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2020-07-10

2020年7月4日 烏來桶後溪大礁溪山 - 小礁溪山縱走 夏の苦労登山

小礁溪山への縦走路から大礁溪山を望む、背後は阿玉山(左)と中阿玉山
今年年初に再度開放された烏來の奥に位置する桶後溪にそった桶後林道や、さらに県境を越えて宜蘭に通じる桶後古道は、人気の登山対象となっている。以前はアクセスが難しかっただけになおさらだ。筆者もいままで、二度この地を訪れている。そのうちの第一回目は大礁溪山であった。その時は、悪天候のためで行えなかった小礁溪山までの縦走が、今回のルートである。

小礁溪山山頂のメンバー
新北市と宜蘭県の県境となる烘爐地山から阿玉山へと続く稜線上に位置する小礁溪山や大礁溪山は、標高1000mを少し超える高さだ。宜蘭側のふもとは蘭陽平野が広がるが、新北市烏來側は、深い谷が形成され対照的な地理を呈する。そこの住人は農耕をする宜蘭側の平埔族原住民そして後の漢族と、山野で焼畑農耕や狩猟をするタイヤル族原住民とは、異なる生活環境であった。そして、必要物資の交換交易を除いて、この二つの世界はそれぞれお互いに関与しない領域でもあった。今回歩いた稜線は、二つの世界の境界であった。

反時計周りに回遊
歩行高度表
宜蘭と烏來とを隔す稜線を歩く
二つのピークの縦走は、実は4月以降二回企画した、しかし天候が悪かったり筆者自身が膝をぶつけてケガしたり、といった理由で延期してきた。その間に、小礁溪山への道が整備されたり、また多くの登山者が歩いたので、今回のルートはすべて草も刈られ状態が良くなっていた。まさにケガの功名か。しかし、すでに7月になり、中級山とはいえ標高は1000m程度なので、やはりかなり暑くて、そちらの理由で苦労した。

道路工事地点
MRT新店駅前で集合し、7時過ぎに二台の車に分乗し出発する。今日は全員で9名だ。新烏路(台9甲線)を進み、烏來の街を通過さらに孝義へ向かう。7時46分、台9甲線は終了し桶后林道が始まる。途中で三、四カ所の工事区間を過ぎる。6月から8時から17時の間は、工事のため交通規制が行われるようだ。我々は工事が始まる前に通過する。実際、最近土砂が取り除かれたような場所を過ぎる。8時半、林道13Kの終点に着く。周囲には多くの車が駐車している。

桶後古道を大礁溪山の登山口へ
急坂を行く
谷間から見上げる空は曇り気味だ。最近は、午前は天気が良くても午後にはにわか雨が降る。特に二日前にはかなりの雨量があった。8時50分、桶後古道入り口から歩きはじめる。古道といっても幅が広い。道には水たまりもある。0.5Kのキロポストをみて間もなく9時少し前、大礁溪山登山口に着く。4月に一度訪れているので、様子はわかっている。

急坂が続く
手作りアイスキャンディー
前回は雨の中の登りだったが、今日は雨はないものの風もなく、けっこう暑い。急な登りを行く。9時20分小休憩をとる。坂は相変わらず急だ。道の状態がよいのは、助かる。9時50分、藍天隊の道標のある比較的平らな場所を過ぎる。後方のメンバーが少し遅い。待つがなかなかやってこない。メンバーのLさんが、戻って様子を見る。すると、一人のメンバーMさんは、昨日に献血をしたばかりのためか、かなり難儀しているということだ。先に行ってくれ、ということで進む。10時35分、休憩をとる。標高は1000mを越え、残りはそれほど多くない。仲間が持ってきたアイスキャンディーが嬉しい。

野牡丹の緩やかな道
矢竹が現れ山頂はもうすぐだ
休憩後十数分登ると、稜線の道は緩やかになり、そのうち小さな上り下りを行く。道脇には、今ちょうど時期の野牡丹の紫の花が目立つ。矢竹が現れる。前回矢竹が現れて間もなく山頂だったので、残りはほんのわずかだ。果たして11時17分、大礁溪山山頂(標高1161m)につく。前回は、霧でまったく視界がなかった。今回は小礁溪山やそこへ続く稜線が望める。稜線の右にあるはずの宜蘭蘭陽平野は、残念ながら雲の下だ。小礁溪山の向こうには、鳥嘴尖山から姑婆寮尖から烘爐地山へと続く稜線の一部も望める。食事休憩をとる。ただ、日陰が少なく暑い。

二度目の大礁溪山山頂
大礁溪山山頂から小礁溪山とその前の稜線を望む
思っていたより状態のよい縦走路
30分の食事休憩の間に、遅れていたメンバーMさんがやってきた。あきらめて先に下山したかと思っていたので、少し意外だ。これからは大きな登りもないので、一緒に歩くという。11時47分、縦走路を歩きはじめる。道の状態は、思っていたよりかなりよい。矢竹の間の踏み跡もとてもはっきりしている。それだけ多く歩かれているということだ。10分ほどで、右に中阿玉山方向への道を分ける。この道はさすがに、草が深く状態は良くないようだ。

縦走路にも野牡丹が多く咲く
道は幅のある稜線上の灌木帯を抜けていく。小さな上り下りが疲れさせる。盛夏の蝉が、耳を劈かんばかりに鳴りたてている。短い命なので、彼らも懸命なのだろう。矢竹が現れ、ちょっと大きな下りを行く。右遠くに、雲に覆われた平野がチラッと見える。東阿玉山から左に降りていく長い尾根も望める。阿玉山など、阿玉を冠する山が多いが、阿玉とはもともとタイヤル族のカヤの意味だそうだ。実際稜線上にはカヤや矢竹が多い。

雲の下に蘭陽平野がとその前に東阿玉山の稜線
史丹吉氏斜鱗蛇
鞍部に下り灌木帯に入る。少し登り返したところで、頭が尖った形状の蛇を見つける。史丹吉氏斜鱗蛇という珍しい蛇のようだ。ちょっと動きが止まった後、また逃げていく。小礁溪山までは、途中に小さな偽ピークがある。急な部分は、滑りやすい。全身から汗が噴き出し、衣服はびっしょりだ。ほぼ登り切ったところで、12時50分休憩をとる。

灌木帯の急な縦走路
カヤと矢竹の草原の向こうに小礁溪山
蝉の抜け殻
カヤの斜面を下る。前方には、大きな小礁溪山が現れる。13時30分、登りの途中で後方からメンバーが脚をつったという。汗をこれだけかき、水を飲んで補充しているので、電解質が流出し筋肉がつりやすくなっている。そこで平らな場所まで行き、休憩をとる。袖にどこで引っ付いたのか、蝉の抜け殻がとまっている。ちょっと長めに20数分の休憩をとる。筆者は、ちょっと多めに行動食をとり、エネルギーを補給する。

大礁溪山と桶後溪の谷を望む
小礁溪山山頂が見えた
小礁溪山の山頂までは、まだ少し上り下りがある。高度を上げていく。カヤの草原で視界が開けた場所から、大礁溪山が稜線の向こうに大きく座っている。大礁溪山の背後に頭を出している山は、阿玉山と中阿玉山だろう。稜線左の宜蘭側からは霧が上がってくる。右の桶後溪側は霧もなく谷間とその周囲には峰々が続き、対比を見せる。また少し下り、最後のカヤの斜面を登る。そのうち灌木帯に入る。15時2分、右に桶後古道の峠近くへ下っていく道を分岐する。左に少し進み、15時4分小礁溪山山頂(標高1147m)に到着する。

小礁溪山山頂
急斜面を下る
時間が早ければ、先ほどの分岐から桶後古道への道を取っていくこともできるが、先ほどから雷の音も聞こえはじめ、雨粒がポツポツと落ち始める。メンバーもかなり暑さでまいっている。15時23分、山頂から直接支稜を下る道を取り、下山開始だ。はじめはちょっとした登り下りがあり、そのうち急坂が始まる。15時48分、山腹をトラバースしていく林道に降りる。林道は、もちろん廃棄されているので、ところどころ崩れた場所もあるが、おおむねOKだ。緩い勾配で進む。

また急坂を下る
16時14分、林道からまた右に急坂を下る。この道は、4月後半に藍天隊が整備したところで、状態はよい。ロープも適宜取り付けられている。17時、少し坂が緩やかになり、ちょっと登り返す。残りはわずかだ。17時13分、桶後古道の登山口に着く。全員が下り切り、左に古道を少し行く。沢の岸で休憩をとり、冷たい沢水で顔をぬぐい、長靴を洗う。残り数百メートルの古道を戻り、17時50分駐車場所へ帰り着き終了した。

桶後古道の登山口に降りた
この沢際で最後の休憩
行動時間は、休憩も入れて約11時間、距離は10.6㎞だ。累計で1300mほどの登りとなっている。小礁溪山で降り出し雨は、大降りにならずに済んだのは幸いだった。下山途中はかなり雷声を聴き、宜蘭辺りではけっこう雨量もあったようだ。しかし、何より暑さに苦労した。気温が高く風もないと、それでけで体力を奪われる。この周辺の山や古道は、まだまだ歩く場所が残っている。まだ、何回かは桶後古道を訪れることがあるだろう。

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