このブログを検索:山名などキーワードを入れてください

2012-12-26

2012年12月25日 冬の晴天下の南港山 虎山親山歩道- 岩壁登攀- 妙高台

妙高台から見る台北市街
今年の十二月は、昨年にくらべて晴れの日が多い。それでも数日ぐずついた天気の後にやってくる晴天は貴重だ。朝起きてみると、昨日午後からの晴れがつづいている。近場の南港山へちょっと登ることにする。南港山は、家から一番近い山である。信義路幹線のバス一本でアクセスできる。これで五度目になるが、近いわりには行っていない。冬に行くのも初めてだ。冬の晴天は風が吹いていることもあり空気の透明度が高く、台北市や周辺の山々がくっきり見えた。また、南港山の新しい発見ができた。

三号岩壁ルート
南港山は、Aレベルの台北市親山石畳歩道が完備されており、この道だけを歩いているのであれば散歩気分だ。しかし、実はそれ以外に土の山道や、岩壁をよじ登るようなコースもある。これらは、台北市が管理する親山歩道ではないが、興味深い山歩きができる。今回は、親山歩道の虎山歩道から、主稜線の北側斜面をトラバースする岩壁歩道経由で三号岩壁を登った。主稜線上の石畳縦走路を南に進み、拇指山頂上を往復したあと、象山方面へ下っていく親山歩道から分岐して妙高台へ歩き、その後紫雲路から呉興街へ下った。歩くにつれ、台北101ビルと周囲の景色が変わっていくのを体験した。

右上の福徳国小から呉興街へ歩く(クリックで拡大)
登山道入口近くの虎山渓歩道
南港山登山は半日で終了できる。遠くの山に行くよりも遅く8時過ぎに出発、信義路線バスで福徳国小へ向かう。ちょうど通勤時間なので、信義区までは乗客が多い。それを過ぎるとガラガラになる。他の乗客と一緒に福徳国小バス停で下車すると、車内は乗客ゼロとなる。9時少し過ぎ、バス停から来た方向に少し戻り、学校の正門を通り過ぎ、左に福徳街251巷へ折れる。小学校の脇をすすんでいくと、道は上り坂になり、大きな四獸山市民森林の看板が現れ、虎山歩道の入口に着く。入口からは左に虎山自然歩道と右に虎山溪歩道の二つの道がある。左は尾根伝いに登っていくが、右の道をとり谷沿いに進む。山の北側に位置するこの道は、日が当たらず薄暗い。夏であれば涼しい沢沿いの道も、冬の今は寒々しい。それでも下ってくる人登る人、お年寄りを中心に多くの人が歩いている。音楽を鳴らし道脇の広場で運動している人たちも多い。まさにここは市民の森たるところだ。

四獸王廣場、背後に南港山
枝の上のリス
沢を橋で越え、暫く行くと右に急坂の木製階段が始まる。もともとは直進していく道だったようだが、地主の都合が変わったのか塞がれ、そのためにこの木製階段ができたように見える。登りつめると四獸王の広場に出る。バス停から約15分だ。あずま屋の手前にモニュメントが設けられれている。ここも多くの人が運動をしている。広場奥の石段を登って行くと、右に開けた場所がある。もともと建物があったが取り除かれたように見える。南天宮が現れると山道は終了し、福徳街221巷の舗装路になる。道脇の木の枝にリスが一匹載っている。尻尾をタッタという音(そばに設けられた説明ではキツツキということだが)にあわせて振っている。まるで尻尾踊りをしているようだ。

復興崗
舗装路を登って行くと、左に真光禅寺がある。左に折れ真光禅寺の前を通り過ぎる。そこからまた虎山歩道の石畳道が始まる。歩道は登りはじめるとすぐに左右に分岐する。左は登山口から登ってくる、虎山自然歩道だ。右に取り石段を登って行くと、また右の小広場で数人が運動をしている。このあたりは、地元住民の健康に大分貢献していると言える。登りつめると、復興園前の広場だ。標高は約140m,バス停から約50分の歩きであった。ここから101ビルをはじめ、台北市街と周辺の山々がよく見えるようになる。正面の山は陽明山の山塊、その右に五指山の山塊が続く。101ビルは虎山の上に頭をニョキッと出している。

復興崗前から見る陽明山山系と台北松山区、内湖区
岩壁歩道と脇の「佛」字
復興園からは、右に福徳街221巷の舗装路へ道が下る。左にとり石のアーチをくぐり、更に登っていく。左上に造られたあずま屋の下を、右にそのまま行くと九五坪へ続く。昨年九月に第二号岩壁を登ったとき、通過した場所だ。今回はあずま屋の脇を登っていく。運動用の設備などが設けられている。道は土の道にになり、勾配もきつくなっている。補助ロープが現れ始め、森の中をひたすら登っていく。道幅も細く、山深い感じがする。一度草が刈り取られた広場にでる。左に新しくできた道がある。右にも踏み跡があるが、幾つかの岩壁をつないでトラバースする山道(岩壁歩道)ではないようだ。直進する道を登ると、かなり急な岩の登りが現れ、それを越すと岩壁歩道に出た。時刻は10時半、歩き始めて約1時間半だ。それまで見かけなかった、山岳クラブの標識リボンもある。このあたりは、健脚向けの領域だ。ここも左側から、新しい道が切り開かれている。直進すると、第一号岩壁である。

岩壁登攀途中で上を見上げる
三号岩壁上部の縦走路の手すり
岩壁歩道を進む。ほぼ水平にトラバースしていくが、途中ちょっとした登り下りはある。北側に面した木々の中を行くので、薄暗い。「佛」の文字が刻まれている大石の脇を通り過ぎ、数分で第二号岩壁の下に着く。九五坪からの道と合流する。ネット上の記事によれば、全部で五カ所ある岩壁ルートのうち、この第二号が一番手ごわいということだ。確かに垂直に近い壁なのでそうかと思う。

更に進むと、開けた感じの場所に第三号岩壁ルートがある。角度は、第二号よりも緩やかだが、高さはやはり結構ある。GPSの記録で見ると約16mの高度差だ。途中に二ヶ所踊り場的に休めるところがあるが、引っかかりの少ない岩壁にはアブミ状の鉄足場が打ち込まれているので、助かる。これでもし補助ロープがなければ、そこそこのロッククライミングだ。日の当たらない岩壁についている土は、連日の雨で湿っている。登りつめると、南港山から下ってくる石畳稜線縦走道の木製手すりのところに出た。時刻は11時、縦走路の脇の小広場に入り、休憩する。ここは、木々がきれて北側の景色が望める。ここからだと、101ビルは観音山の左側に見える。

岩壁上部の縦走路脇から見る台北101ビルと市街、観音山は101の右に見える
10分ほどの休憩後、拇指山へ向かう。展望台を通り過ぎすぎて下り、南港山南峰(標高365m)に向けて登り返す。振り返ると、南港山の右に遠くの山々が見える。目を凝らすと、基隆山の三角ピークが覗いている。その手前は、汐止の大尖山から四分尾山への稜線がある。さらに右を見ていくと、平溪の中央尖峰頭尖や石碇の皇帝殿山がわかる。以前歩いたときは、それほど遠くまで見えなかったが、冬晴の下では認識できる。これらの山からは南港山が見えるので、その反対にこうした峰々が見えても当然だが、新鮮な感じだ。復興園から岩壁上までまったくなかったが、稜線上の道では多くの登山客とすれ違う。南港山南峰から下り、後山歩道と合流する。ここから道は右に折れて下る。

南港山南峰への登りから見る南港山、九五峰、右側には四分尾山
拇指山頂上から二格山、筆架山方面を見る
11時40分に到着した拇指山山頂(標高320m)は、これで五回目だ。今日は季節と時間が違うので、南側の山もよく見えている。遠くは木柵二格山、新店直潭山、新店獅仔頭山、三峡白雞山、土城天上山、そして樹林大棟山の山々が判別可能だ。白雞山の更に右奥にある三角ピークは大溪金面山だろう。このあと歩く、妙高台方向の尾根が、すぐ下から南西方向に続いている。もちろん、台北市街もくっきり見えている。自宅近くの大安公園角の交差点もわかる。天気が良ければ、この交差点から南港山が見えるので、逆にこの交差点が見えても不思議は無いが、なぜか感動する。十分ほど写真を撮りながら眺めていると、別の登山客が登ってきた、風も強く吹いているので下ることにする。

拇指山からの南側大パノラマ(クリックで拡大)、手前には妙高台への尾根が続く
古道の趣の妙高台への山道
縦走路にもどって下り、間もなく展望台に着く。石畳縦走路は右に下るが、ここからは妙高台へ向けて左に取る。この道は、土の素朴な道だ。坂の部分には石の階段が置いていある。古道の趣だ。下って行くと、右から縦走路の「忍」字大石の分岐点からやってくる道と合流する。縦走路の分岐から時10分ぐらい歩くと、コンクリ製椅子やテーブルのある休憩所が現れた。ここからは、尾根上の道をすすんでいく。ちょっとした登り下りをすぎると、象山の下をトンネルで貫通する高速道路が見える部分に着いた。ここが妙高台(標高278m)のようだ。この真下も高速道路のトンネルが貫通している。時刻は12時半、拇指山から約40分の歩きだ。観音様の祭壇が真ん中に設けられ、その前にはコンクリ製の椅子テーブルのあずま屋となっている。この時間は誰もいないが、地元の人達がよく使っているのだろう。ここから101ビルを望むと、観音山の右に見える。角度がかなり変わったが、これはそれだけ歩いてきた、とういことだ。

妙高台からのパノラマ、真下に象山のトンネル入口
紫雲街への下り階段
道は更に下っていく。象亭と記された木製あずま屋を過ぎる。対向方向から登山客が一人登ってくる。赤い服の外国人だ。妙高台の道で初めて出会う登山客だ。数分で、剣頭山への尾根道と分岐し右に紫雲街への道が急な階段で下っていく。この道は、石畳の稜線道やその他の親山歩道に比べれば程度は落ちるが、それでもスレンレスの手すりなども設けられている、歩きやすい道だ。下って15分、紫雲街75号の対面に降り立つ。このあたりはかなり山の奥まった住宅地である。台北市に住んで20年近く経つが、いままでこのような場所に来たことがなかった。山登りでもしなければ訪れることも無いだろう。25分ほどで呉興街600巷を下りきり、13時20分ごろ呉興街バス終点駅から22番バスで帰宅した。

山上の住宅に咲く華と101ビル
今回の行程は、歩行距離は6.7km、所要時間は4時間10分だった。登攀高度累計は488mだ。距離も高度も、最近の山行に比べると少ない気軽な山行であった。ただ、このとても近い山でも立派な石畳道から岩壁ルートもある本格的山道も手軽に体験できるのは、とてもよい。里に近い山なので、枝道も縦横に走っている。まだまだ、いろいろと新しい体験ができる余地が残っているようだ。
高度プロファイル

0 件のコメント:

コメントを投稿