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2013-11-28

2013年11月24-25日 玉山再訪 Re-visit to Mt. Jade

排雲登山道の西峰下山屋から望む玉山主峰(霧中)と南峰
玉山は、台湾の最高峰であるとともに、日本も含めた北東アジアの最高峰でもある。昨年10月に訪れたが、今回また仲間三人ととも台湾の山岳登山旅行社主催の登山旅行に参加し、再び訪れた。昨年は玉山の主要登山ルートにある排雲山荘が工事中のため、登山口の塔塔加鞍部から一気に玉山主峰までの22kmを13時間を費やして往復した。今回は、第一日に営業再開した排雲山荘まで登り一泊し、翌朝主峰を往復、その後下山という比較的楽なコースである。しかし、第一日の好天とは裏腹に、非情な寒波が訪れ大雨となり、また気温が低く要求される装備がないため、主峰への登頂を諦め山荘からそのまま下った。

今回は排雲山荘までの往復のみ
片道(登り)の高度プロファイル
筆者は、すでに好天下頂上からの眺望の経験があるが、他の三名は初めての玉山登山で残念な結果ではあった。しかし、全く価値が無いわけではない。24日には、塔塔加登山口から玉山前峰から西峰への支稜山腹を行く排雲登山道からは、壮大な山岳景観を十分に堪能できた。昨年の登山時は、登りはまだ夜が明けておらず、また下山時にはガスがかかり、この景色は初めて見ることができた。悪天候の玉山も体験した。これは、次回登山するときに貴重な経験となる。

東埔溫泉から21号線を経て登山口へ往復
日本は、今年富士山が世界遺産に認定されたことで、空前の富士山登山ブームが起こったと聞く。玉山は、排雲山荘が営業再開して体力的な敷居も低くなったので、多くの登山者が登山を希望している。排雲山荘は、一晩100足らずの宿泊スペースがあるが、希望者がはるかに多く抽選にて宿泊予約を決めている。玉山自体も、入山許可が必要であるが、この宿泊スペースの点が玉山登山の最大ボトルネックになっている。もちろん、去年の登山と同じに日帰りすれば、この点は関係がないが、誰でも対応できるわけではない。四回の抽選の結果、最後に11月下旬の登山が確保できた。

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23日の夕方台北をバスで出発、一路南投県信義郷の東埔溫泉に向かう。4時間半の乗車、23時少し前に温泉ホテルに到着した。明日に備えて、早々に就寝する。

東埔溫泉の街並み、背後の山が高い
24日は、快晴である。昨日は暗くて何も見えなかったが、朝起きて窓から外を見ると、谷あいにある温泉街が見える。数件のホテルが道脇にある。食事を済ませ通りに出てみると、道端には付近で採れた野菜などを販売している。通りの奥の方の稜線は、かなり高い。やはりここは3000m級山々の麓だ。この東埔溫泉から直接玉山へ登る道がある。八通關古道を経て、玉山の北峰と主峰の鞍部へと続くルートで,二日がかりの行程である。いずれは歩いてみたい。

陳有蘭溪の橋から見る玉山連峰
7時半過ぎに出発、省道21号線を登山口へ目指す。東埔溫泉は標高約1100m、登山口の塔塔加は約2600m、1500mぐらいの標高差だ。一旦谷を下り、21号線に入る。途中で陳有蘭溪を渡る橋から、谷の奥に玉山が望める。頂上には雪を戴いている。21号線は、急峻な山岳を行くので、しばしば土砂崩れなどで不通になる。台風の時などは通行止めになる。道は、はじめ二又で陳有蘭溪と別れていく支流和社溪沿いに登る。川には巨石がごろごろし、台風などの大雨で大水が流れたことが察せられる。実際、ここは近年来大水で災害が多く発生している。今日のような穏やかな天候では、想像ができないが。

バスの車窓から見る信義郷の谷あい、下は陳有蘭溪



バスは和社溪を渡り、対岸の山腹を登る。そのうちに支稜をこえて反対側の山腹を行くようになる。こちらは陳有蘭溪と上流で別れる支流沙里仙溪の上を登っていく。谷底はかなり下だ。しばらく登ってくると、対岸の下方に昨晩泊まった東埔溫泉の街が見える。出発から一時間ほど登ってくると、左に玉山が近い。北峰から主峰、そして西峰も望める。これから登る山をみて、思わず笑みが溢れる。道路修復工事中の場所を幾つかすぎ、9時少し過ぎに塔塔加登山口への道の分岐に着いた。対岸の阿里山の山並みがくっきり見える。

玉山管理處、ここで入山許可書をチェック。背後は玉山公園ビジターセンタ
塔塔加登山口へは、まだ距離がある。まず、分岐から数百メートルのところにある、玉山管理事務所(警察派出所)にて身分証明書を提出し入山許可書のチェックをする。玉山は、日本の富士山のように外国人登山客も多い。最近は日本人登山客も多いようだ。ここから登山口までは、シャトルサービスがある。往復でNT$200を支払い、ミニバンに乗って登山口に行く。

塔塔加登山口から望む風景、対岸は玉山南峰から南玉山への尾根、右遠くに關山のピークが望める
登山口の石碑
数分の乗車で塔塔加登山口に到着する。去年訪れた時は、出発時は夜明け前、また戻ってきた時は日暮れ前だが霧の中で、何も見えなかった。今日は、壮大な景色が広がっている。左に玉山前峰からの尾根 、そして谷を挟んだ向こうには、雪をかぶった南峰とそれから南玉山へ登るノコギリ状の尾根が望める。前峰の山腹には、これから歩く登山道が横切って行く。右(南)のほうには、百岳の一つである關山の尖った青いピークが手前の山々からのぞいている。
塔塔加登山口を振返る:麟趾山への登山道と下っていく楠溪林道

0.5kmごとに現れるキロポスト
9時50分過ぎ出発する。排雲山荘までは8.5kmの道のりだ。標高差は約800m、ゆっくりとした登りである。概ねなだらかな坂が続くが、三ヶ所ほど大きく高度をかせぐ場所がある。快晴のもと、とてもよい山道歩きは、爽快だ。歩くにつれ、登山口が下に小さくなっていく。登山口鞍部から反対に、麟芷山,鹿林山へ登っていく登山道も判別できる。10分ほどで、最初の桟道がある。この山道は、国を代表する玉山の主要登山道なので、整備状態がとてもよい。全部で88箇所の桟道が掛かっている。0.5kmキロポストを過ぎ、はじめの急坂が現れる。10分ほどの登りでまた緩やかな坂になる。高い木々のないこの道からは、谷側に壮大な景色が展開している。山は高く、谷は深い。このような景色は、高山ならではのものである。少しゆるやかな下りになり、10時43分歩き始めて約50分で孟祿亭につく。あずま屋があり、休憩する。警察官が二人、入山してくる登山者の入山許可書をチェックしている。

孟祿亭から前峰分岐の間から見る風景、西峰のわきに主峰の右肩がのぞいている
多くある桟道を渡っていく
鉄杉原生林を抜けていく
旗山溪の谷が深い、左岸は南多摩山、右岸は鹿林山と麟芷山
玉山前峰が遠くになってきた
2.5kmキロポストをすぎ10分ほどで、前峰登山口へ到着する。数名の登山客が休憩している。3kmキロポストを過ぎ、山ひだをまわりこむ。鉄製の桟道が掛かっている。このような大きく重い桟道は、ヘリコプターで運んだのだろう。他にも3箇所あるが、いかにこの歩道整備に費用を費やしているか、判るものだ。3.5kmキロポストあたりからは、鉄杉樹の原生林が始まる。林を抜け、再び草原の道になる。振り返れば、前峰がすでに同じぐらいの高さに見える。このあたりが、排雲山荘への道のりの中間地点だ。土砂に押し流された桟道部分は、あたらに石を積んでまいている。4.5kmキロポストを過ぎるあたりから、立ち枯れた幹が目立ち始める。白木林に入ってきた。排雲93号という住所もついている、コンポストタイプのお手洗いへの分岐を通り過ぎ、まもなく5kmキロポストを見ると、西峰下山屋に着く。ここは、展望台となっている屋根着休憩所だ。時刻は12時35分、休憩し昼食を取る。昼食は、昨日配布されたパン類である。

西峰下山屋から望む玉山から南玉山への稜線
まるまる太った金翼白眉
展望台から眺める対岸は、主峰から南峰、さらに南玉山へと連なる峰々だ。朝方の晴天の天気は変わり、雲が広がっている。雪が被った主峰のピークはガスの中で見えない。谷もだいぶ山に迫り、落差の大きい岩壁が目立つ。金翼白眉鳥が三匹展望台わきの木の枝や、床にやってきている。ここで餌をもらうせいだろう、まるまる太っている。危害を加える人がいないようで、人を恐れない。ただ、壁に取り付けられた注意書きにあるように、餌をやるべきではないだろう。30分ほどの休憩後、再び排雲山荘を目指す。残りは約3.5kmだ。

原生林の中を行く桟道
排雲山荘まで残りは2kmだ
緩やかな道は急坂になる。2番目の急坂セクションだ。急坂を登りきり、再びゆるい坂になる。原生林がまた現れ、その中を進む。桟橋のかかる原生林の森は、この山道ならではの風景だ。厳しい環境に育つ冷杉は、枝が曲りくねり吹き抜けていく風がいかに強いかを示している。6.5kmキロポストを過ぎ、下り始める。その先は、大峭壁という巨大な一枚岩の場所である。この岩には海の生物の化石が見つかっている。ここは以前海底であったわけだ。造山のダイナミズムを感じる。霧がすこし出てきた。少し休憩する。

大峭壁
霧がだいぶ出てきた
この先、また急な坂が始まる。残りはあと1kmだ。急坂の途中で倒木が道に沿って倒れている。これに腰掛け最後の休憩を取る。石段が現れ、そのすぐ上が排雲山荘だ。15時50分、休憩も含め6時間の歩きで到着した。周辺は、濃霧で包まれている。大勢の登山者が、すでに山荘に入っていた。ガイドも入れて9人の我々のグループは、二階のひと部屋に入り二段になっている宿泊台に、それぞれ自分のスペースを確保する。まだ、新しいので設備の状態もよい。

霧の中の排雲山荘
食事は17時からだ。一階入口わきの食堂ホールで食事が始まる。到着時は電灯は消えていたが、食事時間帯は19時まで電灯が灯る。今日の食事はカレーチキンか豚肉の料理だ。韓国人登山者がかなり多い。十数名はいるようだ。日本人登山者は、今日は我々四人だけのようだ。外は冷たい雨が降り出した。離れのトイレに行くのが厄介だ。ガイドのLさんが持ってきたウィスキーをいただき談笑する。19時過ぎ二階の部屋に戻る。寝袋は、旅行社のポーターが担いでやってきたものだ。天気予報では、明日は東北風寒波のため、悪くなるという。奇蹟を念じて床に着く。

山荘食事ホールの様子
寝室の様子
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雨の朝
25日朝2時頃、山荘は騒がしくなる。主峰頂上で日の出を見るべく、暗いうちに出発するためだ。ところが、外は大雨だ。ガイドのLさんは、これでは頂上へ登るのは無理ということだ。雪がある場合は、山登りの決まりではそれ用の装備、アイゼン、ピッケルそしてヘルメットが要求される。それらが無いので、今日は登頂は諦めるしかない。今年は、例年よりも冬の訪れが早いそうだ。

鉄製桟道を下る


本来は、早朝出発に合わせて3時に朝食になるが、今日はそれが6時になった。饅頭やおかゆの朝食である。7時半、雨具をつけ下り始める。メンバーの一人Sさんは、高山病のためだろう、頭が痛そうだ。自分も、昨日はあまり良く寝ていない。30分ほど下ると、雨もほとんど降らなくなった。雨具を取る。出発から50分ほどで大峭壁を通り過ぎる。原生林はガスのなかで、幻想的な景色だ。9時40分、西峰下山屋へ着く。霧で対岸は何も見えない。

霧の中の原生林
ところどころ、霧がはれて周囲や谷の下のほうが望める。しかし、山頂は霧の中のままだ。前峰への分岐を過ぎる頃からは、道はそこそこ乾いている。10時58分、孟祿亭に到着休憩する。出発の時は具合の悪かったSさんは、高度が下がったせいか元気をとりもどしている。西峰下山屋あたりから、登っていく幾つかの登山パーティとすれ違った。明日は天気はまた回復の見込みなので、かれらは登頂できるだろう。

霧がすこし晴れて谷が見える
孟祿亭、山道は残り2km足らずだ
最後の2キロ足らずのセクションを下り、11時42分、塔塔加登山口に戻った。今日は、ガスためほとんど周囲は見えない。下りのシャトルバンが待っている。すぐ乗り込み21号線の分岐へ下る。ここから、また下り東埔山莊(東埔温泉とは別)に行く。ここで、カップ麺の昼食をとり、着替える。昨日の雨のため21号線は土砂崩れが起きて不通ということだったが、その後通行可能になったそうだ。もともとは東埔温泉へ立寄る予定だったが、そのまま21号線を下り、途中水里のレストランで遅い昼食をとり、18時50分台北の出発点へ帰った。

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今回は、何より登頂できなったのは残念だ。高山は、やはり自然条件が厳しいので、こうしたことはあり得る。自分としては、去年登頂でき、なお且つとてもよい天候で頂上からの大パノラマを満喫できたが、排雲登山道からはほとんど景色を見ることができていなかった。今回は、そちらは十分堪能できた。この山道にも慣れた。

昨年主峰登頂時の様子、北方を見る
今回他の三人メンバーは、登頂を果たせなかったので、また行くことになるだろう。その際は、排雲山荘の予約という困難はあるが、主峰だけでなくその他の峰々も一緒に登ることにしたい。経験もできてきたので、次回は自力で行くことも考慮の範囲だ。

頂上から南峰を見る


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