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2012-12-29

2012年山行のまとめ(台灣山行48回、日本山行2回)- 番外記事 

山に囲まれた台北の街並み、南港山妙高台から展望
2012年は、合計で50回の登山を行った。平均すれば1週間に一度ぐらいの頻度となるが、冬は雨天が続き回数が少なく、夏は肉離れを患ったため一時休止の時間があるので、集中して登った時もある。そこで、今年の山行をまとめた。昨年登山を始めて初回50回の山行は、7月の時にまとめた。その部分は今回のまとめと重なる(22番まで)。

このリストの中で、各山行コースの難易度を「軽」、「中」、「高」と分類している。「軽」は、時間も短く山道も程度が高く、心配なく歩けるコース、「中」は所要時間が一日は必要で、しっかりした靴などの装備とともに、山登りの基本知識や技術を要求されるコース、「高」は「中」よりもさらに体力的に要求されるコースという基準で分類している。「中」が一番多いが、中には岩壁登りや踏跡的な登山道というコースもあるので、ブログの記録を先にご覧ください。山名、行程をクリックすると各記事にジャンプします。

また、台北近郊登山の簡単なガイドもありますので、参考にどうぞ。

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# 日付 山名・行程 山系・地域 難易度 歩行距離 所要時間
1 2012/1/19 汐止新山-五指山古道 新北市汐止 11km 5時間45分
2 2012/2/5 內湖大崙尾山-大崙頭山-白石湖山-龍船岩縱走 台北市内湖 11.5km 6時間30分
3 2012/2/12 新店直潭山 四分子産業道路経由で下る 新北市新店 10km 5時間30分
4 2012/3/1 烏來山-大桶山縱走 新北市烏來 7km 6時間
5 2012/3/5 耳空龜山縱走 汐止から菁桐へ稜線を歩く 新北市汐止-平溪 11.5km 7時間
6 2012/3/17 二格山-三玄宮山縱走 台北市木柵 11.6km 5時間30分
7 2012/3/22 平溪孝子山-普陀山-中央尖-臭頭山 新北市平溪 7.3km 7時間
8 2012/3/26 大屯山-七星山縱走 台北市陽明山 15km 7時間25分
9 2012/4/1 台北市民の憩いの山 象山 - 拇指山 を歩く 台北市南港 5.5km 3時間
10 2012/4/9 日本奥多摩川苔山 - 遇到日本羚羊 日本東京都奥多摩 16.5km 7時間
11 2012/4/23 油桐花の三峽鳶山を登る 新北市三峽 10.2km 5時間
12 2012/5/1 基隆山 - 大粗坑古道 九份の山を歩く 新北市瑞芳 10.6km 5時間
13 2012/5/6 桐花の土城天上山から中和牛埔山へ縦走 新北市土城-中和 16km 6時間50分
14 2012/5/14 草嶺古道から桃源谷を歩く 宜蘭県-新北市雙溪 20.5km 7時間30分
15 2012/5/23 朝の七星山 - 多くの蝶が舞う霧の山道 台北市陽明山 4.6km 2時間40分
16 2012/5/29 觀音山 - 気楽な山登り 新北市八里 7.3km 3時間30分
17 2012/6/5 南港山樹梅古道 - 大都会わきの素朴な山道 台北市南港 4.6km 3時間
18 2012/6/8 泰山崎頭步道-尖凍山 台北盆地西側の山 新北市泰山 8.9km 3時間50分
19 2012/6/10 三峽五寮尖 - 北部三大岩尾根の第一位 新北市三峽 8.3km 5時間30分
20 2012/6/18 石碇皇帝殿山北峰 - 西峰縱走 新北市石碇 8.3km 6時間15分
21 2012/6/26 基隆七堵姜子寮山 - 拔西猴山の尾根道から登る 基隆市七堵 14km 6時間45分
22 2012/7/1 平溪峰頭尖 - 平溪三尖中の不遇な山 新北市平溪 7.6km 6時間50分
23 2012/7/14 平溪石筍尖 新北市平溪 4km 3時間
24 2012/7/8 坪林獅公髻尾山から平溪へ歩く 新北市坪林-平溪 12km 6時間30分
25 2012/7/21 新店獅仔頭山-三峽熊空山縱走 新北市新店-三峽 13.7km 7時間
26 2012/7/27 木柵猴山岳から茶山古道を経て深坑へ 台北市木柵-新北市深坑 9.3km 5時間10分
27 2012/8/8 瑞芳三貂嶺瀑布群から獅子嘴岩へ - 滝と小沢の道 新北市瑞芳 11.6km 6時間40分
28 2012/8/11 石碇紙寮坑古道から四分尾山を越え茄苳古道へ 新北市石碇-汐止 13km 6時間50分
29 2012/8/13 鶯歌石-牛灶坑山-碧龍宮 展望良好のハイキング路 新北市鶯歌 7.7km 3時間45分
30 2012/9/7 內湖白鷺鷥山-康樂山-明舉山 台北親山步道を歩く 台北市内湖 9.2km 3時間37分
31 2012/9/12 北投軍艦岩-丹鳳山 弘法大師碑を訪ねる 台北市北投 9.2km 3時間45分
32 2012/9/17 陽明山荷蘭(オランダ)古道をへて草原の山々へ 台北市士林 12km 5時間30分
33 2012/9/19 天母古道から七星山を登る - 玉山登山の事前訓練 台北市士林 16.2km 6時間20分
34 2012/9/22 朝天洞枝尾根から皇帝殿山を登る 新北市石碇 10km 6時間6分
35 2012/9/30 陽明山內雙溪古道から風櫃嘴へ - 再び草原の山 台北市士林 13.5km 6時間
36 2012/10/4 新店雞心尖 - 直潭山縱走 台北市街と翡翠水庫を眺める 新北市新店 15km 8時間50分
37 2012/10/8 玉山主峰 - 台湾最高峰を塔塔加鞍部から登る 嘉義縣,高雄縣 22km 13時間30分
38 2012/10/14 再び草嶺古道へ - 埡口から灣坑頭山往復、貢寮へ下る 宜蘭県-新北市雙溪 16km 5時間10分
39 2012/10/18 大溪金面山-白石山縱走 打鐵寮古道を下る 桃園縣大溪 19km 8時間5分
40 2012/10/21 風櫃嘴-擎天崗-竹篙嶺古道 W大同校会ハイキング 台北市士林 14.2km 6時間
41 2012/10/27 陽明山山仔頂古道-中正山 淡水から北投へ山越え 新北市淡水-台北市北投 13km 7時間20分
42 2012/11/3 烏來拔刀爾山・高腰山 - 紅河谷古道から登る 新北市烏來 20km 8時間40分
43 2012/11/7 東北角和美山-金瓜石縦走 海が見えるススキの山道 新北市瑞芳 13.3km 6時間25分
44 2012/11/10 坪林九芎根山 - 芋圓尖 アクセスはよいが不人気な山 新北市坪林 9.5km 5時間10分
45 2012/11/15 摸乳巷古道-炙子頭山-烏月山 石碇から深坑へ峰越え 新北市石碇-深坑 10.2km 5時間50分
46 2012/11/21 汐止五指山 - 忠勇山 小雨のなか内湖に下る 台北市内湖 8.3km 3時間
47 2012/12/8 日本丹澤山群鍋割山與塔之岳 - 觀賞白色富士山 日本神奈川縣泰野市 16.7km 7時間
48 2012/12/14 粽串尖-獅仔頭山 山の西側安新から登り鹿母潭へ下る 新北市新店 20km 8時間
49 2012/12/25 冬の晴天下の南港山 虎山親山歩道- 岩壁登攀- 妙高台 台北市信義 6.7km 4時間10分
50 2012/12/27 陽明山山系中正山-大屯南峰-西峰から西南稜線を下る 台北市北投 8.1km 5時間40分

2012-12-28

2012年12月27日 陽明山山系中正山-大屯南峰-西峰から西南稜線を下る

大屯南峰からの台北と背後の台湾中央高山群
今年もあと数日を残すだけとなった。今年の登り納めになる山行として、10月に歩いた中正山を登り、山腹路を経て大屯南峰へ登頂。その後、西峰を経由し山頂を少し下ったところから始まる西峰西南稜線上の山道を清天宮へ下った。天候は曇で時々晴れ間が少しのぞくという天気だったが、雲が高く午前中は台北盆地の向こうに、前衛の山々よりはるかに高くそびえる台湾中央の山脈が、ずっと南方向へ続いているのが見えた。もちろん、今年登った台北周辺の山々も多く眺めることができ、一年の山行の締めくくりとして、思わぬ収穫があった。眺めることができた中央高山は、まだそれぞれのピークを判別できるだけの登山経験がないが、来年は少なくとも、二、三座は登りたいという思いを強くした。

中正山も大屯西峰もこれで三度目の登山だが、今日のような広大なパノラマ展望は経験していないので、これほど遠くまで多くの峰々や台北盆地の様子が見れることを知らず、新しい発見に感動した。冬はやはり空気の透明度が高いので、可能なのだろう。冬のつかの間の好天に、悪い道を苦労して登る甲斐があるというものだ。考えてみれば、陽明山山系は、台北郊外の山々の中では台湾の中心線から外れた位置にあるので、今日のように天候条件がよければ、中央山脈や台北郊外の山々が眺められる展望台になるわけだ。10月のW大校友会ハイキングの時も、中央山脈の峰々が見えたが、今回はそれ以上だ。

大屯山群の南側を登る
右下の十八份から登り、左の清天宮へ下る
雨の日が長く続いたため、大屯南峰や西峰の道はぬかってドロドロの部分が多かった。中正山への道は石畳のAレベル登山道で、もちろんぬかるみの問題はない。一方、中正山から大屯南峰へは、南峰-中正山の稜線山腹をずっと水平に行き、最後に急坂を登る非正規路を歩いた。また、大屯西峰から清天宮への西南山稜の道も非正規路である。この二つの道は、正規路のように多くの登山者に歩かれていいないことが幸いして、道が水分を吸収したり落ち葉があったりでぬかるみはほとんどなく、陽明山国家公園警告板の文言とは裏腹に、歩きやすかった。大屯南峰への山腹道は、もともと10月山行で経由して中正山へ行く予定だったが、途中で間違った分岐で曲がって尾根に戻ってしまい、結局石畳の尾根道を中正山へ下った。今回は、どこで間違ったかを確認する意味も含めて歩いた。以前のブログで、陽明山山系の非正規登山道の登山をしていくことを書いたが、今回もその活動ができたわけだ。

登りはじめ間もないころ、見る台北方向の景色
朝6時40分頃に自宅を出発、東門駅からMRTで北投駅へ向かう。北投駅下のバス停に行くとちょうど小9番バスがやって来た。もともと7時15分発の便が少し遅れているようだ。二十分の乗車で十八份バス停に着いた。ここは昨年六月に初めて中正山へ行き下山した時に、ここからバスで北投駅へ乗って帰った。今回は逆方向に登る。身支度を済ませ登山路(街道の名前)を行く。標高約270mのここからは、畑や民家の向こうに台北の街が見える。背後にはかなり高く見える山々がある。しばらく行くと、右に立祥商店がある。この雑貨店の脇の道が中正山への登山道入口だ。入ってすぐに台北市親山歩道の説明板や陽明山国家公園の道標などが設けてある。国家公園の道標や200m毎の路程表示は、最近建てられたもののようで、真新しい。

修復された炭焼き小屋
石畳の道は、はじめは民家の間を、そして畑の脇を登って行くが、そのうち竹林や雑木林の中を登る。登山口から20分ほどくると、保存された炭焼き小屋に着く。説明によれば160年の歴史があるこの小屋は打ち捨てられていたが、2009年に有志が修復したということだ。今は焼いてはおらず、姿が修復されている。そのすぐ上にはあずま屋がある。森の中なので、展望は紗帽山が見えるだけだ。道はずっと登りが続く。8時半頃、壁だけの廃寺に着く。地藏王菩薩の寺であったようだ。香炉がまだ残っているが、中は何もない。昨年の下りの時は通り過ぎただけだが、奥のほうに休憩小屋があるので、行ってみる。古いが山腹に乗り出したテラスがある。ここからは展望がきく。眼下には地熱谷が、そして烏尖連峰の向こうには士林の街がある。今日は曇りだが、かなり遠くまで見える。遠くの青い山脈はどうやら台湾中央山脈の峰々のようだ。前衛の天上山山塊と比べると高さが格段に高い。登山口付近で見えていたのは、この山々だったのだ。このようなパノラマは初めてなので、思わず驚喜する。

石畳の中正山登山道
地蔵王菩薩の廃寺、左の道標が新しい
テラスからの展望、下には地熱谷、左は紗帽山と文化大学キャンパス(クリックで拡大)
ここから道はなだらかになる。標高646mの中正山まではあと数十メートルの高低差だけだ。右に中正山第一登山口へと続く道を分岐し、登って行くと8時50分に展望台についた。三度目の展望台に上がる。下のテラスからよりもはるかに広範囲が見渡せる。今日の展望は、なんといっても中央山脈まで見えることが嬉しい。近くの観音山は手に取るようだ。反対側の大屯南峰や西峰を見る。西峰から長い尾根が淡水河に向かって下っている。これが今日の下りに通る予定の西南稜線だ。展望台は、見晴らしがよいが風も吹き去っていく。歩いているときは汗も出るが、しばらくここで景色を眺めていると寒さを感じる。展望台の床に座ると風が防げる。腰を下ろして休憩し食事をする。

中正山展望台から見る台北市とその背後の中央山脈の山々
大屯西、南峰、左に降りる尾根が西峰南西稜線、山腹道は手前の山の山腹を行く
山腹道の入口、倒木が道を塞いでいる
展望台から、まずは石畳の登山道を少し登ると、左に山腹道が分岐する。倒木が道を塞ぎ、滑りやすく危険なので通行しないように、との国家公園の看板がものももしい。実際、山慣れていな遊楽客が歩くと危ないかも知れない。草に埋もれているが、その下は玉石が敷き詰められた道である。森が開けて左側に観音山が見える。分岐から10分ほどで左に中正山駐車場への道が分岐する。玉石の道もここで終わり、土の道となる。桃色の花が咲いている。梅の花だろうか、冬の森でひときわ目立つ。平な道が続くが、そのうち道にはゴロゴロした岩があわわれる。左に粗坑溪を下っていく道を分岐する。このあたりは、沢から水を引くためのビニール管がたくさんある。ここから道は標高差300mの登りが始まる。山腹道の約半分の位置である。

玉石の山道
道の状態は、そこそこ歩かれているようだ。標識リボンもかかっている。9時40分、この道を歩いて40分ほど来たところで、見たことがある場所が現れた。10月の登山で来たところだ。思っていた通り、涸沢を過ぎた場所だ。注意してみると、道脇の幹に古ぼけた藍天隊の道標が付いている。前回は気づかなかった。ここが間違って曲がった分岐だ。こうして見るとなぜ誤ったかと思うが、その時持っていた地図には尾根に登っていく道は記載がなく、一方沢を過ぎた後少し登り返すように記されているので、すこし下がっていく道に気づかなかったのだろう。補助ロープも道を塞ぐような形で張られている。涸沢を越えると、登り一本の急坂が始まる。二十数分登り、10時22分に中正山へ下る尾根道に合流した。すぐ先には大屯南峰への道が分岐して右に登っていく。

山腹道の様子、300m高度の登り始め
南峰への登り口
南峰への登りは、補助ロープがはられた急坂である。道はぬかってドロドロ、滑りやすい。中正山から通ってきた山腹道は、登山客が少なく雨が降っても吸収されてしまうのだが、この道は常に登山客に踏み固められ草も少ないので、雨が長く降ると乾くこと無く、ぬかってしまうのだろう。10分ほど登ると森が切れて、展望が広がる。10時35分、大屯南峰の頂上(標高959m)に着いた。南峰は二度目であるが、前回は6月でこれほど遠くまでの展望ができなかった。林口の先の桃園や中壢あたりは霞がかかっているが、その左の高山の峰々は延々と続いているのがわかる。100キロ先まで見えている。淡水河とその支流が流れる台北盆地は、所狭しと建物が建てられている。超高層建築が少ない台北は、101ビルや新光ビルがわかりやすいランドマークだ。台北盆地の奥には、今年登った山々が判別できる。背後の大屯山七星山から、姜子寮山四份尾山獅公髻尾山二格山直潭山獅仔頭山大桶山拔刀爾山天上山等が盆地を囲っている。もちろん近くの五指山觀音山なども今年登った山も見える。写真を撮り終えたあと、大屯坪に向けて下る。

南峰頂上、中央に新設の路程表示が埋められている
南峰からの大パノラマ
南峰の下り道から見る、左は七星山、その奥は五指山の山並み
大屯坪のあずま屋と新設説明板
大屯坪への下り道は、登り道にくらべて緩やかだ。右には中正山へ続く尾根が伸びていく。森の中にはいり、そのうち土の道が石畳に変わる。その先で大屯山への分岐に着く。最近建立された陽明山公園の看板が脇にある。今歩いてきた道は、困難度が高いとされている。経験がない行楽客だと、今日のような滑りやすい道であれば、確かに大変かもしれない。左に折れて下ると、ひっこり大屯坪のあずま屋が現れた。時刻は11時12分。ここにも新しい看板がある。あずま屋の柱に括りつけられている寒暖計は16度を示している。ここで休憩して軽く食事をとる。休んでいる間に登山客が二組通り過ぎた。今日はずっと誰とも出会わなかったが、このあたりは人気度が高い。

南西峰鞍部への分岐、右は西峰
二子坪方面へ石畳の大屯坪歩道を進む。大屯西、南峰の鞍部への分岐を左に折れる。右側に大屯西峰が近い。雑木林の中を登り、10分ほどで鞍部に着いた。10月に来たときは休日だったこともありとても賑やかだったが、今日はひっそりしている。西峰は三度目の登頂だが、こちらから登るのは初めてだ。直線的に登る土の急坂は、濡れていて滑りやすい。補助ロープがありがたい。登ること十数分、11時50分に西峰(標高988m)に着いた。三人のパーティが休んでいる。これから下るところで、道の状態を尋ねられた。その内の一人が日本人かと尋ねてきたので、そのとおりだと答える。このようなところで、単独の日本人登山客はやはり珍しいようだ。朝に比べると雲が多くなってきた。中央山脈の高山群は南の半分が雲の中に入ってしまっている。風が吹き抜けていくが、頂上にある大岩の陰に座ると風が当たらない。リンゴをかじって休憩する。あとは、清天宮に向けて下るだけだ。

西峰から見る南峰と左奥の大屯山
西峰下りから見る面天山(左)と二子山(右)
西南稜の山道
頂上で20数分過ごし、下りはじめる。右には面天山が大きい。二子山との鞍部の向こうには、三芝の平地や海岸線が見える。数分下ると、補助ロープが現れる。左に踏み跡が尾根方向に伸びている。これが西南稜線の山道だ。道標などもちろん無い。わかっている登山者だけが入る道だ。道の状態もよい。草薮を過ぎていく。振り返れば西峰と南峰やその尾根筋が高くなっている。草薮を過ぎると雑木林の中を下る。ところどころ補助ロープが張られている急坂も現れる。標識リボンもかかっており、迷うことはない。分岐から下るとこ30分、竹林が現れる。ネットの資料では防風竹林ということだ。実際谷側からの風が強い。このあたりで下り道の半分あたりだ。竹林を下って行くと、石の階段がある。農作用に造られたのか。

西南稜山道から振返る、前方の山腹を中正山から歩いた
西南尾根道途中の竹林
更に下ると、四叉路にでた。右の道を取る。幹につけてある藍天隊の道標では、直進すると呉氏宗祠へとなっている。そのうちに菜園が現れる。ここから道は石畳に変わる。農作業のためだけに、これだけよい石畳を敷くとは考えにくい。もともとは別の目的だったのだろうか。更に先にはコンクリ製の立派な橋がかかっている。橋を超えると、段々畑を過ぎる。前方に観音山が、左には關渡、対岸の八里が広がっている。人家も現れ、下り階段を下がると登山道も終了する。ここは面天坪へ続く三聖宮歩道の入口でもある。こちらは、陽明山公園の管理対象の道なので立派な案内があるが、今下ってきた西南稜線道は何の道標もない。13時28分、約1時間の下りであった。ちょうど、すぐ下の復興路を小6バスが登ってきた来た。急いで清天宮バス停へ下り、バスに乗って北投駅へ帰った。

清天宮近くの山道から見る観音山と関渡のあたり
高度プロファイル、ピークは夫々大屯南峰と西峰
歩行距離は8.1kmと比較的少ない。しかし、ほとんどが登山道なので休憩も含めて5時間40分かかった。登攀高度累計は915mだ。冬季の登山は、去年は雨天が多くあまりしていなかったが、今回登ってみれば、他の季節より空気の透明度が高く遠くまで見渡せることに気づいた。気温が低いことや、場所によっては状態の悪い道との苦闘もあるが、そうした苦労を補っても余りある。

2012年は、日本の山2箇所を含めて50回の山行であった。そのうちでのエポックは10月に登った玉山である。来年は、台北近郊の山でまだ歩いていない山やルートを登るつもりだが、同時に今回山頂から見えた中央の高山も登るようにしよう。

2012-12-26

2012年12月25日 冬の晴天下の南港山 虎山親山歩道- 岩壁登攀- 妙高台

妙高台から見る台北市街
今年の十二月は、昨年にくらべて晴れの日が多い。それでも数日ぐずついた天気の後にやってくる晴天は貴重だ。朝起きてみると、昨日午後からの晴れがつづいている。近場の南港山へちょっと登ることにする。南港山は、家から一番近い山である。信義路幹線のバス一本でアクセスできる。これで五度目になるが、近いわりには行っていない。冬に行くのも初めてだ。冬の晴天は風が吹いていることもあり空気の透明度が高く、台北市や周辺の山々がくっきり見えた。また、南港山の新しい発見ができた。

三号岩壁ルート
南港山は、Aレベルの台北市親山石畳歩道が完備されており、この道だけを歩いているのであれば散歩気分だ。しかし、実はそれ以外に土の山道や、岩壁をよじ登るようなコースもある。これらは、台北市が管理する親山歩道ではないが、興味深い山歩きができる。今回は、親山歩道の虎山歩道から、主稜線の北側斜面をトラバースする岩壁歩道経由で三号岩壁を登った。主稜線上の石畳縦走路を南に進み、拇指山頂上を往復したあと、象山方面へ下っていく親山歩道から分岐して妙高台へ歩き、その後紫雲路から呉興街へ下った。歩くにつれ、台北101ビルと周囲の景色が変わっていくのを体験した。

右上の福徳国小から呉興街へ歩く(クリックで拡大)
登山道入口近くの虎山渓歩道
南港山登山は半日で終了できる。遠くの山に行くよりも遅く8時過ぎに出発、信義路線バスで福徳国小へ向かう。ちょうど通勤時間なので、信義区までは乗客が多い。それを過ぎるとガラガラになる。他の乗客と一緒に福徳国小バス停で下車すると、車内は乗客ゼロとなる。9時少し過ぎ、バス停から来た方向に少し戻り、学校の正門を通り過ぎ、左に福徳街251巷へ折れる。小学校の脇をすすんでいくと、道は上り坂になり、大きな四獸山市民森林の看板が現れ、虎山歩道の入口に着く。入口からは左に虎山自然歩道と右に虎山溪歩道の二つの道がある。左は尾根伝いに登っていくが、右の道をとり谷沿いに進む。山の北側に位置するこの道は、日が当たらず薄暗い。夏であれば涼しい沢沿いの道も、冬の今は寒々しい。それでも下ってくる人登る人、お年寄りを中心に多くの人が歩いている。音楽を鳴らし道脇の広場で運動している人たちも多い。まさにここは市民の森たるところだ。

四獸王廣場、背後に南港山
枝の上のリス
沢を橋で越え、暫く行くと右に急坂の木製階段が始まる。もともとは直進していく道だったようだが、地主の都合が変わったのか塞がれ、そのためにこの木製階段ができたように見える。登りつめると四獸王の広場に出る。バス停から約15分だ。あずま屋の手前にモニュメントが設けられれている。ここも多くの人が運動をしている。広場奥の石段を登って行くと、右に開けた場所がある。もともと建物があったが取り除かれたように見える。南天宮が現れると山道は終了し、福徳街221巷の舗装路になる。道脇の木の枝にリスが一匹載っている。尻尾をタッタという音(そばに設けられた説明ではキツツキということだが)にあわせて振っている。まるで尻尾踊りをしているようだ。

復興崗
舗装路を登って行くと、左に真光禅寺がある。左に折れ真光禅寺の前を通り過ぎる。そこからまた虎山歩道の石畳道が始まる。歩道は登りはじめるとすぐに左右に分岐する。左は登山口から登ってくる、虎山自然歩道だ。右に取り石段を登って行くと、また右の小広場で数人が運動をしている。このあたりは、地元住民の健康に大分貢献していると言える。登りつめると、復興園前の広場だ。標高は約140m,バス停から約50分の歩きであった。ここから101ビルをはじめ、台北市街と周辺の山々がよく見えるようになる。正面の山は陽明山の山塊、その右に五指山の山塊が続く。101ビルは虎山の上に頭をニョキッと出している。

復興崗前から見る陽明山山系と台北松山区、内湖区
岩壁歩道と脇の「佛」字
復興園からは、右に福徳街221巷の舗装路へ道が下る。左にとり石のアーチをくぐり、更に登っていく。左上に造られたあずま屋の下を、右にそのまま行くと九五坪へ続く。昨年九月に第二号岩壁を登ったとき、通過した場所だ。今回はあずま屋の脇を登っていく。運動用の設備などが設けられている。道は土の道にになり、勾配もきつくなっている。補助ロープが現れ始め、森の中をひたすら登っていく。道幅も細く、山深い感じがする。一度草が刈り取られた広場にでる。左に新しくできた道がある。右にも踏み跡があるが、幾つかの岩壁をつないでトラバースする山道(岩壁歩道)ではないようだ。直進する道を登ると、かなり急な岩の登りが現れ、それを越すと岩壁歩道に出た。時刻は10時半、歩き始めて約1時間半だ。それまで見かけなかった、山岳クラブの標識リボンもある。このあたりは、健脚向けの領域だ。ここも左側から、新しい道が切り開かれている。直進すると、第一号岩壁である。

岩壁登攀途中で上を見上げる
三号岩壁上部の縦走路の手すり
岩壁歩道を進む。ほぼ水平にトラバースしていくが、途中ちょっとした登り下りはある。北側に面した木々の中を行くので、薄暗い。「佛」の文字が刻まれている大石の脇を通り過ぎ、数分で第二号岩壁の下に着く。九五坪からの道と合流する。ネット上の記事によれば、全部で五カ所ある岩壁ルートのうち、この第二号が一番手ごわいということだ。確かに垂直に近い壁なのでそうかと思う。

更に進むと、開けた感じの場所に第三号岩壁ルートがある。角度は、第二号よりも緩やかだが、高さはやはり結構ある。GPSの記録で見ると約16mの高度差だ。途中に二ヶ所踊り場的に休めるところがあるが、引っかかりの少ない岩壁にはアブミ状の鉄足場が打ち込まれているので、助かる。これでもし補助ロープがなければ、そこそこのロッククライミングだ。日の当たらない岩壁についている土は、連日の雨で湿っている。登りつめると、南港山から下ってくる石畳稜線縦走道の木製手すりのところに出た。時刻は11時、縦走路の脇の小広場に入り、休憩する。ここは、木々がきれて北側の景色が望める。ここからだと、101ビルは観音山の左側に見える。

岩壁上部の縦走路脇から見る台北101ビルと市街、観音山は101の右に見える
10分ほどの休憩後、拇指山へ向かう。展望台を通り過ぎすぎて下り、南港山南峰(標高365m)に向けて登り返す。振り返ると、南港山の右に遠くの山々が見える。目を凝らすと、基隆山の三角ピークが覗いている。その手前は、汐止の大尖山から四分尾山への稜線がある。さらに右を見ていくと、平溪の中央尖峰頭尖や石碇の皇帝殿山がわかる。以前歩いたときは、それほど遠くまで見えなかったが、冬晴の下では認識できる。これらの山からは南港山が見えるので、その反対にこうした峰々が見えても当然だが、新鮮な感じだ。復興園から岩壁上までまったくなかったが、稜線上の道では多くの登山客とすれ違う。南港山南峰から下り、後山歩道と合流する。ここから道は右に折れて下る。

南港山南峰への登りから見る南港山、九五峰、右側には四分尾山
拇指山頂上から二格山、筆架山方面を見る
11時40分に到着した拇指山山頂(標高320m)は、これで五回目だ。今日は季節と時間が違うので、南側の山もよく見えている。遠くは木柵二格山、新店直潭山、新店獅仔頭山、三峡白雞山、土城天上山、そして樹林大棟山の山々が判別可能だ。白雞山の更に右奥にある三角ピークは大溪金面山だろう。このあと歩く、妙高台方向の尾根が、すぐ下から南西方向に続いている。もちろん、台北市街もくっきり見えている。自宅近くの大安公園角の交差点もわかる。天気が良ければ、この交差点から南港山が見えるので、逆にこの交差点が見えても不思議は無いが、なぜか感動する。十分ほど写真を撮りながら眺めていると、別の登山客が登ってきた、風も強く吹いているので下ることにする。

拇指山からの南側大パノラマ(クリックで拡大)、手前には妙高台への尾根が続く
古道の趣の妙高台への山道
縦走路にもどって下り、間もなく展望台に着く。石畳縦走路は右に下るが、ここからは妙高台へ向けて左に取る。この道は、土の素朴な道だ。坂の部分には石の階段が置いていある。古道の趣だ。下って行くと、右から縦走路の「忍」字大石の分岐点からやってくる道と合流する。縦走路の分岐から時10分ぐらい歩くと、コンクリ製椅子やテーブルのある休憩所が現れた。ここからは、尾根上の道をすすんでいく。ちょっとした登り下りをすぎると、象山の下をトンネルで貫通する高速道路が見える部分に着いた。ここが妙高台(標高278m)のようだ。この真下も高速道路のトンネルが貫通している。時刻は12時半、拇指山から約40分の歩きだ。観音様の祭壇が真ん中に設けられ、その前にはコンクリ製の椅子テーブルのあずま屋となっている。この時間は誰もいないが、地元の人達がよく使っているのだろう。ここから101ビルを望むと、観音山の右に見える。角度がかなり変わったが、これはそれだけ歩いてきた、とういことだ。

妙高台からのパノラマ、真下に象山のトンネル入口
紫雲街への下り階段
道は更に下っていく。象亭と記された木製あずま屋を過ぎる。対向方向から登山客が一人登ってくる。赤い服の外国人だ。妙高台の道で初めて出会う登山客だ。数分で、剣頭山への尾根道と分岐し右に紫雲街への道が急な階段で下っていく。この道は、石畳の稜線道やその他の親山歩道に比べれば程度は落ちるが、それでもスレンレスの手すりなども設けられている、歩きやすい道だ。下って15分、紫雲街75号の対面に降り立つ。このあたりはかなり山の奥まった住宅地である。台北市に住んで20年近く経つが、いままでこのような場所に来たことがなかった。山登りでもしなければ訪れることも無いだろう。25分ほどで呉興街600巷を下りきり、13時20分ごろ呉興街バス終点駅から22番バスで帰宅した。

山上の住宅に咲く華と101ビル
今回の行程は、歩行距離は6.7km、所要時間は4時間10分だった。登攀高度累計は488mだ。距離も高度も、最近の山行に比べると少ない気軽な山行であった。ただ、このとても近い山でも立派な石畳道から岩壁ルートもある本格的山道も手軽に体験できるのは、とてもよい。里に近い山なので、枝道も縦横に走っている。まだまだ、いろいろと新しい体験ができる余地が残っているようだ。
高度プロファイル