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2022-04-15

2022年4月7日 淡基橫斷古道西段 陽明山系西側から冷水坑へ歩く

藍天隊の道しるべ
4月4日に基隆側から淡基橫斷古道を西に向けて歩いた。古道は長いので、実際の歩行に際し三段に分けて歩く予定である。今回はそのうちの西側を歩いた。今回の古道歩きの計画は、20年ほど前に陽明山国家公園の委託で行われた調査の報告資料をもとにしている。陽明山公園の委託なので、調査報告範囲は基本公園内になっている。したがって、公園外の両端、淡水側と基隆側の路線については、記述がない。淡水の清朝政府機関があった場所から記載のある車埕寮までどのような、道筋であったかはわからないので、実行対象は車埕寮から東とする。実際のところ、さらに西は平地に近くおそらく今は車道になっているところが多いと思う。

西から東へ歩く
資料による古道の路線は、車埕寮から百六碶腳、十八灣仔(十八灣古道)を通り、現在の大屯自然公園を突っ切り、二子坪駐車場から大屯山と小觀音山との鞍部を経て蜜蜂巢(蜜蜂巢古道)から竹子湖の盆地にいったん下っていた。そこからまた小觀音山と七星山との鞍部へ登りかえし、打石窟,馬槽と七星山北側の台地へ降り、また七股山のすそ野を冷水坑へ登り返していた。現在は、七星山北側の山腹には、中湖戰備道があるが、この斜面はかなりの勾配があり古道は通っていなかったようだ。打石窟から馬槽へと進む部分は、資料の地図にはなく、また現在は草に埋もれてしまっているので、その部分は歩かずに中湖戰備道を経て、冷水坑へと向かった。

大屯自然公園ビジターセンターにて
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ここを右に登り始める
MRT淡水駅脇のバスターミナルから7時40分発の875番バスで出発する。天気予報では天気は持ちそうだったが、バスの窓ガラスには雨滴が流れる。今日の天気が心配だ。8時5分、大溪橋バス停で、我々11名は下車する。案の定、ここも路面は濡れ小雨だ。傘をさして歩き始める。すぐに楓愛林山莊と記された石柱の角を曲がり、登り始める。道は山荘区画を突っ切り、車埕寮へとさらに高度を上げる。T字路には土地公祠がある。分岐は地図で方向を確認する。8時37分、道端に立派な土地公祠が建ち、そこからは前方に大屯山,二子山,面天山など馴染みの山々が並ぶ。この角度から望むのは、初めてだ。空は雲が低いが、幸い雨は止んだ。

立派な土地公祠
左奥の大屯山、二子山、右の面天山
車埕50號脇の階段を登る
黒犬が吠えてくる。車埕41號の住所札をみて間もなく、8時51分その上の家屋に左側の山道を登り始める。土の道はほどなく終わり、また舗装路にでて登っていく。興華里車埕18鄰と記された標識に従い進み、左に公共墓地を見る。その先の分岐を左に登り、最奥の車埕50號家屋脇の石段を登る。石段はすぐ切れて、土の道になる。倒木もあるが、道筋ははっきりしている。9時15分、百拉卡公路にでる。昨年8月日付の藍天隊道しるべを確認する。

百拉卡公路への土道
十八彎古道をつづら折りで高度を上げる
山腹を緩やかに横切っていく
百拉卡公路の斜め対面が、十八彎古道の入口だ。この名前は、曲がり角が多いことからの名づけだそうだ。古道に入りすぐにつづら折れで高度を上げていく。登ること約10分、道は山腹を上がり気味にトラバースしていく。道筋ははっきりし、下草も多くない。9時46分、分岐にくる。左右ともに行けるようだが右にとって進む。雨がまた降りだした。沢を一本橋で渡り廃棄されたような家屋脇を行く。すぐわきに百拉卡公路がある。さらに進み、沢を渡り先ほど分かれた道と再び合流する。10時、古道は終わり舗装路にでる。

一本橋を渡る
十八彎古道の終わり
雨の大屯自然公園、背後は二子山
自然公園のツツジ
百拉卡公路を少し進み、自然公園のビジターセンターに入り雨宿りする。今日は平日だが、我々以外のも遊楽客を数人見る。15分ほど過ごすが、雨はやみそうにもない。10時25分、また傘をさして歩き始める。雨に濡れるツツジが満開の自然公園の中を行き、二子坪駐車場へ登る。霧が濃い。バス停小屋で雨具を取り出す。この先の蜜蜂巢古道は、傘を手に歩くのは大変だ。

ヤタケの蜜蜂巢古道は滑りやすい
沢を渡る
以前歩いた二子坪駐車場から鞍部へと続く人車分道は、崖崩れで不通となってしまっている。仕方がないので、車道を歩く。11時鞍部に着く。左に小觀音山へと登る車道には、鉄門が設けられ閉ざされている。これも数年内に起きた変化だ。右に気象観測所へ進み、門のすぐわきにある新しい蜜蜂巢古道入口から、矢竹の間を進む。ここも以前は観測所脇の階段から下っていたものだ。路面はぬかり滑りやすい。ヤタケはすぐに終わり、広葉樹の森を下ること数分、沢を越える。2011年日付の道しるべは同じだ。

石畳の水尾百拉卡歩道
歩道終点
蜜蜂巢古道とは、その昔冬になると蜂がこの近くの岩陰に隠れるから、ということだ。勾配が緩くなった道を行き、11時20分石畳の水尾百拉卡歩道に出る。数分で歩道を下り切り、車道を進む。ここも台北大縦走路の一部なので、その道しるべに従い左に進む。幸い雨は止んだ。頂湖の海芋(オランダカイウ)畑の中を行く。ちょうど開花始めたころだ。ここも遊楽客が多い。11時50分、畑脇の展望台で昼食休憩をとる。

頂湖の海芋畑
展望台
展望台からの景観
陽明溪步道
小油坑橋駐車場わきから登る
12時27分、舗装路を進み左に折れて陽明溪步道を登り、人車分道に合流、登り詰めて陽金公路に出たところの対面は小油坑橋駐車場だ。駐車場わきの石段道を登り上部の駐車場にでる。ここも霧が濃い。鞍部はすぐわきだ。もともとここには土地公祠があった、その後道路拡張で移設されたという。陽金公路をいく。左にゲートのある竹子山への軍事道路を見る。そのすぐ先の右は七星滝だ。

濃霧の中の陽金公路、竹山軍用路の入口
階段を登って人車分道へ
資料によれば、陽金公路をさらに少し行ったところから、左に打石窟への道が下るそうだが道がはっきりしないので、右に人車分道をとる。人車分道は、階段を登りつめ、そこから山腹を進んでいく。陽金公路よりかなり高いところを行く人車分道の草など邪魔がない場所から、下方に馬槽の台地が見える。畑には海芋が花をつけている。遠く金山がかすんで見える。道は下り、13時28分中湖で陽金公路と合流する。また登り人車分道を数分進むと終了し、中湖戰備道へでる。

馬槽台地を見下ろす
中湖の入口、前方が陽金公路、右へ進む
中湖戰備道
中湖戰備道から見る馬槽橋
人車分道、冷水坑はもうすぐ
人車分道は、終了したので中湖戰備道を進む。左に硫黄の煙が立つ馬槽溪とそれに架かる馬槽橋を見る。淡基橫斷古道は、この谷を渡り右に聳える七股山へどのような道筋で登り返したのだろうか。少し下り、13時45分また人車分道が始まる。石畳の歩道を行き、13時52分脇に展望台のある駐車場に出る。さらに下り、冷水坑温泉を通りすぎ14時4分ビジターセンター駐車場にある小15番バス停に着く。これで今日の行程は終わりだ。

展望台
冷水坑ビジターセンター方向を遠望
擎天崗行の小15番バス
バスはまだ40分ほど時間がある。天気も回復基調だ。14時37分、終点擎天崗へ向かう小15番が通り過ぎる。まもなく108番バスがやってきて、小15番は擎天崗バス停で満員、乗車できないから108番で陽明山ターミナル経由で下るように勧める。メンバーの二人は到着して間もないころにきた108番バスで下山した。何のことはない、結局我々も同じルートで下ることになった。小15番バスは、実に不便だ。最終的には、陽明山バスターミナルですぐに来た紅5番バスで下山し、15時半すぎに劍潭駅に着いた。

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展望台近くの木に偽装した通信塔
淡基橫斷古道については以前にすでに知っていたが、実際にそれをテーマに歩くのは、前回の東側を含め初めてである。歴史と道は奇っても切れない。あらゆる道は、その時の必要応じて造られ歩かれた。そうした歴史背景を認知して歩くことは、山行をひとつ別の観点から実行することでもある。

今回の距離は、11..5km、所要時間6時間である。累計登坂847m、下降302m、コース定数は23だ。当時もし淡水から出発していたら、冷水坑を過ぎて次の河南營まで一日がかりというところだろう。


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