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2013-11-10

2103年11月9日 雙溪橫山 - 雨中の藪こぎ、膝までの沢渡渉の苦労山行

ススキの向こうに横山、頭に霧がかかっている
新北市雙溪区の奥、泰平は東に山を越すと太平洋に面した宜蘭大溪に行ける。泰平を海から隔てている山々が、三分二山、横山や三方向山である。雙溪の虎豹潭から出発して横山を登り、その後三方向山から桃源谷へ抜けるつもりであった。天気予報では、好天が報じられていたが、雙溪に着くと雨である。山頂からは何も見えず、道の状態も雨の中では歩きにくいこともあり、予定を変更し幾つかの古道をへて虎豹潭へ戻った。

西の虎豹潭から反時計周りに歩く
今まで歩いた雙溪泰平の古道群
台湾の東北端は季節風の東北風が吹くと、気温が下がり雨も降る。今回も、かなり強い風が吹いて天候が良くなかった。台北は、日中かなり暑く天気も良かったのとは、対照的だ。今回登った横山の稜線は、海に面しているので、この季節風をまともに受ける場所である。更に北の桃源谷などでは、この風のために高い樹木が育たつことができず、草原が広がっている。

川幅いっぱいに流れる北勢溪、虎豹潭の飛び石橋で対岸に渡る
今回は、YさんとKさんとの3名のパーティだ。台鉄雙溪駅から、虎豹潭へはF811のバスもあるが、1時間ほど待つので今回はタクシーで向かう。費用はNT$400、三人で分割すれば大きな出費ではない。人数があれば、タクシー利用も便利である。8時頃に虎豹潭へ着く。小雨が降っている。支度をして川わきへ下る。水量がとても多い。滔々と流れている。先月初めに訪れた時に比べると、その差は歴然だ。川幅いっぱいに水が流れて、水が少なければ水面に現れる岩がすべて水の下だ。飛び石の橋を越え、対岸に渡る。虎豹潭古道を歩き始める。

竹子山古道の渡渉地点、ここで引き返す
コンクリの道から左に石階段を登り、土の道がはじまる。道は水たまりでぬかっている場所もある。十数分で土地公の石の祠がある分岐に着く。右に竹子山古道が登っていく。この道を登り5分ほどで道沿いに流れている枝沢の岸に来る。ここも水量がとても多い。普段であれば踏んでいける飛び石も水に浸かっている。水深は膝ぐらいまでありそうだ。Yさんは長靴を履いてきているが、それでも足らないぐらいだ。そこで、もう一つの横山への登山道を登ることに変更する。こちらは枝尾根を登っていくので、渡渉の問題はない。虎豹潭古道へ一旦戻り、コンクリの橋を越えて次の分岐へ向かう。ほんの僅か先に右から流れ込む沢のところが、登山道分岐だ。

長い石段を登る



沢沿いに道を進む。とても長い石段が現れる。登りきり、分岐から約5分ぐらのところで、左に尾根上を行く登山道がある。道をそのまま進むと竹子山古道へ続くようだ。こちらを行けば先ほどの渡渉をせずに古道を行けるようだが、このまま左に枝尾根の登山道を登る。雑木林の中を急坂が登っていく。道は、そこそこ歩かれているようで、踏跡もはっきりしている。尾根の形がはっきりしてくる。左に別の尾根が見えるが、霧がまつわりよく見えない。途中小休憩をして10時に稜線に登り着く。虎豹潭古道の分岐から約1時間10分である。海側から風が強く吹いている。

横山登山道、雑木林の中を登る
横山頂上、三角点がある
横山は、尾根を右に少し行ったところにある。竹子山古道からだと、峠から尾根をつたって来ることになるが、ここからだと往復する。ところどころ草深いところもある道を数分登る。横山の頂上(標高714m)に着く。東側は草だけで、晴れていれば展望があるだろうが、今日は濃霧で真っ白だ。風と雨が吹き付ける。三角点基石が中央に埋められている。写真を写した後、そこそこに今登ってきた道をもどる。分岐までもどり、この後どう進むか相談する。とりあえず、稜線を三方向山へ行くことに決める。

草深い道を行く



稜線は風が吹いていくが、樹木があるのでまだ助かる。道は草深く、標識リボンが助けになる。分岐から10分ほどで、前方が草むらになる。道はこの草むらを藪漕ぎしていく必要があるようだ。それでも歩かれているので、方向はつかめる。草むらが終わると、少しくぼんだところにたどり着く。しかしそこから先の道が判らない。ここはちょうど左に枝尾根が派生してくだるところのようで、そちらの方向に行けるようにも見える。10分ほど道を探す。最後に右に登って行くと、標識リボンが見つかった。それを進むと先の草むらに戻ってしまった。そこで、道を戻りゆくと、右に下っていく踏跡がある。稜線道はこちらだ。天候が悪く、方向がつかみにくい。雨で踏跡もあまりはっきりしないので、更に困難度が増す。

十字路分岐の鞍部
下り初めてすぐ、杉の倒木脇を過ぎる
道は稜線の雙溪側を下っていく。そのおかげで、風は当たらない。倒木や刺のある蔦がからみ、とても歩きにくい。11時18分、鞍部の十字路分岐につく。横山頂上から、距離にすれば1kmぐらいだろうが、1時間も掛かっている。このまま三方向山へ行っても展望も無く、尚且つ道の状態も良くないので、稜線歩きはここまでとする。分岐は、右に南側へ下ると石盤寮瀑布を経て、大溪川へ下り大渓へ行けるようだ。ただ、途中の沢の状態や渡渉の様子もわからないので、過去に歩いている山腰古道へ続く左の谷を下り虎豹潭へもどることにする。15時半のF811社区バスまで、まだ4時間あるので十分戻れる。

ほとんど踏跡がない
左にとり下り始める。この道は、下り始めると杉の大木が二、三本倒れて道を塞いでいる。標識リボンを頼りに下る。ほとんど歩かれていない道のようで、雨天で辺りが暗く判りにくいこともあるが、踏跡は殆ど無い。20分ほど下ってくると、沢も水かさを増し渡渉する。その先には、棚田と思われる場所が現れる。以前はここまで村人の生活範囲だったようだ。廃棄された棚田は、草木が生え平な場所がなければ、過去に棚田であったことが判らない。こうした棚田のような場所は、踏跡がはっきりしないと余計方向を見失いやすい。途中、標識リボンが見つからずに、何回か探した。鞍部から約50分ほど下ってくる。石段が現れる。その先には、土地公の祠がぽつんと置かれている。中には神像はなく、見捨てられている。ここは、その昔は泰平の紅壇から大渓へと続く古道だったわけだ。登山者も、このルートはあまり歩くことがないようだ。更にくだり、右からの枝沢に降り、渡渉する。ここはそこそこ水かさがある。沢の左岸を下っていく。棚田の跡を数カ所過ぎる。沢に一度下りる場所では、奥に滝が見える。ほとんど人が来ないこの場所は、まだ自然が多く残されている。

廃棄棚田を進む
土地公の祠
石段道を下る
枝沢の渡渉部分
沢沿いに一度下りる、右岸は棚田跡
主流渡渉部、膝までの水深を渡る
沢沿いに進み、主流との合流点から少し上流側に進む。そこで今度は主流の渡渉点が現れる。ここも水量が多く、踏石は水の中だ。靴の中は、いままでの雨の中の歩きですでに濡れている。今更、水に濡れても何の差も無いので、安全な川底を歩く。水は膝までの高さだ。対岸に渡ると、山腰古道に出た。こちらは、多く歩かれているので、今までの古道とは雲泥の差だ。鞍部から下がってきたこの古道は、名付けられていないようだが、とても自然に近い道である。山腰古道を下流側に少し進み、13時10分、また対岸に渡渉して進む虎豹潭古道との分岐で休憩する。稜線分岐から1時間40分ほどかかっている。いままで、ほとんど休憩する場所も無いので、ここではじめて昼食を取る。靴を脱いで、靴下の水を絞る。

ススキの向こうに大平20-1号民家、山腰古道の終點だ
必死に吠えるプードル番犬
20分ほどの休憩後、虎豹潭へ向かう。途中の道は、状態がよいので気楽だ。右岸の道は、ところどころ登って沢から離れるが、概ね平な道だ。13時50分、大平20-1号の民家へ着く。山腰古道はここで終わりだ。プードルの小型番犬が吠えてくる。都会の犬と違い、自然に近い場所では、犬は縄張り意識が強くなるのか、こんな犬でも必死に吠えてくる。道をさらに進み、コンクリ製の樓仔二號橋を越える。ここから、樓仔厝古道を進む。大平21号の民家の前を通り過ぎる。その先にはススキが生えている。ススキの向こうには、午前中に登った横山がまだ少し頭を霧の中に入れたまま控えている。

歩きやすい樓仔厝古道
幅の広い美しい古道
古道は上り坂になり、峠を越えていく。この道もとても状態がよい。14時22分、峠部分を通り過ぎる。下ると、道は左右に分かれる。どちらを経由しても虎豹潭に着くが、沢に近い左の道を取る。道幅が広く、とても美しい古道だ。ススキの中に方家の墓がある。沢が左に現れる。遊楽客が二人沢岸で休んでいる。朝虎豹潭を出発して、はじめて出会う他人だ。今日のルートは、季節の関係もあるだろうが、人気のあるところではないので、山中では誰にも出会わなかった。14時40分、虎豹潭に戻ってきた。15時半のバスには、まだ少し時間があるので、沢沿いでゆっくりと休む。バスに合わせて雙泰產道のバス停に行き、やって来たバスに数名の遊楽客と一緒に乗り雙溪駅に帰った。

沢沿いに歩く

雙溪の泰平は、美しい古道が多く残るところだ。今回は、新たに二つの古道を歩いた。ひとつは、無名の紅壇-石盤寮古道と、もうひとつは樓仔厝古道だ。前者は、ルートを取りにくいこともあるので、明らかに歩く人は少なく、ほとんど廃棄状態に近い。最近藍天隊が歩いたようで、今年9月9日付けの道標が峠部分にあった。途中藍天隊の標識リボンも付けられている。リボンも少ない、消墾嶺古道に比べればまだマシだが、ここはほとんど探検の心構えで入ったほうがよいだろう。今日の歩行距離は9.3km、所要時間6時間40分、登攀累計は605mであった。今回ルートの困難度は、山道はクラス4、体力要求はクラス3だ。まだ、歩いていな古道も残る。登れなかった三方向山も心残りだ。いずれ、また別の古道を経て訪れるつもりだ。

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GPSロケーションデータ付写真

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