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風櫃嘴擎天崗步道5.6Kから見る擎天崗と背後の七星山 |
8月半ばに、筆者としては二度目の登山となる大霸尖山山行が控えている。その事前訓練として、参加メンバーと陽明山の縦走を行った。予定は、数年前に歩いた
陽明山大縦走を逆方向に歩くものであった。盛夏の郊外低山縦走は暑く、その辺が心配であったが、逆に気温も稜線ルート上では高いところで26度で、なおかつ風が吹いていたので暑さは感じなかった。それどころか、七星山では強風が吹き、稜線上では立っているのが大変であった。そのため、七星山を下りた後、雲が去来している大屯山へは行かずに下山した。陽明山は、今まで数多く訪れ、当ブログでもかなりの数の記事を書いている。英語での記述もあるが、特に七星山付近ではかなり多くの外国人が訪れているので、それ以外にも陽明山国家公園の正式ルートでも、一般交通手段でアクセスし、距離を歩くことができることを紹介する目的で、この縦走記録をブログに記す。
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東側風櫃嘴から縦走、西側竹子湖まで |
筆者が陽明山を登山目的で歩き始めて、もう15年になる。当時と比べると、休日などの登山者が大幅に増え、また若者がメインだが外国人登山者が多く七星山を登るようになってきた。国家公園としての登山道メンテやその他の働きも、こうした変化に関係があると思う。今までは、
2011年に初めて歩いた七星山方面から東に風櫃嘴へ歩くことがほとんどで、
2012年に一度だけ反対方向に歩いたことがある。ただ、その時は風櫃嘴へタクシーで行った。今日は、その風櫃嘴へ聖人橋から歩いて登った。この道を下りにとることは多かったが、登るのは初めてである。
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聖人橋バス停で小18番バスを下車 |
予定コースは長距離である。できるだけ早くスタートするため、7時発の小18番バスでMRT劍潭駅から出発する。日曜日なので、車内は登山者で満員だ。30分足らずで聖人橋バス停に到着した。今日は筆者を含め三名である。7時33分、聖人橋を渡り舗装路を登り始める。ジョギング者が追い越し登っていく。登ること約20分で、天溪園生態教育中心を通りすぎ、さらに10分ほどで右に入る細い道を進んで、台北市親山歩道にとりつく。階段道は高度を上げ、途中一度舗装路を登り、また登山道に入る。沢沿いの階段道を登り、8時22分風櫃嘴に着いた。約50分ほどで約370mほどの高度を稼いだ。
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天溪生態教育中心、背後に後に歩く縦走路の山並み |
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右の道をとる |
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石段道から一度舗装路にでて左に登る |
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最後に沢沿いの石段道を風櫃嘴へ上り詰める |
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大勢の人で埋まる風櫃嘴 |
驚いたことに、風櫃嘴は人だかりである。ロードバイク競技があるようで、多くの自動車とサイクリスト、そして学校登山行事の学生たちで、鞍部の広場は埋まっている。我々はその脇で休憩をとる。団体と一緒に登るのは大変なので、ほどほどに先に歩き始める。ここから先は、距離はあるが高低差はそれほどではない。主要な上りは頂山と石梯嶺である。石段を登り間もなく擎天崗へ 6.4Kの0.2K地点表示を見る。
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0.2Km/6.4Kmのサイン |
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霧が晴れていく瑪鋉溪の谷間 |
今日はトレーニングが主目的なので、今まで歩いた途中に多く分かれていく脇道には入らず、ずっと石畳の陽明山公園の正規ルートを追っていく。間もなく、右方向がひらけ萬里へと続く瑪鋉溪の谷間と、その右に
界寮縱走の尾根筋がのびる。谷間の霧が晴れていく。山道は、稜線を行く部分もあるが、途中のコブは基本巻いて山腹を行く。昨日の雨で、石畳はまだ濡れている。1.8Kサインを過ぎ、9時15分頂山(標高768m)に着いた。わきのベンチで休憩をとる。空は曇りで気温は26度、風もけっこう吹いて、長距離ハイキングには都合がよい。
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山腹をトラバース |
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頂山山頂
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石梯嶺はまだ遠い |
次の石梯嶺へは少し距離がある。小さな草原を突っ切り、右に下って杉林に入る。本来台湾には、吉野杉は存在しない。ここにある杉は、植林されたものだ。1925年に昭和天皇がまだ皇太子の時の台湾訪問に際し行った、陽明山山塊の杉林植林がその始まりだ。戦後にもまた植林が行われ、それが今に至っている。杉林を登りまた稜線へと出る。3.2Kサインをみて前方に石梯嶺が視界に入る。この付近は草原が多く現れ、当ルート上で気持ちのよいセクションである。左下の池には過去何回か、水浴びをする水牛を見た。
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杉林を抜ける |
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左に石梯嶺 |
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石梯嶺下の草原 |
左に
北五指山への道を分け、そのうち左に回り込んで、正規ルート上で一番大きな石梯嶺下の草原を登る。4Kサインを見て、石段を登り10時10分、石梯嶺(標高863m)についた。山頂からは、北方向に大後尖山,磺嘴山,近くに大尖山が、北西方向には雲をかぶった七星山、そしてその東方向にうっすらと竹子山への山並みが見える。山頂近くで休憩をとる。吹き抜ける風が気持ちよい。
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石梯嶺山頂 |
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七星山は薄雲の中 |
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石梯嶺からの下り道 |
石梯嶺からしばらく下り、磺嘴山登山道ゲートを通過。擎天崗山東峰を過ぎて下り、金包里古道石門に来ると、多くのハイカーや観光客が出現する。擎天崗は今や観光地である。11時、擎天崗ビジターセンターを通り過ぎ、車道を進む。峠を越えて左に涼亭わきから山道に入り、吊橋を渡って11時25分、冷水坑ビジターセンターについた。センターわきの休憩所で昼食をとる。晴天であれば日差しが強くて大変だが、曇り空なので戸外でも大丈夫だ。周辺は大勢の人である。
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牛止め柵を通って擎天崗へ |
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擎天崗の草原 |
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ここから左に山道、七星山が近い |
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冷水坑ビジターセンターも人だかり |
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いよいよ七星山を登る |
ビールを飲んだせいで、長めの1時間休憩となったあと、12時25分七星山に向け再出発である。東峰山頂まで距離1.8Km、標高差約350mである。登山口からとりつき、20分ほどで涼亭を通過、通信施設わきの分岐からさらに登る。今日は曇り空だが、遠くまで見える。1.2Kサインをみて、13時5分椅子のある休憩所で休憩をとる。もともと草山と呼ばれた陽明山である。七星山も山腹には樹木が多くないが、このベンチは灌木内である。
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登りはじめてしばらく、七星山が現れる |
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夢幻湖分岐 |
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登るにつれ視界が開ける |
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石段急坂を登る |
七星山東峰まで残り150mほどの高低差である。樹木から出ると、午前中にあるいた石梯嶺の山並みや、足元の夢幻湖などが俯瞰できる。登るにつれ、風が強まってきた。最後の坂を登りつめ、13時32分に東峰(標高1107m)に登りつくと、強風で立つのも大変なぐらいである。何度も訪れた東峰だが、今日は風が一番強いかもしれない。早々に主峰へ向かう。
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擎天崗の草原、その右に竹篙山,奥に歩いた石梯嶺 |
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トレールランナーも多い |
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東峰はもう少し |
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強風でガスが去来する主峰 |
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一度下り主峰へ登り返す |
主峰へはヤタケの間の道なので、風は和らぐ。一度下り,左から苗圃登山道を合わせ、登り返す。山頂は風が強いので、13時44分少し下の大石わきで休憩をとる。何人かが下ってくるのを見過ごし、ちょっと登ってガスの中の主峰(標高1120m)に上がる。かなり多くのハイカーがいる。写真を撮り、すぐに下り始める。
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七星山主峰 |
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霧と風の中の主峰山頂 |
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展望台まで来ると霧が晴れた |
こちらも急坂が多く、高度はどんどん下がる。南峰への分岐を過ぎ、またその先金露天宮などへの分岐もそのまま下る。展望台を過ぎるころには、ガスは消え前方に視界が広がる。硫黄噴出孔を過ぎ、14時37分登山口に降り、小油坑ビジターセンターで休憩する。先ほどの強風、また大屯山も山頂はガスが去来し風が強いことが望まれる。このまま予定で行くと、日暮れ前には歩き終わるだろうが、風で苦労するかもしれない。そこで、この先全体の3分の1行程は取りやめることにした。
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山頂はまだ霧の中 |
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硫黄噴出孔付近を下る |
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小油坑ビジターセンターが見えた |
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ビジターセンター |
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駐車場から人車分道に入る |
14時55分、小油坑駐車場に向け進み、駐車場から人車分道を下り始める。小油坑橋駐車場を過ぎ、陽金公路に並行する人車分道を歩く。ここを歩くのは
実に14年ぶりである。石畳の道は、当時と変わらない。この道を歩く登山者は少ないとみえて、石畳には緑のコケがびっしりである。15時48分、竹子湖派出所わきへでた。目の前がバス停で、しばらくすると小9番バスがやってくる。そこで、ここで今日の山歩きは終わりとした。待つこと数分で、やってきた小9番バスに乗り、MRT北投駅から帰宅した。
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小油坑橋駐車場わきからさらに人車分道を下る |
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小油坑崩壊を見上げる |
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コケに覆わた人車分道の石畳 |
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竹子湖派出所 |
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歩行距離約16㎞、累計登攀1300m、下降780m、休憩込みで約8時間であった。コース定数は32である。予定通りには歩いていないが、訓練という意味では効果があったと思う。休日であったので、実に多くの登山者や観光客と出会った。ある意味、筆者としても陽明山を見直した山行であった。
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