このブログを検索:山名などキーワードを入れてください

2021-09-23

2021年9月19日 宜蘭大白山 蘭崁山 セメント用石灰岩採掘場跡の山

大白山(右の雲をいただいたピークが山頂)

蘭崁山

台湾東部宜蘭縣蘇澳から南へと続く山は、石灰岩が豊富である。セメントの原料となる石灰岩が豊富なので、この地区にはセメント工場が多くある。今回の登山対象である蘭崁山はまさに石灰岩の採掘がおこなわれていた場所である。ふもと冬山鄉にある力霸水泥廠(現在は潤泰水泥セメント工場)に1970年代から供給している。採掘した石灰岩は、リフトで工場へ運搬していた。また採掘場へのアクセスのため、力霸產業道路とも呼ばれる安平坑林道が切り開かれ整備された。天掘りされる採掘場は、森林が壊され採掘が停止されても、草が生えるだけの地形で、自然保護水源確保の観点からは、もちろん議論がある。中央山脈が南へと立ち上がらるその北端に位置する山々は、今年7月末に大元山を訪れた。蘭陽平野の端から南へほぼ同じような距離だが、当二座はそれよりさらに東、海に近い。

二座を駐車した場所から往復
この林道のおかげで、登山は楽になっている。標高1300mを越え麓から距離がある今回の二座は、林道がなければこのように数時間で登山を終えることはできない。痛し痒しのところだろう。もともと林道は一般には開放されていなかったが、数年前から休祝日だけに開放されるようになったという。舗装路が登山口近くまで続く。車高の高い車で舗装されていない道を行けばさらに簡単に登頂できる。

第一日、第二日の登山場所
中秋節四連休のうちの中二日を利用した今回の登山は、翌日の巴尖縱走(巴博庫魯山 - 復興尖山)がメインで、そのウォームアップ的な登山である。巴尖縱走は、12時間を要する活動だ。朝早くから登山するために、登山口近くに宿泊する。その前日の登山がこの登山だ。連休は、特に第五高速道など非常に混雑する。それを避ける他の中二日といこともある。二日目の帰路も北横公路を経由し三峽にでたので、混雑知らずで台北に戻った。

蘭崁山山頂にて

-----------------------------------------

安平坑林道のゲートを過ぎる

六時半過ぎにメンバー14名は台北を三台の車で出発する。連休の二日目の朝なので、高速道路は混雑していない。スムースに雪山隧道をぬけ、宜蘭に入る。平野の縁に連なる山々は、雲を被りスカイラインははっきりしないが、天気は問題ない。7時半過ぎに羅東インターチェンジで高速を降り、近くのコンビニに立ち寄る。さらに車を冬山鄉へ進め、8時過ぎに大安路から安平坑林道に入る。舗装された道は状態が良く、山を登っていく。雲の中に入り、周囲は白くなる。そのうちに雲の上にでて、廃棄された建物の脇を過ぎ、8時48分登山口(標高約1200m)に着く。登山口というが、蘭崁山採掘場へと続く未舗装の林道分岐である。

車で一気に高度を上げ、雲海に浮かぶ山を見る
水たまりあるが状態はよい

最後の部分で舗装がちょっと切れ、路面が悪い場所を通り過ぎれない一台のメンバーを迎えに行き、9時7時に歩き始める。未舗装だが、水たまりがあるのを除き、状態はよい。まだ新しい轍もある。少し登り気味に行き、9時26分右に蘭崁山の登山口を過ぎる。先に遠い大白山を登る。道は下り気味になる。山襞に沿って進む。前方に右に長く伸びる山並みが現れる。最も見日に雲を被っている山が大白山のようだ。9時49分、右にコンテナを利用した小屋がある。既に廃棄されている。車が二台その前に停めてある。先ほどみた轍の車だろう。おそらく登山者がここまで車でやってきたようだ。休憩をとる。

コンテナ小屋の向こうに大白山
林道終点に車が二台

蘭崁山を背後にカヤの坂を上る
林道はここで終わりだ。その先左側の山の斜面は以前採掘されていたところのようだ。コンテナ小屋はその作業小屋だったのだろう。少し下り、左に降りてくる尾根を登っていく。カヤしか生えていないので、展望はすこぶるよい。背後にはこれまた雲を抱いた蘭崁山が控え、その手前には歩いてきた林道が伸びる。登ること数分、灌木林に入る。尾根は方向を南東に向け大きく曲がる。灌木にはサルオガセがぶら下がる。この地はよく霧が発生することを証明している。低い灌木の森を進む。10時18分、突如稜線上にカシの大木が生えている。

サルオガセのぶら下がる灌木帯を進む
道脇の大木
山道は基本尾根を行くが、先ほど見たように稜線には上下がある。それを追って登り下りが現れる。樹木がきれてカヤ原から、目的地の大白山が雲を被って向こうに立っている。ここまでくる間に三組の登山パーティと行違った。最後の登りで、また別のグループとすれ違う。この山はとても賑やかだ。11時過ぎ、樹木に囲まれた大白山(標高1368m)に着く。東方向は樹木のない部分があるが、霧で遠望はない。しばし休憩をとる。11時35分、往路を戻る。霧の森を進む。12時7分、大きなカシのある開けた場所で昼食休憩をとる。そよ風が吹き、とても快適だ。

山頂も近い
大白山山頂の筆者
30分ほどの昼食休憩のあと、さらに戻る。大きく左に曲がり、カヤの尾根を下る。高度が下がり、霧からでて前方に展望が広がる。これから訪れる蘭崁山は、朝見た時より雲がさらにさがって山容が見えない。12時51分、山道から林道に下り、緩い坂道を登っていく。朝に見た車はすでにない。右下には、遠くの平地が見え隠れする。13時17分、蘭崁山登山口に着く。登る前に休憩をとる。

霧のカヤ原を戻る
大白山登山口に戻る
霧の向こうに平野が見える、左は石灰岩採掘場
急坂を蘭崁山へ登る
標高差約200mの蘭崁山山頂までの道は、前半は急坂が続く。20数分登ってくると緩やかになり、14時少し前に山頂(瓢湖1470m)に着く。山頂はカヤが切り開かれ一等三角点の大きな基石が鎮座する。その上になぜか測量用機器の三脚が置いてある。周囲は樹木である。霧が出ているので樹木がなくても展望はできない。20数分の休憩後、往路を下山する。

蘭崁山山頂
華八仙の咲く登山口に戻る


車で下る途中龜山島を遠望する
14時46分、林道の登山口に降り引き続き林道を進む。少し登り気味のところは厄介だ。15時5分、車を駐車してある分岐に着く。スイカをみんなで食べる。下りの林道からは、宜蘭の平野が見える。特に後半の部分で全体が見渡せる場所は、とてもよい展望点だ。海には龜山島が、まるで大海原を泳ぐ大亀のようだ。この風景を撮るだけの目的でやってくる人もいる。16時13分、大安路の山門で三台の車が集合し、一緒に今晩の宿泊地である大同鄉松羅村へ向かう。途中三星の街で弁当などを買い、17時45分に巴杜的家民宿に到着した。

---------------------------------

林道で見かけた寄生植物野菰(拐杖花)の花
本来楽な行程である。長めの休憩をとり歩いた所要時間は約6時間だ。距離は約12キロ、累計登坂下降はそれぞれ約500m、コース定数は20である。本来この山並みのすぐ南側は、非常に深い渓谷が形成されている。それは水に浸食されやすい石灰岩が影響しているのか。さらに南にある有名は太魯閣の渓谷は、石灰岩が再結晶化した大理石でできており、同じく水の浸食作用を受け、その形を造っているのと同じ原理である。今回の歩きだけでは、そうしたダイナミックな景観はほとんど想像できないものだ。


0 件のコメント:

コメントを投稿