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縦走してきた七星山(一番遠くの山)、大屯山(中央の山)と面天山を向天山から見る、右は大屯山西峰 |
陽明山国家公園は台北市からとても近い、それでいて台北市の最高地点である七星山を擁する自然公園だ。国家公園管理の登山道は、石畳が敷かれた最上の道で、道の状態対応にあまり力を取られず、単純に体力だけが歩行の必要条件である。今月下旬に玉山登山を控えているので、一緒に登る予定の仲間と一緒に体力訓練の目的で、また訪れた。
昨年も同じく玉山登山の前に七星山を登っている。今回のルートは、単一ピークではなく、七星山を一番急な苗圃登山道から登ったあと、大屯山を越え、更に面天山を登るという、縦走である。陽明山バス停からのスタートなので、七星山の登攀高度は700mであるが、その後更に二つのピークを越えたので、その二倍以上になっている。訓練の目的は果たせた。
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南東の陽明山バス停から、西の清天宮へ歩く |
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三座の縦走高度プロファイル |
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縦走の出発点人車文道の入口、多くの野良犬がいる |
MRT劍潭駅に7時に集合し、紅5番バスで陽明山バス停に向かう。同行者はYさんとWさんの二人だ。休日の紅5番バスは、中國文化大学の学生にかわり登山者が中心だ。約30分の乗車で、標高約430mの陽明山バス停に到着する。支度を済ませ、陽金人車分道の入口へ向かう。人車分道とは、ある距離を置いて車道に並行した歩道で、車の往来に注意せず歩くことができる道だ。入口のトンネルを過ぎ、階段を上り詰める。すると、道は塞がれている。歩道の工事中が進行中だ。入口には特に表示もなく面食らう。工事のわきを進み、工事区間を過ぎる。石畳の道を進み、陽明山ビジターセンターを通り過ぎる。天候は回復し、朝陽の中でビジターセンターの後方に七星山がそびえている。
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ビジターセンターの屋根越しに七星山がそびえる |
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苗圃登山口 |
人車分道をさらに少し行く。8時15分、苗圃登山步道の入口に着く。これから登りの始まりだ。登山客も多い。中にはかなりの年配者もいる。下りてくる登山者も多い。登山口から約20分ほどで、左に
金露天宮への道が分岐する。踏跡レベルなので、経験者のみが歩く道だ。注意しないと分岐に気づかないだろう。更に20分ほどの登りで、冷水坑への分岐を過ぎる。左に取って進み、七星公園への分岐で休憩する。8時45分、登山口から約1.3km、30分の登りだ。このあとは、急坂が続くので備える。あずま屋の中の寒暖計は、13度を指している。今日は、今秋一番の寒さだそうだ。幸いなことに、この寒波は水分を含まず、気温は低いが天気は晴れだ。あずま屋で先に休んでいたおばあさんが、韓国語で挨拶してきた。韓国人グループと間違えたようだ。
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七星公園への分岐、あずま屋の中の寒暖計は13度を示している |
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急坂の石段が続く |
ここから坂は急になる。つづら折の急勾配がずっと続く。ひたすら登り、標高差約200mをかせぐ。すでに登頂を終えた登山者たちとすれ違う。中には上半身ハダカ、半ズボンに裸足の年配者も下りてくる。樹木の中から熊笹の中を進むようになると、登りもそろそろ終わりだ。強い風が吹いているのに気づく。全身汗をかいているが、この風は寒い。上着を着ける。七星山東峰への道の分岐を通り過ぎ、9時27分、主峰頂上(標高1120m)に着く。登山口から2.4km、約1時間10分の登攀である。
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急坂が終わり、前方に七星山主峰が見えた。風が強い |
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七星山頂上:これから歩く大屯山が、その左方に面天山が望める |
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小油坑への下り坂 |
好天下の頂上は、大勢の登山客が来ている。主峰のポストわきで記念写真を取るには、待たなければならない。今日の最終目的地である面天山が、大きな山容の大屯山の左肩に見えている。かなり遠くだ。先も長いし、風も強いので写真を写したあと、小油坑へ向けて下り始める。熊笹の中へ続く凱達格蘭遺跡への道や、南峰への道の分岐を過ぎる。今回は、国家公園の道だけを歩く予定だ。中腹にある展望台に少し立ち寄る。今日は、晴れているが遠くのほうはもうひとつ霞んでいる。竹子湖や、その先北投の市街もあまり、はっきり見えない。
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小油坑への下り道、硫黄の吹出し口を通り過ぎる。前方は小観音山 |
こちら側の登山道も登山者が多い。サンダル履きで登る人もいる。天気のよいなか、良好な登山道であれば別に問題はない。硫黄の吹き出し口わきを下り、
小観音山の手前に小油坑の駐車場が見えてくる。10時19分、駐車場わきにたどり着く。小油坑ビジターセンターの前で、少し休憩し、腹ごしらえをする。ここも大勢の遊楽客で賑わっている。
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小油坑から七星山山頂を見上げる、手前の温度表示は13度 |
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人車分道工事施工中の部分、中央の木製橋に注意 |
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去年ほぼ同じ位置から写した人車分道の橋 |
熊笹の中の道を行き、少し下って陽金公路わきの駐車場へ降りる。人車分道が左に下って行くが、ここからは車道を歩く。右に百拉卡公路が分岐し、そのすぐ先に百拉卡人車文道入口がある。ここは
昨年三月歩いた以来だ。入口には黄色のテープが通行止めのように引いてあるが、何の説明もない。そこでそのまま道を進んでみる。すると、倒木や落石などが道にあり、整備がされていない様子だ。特に大きな障害もないので、そのまま進む。数分歩いてくると、前方の木製橋の上方に鉄骨の簡易橋がかかっていて、道は塞がれ途切れている。ここは、土砂崩れでもしてその復旧工事中なのだろうか。工事のわきを進めそうなので、強引に行ってみる。ぬかったりしているが、なんとか通り過ぎ上の車道にでた。そこは、ちょうど展望台部分だ。もともと道の手すりだった鉄パイプやロープが工事用の土砂に押しつぶされている。反対側から歩いてくれば、様子がわかりここを下ることはないだろうが、先ほどの歩道入口に何の案内も無いのは不親切だ。国家公園管理下の道としては、随分お粗末な状態だと思う。少なくとも、工事が施工中であり、車道を迂回すべきというような説明板があってしかるべきだ。
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展望台-竹子湖分岐間の人車分道上の倒木 |
車道に並行する展望台から先は、人車分道がまた続く。ここは歩行者が少ないせいだろうが、石畳には苔が多い。倒木が道を塞いでる。これも整備状態が悪い。どうせ歩く人が少ないと、たかをくくっているのだろうか。左に竹子湖へくだる道の分岐を過ぎる。ここから先は、
今年六月に歩いたところだ。歩行者もある程度あるようで、それまでの人車分道に比べると整備度はよい。11時17分、鞍部気象測候所前に着く。少しハプニングもあったが、約30分の人車分道歩きである。その少し先の大屯山登山口のベンチで少し休憩する。
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小観音山を背後に大屯山へ一直線の山道を登る |
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大屯山観測所の石碑 |
標高1092mの大屯山へは、標高差約270mである。熊笹の中の道が約400mほど続き、それが切れてススキの中の道となる。展望が開けてくる。ここからは一直線に登る山道だ。登山口から十数分登る。右に車道が近づき、あずま屋がある。振り返れば対岸に小觀音山がある。過去二度訪れているが、いずれも霧や雨で展望がなかった。いずれ天気の良い時に行き、小觀音山から大屯山を眺めてみたいものだ。子ども連れの遊楽客を追い越し、さらに登っていく。また熊笹の中の道が続き、それが終わり11時51分、大屯山観測所という石碑が埋められている峠部に着く。ここも風が強く吹き抜けていく。
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ススキの大屯山から面天山を望む |
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大屯山を下る |
軍事施設のわきを行く道を進み、車道に降りる。その先展望台が現れる。百拉卡公路から上がってくる車道があるので、ここは車でやってくる遊楽客が多い。車道終點の展望台には、大勢の遊楽客が大声で談笑し場違いの感じだ。大屯山は、この時期ススキに覆われてすっかり秋の様相だ。目的地面天山が近くなってきたが、まだまだ距離がある。早々に大屯坪に向けて道を下る。急坂が続く。同行のWさんは左膝が不調のようだ。10分ほど下ったベンチのところで、休憩し昼食を取る。風も当たらず、ひなたなので快適な休憩場所だ。
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ススキの間から大屯山を見上げる |
腹ごしらえがすみ、また続けて下る。草の中から森に入ると、左に大屯山南峰への道が分岐する。陽明山山系縦走ということであれば、南峰や西峰を経ていくべきなのだろうが、今回は良い道で体力訓練というのが、目的なので南峰へはいかずそのまま下っていく。大屯坪のあずま屋を過ぎると、道は平坦になる。右を見上げると大屯山が高い。両わきのススキの穂が青空に眩しい。左に西峰と南峰の分岐への道を分け、道は少し登りになる。峠を越えて真っ直ぐな下り坂を行く。13時10分、大屯山の展望台から約1時間で二子坪へやってきた。ここも大勢の遊楽客が思い思いにくつろいでいる。谷間から見える面天山はだいぶ近づいた。
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二子坪、池には蓮の花。背後は大屯山 |
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二子坪から面天山を望む、だいぶ近づいた |
Wさんは、下りの時に左ひざが痛いという。大事を取って、ここで中断することにした。二子坪歩道を行き、大屯公園のバス停からバスで下山するので、ここで別れる。Yさんと二人で面天山を目指す。ここから道は二つある。ひとつは、幅の広い道、もう一つが石畳の登山道である。いずれも先で合流するので、どちらを行っても面天山登山口に着く。先に幅広道を下り、途中でクロスするところから登山道を歩く。沢を新設の橋で越え、登り返してもう一つの道と合流し、その先少しで登山口に来る。13時35分、今日の最後の登りが始まる。
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面天山登山口への登山道、多人数パーティとすれ違う |
面天山登山道は、等高線の混んだ高度差100数十メートルの山腹をツヅラ折で登っていく。十数分で森を抜け、草の道になる。背後に大屯山や西峰が見えるようになる。13時55分、大きな電波反射板が現れ面天山頂上(標高979m)に到着する。今日の目的地だ。のこりは、清天宮へ下るだけだ。展望台に上がる。二つの反射板の間に、七星山が遠くに望める。目を北側に向けると、麓の淡水や三芝方向の斜面が広がっている。残念なことに、ここでも遠くはぼんやりして海ははっきりしない。西側には天元宮から登ってくる
山子頂古道のある尾根が向天池山へと続いている。北東側は、枕頭山や
菜公坑山が望める。
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大きな反射板の据え付けられた面天山頂上 |
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面天山頂上から金山方向を望む。右に枕頭山や菜公坑山、小觀音山西峰が望める |
下りは、向天山を経ていく。一度下り、また登り返す。草原の斜面からは、今日歩いた七星山、大屯山、そしてすぐ近くに面天山の三座がすべて見える。朝、七星山から望んだ面天山は遠かったが、今は七星山が遠くにある。向天山から向天池へ下る。台風の後など水があったようだが、今はまた乾いて池には水はない。二子坪辺りからやってくる遊楽客もいるようで、そこここでくつろいでいる。周囲を山に囲まれ、風は吹いていない。
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水のない向天池、背後は向天池山 |
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文字が削り取られた太子碑 |
清天宮へは、左へ道を取る。山腹をトラバースしていき、15分ほどで面天坪への道の分岐に来る。右にとり先には、昭和天皇がまだ皇太子の1923年に、台湾を訪問した記念の
太子碑がある。残念なことに、戦後文字は削り取られて判読できない。分岐から10分足らずで、右に清天宮へ左に面天坪への分岐に来る。右に清天宮へ下る。この道も多く歩かれているようで、状態はよい。だいぶ下がってくると、近くの畑で採れた野菜などを道端で販売している。15時27分、登山口に降り立つ。面天山から約1時間20分の下りである。清天宮に着いて、まもなく小6バスがやって来た。20分ほどの乗車で、MRT北投駅に到着した。
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縦走終點、清天宮登山口 |
百拉卡人車分道はほぼ平な道だが、それを除くとすべて山道の合計約16kmの道のりであった。主要三座の登攀で累計は1480mである。休憩を含む行動時間は約7時間50分で、平均時速は2kmとなる。山道の速度としては、良い線だ。もちろんクラス1の登山路であることも関係している。今回の同行者は、若く運動もしているので、筆者も全力で歩いた。疲れることは疲れたが、幸い筋肉痛などはない。今回歩いた陽明山国家公園管理下の道は、百拉卡人車分道を除いて、とてもよい道である。クラス1だ。ただし、このようなルートを一日で歩くことは、普段運動していない人にはお薦めしない。一日で歩く場合は、体力要求度は4である。
曽根さん、いつも山登り記録ありがとうございます。とても参考になりました。
返信削除今月、玉山にいかれのですか。いつでしょうか。日程さえ合えばぜひいきたいですが、申し込みはまだ大丈夫でしょうか。
キュウ
ニッキーさん、今回の玉山は今週末23日に行きます。今年は、排雲山荘がオープンしましたが、希望者が多く抽選になります。我々も何回かのトライのあとの、あたりました。以前、参加されるかどうかお尋ねしたFaceboo上のTaipei Hiker Clubで参加を募り、結局自分も含めて5名が行きます。
返信削除良かったら、Taipei Hiker Clubに参加されませんか。毎週、山行活動の募集お知らせしています。