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石門ダムから望む石牛山(左奥)と蓬萊仙島山 |
今年は多くの台湾百岳を登った。合計で18座になる。
台湾の百岳は、3000m超の山々で選ばれている。日本の百名山は、高度についての制限はない。台湾でも高さではなく、百名山のように各地を代表する山々百座が選ばれ、百岳に対し小百岳とされている。今回の登山対象はこの小百岳で石牛山だ。筆者にとって51番目の小百岳となる。石牛という名前は、頂上に大きな石があるが、地元の人は大石のことを石牛ということからきている、とのことだ。実際、下から見上げると頂上下に露出した岩壁が目立つ。
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南から北へ石牛山を越えて縦走 |
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後半は小さなん彫り下りが続く |
石牛山は、以前に登った同じく石門水庫の近くにある
石門山の隣になる。しかし、交通の便は必ずしもよくない。登山口は、石牛山の南側の新竹縣關西にあり、台北から行くにはバスを乗り継いでいく必要がある。今回は、台北から國光客運のバスで關西へいき、そこから新竹客運のバスに乗り換えて登山口近くの李樹下バス停から歩いた。登山口からは左右二つの登山道がある。右はロープセクションの多い、急坂が続く。こちらを選び、稜線を左に追って頂上に登る。頂上から北に枝尾根を石門ダムの畔へ下る。枝尾根の突端には蓬萊仙島山という、中国伝説にでも出てきそうな名前の山がある。そこを往復し、ダムのわきを回り込んで堤防へ歩き、縦走を終えた。
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石門水庫ダム南に位置する |
天候が心配されたが、台北から少し南にあるこの辺りは天気が持ちそうだ。朝6時30分の國光客運1820番竹東行バスに乗る。少し時間が早いので、通常だと台北MRTが動き出して間もなく、少し離れた場所からだと間に合わないが、たまたま今日は台北マラソンがあり特別に早くから運行されている。途中の板橋バスターミナルから乗るメンバー一人を除いて筆者を含め10名だ 。途中のバス停でも結構乗客が乗り、高速道路に乗るころは満席に近づいた。
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李樹下バス停で5638番バスを下車 |
三号高速道路を龍潭で一度降りて二、三人乗客が下車する。また高速道路にのり、關西インターチェンジでまた降りて、7時46分關西バス停に着く。ここで下車する。しかし、街中にある新竹客運關西バスターミナルまでは、距離がある。そこで道を歩いていく。実は、グーグルで調べていた時は、國光客運の関西バス停は新竹客運バスターミナルの近くにある、となっていたがこれは間違いのようだ。もう一つの國光客運のバス停關西鎮所で降りたほうがよい。歩くこと15分、新竹客運バスターミナルに着く。
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石牛山登山口、右の道を直進する、自家用車でくればここに駐車できる |
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ミカン畑のわきを登る |
バスターミナルから8時20分発の金鳥楽園行き5638番バスに乗る。乗客は、我々以外には二、三名だ。まさにローカルバスである。約20分ほどの乗車で、羅馬公路の李樹下バス停に到着する。バス停から少し進行方向に進み、左の道に入る。石牛山民宿という看板がある。道なりに進んでいく。3分ほどで分岐がある。ここも石牛山方向への看板があるので迷うことはない。谷が狭まり、前方左側に石牛山が見えてくる。8時52分、登山口に到着する。登山道は、左右二本ある。左側は特徴があまりない道のようなので、右の道を進む。
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滑滝状の沢を渡る |
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岩穴を抜ける |
10分ほど、檳榔樹林の脇の舗装路を進む。農家がある。農家の端のところより左に道が入る。ここから山道だ。ミカン畑が終わり、沢沿いの道が始まる。沢を横切り進み、約10分ほどで滑滝状の河床を渡る。水量がないので問題はない。勾配がきつくなる。9時30分、また沢を渡り、表面がコケに覆われた岩場が現れる。砂岩には足場が彫られ、補助ロープがしっかりしている。岩が重なり、トンネル状になっている箇所を抜ける。その上には、岩を横切る桟道がある。急坂だが、いろいろな変化が次々現れ面白い。
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岩壁の上に横切る桟道 |
暫く土の急坂が続く。昨日の雨で草が濡れているが、道幅があるので助かる。10時3分、左上方に大きな岩壁が現れる。この上が石牛山の頂上だろう。道は右に巻き込み、最後の急坂を登り切る。10時11分、稜線に出ると同時に、強い風に吹かれる。今日は、東北季節風が強まり、風が強いだけでなく気温も低い。11名全員が分岐に着くのを待ち、左に幅の狭い稜線を登る。シダの下草が生えまばらな灌木の尾根は、風が吹き抜けていく。頂上直下の分岐を過ぎ、10時21分石牛山山頂(標高671m)に着く。石牛山と文字が彫り込まれた大石が座っている。この石が山名の由来か。三角点がわきにある。
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稜線に着いた |
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稜線を頂上へ向かう |
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石牛山頂上の筆者 |
頂上からの眺めはすこぶる良い。北側は石門水庫や
石門山とその向こうに桃園の台地、南側は雪山山脈の支脈となる山々が連なっている。頂上が雲の中の対岸の山は、
那結山だろう。10時40分、頂上から下り、分岐を左にとる。2分ほど下ると、左から道が合流する。この道は、先ほどの登山口からくる左側の道だ。この道を下れば、三時間ほどで石牛山のめぐることができる。我々は、石門水庫に向け、さらに稜線を進む。途中、岩場を過ぎ10時54分、右に枝尾根を下る道を分岐する。杉の人工林の間の道は、急坂でぬれた土の道はとても滑りやすい。幸い補助ロープがずっと取り付けてある。
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人口杉林を下る |
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525M觀景點からダムと蓬萊仙島山を望む |
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岩場を下る |
途切れなく急坂が続く。11時15分、525m觀景點とある場所を過ぎる。樹木の間から、下方のダムと枝尾根末端に盛り上がった蓬萊仙島山が見える。三、四か所岩場を過ぎる。稜線から石門水庫への道は、事前に思っていたよりはるかに状態がよい。最近メンテがされたようだ。急坂を猶も下り、11時52分開けた送電線鉄塔の下に出る。風が吹き抜けていくが、ここで昼食休憩をとる。
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送電鉄塔下での食事後、坂を上り返す |
30分ほどの休憩後、出発する。すぐに登り返し、左に尾根をとる。ここから直接蓬萊仙島山方向へ進む道の入り口に気づかず、尾根を追っていく。道を間違えたことに気づいたが、そのまま行く。尾根が右に折れ急坂を下り、12時34分山腹道を合流する。右に行けば、蓬萊仙島山に行ける。そこで、ここから往復することにする。山腹道は、崩れた部分に新しく道が開かれている。つい最近の作業のようだ。そのうち少し登りになり、登り切ったところで先ほど分岐を見落とした山道と合流する。その先は、鉄塔がある。鉄塔から下り、登り返すと12時53分、仙島山南峰を過ぎる。昭和四年と読めるセメントの柱が埋められている。頭の部分が壊れているが、これは以前付近の
十寮山でみた同じく昭和四年とあるものと同一のものだろう。
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蓬萊仙島山南峰,昭和四年の基石がある |
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竹藪の中の蓬萊仙島山山頂、切れ目から湖が見える |
下って分岐を過ぎ、上り下りのあとちょっとした峠を過ぎる。ここで十字に交差する道は、草深く歩かれていない。地図では左に下ると吊り橋があるが、実はこの端は橋脚だけが残り、橋そのものはなく渡れない。また右に行けば、以前は桟橋があったようだ。直進して桂竹林の急坂を登り13時9分、蓬萊仙島山(標高386m)の頂上に着く。周囲は竹林だが、前方だけは切れて下方にダムの湖面と、その向こうに今日の山行の終点、ダム堤防が見える。仙人のように飛べれば、ここから一飛びで行ける距離だ。
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赤い鉄の橋、まだ新しい。右に木製橋の残骸 |
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泥濘をゆく、長靴が役に立つ |
仙人でないわれわれは、往路を引き返す。13時46分、先ほどの分岐へ戻る。約1時間10分ほどで往復した。分岐からさらに下っていく。13時57分、赤く塗られた鉄製の橋を過ぎる。以前は木製の橋が架かっていたところだ。この山奥には似つかない立派な橋だ。橋を過ぎたあと、道はとてもぬかっている。ダムわきの山腹道を進む。14時8分、吊り橋が現れる。最大三名とある、小さな吊り橋はとても揺れる。吊り橋は、送電鉄塔保守人員のためのものだ。
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吊り橋、みんな嬉々として渡る |
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蓬萊仙島を望む、山腹に吊り橋の橋門 |
道をさらに追っていき、14時20分、産業道路にでる。釣り人のものだろう、バイクや車が泊めてある。車道を数分進み、右にわかれる道をとる。直進すれば、石門山の登山口へと続く。14時36分、廃棄されたトイレを過ぎ、プレハブ小屋の前に出る。ここは以前公園であったようだ。水辺には小舟がある。対岸は先ほど登った蓬萊仙島山だ。山腹に吊り橋の橋門だけが残っている。
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石門水庫ダム方向への分岐道標 |
湖沿いの道は、小さな登り下りを行く。15時左に石門山へ続く分岐に来る。今から石門山へ登ると、下りは日が暮れてしまうので今回は石門山へ登らず、堤防へ進むことにする。少し登っていき、15時19分同徳台と記されている涼亭に来る。樹木が伸びて上からの展望はもう一つだ。ここまでやってくる遊楽客も少ないようだ。
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訪れる人も少ない同徳台 |
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満々と水を湛える石門ダムと背後の山々を望む |
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歩き終えた後ダムのほとりでのパーティメンバー |
最後の小休憩後、道を行く。途中、展望がひらけ、水を満々に貯めたダムが眼下によく見える。堤防の向こう側には、
溪州山や遠くには
白石山などが望める。左に石門山方向への道を分け、急な階段で下る。15時37分、依山閣わきに降りる。ダム堤防上からは、今日歩いた山々が、湖面の向こうに連なっている。16時過ぎ、石門水庫バス停に到着、16時57分約20分遅れで、中壢行き5050番バスがやってきた。
寒波が訪れ、終日寒い日であった。稜線上では、かなり強い風が吹き抜けていった。夏はとても暑い近郊の低山だが、今回はすっかり違った。台北では雨だったようだが、晴れることはなかったものの、雨も降らずに助かった。道や道標も整備されているので、アクセスさえ確保できれば、ダムの風光明媚も鑑賞できるよいルートだ。レベルは3というところだ。
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