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獅頭山から望む仙山-象山の山並、中央の尖峰が神桌山(2021/3) |
山に登ると、広い景色を眺めることができる。天気が悪く、ガスってしまった山では、登山の楽しみの一つが得られない。今回の山行は、まさに雨がちで遠景はまったなかった。途中に多くの岩が露出する地点を通過する今回の縦走路は、ここでは隣の東側中級山、ここでは西側の丘陵地帯やその先の海が見えるのではないかとも、思ったがそれはすべて想像だ。東側には加里山をはじめとする中級山があり、西側は苗栗の特徴である丘陵との間にこの山並みが南北方向に続く。
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南から北へ縦走 |
景色はないが、縦走路そのものは、岩壁、急登坂、急降下、樹木の根、ナイフリッジなど非常に変化にとみ、それが息もつかせぬほど次から次へと現れる。それはそれで、大変だが面白い。濡れて滑りやすい難ルートの訓練だと思えば、雨中山行も楽しい。縦走開始の山は仙山、終点は神桌山、この二つの山名をとって神仙縱走と呼称される。濃霧の中を彷徨する仙人のように歩き、神桌(祭壇)で終わる、何か別世界のような響きだ。
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西の丘陵地帯と東の高い山々との間に位置する |
仙山は、数年前に一度登った。その時は、縦走でなく県道124号線へと尾根を下った。天気が良く、山頂から北を眺めると、神仙縱走の尖峰や痩せた尾根が続いていた。その印象が残っていた。天気予報では、9時ごろから回復という基調だった。しかしなかなか雨は止まず、午後になり霧雨程度になった。結構人気のあるルートだが、三名の外国人登山者に出会ったほかには、出会うことはなかった。悪天なので、当然といえば当然だが。
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@神桌山山頂上 |
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雨の夜明け前三台の車で出発 |
今回は13名、3台の車で出発だ。登山口まで時間がかかるだけでなく、下山後に車を回すため、先に下山口に車を置いていく必要があり、これに時間がかかるため、5時に出発する。台北はまだ雨、その中を第一高速道路で進む。約1時間で頭份インターチェンジに着き、南庄へと向かう。ここは雨が止んでおり、遠くには霧が晴れていく山も見える。天気は好転しているのかと、期待する。途中南庄のコンビニで三台は集合し、県道124号線を登っていく。雨が降り出した。7時半前に、仙山登山口の靈洞宮に到着する。時間が早いため、まだ参拝客はいない。
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夜明けの山は霧が晴れている |
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協靈宮への登り口 |
メンバーはここで下車し、二台で下山口近くへ行く。124号を下り、南庄近くで福德大橋で中港溪の左岸に渡る。その先左へ産業道路を登っていく。8時半、神棹山登山口近くで車を止め、もう一台の車で戻る。靈洞宮へ戻りついたときは、9時10分を回っていた。途中で道を間違えたこともあるが、下山後の車を回すためにかなりの時間を要した。
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一般参拝客に混じ石段を登る |
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露出岩の急坂 |
9時20分まえ、いよいよ登山開始だ。まず山腹にある協靈宮へと登る。ここは、その名前が示すように宗教の山だ。多くの参拝客が登っていく。階段に跪き祈願をかけている信者もいる。雨の中、大変だ。廟の脇から登山道が始まる。この道は、前回訪れた時とは異なり、上部でその時の道と合流する。砂岩の石段道が杉林の中を登っていく。ここでは、まだ傘を差して登れる。9時44分、尾根上に上がり別の道と合流する。八角亭を過ぎると、尾根上の道は岩が現れる。かなり急だ。最近、ここで滑落し死亡した事件が発生している。ロープが切れたということだ。そのためだろう、新しいロープが架かっている。途中少し緩い場所を過ぎ、最後の岩場を登り10時に仙山山頂(標高967m)に着く。今日はすべて霧の中、風景は望めない。
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霧の中の仙山山頂 |
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124号線へ降りる道の分岐点 |
仙山が今日の最高点で、これから歩く縦走路は、基本下りだが、途中のピークの高さもそれほど大きく違わない。10時10分前、山頂から下る。数分で分岐にくる。分岐には新しい建物がある。屋根は太陽電池で、おそらく何かの観測機器だろう。ここで、前回下った124号線へ下る道を分ける。縦走路は、左に下り始める。すぐに岩場も現れ、傘をたたんで雨具をつける。多くの登山者が歩く縦走路なので、ロープなどしっかりかけられており、それ自体は問題ない。ただ、苔がすこし生え水を含んだ砂岩は滑りやすそうで、慎重に進む。
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早速現れる岩場 |
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上り下りを繰り返す |
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大窩山 |
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大窩山を振り返る |
上り下りが頻繁に現れる。11時10分、左から声がする。左すぐ上は、大窩山(標高915m)だ。声の主は三人のカナダ人。山頂といっても、大きな東側に傾斜している大岩だ。天気が良ければ、ここからかなりの展望があるはずだ。この山脈は北に象山へと走っている。ここも單面山の地形で、西側が切れ落ち東側はなだらかだ。岩は西側から東側へと下がっている。
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救助札13号のある大岩を左に巻く |
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狭い尾根が続く |
尾根上に現れる大岩は、それを東側あるいは西側に巻いていく。11時半緊急連絡用札13号を見る。尾根は狭く、雨も降っているので、なかなか13人が休憩できるところがない。いままで、ほとんど休憩なしで歩いてきている。12時を少し回ったところで、分散すれば休めそうな場所に来る。ここで食事休憩をとる。幸い雨は霧雨に換わってきている。
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大岩の上を進む |
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福南山山頂 |
12時半、食事を終え歩き始める。15分ぐらで、右にとても大きな岩が東側に傾斜している。道はそのすぐ左上を行く。ここも晴れていればかなりの見どころなのだろうが、濃霧で岩の下端も判別できない。登りきると、救助札9号がある福南山頂上(標高835m)だ。さらに下っていく。稜線上では、所々で山茶花の花が落ちていた。時期がそろそろ終わりなのか。一輪、まだ咲いている花を見る。一本の幹に数個の猿の腰掛が生えている。遠望がないので、自ずと身の周辺に注意が向かう。
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一本の幹に多くの猿の腰掛 |
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神仙縱走路標 |
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大岩脇の道 |
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崩山山頂 |
大岩の西側をまき、少しジグザグに登って13時20分、崩山(標高774m)につく。ここで縦走路の半分を消化した。難所は、そう簡単に終わらない。下って間もなく、雨でぬれた岩を下る部分がある。ロープが取り付けらているが、濡れた岩肌は滑りやすい。さらに岩場を登り救助札6号を見る。狭い尾根の端に生える苔がとてもみずみずしい緑だ。日本の京都神社仏閣の庭園五生える苔のようだ。14時過ぎ、岩場を下り杉人造林に入る。14時25分、杉林をぬけたところで救助札2号を見る。休憩をとる。
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苔の深緑に目を奪われる |
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造林帯をぬける |
尾根は今までの狭い尾根とは違い、広く杉林の道を行くと、濃霧に包まれたカヤ草原にでる。ここも全く展望はない。14時45分、カヤが終わり土の広い道になる。救助札1号がある。道を進む。地図上では、左に尾根を追っていく道があるが、私有地立ち入り禁止という札もある。この付近は別荘地の開発が進み、今までの登山道は切断されているようだ。そのうち道は舗装され、それを追っていく。道なりに行き、14時58分朝車を止めが登山口に来る。
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濃霧のカヤ原 |
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我々の車を停めた神桌山登山口 |
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痩せ尾根を神桌山へ |
当初の計画では、この山脈の最北端にある象山まで縦走であったが、この天気なのでそれはやめ神桌山まで行くことにする。登山口から、私有地の金網脇の急坂を登り、尾根上にある縦走路にでる。さらに北に進む。こちらも、同じような岩があるが、それほど急な場所は少ない。偽ピークを越え、15時22分神桌山山頂(標高762m)が現れる。少し盛り上がったところに三角点がある。この部分が神桌(祭壇)に見立てられているのだろうか。
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神桌山山頂 |
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金網脇の急坂を下る |
山頂での十数分ののち、往路を引き返す。金網脇の急坂はとても滑りやすい。16時、登山口に降りる。車を運転する三名は、ここから朝に停めておいた車で靈洞宮へ戻る。残りの10名は、舗装路を下り始める。道脇の別荘は、あまり人気を感じない。地図上には近道があるが、これも開発のためだろう、途切れている。道を下っていくと、霧は薄くなってくる。約1時間、3㎞ほど歩いたところの民家で車を待つ。時間は17時を回ったところだ。約20分ほどで我々の三台がやってきた。
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霧の中の別荘地を下る |
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民家脇で車に乗る |
それぞれ三台の車で台北に帰る。筆者の一台は途中三灣で夕食をとり、20時50分台北に帰りついた。距離11.1㎞、登坂累計471m、下降951m、休憩込みで約8時間だ。コース定数は26となる。仙山登山口はすでに高い位置になるで、仙山山頂への登りは250mほど、残りは稜線上のピークを越えるときの登りだ。ルート上には多くの難所があり、それはそれで面白い。好天の時に、また訪れるのも良いかもしれない。
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