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2012-03-07

2012年3月5日 耳空龜山縱走 汐止から菁桐へ稜線を歩く

盤石嶺の桜
去年7月に大尖山から四分尾山を、10月には菁桐古道を歩いた。この2つの間は、耳空龜山を中央にして尾根が続いている。菁桐古道を歩いたとき、峠にあたる福興宮の脇には、耳空龜山登山道の看板が出ており、興味を引かれた。調べて見れば、この登山道は1年ほど前に新北市によって整備されている。今回は、汐止の大尖山から歩き始め、耳空龜山の尾根を縦走、その後前回とは別ルートの菁桐古道を下って、菁桐の二抗口へ出た。

台北の東にある耳空亀山登山道
登山道は西から東へ向かって歩く(クリックで拡大)

汐止コミュニティバス11番
今回は大尖山の登りで、汐止のコミュニティバスのお世話になった。台北から919番バスで汐止駅に行き、大同路の対面のバス停で8時発の天秀宮行バス(11番大尖山線)に乗った。7月は天秀宮まで40分近くかかって登ったが、今日はバスで15分であった。バス降り場の周囲は桜が咲いている。天秀宮の左脇にある登山口から、石段の登山道を登り始める。前回は夏の太陽が照りつける中であったが、今日はまだ春の日8時過ぎの道なので楽だ。桜の花が見えるともう直ぐ頂上だ。時刻は8時50分、天秀宮から25分であずま屋が建つ大尖山頂上に着いた。

大尖山頂上
空は青く、桃色の桜の花が映える、白つつじも色を添える。大屯山の山塊や五指山の山塊は、霞の中でぼんやりしているが、足元の汐止の街はよく見える。高架橋上の汐止駅に停発車する電車もはっきりわかる。基隆方向は結構高層住宅が建っている。台北101ビルもかすんでいるものの、判別できる。穏やかな春山の山頂である。写真を撮っていると、三々五々桜をもとめて登山客が登ってきた。多くの登山客はここが終点のようだ。弁当を広げてくつろいでいる。

四分尾山頂上
四分尾山への道は、前に歩いているので様子がわかっている。標高460mの大尖山から641mの四分尾山は、登り調子の山道である。途中の小ピークを2、3つほど超えると和尚頭山への分岐、それを過ぎると山腹をトラバースするように進み、茄苳古道との分岐に着く。茄苳古道を下れば、茄苳瀑布を見ることができる。いずれ機会を作って行ってみたい。最後の登りを越えふりかえれば、いままでやってきた大尖山への尾根が見える。大尖山から55分、9時55分に四分尾山頂上に着いた。

これから歩く耳空亀山縦走路方面を望む
大尖山方面を望む
前回登ったときの四分尾山は、晴れていたものの周囲はぼんやりしており、周囲の草の丈も高かったので、再び登ってみると、結構展望が利くことを発見した。南西方向は樹木が茂っているので、もうひとつ見えないがそれ以外は展望できる。東にはこれから歩く耳空龜山へ続く尾根、その左先には姜仔頭山の大きな山容、右には平渓の山々、石底観音山や薯榔尖山の三角ピラミッドが見える。目を反対の西側に向ければ、台北101ビルや南港山が、その左は深抗の山々があるが、ぼんやりして個々の山を判定し難い。北側は、五指山やさらにその先には大屯山系があるはずだが、これもかすんでいる。ただ、汐止の街なみは見える。頂上の三角点に蝶がやってきてとまった。今日は旧暦の啓蟄である。

三角点基石にとまる蝶
食事休憩を済まし、下るとあっけなく舗装された産業道路に出た。ここまで車でやってくれば、四分尾山は苦労なく登れる。かどに車が停めてある、あとで耳空龜山登山道上で追い越した老夫婦登山客のものだろう。道路の反対側に、耳空龜山登山道入口がある。道脇の里程は5.7kmとなっている。新北市が整備したので、枕木の階段や排水溝などがところどころできている。ロープ欄干なども急な坂には設置してある。尾根上の道を上り下りをくりかえし、途中右に上鹿窟崙、左に一坑頭への小道を分岐する。木々がない鞍部からは、右に平渓の山谷が見える。左を振り返れば四分尾山の山頂が高い。今日の行程中の最高峰は四分尾山である。

耳空亀登山道入口


枕木階段と手すりの登山道



登山道から平渓の山を望む
幅広い尾根道は、ぬかっているところも結構ある。前方から鈴の音が聞こえる、しばらく行くと老夫婦登山客が歩いていた。どこまで行くかを聞かれ、菁桐まで行くと答えると、ずいぶん歩くものだと驚かれた。二人は耳空龜山あたりまで行き、引き返すようだ。このあたりまで来ると、枕木階段などは無くなる。東方向に進んでいた道が、南方向に変わると間もなく五坑、姑娘廟へ下る道が分岐し、さらに登ると耳空龜山(標高588m)に着いた。時刻は11時20分、登山口から1時間である。耳空龜山頂上は、細長く木々に囲まれ展望はない。奇妙なこの耳空龜山の名前の由来は、聞くところによると近くに山洞があり、その中に亀がいたからだとか。

耳空亀山頂上
頂上からのくだりは補助ロープもある急坂だ。下りきると数メートルの高さの石塔が2つ鞍部に並んで建てられている。昔五坑の炭鉱から汐止方面へ石炭を運送するための、設備の一部だったということだ。この石塔のすぐ下から作埤內古道が分岐する。五八一峰まで登りが始まる。耳空龜山登山道のほぼ中間地点である。山腹の道が大きな岩の脇を行くが、岩に石段が彫ってある。草の道や、低い潅木の尾根道など変化のある道が続く。右からの尾根が近づいてくると、五八一峰である。ここから右に石底観音山が分岐する。道はここでまた方向が変わり東に進む。

双石塔
補助ロープもある登り下りを繰り返していくと、平渓の谷の一坑口から上がってくる一坑古道の分岐についた。ここは摸乳巷鞍部という。文字どおりでは、乳さわりの小道の意味になるが、胸をこするぐらい幅の狭い道のことだ。汐止側には作埤內古道へと続く道が下っていく。鞍部のすぐ上は、樹木が無く展望が利く。右には薯榔尖山へ続く尾根が、左には耳空龜山登山道の終点、汐平公路が見える。目を凝らすと、薯榔尖山頂上の国旗や、汐平公路を行く車が判る。坂を登りきると、薯榔尖山への分岐点である。また道は方向を変え、北方向に進む。残りは1キロ少しだ。

道はこのあたりから新北市の整備の手が入っているようで、ステンレス棒と太いロープの手すりが現れ始め、さらに行くと枕木階段もでてくる。最後の登り下りを過ぎると、ひょっこり視界が開けた。盤石嶺に着き、耳空龜山登山道もすぐ終わりだ。開けた丘には、右も左も桜が満開だ。石のテーブルやいすもある。10月のときは草茫々であったが、その後刈られたのだろう、晴れ空のもと気持ちのよいピクニック.スポットとなっている。時刻は1時半、耳空龜山登山道縦走は3時間かかったことになる。

平渓の谷を望む
福興宮の見える登山口付近
耳空亀山を望む
少し暑いぐらいの日差しだが、ここで花見をしながら食事休憩とする。右には平渓の谷が広がっている。桜の木の下では農夫が作業をしている。時々、汐平公路を行くオートバイや車が静けさを破るが、実に平和だ。車を停めて、花見をする人もいる。登山道入口まで下って汐平公路に降り立つと、縦走してきた耳空龜山の山々が見える。耳空龜山は左肩が急な下りとなっているので、目立つ。その右奥の山は、四分尾山だろう。30分ほど休んだ後、前回は登ってきた菁桐古道の平渓部分を今度は下る。

三坑山への分岐点
幅の広い古道を進み、肉坂峠に着く。少し先で右に道が分岐する。菁桐古道は2つルートということなのだろうか、道案内看板にはどちらも菁桐古道となっている。前回は分岐の右の道を通ってきたが、今日は左にとり三坑山方面へ進む。幅広の道は、はじめは下り、また登り返す。三坑山への道を左に分岐し、さらに登ると石筍尖北稜の道を左に分岐する。ここから石筍尖へ通じるが、今日は疲れているので、次回に譲ろう。この道は結構危険な道だということだ。

魔神仔洞
下りが始まり、送電線鉄塔を過ぎると道は細くなり、急になる。大きな岩の脇の急坂を下りきると、魔神仔洞が現れた。これは昔の石炭輸送トロッコのトンネルだ。前回登山で見たトンネルの反対側になる。もうひとつ別のトンネルもある。ここから石段の道がはじまり、直ぐ下で別の菁桐古道と合流する。汐平公路の古道入口から約1時間であった。

菁桐へは、あとこの石段の道を下るだけである。直線状の石段の道を下っていき、依林山橋を越えると薯榔尖山への道が分岐する。もう一度沢を橋で越えると、石筍尖への登山道も始まる山道の入口だ。ここも桜が咲いている。残り500mの道をくだり、集落が現れると今日の行程は間もなく終わりだ。古い民家の脇にはつつじが満開だ。道を下りきり、3時20分に双渓公路の二坑口バス停についた。1時間半の下りであった。ほどなく1076番バスがやってきた。約40分で木柵MRT駅に着いた。菁桐では、曇ってきていたが、木柵に着くと雨が降り出した。

二坑付近から薯榔尖を望む
歩行高度プロファイル
桜やつつじが咲く山道は、とても快適だ。歩行行程は約11.5km、所要時間は休憩も含め約7時間である。ほとんど山道だけで、なおかつ結構上り下りのある縦走路だったので、終了近くは結構疲れた。ただ、石段の下り道なのであまり気を使わずにすんだ。春が近づき、また山登りができるチャンスが多くなるだろう。

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