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2012-03-24

2012年3月22日 平溪孝子山-普陀山-中央尖-臭頭山

孝子山頂上から東を望む
平渓の山を訪れるのは、これで四度目だ。今回登った孝子山や普陀山は、岩に刻まれた階段とロープ手すりが裸の岩尾根を登っていく様は、とても興味をそそる。台北付近の三大岩場の一つだそうだ。他の二箇所は去年訪れた皇帝殿山と三峡の五寮尖である。今月初旬の耳空亀山縦走の後、菁桐古道を下り二坑口に着いたとき、遠くに中央尖や普陀山の奇峰が見えた。この山にはいずれは行こうと考えていた。ただ、岩場が多いところでは、雨で滑りやすくなるので、天気が安定してからと思っていた。最近は天気の良い日も続き、訪れることにした。

孝子山は平渓の南側
回遊型の登山行程(クリックで拡大)
今回の山行は、前半は独立峰となる孝子山と普陀山に立ち寄り、その後奥にある中央尖と臭頭山を登ったあと、谷を行く東勢格古道を出発点の平渓国中へ戻った。各々の山は、最高の中央尖が580mでそれほど高くない。しかし各々の山は登り下りがあり、体力を要求される。今回の歩行距離は7km強だが、時間がかかっているのはそのためだ。道は整備がされて、歩きやすい。特に孝子山と普陀山は、石段の道で程度が高い。中央尖はその頂上直下に、ほぼ垂直の岩壁がありどんなものか少し気にかかっていたが、実際に行ってみると南港山直下の岩壁と同じようなもので、しっかりとロープを使い三点保持を守れば、難しいものではない。

駐車場から見る孝子山
登山口の平渓へは、台鉄か1076番バスかどちらでもいけるが、バスは距離的に近いので今回も木柵MRT経由1076番バスで往復した。1076番バスは、早朝の便数が多い。家を6時半前に出発しMRT木柵駅には7時少し前に到着、バス停につくとちょうど1076番バスがやってきて、待つことなく乗車できた。106号双渓公路を行くバスの車窓から見る谷の両側の稜線は霧がかかっている。バスは通学バスの役割を果たしており、学生が多く乗っている。途中で学生の多くは降りたが、去年10月薯榔尖へ登った時より乗客が多い。7時40分、登山口の平渓国中バス停で下車した。周囲の山の頂上はまだ、ガスの中だ。

孝子山登山道、小沢を超える
身支度を済ませ、学校のすぐ近くから分岐する舗装路を普陀禪寺へ登っていく。10分ほどで駐車場もある舗装路の終点に着く。正面には孝子山がそびえている。孝子山へは、左右それぞれ道が続く。今日の行程から、後に登る山への道順からして左の道を行き、右の道を降りて次の普陀山へ続けようと考え、左の道をとった。石畳の道を歩き始める。10分ほど登り、小沢を超えていくと、石段が途切れた。孝子山は、登山客も多く整備された道のはずなのに、その上は土の小道である。しかし他に道も見当たらないので、それを登っていく。急な登りを行くと、数分で鞍部についた。鞍部からは目の前に大岩が控えている。これを右に巻いていく道があるように見えるが、草をかき分け暫く行くと踏み跡ははっきりしない。整備されている道とも思えない。引き返し鞍部からは、反対側に降りていく道を進む。道はどんどん下り、大岩を巻いているようではない。滑りやすい土の道を下ると、10分少しで慈母峰への石段道に突き当たった。ここは、孝子山、慈母峰、普陀山へ続く三叉路だ。先ほど、左の道でなく右の道を取っていれば、わけなくここに着いていた。図らずも大回りをしてしまった。

孝子山へ左の道を登る
三叉路の一番左の岩に刻まれた石段を登り、孝子山へ向かう。数分で踊り場に着く。反対側に降りて行く石段の道がある。これは先に登った左側の道に続くはずだ。これが本来の登山道だろう。どこで間違えたのだろうか。今でも不明だ。踊り場からは、孝子山の頂上まで左右二つの道がある。ロープ手すりが張り巡らされた石段を登る。上がっていくと孝子山直下に垂直の壁をロープが下がっている。これはほとんど使われていない、昔のルートのようだ。これを上下するのは、かなり度胸と技術が必要だ。反対側に回りこむと、ステンレス梯子がかかっている一般の道がある。梯子の上は続く石段を登ると、仏像が二体すえられている頂上だ。時間は9時、出発して1時間だが、先程の道の間違えがなければもっと早く着いていただろう。

孝子山下の踊り場
孝子山北壁
歩き始めた頃のガスはすっかり上がり、快晴である。孝子山は切り立った岩の柱だから、周囲は遮るものがない。平渓の谷、その向こうに今まで登った薯榔尖や五分山、姜子寮山、山側は慈母峰、普陀山が近い。慈母峰や普陀山へ登っていく、階段とロープ手すりがくっきり見える。今日は誰もいないが、休日であれば多くの登山客がこれら道を登り下りしていることだろう。遠くからエンジン音が聞こえてくる。平渓の谷を、台鉄のディーゼルカーがやって来た。学校の放送なども聞こえる。写真を撮りながら20分ほど過ごし、別の道から踊り場に、さらに三叉路まで下る。
鉄梯子のある 孝子山南側壁

孝子山から見る薯榔尖から五分山までの山並み
中央の普陀山と左の慈母峰、右奥の山は石底観音山
孝子山頂上から見る谷底
三叉路の孝子山への石段のすぐ右に、同じく岩に掘りこまれた階段とロープが上がっていく。慈母峰への階段はずっと右奥だ。どこに続くか確かめようと、この階段を登ってみると、中腹で途切れてしまう。右上に踏み跡があるようも見えるが、補助ロープも何もなく断崖の上なので不要意にそれ以上進むのは危険だ。途中までしっかり整備さているのは、なぜなのだろうか。下って今度は、一番右の道を普陀山へ向かう。石段の道の途中から、右に道がトラバースしていく。これが普陀山への道だ。尾根に取り付くと、露出した岩のロープ手すり階段が登っていく。左右は切り立った岩で、もし手すりがなければ気楽に登ることはできないだろう。左側には、谷を挟んで慈母峰の岩尾根階段道が見える。階段を登りつめると、三体の仏像のある普陀山頂上だ。頂上はさらに奥に伸びており、最奥には観音像が据えてある。頂上の周りは木々が結構高く、景観は三体の仏像の前から平渓側が見える以外はない。途中の裸岩尾根からのほうがはるかによく見える。時間は10時、食事をとり20分休憩する。

普陀山への登りから見る孝子山
普陀山の登り
標高450mの普陀山からは、320mの孝子山は谷間にスクっと立つ太いローソクのようだ。霧がかかっていれば、それこそ小黄山(小張家界?)の趣なのだろう。九份の山々が平渓の谷をずっ下った先にある。火燒寮山のピラミッド、その右の草山が、目を凝らすと草山上のレーダー設備も判別できる。下りは、まさにロープ手すりが登り以上に大切だ。無ければ高所恐怖症がなくても、足がすくんでしまうかもしれない。トラバースの道を戻り、石段の登山道と合流する。これを登ると慈母峰から降りてくる道と分岐する鞍部につく。慈母峰は次回登ろう、このまま次の中央尖へ向けて、道を下っていく。5分ほど下ると右に平渓国中登山口への道を分岐する。分岐のすぐ上から、岩の大壁の脇を登る。この道と並行して、谷底を行く道もある。10分ほど登ると、今度は慈母嶺と中央尖への鞍部分岐になる。石段の道はここで終わり、中央尖への道は土の道となる。ところどころ枕木階段が作られているが、量は少ない。尾根上の道は、ピークを二、三超えていく。ベンチの休憩場所もある。有名な平渓の天灯の残骸が道端に落ちている。ここまで飛んできたのだろう。臭頭山や東勢格古道にも落ちていた。
普陀山から見る薯榔尖と菁桐の街
普陀山の下り
中央尖直下の岩場
紫莱山への分岐を過ぎ、道が南方向になると中央尖への最後の登りだ。勾配がきつくなり、大きな岩壁の直下に着く。ここからは垂直の岩壁をロープを使って登る。北に面しているので、岩は乾かず濡れているが、足場はほど良くありロープを使えばそれほど苦労なしで登れる。途中2ヶ所ほど踊り場がある。南港山の岸壁と同じ感じだ。最後の三段目の登りは途中に岩が突出していて、少し登りにくい。登りつめると、左に中央尖の頂上が、右に下りの山道が続く。頂上は狭いが、北側に向かって景色が望める。前の2つの山頂より標高が高いので、九份方面は基隆山、石碇方面は四分尾山も見える。足元には、今登ってきた尾根筋がある。時刻は12時、ここでも食事をとり30分ほど休憩する。

中央尖から見る平渓の谷とその先九份の山、左に覗いているピラミッドは基隆山
薯榔尖とその左奥は四分尾山
手前の尾根を歩いてきた、遠くの山は五分山
山林投の道
下りは結構急だ。岩や補助ロープもたびたび現れる。25分ほどで東勢格古道への分岐についた。左に道をとり、臭頭山への道を登る。方向案内板やベンチなど、行政の整備が入っている。登ること10分ほどで東勢格山への分岐をすぎ、道は西方向に変わる。尾根道はそれほど上下もなく楽だが、後半部分は山林投が道脇に多く茂っている。刈られているので良いが、根(茎)がところ嫌わずうねうねと茂っていると、非常に歩きづらいだろう。突然木を何本か重ねて柵を作り山道を塞いでる。これを乗り越えていくと、すぐ臭頭山の山頂(標高476m)についた。なぜこんな柵を設けているのだろうか。時刻は1時20分、中央尖から50分ほどである。三角点のある頂上には説明板なども設けられている。周囲は樹木で囲まれ展望はない。

臭頭山頂上
東勢格古道の分岐
緩やかな下り道を行く。木々の切れ目から中央尖が見える。その名のとおり、結構尖っている。下り数分で左に東勢格への小道を分け、北に方向を変えた道は谷を下り始める。杉林や竹林を抜けると、小沢が道に沿って流れ始める。臭頭山から15分ぐらいで、東勢格古道に合流する。沢の水量も増えてきた。沢の中を歩く場面では、滑りやすいのでロープ手すりが張ってある。沢は狭くなったり、広く緩やかになったりして流れていく。せせらぎの脇には花が、鳥たちのさえずりも聞こえ、晴天下の谷間はとても平和だ。左に峰頭尖の道を分けたあと、竹林が多くなる。道にはかれた竹の葉が敷き詰められ、滑り止めの効果になって歩きやすい。右に中央尖と臭頭山への道が分岐する。臭頭山の頂上から約40分だ。

沢沿いの道

廃坑坑道入口
更に10分下ると、沢を挟んで土地公が二つある。石の祠の上には、保護用の屋根が掛けてある。ここで東勢格古道の約半分の位置だ。急な坂を下ると、コンクリートの橋がかかっている。その左先には山腹に廃坑の坑道が残されている。近づいて中を除くと、水が入り口まで来ている。どれだけ深いのか。平渓の他の谷のように、採掘はその昔に終わり、残された炭鉱関係の建物が朽ちて残されている。東勢格古道は、ここから石炭搬送のためのトロッコ線路跡を行くので、平なとても歩きやすい道となる。左を行く谷は、水量が多くなり道からかなり下の方を流れていく。右に慈母嶺への道が登っていく。山肌を縫い道は進む。木々の切れ目から、平渓国中の建物が見えたら、今日の行程はまもなく終わりだ。コンクリートの階段を下り、2時45分106号公路に降り立った。立派な平渓国中が目の前だ。バス停で待つこと30分、1076番バスがやって来た。

東勢格古道
高度プロファイル
歩行距離7.3km、休憩も入れた歩行時間は7時間である。各ピーク頂上の眺めが良かったので、ゆっくり過ごしたこともあるが、登り下りが多かったことも関係している。平渓の山々がはっきり見え、今まで歩いた場所も判別できてとても良かった。反対側の山々は、こずえの間から獅公髻尾山や伏獅山が見えた。10月に登ったときは、天気がよくなく視界が効かなかったが、今日は山容がはっきりわかる。観光地平渓に近いので、登山客が多いかと思っていたが、下りの東勢格古道で一人すれ違っただけだった。次に平渓に来るときは、峰頭尖を登ろうか。

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