。一枚岩を降り、左に下山道を分けたあと、下っていく。途中二か所鉄はしごの長い急坂を登り、13時15分西峰(標高579m)につく。狭い頂上からは、やってきた東峰からの稜線が望める。
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分岐で集合写真 |
下りも途中、鉄はしごの岩場を二か所通り、13時51分分岐に来る。左は石碇の街に降りる道だ。直進すれば、この後の予定の湳窟山の方向だ。ここで七名が石碇に下り、残り20名が石段道を串空湖山、湳窟山へむけて下っていく。途中二か所の涼亭を過ぎ、かなり下っていく。14時12分、石段道を下り切り車道に降りる。全員揃ったところで、左に車道を少し少し進む。ほどなく右に串空湖山への登山口が現れる。湳窟山へ20分という道標がある。草に覆われた土の道を三分ほど登り、樹木のなかの串空湖山(標高351m)につく。三角点は新しいが、そのわきの樹木に取り付けられた古い山名プレートは、成長した樹木に取り込まれてしまっている。
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道端に台湾では珍しい紅葉 |
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湳窟山への登山口 |
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草深い稜線道 |
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判読できない石碑 |
湳窟山への道は、あまり歩かれていない。更に草深く、倒木も多い。数分歩くと、右下に土地公の石祠がある。祠のなかは神像はなく、香炉には最近焼香されたような様子も見えない。しかし、どうしてこの場所に土地公祠なのか、ちょっとわからない。幅のひろい稜線を登って行く。14時46分送電鉄塔の下をくぐり、保線路を下る。14時49分、ぽっかり広場に出る。右に文字の判読できない石碑がある。左下は天池と記された牌樓が幅の広い石段の下にある。ここにはお寺があったようで、石碑の左はしには僧侶の名前がある。少し休憩をとる。
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草の中の湳窟山山頂 |
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外石崁山山頂 |
広場から少し登ると、土の広い道にでる。左に登っていく。最高部には小屋が建っている。そのすぐ上の草原に湳窟山の頂上(標高397m)がある。時刻は15時6分、途中で休憩をとっているものの、先ほどの道標で20分という表示はちょっと短すぎる。頂上から西に送電鉄塔のほうに行く。その下からまた森の中の道が始まる。入口にある道標は、403峰をこえて雙溪口まで60,70分とある。また草深い道が続く。15時47分、法濟寺後山への分岐を過ぎる。更に10分ほど歩き、本日縦走最後のピーク外石崁山(標高345m)に到着。樹木の中で展望がないが、ゆるい頂上で休憩をとる。
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まだ青い切られた刺藤 |
外石崁山からは急坂が続く。あまり歩かれていないが、それでも最近歩いた形跡はあり、まだ青い切られた刺藤がある。この刺だらけの草は、このように切られていなければ通り越すのは厄介だ。尾根を下ってくる道は、右に山腹をロープの取り付けれた急坂で尾根を離れ、16時44分農園の上に出て車道に降りる。山道はこれで終わりだ。全員が下りるのを待ち、車道を下り水道局文山営運所のわきから106号線にでる。左に少し下り、17時雙溪口に着く。ここは平溪と石碇への分岐で、666番バスと795番バスの両方がある。スマホのバス運行アプリで見ると795番が早くやってくる。そこで、795番バス亭に向かう。17時16分、満員のバスがやってきた。
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急坂を下る |
休憩込み活動時間約8時間半、水平移動距離は8㎞強である。人数が多かったこと、また後半湳窟山の道が、それほど良くなかったことで、思ったより時間がかかった。途中で離れたメンバーがいたが、28人とはTaipei Hiker Clubの活動では一番多い。やはり、長く不順な天気で、思うように山登りができなかったことが、関係していると思う。皇帝殿山の西峰、東峰などの主要なピークは、しっかりした登山道があるのでクラスは2だが、その他の部分は草深い道を歩いた経験が必要なクラス4だ。蚯蚓坑山の道は、思ったよりは簡単だった。体力的にはクラス3である。
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満員の795番バスがやってきた |