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大坪山山頂 |
今年の端午節は四連休である。この休みを利用して多く人が観光に出かける。もちろん登山に出かける人も多い。筆者としては、この時期に窮屈な思いをして山登りをするつもりがないので、一日だけの山行を計画した。それがこの大坪山である。6月も下旬になり、台北近郊の登山はだいぶ暑くなっている。そこそこ標高の高い場所が対象となった。
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紅毛山 - 大坪山 |
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南庄 象山 |
大坪山は、以前歩いた苗栗南庄の名山
加里山の脇を行く杜鵑嶺から北へ
南大龜山/向天湖山へと延びる稜線上にある山峰である。加里山山頂へはいくつか登山道があるが、大坪林道終点の登山口からが一番地近く、また登山者が多い。当登山道は、林道終点から上記稜線を鞍部で越えて加里山へと向かう。この鞍部のすぐ北側に大坪山がある。上記稜線は、顕著な單面山で、西側は緩やかな斜面、東側はストンと落ちる崖である。大坪山の西側には、この緩やかな斜面をその末端の紅毛山から登ってくる道がある。当山道は、大坪林道と並行する形なので、多くは自動車で加里山登山口まで行くので訪れる人は少ない。事実、このセクションではほかの登山者に全く合わなかった。今回の登山は、紅毛山から大坪山へと歩いた。
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二つの山の位置関係 |
一方、当初の予定は大坪山登頂のあと、加里山へ往復するというものであった。ところが、大坪山に着いた頃には霧がでて展望できなくなる、一方参加者全員が加里山を訪れたことがある、また連休で登山者がとても多く帰りの林道の通行が困難なことが予想されたので、そのまま下山した。しかし、時間が早いので以前歩いた
神仙縱走の時、時間切れで未踏であった象山に立ち寄った。
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大坪山山頂の全メンバー |
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早朝の加里山山塊とその手前の神仙縱走稜線 |
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伯公廟の猫たち |
早朝5時に一台の山仲間運転の車で出発する。車上は5人だ。連休二日目、また時間が早いこともあり第一高速道路は混んでいない。1時間足らずで頭份ジャンクションを降り、南庄方向へ進む。124縣道から台3線、そして124縣道を進む。南方にこれから向かう加里山がその周辺の山々を従えて、朝の空に鎮座している。その前衛に長々と続く峰々は神仙縱走の山々だ。6時22分、南庄の街を過ぎて少しにある伯公廟で泊まる。もう一台でやってくる二人をここで待つ。観光地である南庄も、この時間は人がまばらだ。
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大坪林道入口、ここを左折 |
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紅毛山登山口近くの月球石 |
ほどなくもう一台も合流し、目的地の大坪林道へと124縣道を進む。進むこと10分ほどで、大坪林道入口を見る。左に折れて林道を登っていく。この林道は舗装がされ状態がよい。6時56分、紅毛山登山口に着く。車の一台を先に林道終点の加里山登山口付近に置いておくため、他のメンバーを下ろし進む。登っていくと、道脇にはすでに数えきれないほど多くの車が駐車してある。本来の駐車場は、もう満杯だ。苦労して一台を路傍に駐車し、もう一台で先ほどの紅毛山登山口へ戻る。下りでも多くの車とすれ違う。7時45分、やっと戻った。かれこれ50分ほどを要した。
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大坪林道わきの紅毛山登山口 |
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農道を進む |
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土の登山道入口 |
入口にもどるとほかの4名がいない、そこで少し道を進むと、そこで待っていた。全員で舗装されている道を進む。ここは農道という性格だ。林道の入口から約10分で、舗装路は終わり山道となる。竹の間の急坂を登ること数分で、稜線に上がる。左におれて少し進むと、紅毛山山頂だ。山頂といっても、周囲は杉林で展望はない。大正14年殖産局樟林地界29號石がある。ここも日本時代はクスノキ林があったはずだ。去年訪れた隣の苗栗縣獅潭鄉の
千兩山南峰に大正14年殖産局樟林地界27號、そして細道邦山に28號があったが、これはその続きの地界石となる。
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@紅毛山山頂 |
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殖産局樟林地界石 |
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登りが出てくる |
8時15分山頂から分岐に戻り、尾根上を進む。このルートはあまり歩かれていないようで、ところどころ草深い。それでも草下の踏跡ははっきりしている。10数分歩くと、少し勾配が出てくる。路面には月球石と呼ばれる、大きな穴の開いた石が路面でている。8時36分、1020展望台(標高1020m)という札がついている平たい場所に来る。展望台といっても北側だけの展望である。
大龍山やその左奥に
神桌山などが見え、單面山である主稜線のこちら側が緩やかな斜面であることがわかる。
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1020展望台表示 |
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1020展望台から北方向を見る |
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穴の開いた石 |
さらに少し登ると道は幅が広がり、以前の造林路ではないかと思われる。それが切れると杉林に入り、左に大きく曲がる。その部分には桃園鐮刀登山隊の道標がついている。しばらく尾根を登り、9時2分ガジュマルが大石を抱えている樹包石(標高1120m)、そしてそのすぐ上のサルスベリ大樹(九芎樹)を通り過ぎる。
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幅のある良い道 |
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杉林の中で左に曲がる |
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包石樹 |
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サルスベリ大木 |
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左に沢を見て進む |
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トロッコのレール |
地形は広がり、左側に水流のある沢を見て登り、また杉林に入る。9時12分分岐に来る。その周りにはトロッコのレールや車輪が転がっている。林業時代の遺物のようだ。先ほどの造林路と思われたところも、実は線路が敷かれていたのかもしれない。加里山の周辺には、林業用線路遺跡が多いので、これもその一つなのだろう。分岐を左に行けば無名山という独立峰に往復できるが、今回はスキップする。
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トロッコの車輪 |
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前方分岐は左に |
道は一度下り、少し登り返して右から大坪林道よりの道を合わせる。左に折れて進み、急坂を登る。この辺りから道は大きな斜面上を進む。雑木林から杉林、また雑木林と樹相が変わる。地面は落ち葉が一面を覆い、踏跡は明瞭ではない。そこそこマーカーがある。自分たちでもマーカーを取り付ける。9時41分、また別の樹包石(標高1210m)を見る。さらに10分ほど登ると、大きな岩がかぶさる岩屋に来る。岩屋脇で休憩をとる。メンバーがシェアする手製アイスキャンディーがうまい。
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急坂を登る |
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枯葉に覆われた広い斜面を登る |
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1210包石樹 |
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左上方に岩屋 |
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岩屋のメンバー |
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大石セクション |
大岩が転がる部分を通り過ぎる。その先足元は大きな一枚岩で、落ち葉が重なって覆い隠している。その右のほうには植生がない裸の岩盤が露出している。この一帯は大きな岩の斜面でその大部分は植物が覆っているようだ。30分ほど登ると、後方のメンバーがなかなやってこない。そのうち露出岩盤のほうからやってくる。間違って足長バチの巣を蹴ってしまい、刺されたので逃げて迂回してやってきたという。そこで10時50分、しばし休憩をとる。
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大きな岩の上に枯葉や樹根 |
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裸の岩盤(Lさん撮影)
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稜線上の分岐 |
急斜面を引き続き登る。11時17分、一線天と呼ばれる岩を通り過ぎ、さらに登る。その上数分で、矢竹が現れる。11時26分、主稜線上の分岐に着く。左に進めば向天湖山へと続く。右にとり、ほんのわずかで大坪山山頂(標高1660m)に登りつく。山頂には地元政府の遭難時連絡位置表示板が取り付けられている。食事休憩をとる。
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遭難時位置表示板 |
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大坪山から下る |
12時山頂から下り始める。狭い尾根はかなりの急坂だ。下ること15分で、大坪登山口からの道が通る鞍部に着く。そのまま進めば加里山へと続く。午後はガスってきたことなどで、予定を変え右にとって下山を始める。人気ルートであるこの道は、今までの道とは違いすこぶる良い。杉林の間をどんどん下り、12時42分登山口に着く。寒暖計は21度を示している。多くの登山者がこの登山道を歩いている。大坪山では全くほかの登山者がいなかったのとは、対照的だ。道脇には多くの車が駐車している。下ること5分で、朝に停めたもう一台の車にくる。
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鞍部分岐、右へ下る |
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家族連れ登山者も多い |
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大坪林道加里山登山口 |
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所狭しと車が停めてある |
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ここから車で下山 |
蜂に刺された二人と、もう一台の車のオーナーメンバーが先にこの車で下っていく。残りのメンバーは更に林道を歩いていく。登山者の車が停められるスペースにはどこも停めてある。どれだけの登山者が今日は来ていることやら。林道をさらに1㎞強進み、登ってきたもう一台の車を待つ。13時5分、やってきた車に乗り林道を下る。
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@象山の土地公登山口 |
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竹林の急坂を登る |
この時間は多くの登山者はまだ加里山を登っているようで、林道はスムースに下り、124縣道を南庄へと進む。13時40分南庄を通り過ぎ、さらに124縣道を行く。菜堂下近くで左に産業道路へ入り登る。14時、象山登山口である土地公前に車を駐車する。
象山といっても、台北の象山ではなく、豐山とも呼ばれる仙山から神桌山をへて北へ伸びる稜脊上最北端のピークである。仙山からここまで縦走するとけっこう長い。象山登山口は標高300m強で、先ほどの大坪山に比べるとかなり暑い。中級山は、いかに涼しいか、その差を如実に感じる。
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道筋ははっきりしている |
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象山山頂の三角点 |
竹林の急坂を登る。道筋ははっきりしているが、状態は必ずしもよいとは言えない。道は山復を巻いていく形で登り、15、6分で尾根上に上がる。14時29分山頂に着く(標高455m)。25分ほどの登りだった。山頂は樹木に囲まれ展望はない。東側が少し樹木の間から遠くが見える。加里山方向だが、上部はすっかり雲の中。先ほどあのまま加里山へ登頂しても、展望はなかっただろうと、自分に改めて言い聞かせる。
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加里山方向は雲の中 |
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マーカーもしっかりある |
山頂でまだ冷たいビールを開ける。暑いので実にうまい。15分ほど過ごした山頂から、往路を引き返し、15時に約15分ほどの下りで登山口に戻る。着替えを済ませ、帰途に着く。途中頭份の街はずれの斗煥坪水餃館で、時間は早いが食事をとり、まだ明るい18時半に台北に帰りついた。
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帰路に立ち寄った24時間営業のお店 |
当初は、そこそこ長時間の山行予定であったが、状況に応じて予定を変更した。そのため、楽な登山になった。それでも、まったくほかの登山者に会わない大坪山は、自然生態がのこり面白い山行であった。蜂に刺された二人は気の毒であったが。大坪山は、距離6.3㎞、登坂772m、下降458m、所要時間5時間15分、コース定数20である。象山は、簡単な登山であった。ガツガツ登るだけが登山でないことを教えてくれる、今回の山行であった。