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2013-07-11

2013年7月10日 陽明山系菜公坑古道-蜜蜂巢古道 再び北新莊から陽明山へ

産業道路からみる菜公坑山
先月末に三芝北新莊から山を越えて陽明山へ歩いた。陽明山系北側はアクセスが大変という認識は、一度行ってしまうとそれほどでもなくなってしまった。確かに時間はかかるが、陽明山以外の山域で、や はり交通に時間を要するところもあるので、その意味では特殊ではない。前回は大屯溪古道から小觀音山西峰を越えて、竹子湖を通過し陽明山バスターミナルへと歩いた。今回は、同じく北新莊からだが、大屯溪古道と並行する菜公坑古道を経て菜公坑山を登り、大屯自然公園、二子坪ビジターセンターを経て蜜蜂巣古道を下り、竹子湖に降りた。大屯溪古道は、後半非常に辛い登りがあったが、菜公坑古道は、比較的ゆるやかな登りであった。登った山も、小觀音山西峰は1000mを越える険しい山だが、菜公坑山は標高886mで陽明山国家公園の立派な石畳登山道があり、ずっと登りやすい。下り道は、蜜蜂巣古道という、あまり歩かれていない山道を下った。

北新荘から出発(北半分ルート図)
陽明山バスターミナルまで歩く(南半分ルート図)
歩行高度プロファイル
出発の北新荘は同じだが、すぐに山の方に向かって産業道路を登っていく。菜公坑地区はまばらに民家がある。産業道路のわきの民家から、山道に取り付き、古道に向けて登る。菜公坑古道は東と西の二つのルートと言われているが、古道としての性格が強いのは東側だ。この東側ルートを登り、菜公坑山第一登山口へでる。菜公坑山を登って第二登山口、そのすぐ先にある大屯自然公園へ立ち寄る。公園内を抜けて二子坪ビジターセンターへ登る。ビジターセンターからは、百拉卡公路にそった人車分道を進む。大屯山登山口から小道に入り鞍部気象站を過ぎ、蜜蜂巣古道をへて石畳の水尾巴拉卡步道に合流する。その後、竹子湖の西側の道を下り、前回とは異なる小道で猴崁産業道路へ、玉龍谷からは小道の階段で大屯瀑布へ降り、陽明山公園の花時計台わきを通過して陽明山バスターミナルへと歩いた。

大屯渓古道とのルート比較
産業道路から見る小観音山(左)と菜公坑山
大型台風「蘇力」発生、台湾へ向かっているというニュースである。しかし距離がまだ遠いので、天候には影響が出ていない。家を6時に出発、MRT淡水駅では7時発の875番バスに間に合った。 車内は、自分もいれて4人の乗客だ。途中で乗り降りがあったが、終點の北新荘では同じ四人が下車した。7時20分、まだ朝が早い。101公道を少し進み、右に三板橋古道と記してある山門アーチの産業道路へと曲がる。前回も三板橋へは、この道経由でも行けたのだが。こちらの道を登って行くと、大同寺の右側には面天山の頂上が望める。大型電波反射板があるから、すぐ判る。進行方向には、小観音山と目的の菜公坑山が朝陽の中にそびえている。陽明山山系の北側は傾斜のゆるいすそ野が広がる。道を登って行くと、広い範囲が望めるようになる。出発から十数分歩く。やって来た道はここで左に90度に曲がるが、嘟嘟農場方向への道を取り進む。後ろからハスキー犬との雑種犬が吠えることもなく近づいてきた。

菜公坑産業道路をバス停の角で右に曲がる
民家わきの階段が登り口
廃屋の中を抜けていく
少し急になった道をゆく。大樹の分岐で左に曲り、道なりに高度を上げていく。この道も坂がきつい。登りつめると百拉卡公路から分岐してくる菜公坑産業道路に合流する。その先少し行ったあと、無料コミュニティバスのバス停わきでまた右に登る細い産業道路をとり登る。手前の菜公坑山が大きくなってきた。8時過ぎ、大樹のある民家わきの階段に、登山認識リボンがかかっている。ここからどうやら山道に取り付けるようだ。黒い台湾犬がいるが、全く吠えない。階段をのぼると廃屋がある。この中を通りすぎて道が進む。この部分は近道のようで、あまり歩かれていない感じだ。数分の登りで、広い山道に合流した。

大分登ってきた、途中で見る景色
山道を進むと、左方向に大きくまがる。この道は菜公坑古道の西線へもつながるようだ。下草の多い部分もあるが、概ね良い道だ。8時25分、約10数分の歩きで、セメント舗装の山道に合流する。右側をとり登っていく。大分高度が上がってきたようで、木々の間に見える風景はかなり下のほうだ。8時44分、大きなコンクリ製水槽のある広場に来た。ここは十字路になっている。右に尾根上を菜公坑山へ登る道があるようだ。左は、尾根上を下っていく菜公坑古道東線の麓の部分だ。尾根道を行っても面白いかなと、思ったがネット上に情報もなく、状況もわからないので、予定通り古道をとり進む。

コンクリ製水槽の広場十字路、菜公坑古道は水槽のわきを直進する
程度のよい菜公坑古道
菜公坑瀑布、焼炭古道への分岐点
菜公坑古道は、とても程度のよい山道だ。もともと樹木搬出の林道として開かれた道だそうで、歩きやすい。積み上げられた石垣はあるが、古道の特徴の一つである土地公の祠などはない。途中枝沢を越えるが、ほとんど水がない。20分ほど歩いてくる。左側に道が分岐する。道標はないが、そのまま進めば菜公坑瀑布や焼炭古道へ続く道だろう。羅厝坑溪沿いに山腹をトラバースしてきた菜公坑古道は、ここからジグザグの登りが始まる。下草も多くなり、道にかぶさる部分もある。最後の急坂を登り切る。9時40分、菜公坑山第一登山口から石畳登山道を少し入ったところに出た。古道はこれで終わりだ。大きなコンクリ製水槽から約2kmの道のり、約1時間の登りだ。

菜公坑古道の上部、登りが続く
石畳の菜公坑山歩道
 一昨年七月以来、二年ぶりに菜公坑山歩道を頂上に向けて歩く。陽明山公園の管理下にある山道は、しっかり整備されている。往来はそれほどもないようで、苔が多く滑りやすい。10分ほど登る。雑木林からでて、右に小観音山が望める。頂上は霧が去来して、稜線は見え隠れしている。10日前に登った1056峰(北竹子山)から下っていく北西稜線が見える。焼炭古道からこの稜線を登る山道があるようだ。いずれ歩いてみよう。登りにとるとかなり辛いかもしれない。山道をさらに登ること十数分、反經石に着いた。老夫婦が入口に座っている。鉄分を多く含む反經石は、磁石を引きつける。前回は、霧の中だったが、今日は幸いにして展望がある。但し、小觀音山は頭が霧の中だ。二子坪ビジターセンタまでバスや車でやってくると、菜公坑山はほんの僅かで登れる小山に過ぎないが、三芝の麓から登ってくると、それなりに登りがいのある山である。北新荘を出発してから約3時間かかっている。

菜公坑山の登り途中で見る小観音山
反經石のある菜公坑山頂上
大屯自然公園入口、背後に大屯山
ピクニック気分で休憩する
小休憩のあと、第二登山口へ下る。こちらの方が少し短い。草むらを通過するが、この時期は草刈りされないので、両側の草は道に迫っている。途中、枕頭山への山道が分岐する。この道は、公園管理下の道ではなく、入口は標識リボンがかかっているだけだ。これが、菜公坑古道西線の入口でもある。十数分下り、登山口に着く。 百拉卡公路を渡った対面は大屯自然公園だ。大屯山は霧が晴れ、公園の向こうに背景としてそびえている。公園のビジターセンターに少し立ち寄る。今はちょうど蝶の特集が行われ表示がされている。藍染の説明もある。センター前のピクニックエリアで、食事をする。テーブルと椅子がたくさんあり、今日は単独だが天気もよくピクニック気分である。

大屯自然公園、左が枕頭山、右が菜公坑山
蜜蜂巣古道
二十分ほどゆっくりと過ごしたあと、公園内を通る。ビジターセンターの後ろの枕頭山と菜公坑山が並んでいる。一番奥の方から、二子坪ビジターセンターへ石段が登っていく。夏休みなので、平日だが車も多く駐車し大勢の遊楽客がいる。駐車場の向こうには、青空のもと小觀音山がくっきり見える。先ほど菜公坑山から見えなかったのは残念だ。駐車場の奥から人車分道が始まる。コンクリ舗装のよい道である。10分ほどで大屯山登山口に着く。数名の年配登山者が休んでいる。手持ちの地図(蕭郎)によると、大屯登山道を少し登った所で、熊笹の中の道を進み、気象施設の中を通りすぎて蜜蜂巣古道が始まるとなっている。実際に熊笹の中に道があり、進む。しかし気象施設の前で塞がれている。そこで乗り越そうとしていると、気象施設の人が現れて道は無いとのこと。とりあえず施設に入り、正面の門からでたら良い、といことで施設内に入る。施設の内門を出ると、右に踏跡が下がっていく。それに紐や矢印のカードも付いている。蜜蜂巣古道のようだ。下って行くと、気象施設の側門の前を通り過ぎた。蜜蜂巣古道は、百拉卡公路の鞍部気象站の正門から入り、ここから歩いたほうがよい。

蜜蜂巣古道、沢を越える
小花畑の向こうに七星山
蜜蜂巣古道は、あまり人気のある道ではない。道の程度も落ちる。レベル4だ。ただ、途中に現れた藍天隊の道標には淡基横断古道と記してあり、以前は主要な道であったのだろう。竹やぶなどをくぐり下っていく。十字路が現れる。どこからどこに向かう道なのかわからない。古道は直進する道だ。沢を越える。石段もあり、古道であることは間違いない。上部の方には並行して百拉卡公路や人車分道が走っているが、これは別世界だ。約20分の下りで、石畳の水尾巴拉卡步道に飛び出た。ここは、前回の下りで通り過ぎた道だ。12時15分、竹子湖道まで降りたあと、右に取って下る。前回は左の道を進んだ。

竹子湖から見る小観音山(左)と七星山
花の向こうに見る大屯山
靶場バス停を通り過ぎ、道が下り始める。そのまま下って行くと民家で終わってしまった。道は、その前に現れる海芋田への道標の方向へ階段を下っていく必要がある。あたりが開けてくる、海芋田のある場所だ。今はオフシーズンなので、人出は多くないが花の季節は大変な人だろう。大屯山、小観音山、そして七星山に囲まれた谷あいは、静かで平和だ。下湖渓の橋を越える。先月小観音山からの下りで、ここへやってきたが、道を間違えたとしてまた、登り返し竹子湖道を行った。しかし、そのとき橋の周辺にいた人がその後、猴崁産業道路で見かけた。別の道があるはずだ。今日は、それを探り歩くことも目的だ。ある地図には、それが記されている。道標などはなにもないので、手探りだ。

竹子湖から猴崁產道への抜け道
橋の脇から始まる道を直進する。そのまま進むと民家の前を通り過ぎ、赤く塗られた廟で道が終わる。そこから先には行けそうもない。ただ、ここは竹子湖の一番南側になるので、 大屯山、小観音山、七星山の谷が広がっているのが、望める。道をもどる。右に折れる舗装路に入ってみる。そのまま進むと民家で終わりのようだが、その直前右に伸びていくコンクリの細い道がある。街路灯もあり、どうやら歩道のようだ。結果的に、これが正しかった。途中石畳なども現れ、林の中を過ぎ、前回歩いた猴崁産業道路に出た。

あずま屋から見る紗帽山と中国文化大学
青春嶺の下り道
産業道路を下る。玉龍谷からは、売店の前を行く細い道に入る。前回は道なりに下り、湖山路へ下ったが、今回は山道を大屯瀑布へ下りことにする。すこし行くと、水道施設の石造小屋とあずま屋がある。紗帽山や文化大学が望める。13時28分、少し休憩する。コンクリの山道は、白く塗られた門をくぐる。そこからとても急な階段道が始まる。水道管が並行して下っていく。途中、石壁に埋め込まれた青春嶺という石板がある。この道は急で若者でないと登れない、という意味か。下りきると、滝がある。これが大屯瀑布だろう。下の方から学生たちの歓声が聞こえてくる。水遊びをしている。

花びらが落ちる水蓮
少し登り返し、陽明山公園の大屯瀑布区入口を通り過ぎる。舗装路を進み、花時計のわきを過ぎる。更に歩をすすめ陽金公路人車分道入口を通り過ぎる。湖山道を挟んだ反対側の蓮が多く咲いている。すでに種だけになっているものもある。大きな蓮の花びらは、音をたてて散っていく。14時20分、陽明山バスターミナルに到着した。まもなくやって来た260番バスで下山した。運転手はまだ珍しい若い女性だ。

今回約15kmの道のりで、7時間の歩きだ。陽明山山系の山を一つ越えるので、累計1052mを登っている。道の水準は、菜公坑古道はレベル3、石畳歩道と舗装路部分はレベル1である。体力要求度はレベル3である。全体として見ると、大屯渓古道よりも楽なルートだ。

2013-07-08

2013年7月6日 瑞芳三貂嶺瀑布 - 登山グループの道案内

集合写真、新寮百年大厝にて
先月の三爪子坑山登山についで、今回また登山グループの道案内で歩いた。グループ「慢集団」主催以来の最多参加者64名のハイキングである。ちょうど夏休みでもあるので、子供連れのメンバーも参加し親子連れハイキングの様相もあった。台湾は、登山人口が増えているが、今回のような比較的楽なコースへの参加希望の背景にあるだろう。

北東の三貂嶺駅から大華へ歩く、途中五分寮山を往復
歩行ルート高度プロファイル
ルートは、台鉄三貂嶺駅から三貂嶺瀑布群歩道を登り、一度福興宮のあずま屋まで行き昼食休憩をとる。その後、新寮に続く山道を行き、途中五分寮山を往復する。新寮から野人谷へ歩き、入口直前に左に降りて土地公から新寮瀑布を見る。その後野人谷の奥から峠を越し、基隆河へ下り、鉄橋を渡ったあと大華駅へと歩いた。前半の三貂嶺瀑布群は昨年八月に、後半の福興宮からの道は先月に調査も含めて歩いたところだ。

付近の歩行記録
行事としては、出発点の三貂嶺駅が集合場所である。筆者は南港駅から乗車したが、電車は登山客が多く座席は空いていない。筆者主催のTaipei Hiker Clubの山行に、よく参加するメンバー数名も今日の山行に一緒だ。約1時間の乗車で三貂嶺駅に着く。大勢の乗客が下車し、小さい駅は満杯になる。平渓線は、悠遊カードが使用できないのは知っていたが、本線のこの駅も例外で使用できない。そのため、多くの乗客が精算などの手続きで、一人しかいない駅員はてんてこ舞いだ。9時過ぎやっと対応が終わり、駅の外を少し行った広場で集合する。臨時の参加者などもいるので、正確な人数がわからないが、かなりの人がいる。そこで、簡単な道の説明を行い、9時10分に出発する。

線路下を通って反対側へ出る
線路脇を進み、本線の下をくぐって反対側に出たあと平渓支線にそって歩く。途中で点呼により人数を数えたところ、64名であった。廃校になって文化施設になっている碩仁國小で少し休憩とする。人数が多いので、全体の動きは時間がかかる。休憩後、山道にとりかかる。石段が終わると砂利道が続き、そのうちに土の道となる。はじめの石階段が過ぎると、ずっと平な道が続く。 9時45分、獅嘴岩への分岐点に着く。ここで後ろのメンバーが追いついてくるの待つことも含め、少し休憩する。ズラッと長く続く行列は、壮観だ。更に数分歩くと、一番目の滝、合谷瀑布の展望台に来る。滝は水量が少ない。昨年は木製の展望台だったが、それが金属製のデッキに取り替えられている。来る途中も、道標などが新しくなっていたが、一年間に登山道のメンテが行われている。

吊り橋を二ヶ所越える
歩き始めてまもなく、吊り橋を二ヶ所過ぎる。これも道に変化をつけている。60人からのメンバーが吊り橋を渡り終えるのは時間がかかるので、二番目の橋を渡ったところで、少し待つ。橋を過ぎると、沢沿いの道は登りが始まる。メンバー中の小学生の男の子は、待てないのか先を歩いて行く。10時半、二番目の滝、摩天瀑布に着いた。水量が少ないので、見応えはもうひとつだ。後ろのメンバーがやってくるのを待つ。

摩天瀑布、水量が少ない
次の枇杷洞瀑布へは、急な登りがある。出発前に、メンバーにはここで注意が必要と伝えておいたところだ。木製梯子や補助ロープがあるので、基本を守れば問題ない。メンバーの中にはチャレンジであった人もいるようだが、問題なく全員登り終える。枇杷洞瀑布は、滝の前が広くなっており沢に下りることも簡単だ。メンバーは、思い思いに沢に降りて写真を撮ったり、水に触れている。全員揃い、最後の登りを行く。登りきれば今日の主要な登りは終わりだ。11時20分、滝の上部のセメント山道に着いた。ここから、右にとり今日の昼食予定地、福興宮のあずま屋に向けて進む。11時半過ぎ、考えていたより少し早く到着した。

枇杷洞瀑布わきを登る


食事は、先月初めの山行と同じで、その場で麺類などを温めて皆でシェアする。今回は人数が多いので、主催者のWさんやLさんだけでなく、他のメンバーも担ぎあげてきている。また他の人も果物などを、皆でシェアしてくれる。台湾地場の登山活動は、こうした形態のところが多い。 福興宮は、水道もあるので便利だ。1時間半ほど、ゆっくりと休憩する。メンバーの内の数名は、早めに帰るということで道を教える。

13時過ぎに下山を始める。やってきた道を戻り、枇杷洞瀑布の上からセメント道を行く。少し登り気味の道を行くと、左に五分寮山への分岐がある。ここで後方のメンバーを待つ。また数名が、五分寮山へ行かずに先に大華駅へ向かう。五分寮山は、今日の行程中唯一の山頂になる。五分寮山山道は、はじめは程度がよいが、そのうち下草の中を進む。登り下りは少ない。13時35分、五分寮山(標高326m)に着く。周囲はすべて樹木で展望がない。中央に三角点基石が埋まっている。狭いので全員がここで記念撮影ができない。分けて写真をとり、同じ道をセメント歩道へ戻る。来る時は方向的に気づかなかったが、木々の切れ目からは薯榔尖峰頭尖が望める。

五分寮山への道

五分寮山頂上
新寮への下り道
 30分足らずで五分寮を往復して戻ったあと、新寮に向けて下り始める。産業道路を少し進んだあと、また山道を進み、一度また産業道路を横切る。土の道を下り、またセメントが現れた道を階段で下る。コンクリ道が終わると新寮につく。百年大厝の前で集合写真を写す。先に抜けたメンバーもあるので、少なくなっているがそれでも四十人は大部隊だ。晴れているが、微風があるので産業道路歩きも、それほどつらくない。野人谷の大門のすぐ前、左に降りていく道を進む。下りきると福徳宮がある。その手前から、遠くに新寮瀑布が望める。これが最後の景観点だ。

新寮瀑布
列車が大華駅へやって来た、後部メンバーは走る
野人谷から、峠越えをする。下り道は、苔の生えた石段が続くが、乾いているのでそれほど滑らなくて助かる。 15時15分、下り道を降りきり赤い鉄橋を渡る。ここでも後ろのメンバーを待つ。橋から下の河を覗くと、魚が泳いでいるのが判る。登り返し線路のわきを大華駅へ進む。15時27分、駅に着いた。そのうち、29分発の列車がやって来た。後部を歩いている数名は、それこそ列車と競争して駅へやって来た。幸いにして、メンバーが多く混んでいる列車に乗るのに時間がかかり、全員乗車できた。結果的に、非常に良いタイミングだった。

今回の歩行距離は8.7km、このうち五分寮山への往復が1kmぐらいである。団体だと行動時間が長くなり、それに加えて休憩時間が長いので、行動時間は6時間10分である。山は低いが、累計で527m登っている。コースのレベルは2、体力要求度も2である。但し、五分寮山への道はレベル4となる(評価基準はこの記事後部を参照)。大勢のメンバーの道案内は、歩く速度や休みのとり方、人数が多ければ後ろのメンバーが追いつくのを待つ、など単独行や少人数登山とはまた違う対応が必要だ。これで二回目なので、少しは慣れてきた。

2013-07-04

2013年7月3日 三峽麒麟山 - 竹崙山 - 大厝坑山縦走 茶葉と檳榔の里の山

大厝坑橋から檳榔林の向こうに見る麒麟山(左)、竹崙山、觀景峰(右奥の山)
新北市三峡区は、烏来との境界に奥深い山々を有する一方、今回のように人里近く麓には茶葉、檳榔などの商業作物が多く栽培されている場所もある。麒麟山や竹崙山は、その尾根を南に追っていくと、雙港仔山をへて獅仔頭山から熊空山への稜線と合流する。そこまで行くとだいぶ山が深くなる。昨年獅熊稜線を歩いている時に、竹坑山からすぐ右に分岐する山道を見たが、それが今回の山行の山まで続く。天上山山脈の西側半分から南方向に見える、手前の大きな山塊が麒麟山や竹崙山の山並みである。

日月洞から見る竹崙山の山塊(2013/6/8撮影)
新店と三峽の間を結ぶ第110公路のほぼ中間地点、安坑から山登りがスタートする。昨年12月に粽串尖、獅仔頭山登山の帰りに下山してきた場所だ。保安宮から山道を登り、麒麟山から南方向に稜線を経て竹崙山へ。その後觀景峰で広い範囲の景色を見たあと、そこから北西に伸びる尾根を下り、大厝坑山を通過して出発点の安坑へ戻った。今回は回遊型の登山ルートだ。
安坑バス停から時計回りに回遊
付近の登山
保安宮への道、右が麒麟山、左奥に粽串尖
MRT新店駅7時10分発の779番バスで出発だ。混んではいないが、通勤者も含め座席は満席になる。別の登山客が日月洞で下車する。天上山へ行くのだろう。その三つ先、安坑バス停で下車する。7時43分、新店駅から約30分の乗車である。建安路を進み集落を過ぎる。夏休みなので、建安小学校はひっそりとしている。茶畑や檳榔林を通り過ぎる。数分進むと右に保安宮への道が分岐し、下っていく。分岐のわきには、麒麟山登山の案内看板がある。橋を越え、登りが始まる。前方に麒麟山が見えてくる。高度が上がってくると、左奥に粽串尖や獅仔頭山が朝陽の中に見える。8時5分、道の突き当りに保安宮が現れる。立派な廟宇である。

保安宮、後ろの山は麒麟山
程度のよい麒麟山登山道、西コースの分岐点
保安宮の右上に広場がある。その奥にあるコンクリ階段が登山道入口だ。すぐ土の道となる。行政によるものではないようだが、整備されている道で立派な登山道だ。ジグザクに登っていく。右からの広い道と合流し、その先でまた分岐する。登山口から約10分だ。山道は、西と東がわに二つありどちらも頂上へつながる。左の道は幅が広く、土の産業道路然だ。右の道を取り、登っていく。雑木林の山腹を、道はつづら折りで高度を上げていく。石段が現れると、麒麟山はもうすぐだ。8時56分、麒麟山頂上(標高405m)に着いた。そこそこ広い頂上だが、樹木に囲まれ展望はない。木々の間にかろうじて見える、対岸の天上山脈の山が、ほぼ同じ高さに見える。腹がすいたので、食事をとり休憩する。

麒麟山頂上
麒麟山から竹崙山への尾根道
来た道を少し戻り稜線道に入る。保安宮からの山道に比べると、落差が大きい。稜線道は、シダの下草に覆われてほとんど道筋が見えない。草をかき分け数分歩く、下草がなくなり雑木林の道になる。緩い登りの尾根を20分ほど登って来ると、右に道は山腹を横切っていく。また尾根に戻る。ちょうど茶畑の上部で、奥には雞罩山から熊空山への稜線が望める。左に稜線に登る道が、竹崙山へ続く。そのまま茶畑のわきを下る道があるが、これは觀景峰方面への近道だ。いまやって来た方向へ戻る形なので、すこし迷うが道標はしっかりしているのでOKだ。尾根道を少し登ると、産業道路にでる。直進する道が竹崙山へつながる。竹崙山を登ったあと、またここへ戻って来る予定だ。

竹崙山への産業道路、左に山道が分岐する
ザレ道部分
産業道路といっても、今は登山者が歩くぐらいでほとんど使われていない。2、3分登ってくると、左に山道が分岐する。 竹崙山へは、この山道と産業道路をそのまま行く二つのルートがある。ここは左に山道を取り進む。稜線上では、風が吹いて涼しい。そのうち山腹を行くが、土砂崩れがあったようで、道がザレている。注意深く登り、尾根に取り付く。登りが終わり平たくなる。一面草に覆われて、道は全く見えない。草の間を見当をつけて進む。そのうちに左の少し小高くなったところに、標識リボンがかかっている。三角点基石のある場所のようだ。上がってみると、果たして草が刈られた中に基石がぽつんとある。ここが 竹崙山(標高613m)の頂上だ。10時4分、麒麟山から約1時間の行程だ。周りは草で風景は何も見えない。

草に埋もれた竹崙山
竹崙山の三角点基石のある頂上
産業道路から竹崙山を振返る、右は雙港仔山
草の中の道をさらに前進し、もう一つのルートの産業道路に出る。舗装が残っているので、草がなくほっとする。 少し下ると、左から別の廃棄産業道路が合流する。道なりに下ると、道は右に回り込み山腹を横切っていく。途中、左に雙港仔山への道が分岐するが、気づかなかった。登りに通った山道の分岐を過ぎると、すぐ産業道路の分岐へ着いた。觀景峰、大厝坑山へは、分岐を左に下る。少しくだると、右から麒麟山への道が分岐する。これは先程の近道だ。産業道路を下りきると、頂三層からの三層坪産業道路との十字路に出る。右の道を進む。少し登って行き振り返ると、竹崙山が大きい。その右の山塊は雙港仔山だ。

觀景峰頂上
道の両側は畑で展望がきく。右側は、天上山山脈や、その奥に台北市街が望める。道が平たくなり、果樹園の間を進む。地図では、右に觀景峰への道が分岐するはずだが、入口がない。そのまま進むが、道は突き当りその先の道は農作業の道しかない。戻ってみると、果樹園の奥に標識リボンが見える。どうやら、登山道は果樹園の奥を行くようだ。地面は枯れ草などで、踏み跡ははっきりしないが、方向や標識リボンで確認し緩い斜面を登る。そのうち、右に大厝坑山、左に觀景峰への分岐が現れた。左に觀景峰へ向かう。最近このへんは草が刈られたのか、踏み跡ははっきりしない。斜面を登って行くと、崖で道は終わった。ここが觀景峰(標高521m)だろう。一部高い樹木が邪魔をするが、それでも広い範囲の展望がある。まさに觀景峰だ。11時5分、 竹崙山から更に1時間だ。しばし休憩する。

白鶏山山塊、右には溪南尖とその奥に鳶山山群、三峽の街も望める
天上山と、その奥に観音山、安坑の集落が下に望める
特徴的な尾根上の苦茶樹林
觀景峰から景色を望む。西には白雞山の山塊が大きい。雞罩山や白雞山、最近歩いた環山歩道への斜面などが、谷を挟んで見える。その右に溪南尖、さらにその奥には鳶山山脈がある。三峽やその更に遠くには桃園中壢の街が広がる。足元には普賢寺や、檳榔林が目立つ。天上山山脈の西側の山々も望める。その奥には、うっすらと八里の觀音山も判別できる。

登ってきた道を戻り、大厝坑山を目指す。道は大きく山腹を急坂で下っていく。尾根に取り付いても、急坂は続く。シダが多く茂り、道筋が見えない。苦茶樹の林が現れる。赤いツルッとした樹皮の幹で、とても印象的だ。道は尾根を忠実に追っていく。30分ほどで、檳榔園の上部に着く。檳榔林を下る。大きな茶園が現れる。背の低い茶の木だけなので、展望がよい。標高も300mぐらいまで下がってきたので、対岸の石門内尖山が高くなってきた。東方向には、台北101ビルが五尖山のわきに頭を出している。作業小屋が上下合計3箇所ある。そのうち一番下の小屋のわきで休憩を取る。12時15分、一時間ほど下ってきた。麓には出発点の安坑の集落も見えてきた。
檳榔園の端を下る
茶畑から望む、対岸は石門内尖山
シダの密生した尾根道を行く
茶畑が終わると、農道を下る。そのまま行くと普賢寺に下るが、途中から山道が右に分岐し、尾根上を進む。びっしり茂ったシダをかき分けて下る。道はそれほど歩かれていないのだろう。12時58分、大厝坑山(標高150m)に着いた。何も見えない、樹林の間の頂上だ。基石が中央に埋められている。下るとすぐ果樹園が現れ、続いて檳榔園に変わる。果樹園からは石門内尖山が正面に迫って見える。檳榔園を下り、沢をわたる。また登り返す。峠を越し下り、また登り返しがある。二番目の峠からはよい道に変わる。下りきると人家が現れた。大厝坑の集落に着いた。茶畑と檳榔林の中をゆく産業道路を進む。竹崙溪に架かる大厝坑橋を渡る。橋の上からは、歩いてきた麒麟山、竹崙山そして觀景峰が望める。14時、出発点の安坑バス停へ戻ってきた。待つこと約半時間、14時35分に779番バスがやって来た。

果樹園の下り、対岸の石門内尖山が大きい
茶畑と檳榔園の間を安坑へ歩く
今回は約10.1kmの道のりで、休憩込みの所要時間約6時間10分だった。累計で764mを登っている。道の程度は、麒麟山のレベル2の良い道があるが、その他はあまり歩かれていない4クラスの道である。もし全部を歩くのであれば、当然クラス4での対応が必要だ。一方、体力的には、麒麟山での登りが一番長いが、全体としてはレベル3だ。 觀景峰は三峡地区の山々のよい展望ができるので、行く価値は十分にある。