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三芝三板橋から望む、左が竿尾崙、右が小觀音山(北北西稜) |
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北北西稜から竿尾崙の尾根と、その右に小觀音山主稜線(左が菜頭崙)を見る(7/20撮影) |
一週間前に小觀音山西峰に登り、北北西稜を下った。北北西稜は、かなり長い尾根だが、約200mぐらいの深さの大屯溪を挟んだ対岸に長く延びる竿尾崙の尾根があった。北北西稜と竿尾崙尾根は、小觀音山の主要枝尾根でそれぞれに登山道がある。小觀音山西峰からの景色に感動して、今回の山行となった。つまりは、それだけ魅力のあるルートである。最近は、陽明山系の山登りが多いが、その流れもある。夏は、あまり長く歩く気がしない。そのためアクセスも簡単なところを好んでいる。
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大屯溪の沢越え |
台湾は軍事的な理由から、山登りを制限している地域がある。陽明山系では、小觀音山から北に延びる尾根とその先端の竹子山である。ここには重要なレーダー通信設備基地があるということで、アクセスできない。基地まで自動車道路が通じているが、当然一般には通行禁止だ。小觀音山主峰にも、実は同じように通信基地がある。以前は近くを通行するのが大変だったようだが、最近は別ルートがあるようだ。今回の菜頭崙は小觀音山前峰とも呼ばれ、西峰まで続く小觀音山連峰の最北端のピークである。ここから先は、竹子山へ尾根が続いているが、上記の理由で尾根上の縦走路はない。西側に枝尾根やその間の谷を行く古道はある。
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西の北新荘からぐるっと右回りで回遊する |
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歩行高度プロファイル |
今回は、三芝北新荘から三板橋を通り、竿尾崙古道からその先の尾根を登って、小觀音山の主稜線に上がる。少し北へ菜頭崙を往復、南に下がる。もともとは小觀音山主峰も往復するつもりだったが、ガスってしまい何も見えないので、行かずに大屯溪古道を下った。下りきると同じ三板橋に出て、北新荘へ戻った。所謂O型ルートといわれる回遊型のコースを歩いた。
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陽明山山系の北西側になる |
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産業道路からみる竿尾崙 |
MRT淡水駅で、同行者のZさんとLさんと集合する。7時40分発の875番バスで、北新荘へ向かう。30分ほどで到着する。支度をすませ出発する。晴天で、今日は暑くなりそうだ。三板橋古道の山門をくぐり、産業道路を歩き始める。進行方向に小觀音山の北北西稜とその左に竿尾崙が、遠くに控えている。登りが続いた後、少しの上下を繰り返して道は進む。8時32分、三板橋に着く。竿尾崙がだいぶ高く見え、これからの苦労が予想できる。
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森の中の分岐部 |
三板橋から更に産業道路を進む。右に
大屯溪古道への道を分け、その先右に曲がりこんだところが竿尾崙の登山口である。8時40分、この道を歩き始める。すぐに土の道になり、森の中を登っていく。入口から10分程度のところで、右に石積みの壁がある。資料では炭焼窯の跡だそうだ。その少し先で、道は左右に分岐する。どちらの道を進んでも竿尾崙へ通じる。右の道をとり進む。朝陽が森のなかに差し込んでいる。9時7分、右に道が分岐する。大屯溪古道との連絡道だ。分岐から少し急登すると別の分岐である。先ほど別れた道がここで合流する。歩き始め約1時間、少し休憩する。
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補助ロープの急坂を登る |
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大石の間を登る |
巾のある尾根の森を登っていく。20分ほどで、坂道は勾配がきつくなる。補助ロープがある。先週の台風で折れた枝が道を塞ぐ。急坂の倒木は、避けて脇の歩きにくいところを進まなければならず辛い。さらに10分ほど行くと、大きな石がごろごろしている中を登る。9時55分、二回目の休憩をとる。昨日遅くまで飲んだのがたたって、今日は登りが辛い。休憩後、登りはまだ続く。そよ風が吹いていのが幸いだ。10分ほどで、また大石の間を登る。登りがゆるくなってくる。そのうち頂上が見えてきた。10時20分、草の頂上に飛び出した。
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竿尾崙山頂からの眺め、前方は小觀音山、レーダーがあるのが主峰、一番左が菜頭崙、右は西峰・北竹子山 |
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海側と竹子山方向の展望 |
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北北西稜上の登山者二人(赤線の円の中) |
標高860mの竿尾崙頂上は、基石や名板もない。幸い草が高くなく、石の上にのると周囲がよく見える。進む方向には、ピークが二つほどあり、その先屏風のような主稜線に連なっている。振り返れば、海と広い裾野がある。小觀音山が火山であり、その広い裾野が広がっているのが判る。左には、竹子山がある。雲が低くなってきて、竹子山は見え隠れしている。右は、谷を挟んで先週下った北北西稜の長い尾根が下がっていく。尾根上の同じような高さにある、小さなコブ状のピークに、黄色の点が見える。登山者か。その時は、動いていなかったので、結局登山者ではないという結論であったが、実は午後大屯溪古道で出会うことになる二人であった。
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山腹のトラバース、補助ロープが張ってある |
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山腹を進む |
尾根上の道は、予想とは違い稜線の起伏を追うのではなく、稜線から少し下の山腹を行く道である。一度左側を少し行くのを除いて、右側山腹を進む。道幅が狭いところもあるが、他の山でも同様なところは多々あり、別に危険ではない。岩の下をゆく場所には補助ロープも張ってある。約30分ほどの山腹を歩く。その先主稜線に向かっての登りが始まるので、少し休憩する。
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矢竹のトンネル |
登り始め数分で矢竹が現れ、次第に密度が高くなる。道は矢竹のトンネルを登っていく。人ひとり分の巾に刈られているので、藪こぎの苦労は少ない。大部分は人の背丈より高いが、一部景色が見える。振り返ると竿尾崙が遠い。残念なことに、霧がかかり始め遠くははっきりしない。11時37分、主稜線の分岐に着く。約20分の登りである。霧がかかってきている。晴れていれば暑いが、太陽が遮られてそれほど暑くない。時間が早いが食事休憩をとる。
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矢竹の登りで振り返る、竿尾崙が見える |
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主稜線分岐部、矢竹が綺麗に刈られている |
休憩後、先に菜頭崙を往復する。12時10分、菜頭崙へ向かう。一度下り軽く登り返すと菜頭崙(標高1039m)頂上である。広く矢竹が刈取られた頂上には基石があり、左に五腳松古道方向への道が、矢竹の間に下っていく。頂上から折り返す時、来るときにも出会った単独登山者が休んでおり言葉を交わす。すると、矢竹の刈り取りは彼がやっていることが判った。それも鋏で一本一本切っているとのこと。主稜線上の矢竹は刈られて、立派な山道が出現しているが、こうしたボランティのおかげである。頭がさがる。
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菜頭崙からやって来た道を見る、矢竹が刈られた広い山道 |
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稜線を行く、霧で視界は限られる |
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大屯溪古道の分岐 |
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矢竹の中を下る |
竿尾崙古道との分岐を過ぎ、主稜線上を行く。一度下り登り返す。左側の笹が刈られて、晴れていれば金山方向の景色が望めるはずだが、霧の中だ。12時35分、大屯溪古道との分岐に着く。直進すれば小觀音山主峰に着く。往復してもこの霧では景色が望めない。主峰は次回行くことにし、右に下り始める。急坂が矢竹の中を下っていく。両わきの矢竹を掴み、後ずさりのように下ると按配がよい。20分ほどで矢竹を抜け、樹林の下りになる。登ってくる登山グループをすれ違う。更に下ると、同じグループの後半メンバーとすれ違う。かなり遅れている。勾配が緩くなり、13時15分西峰方向へ登っていく道との分岐に着く。その先更に下り、沢の二俣部分で長い休憩をとる。
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二俣休憩場所 |
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Frankさん(左から二番目)と記念撮影 |
さきほど分岐部分で出会った、二人の登山者も二俣で休んでいる。バーナーを取り出してお茶を沸かしている。そのお茶をふるまってくれた。話をすると、「
陽明山腳下的法蘭克」というブログを書いているFrank Laiさんとその奥さんとのこと。筆者も時々、アクセスし参考にさせてもらっているブログである。北北西稜の山道を登り、その後下ってきたということである。矢竹の長く続く北北西稜の登りはさぞかし大変だったと思う。更に確認すると、我々が竿尾崙山頂で対岸のピーク上で登山者だと思ったのは、実に彼ら二人であった。まさに奇遇である。
約30分ほど冷たい沢水の恵みを味わい、14時に二人に別れを告げ古道を下り始める。大屯溪古道は、以前二回登ってきている。下るのは今回が初めてだ。大屯溪古道も沢沿いのこの部分は渡渉が数回あるが、それほどの急坂でなく道の状態もよい。下るのも比較的楽だ。沢越えも、水量は多くなく、踏み石を踏んで簡単に渡れる。すべて補助ロープが渡してあるのでなお楽である。
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冷たい沢水の流れる大屯溪 |
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渡渉部分にはロープが張ってある |
木漏れ日が木々の間を通して沢や道をまだらに照らしている。強い太陽の当たる部分と、暗い日陰のコントラストは、まさに夏の森である。沢沿いでくつろいでる登山者たちと出会う。谷の巾が広くなる。沢登りをしているグループが、沢水の中を進んでいる。15時、最後の渡渉部分にくる。ここで最後の休憩をとり、沢水の冷たさに再度感激する。
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産業道路から見る、中央は小觀音山北北西稜、右は菜公坑山、左遠くに主峰が望める |
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近道を三板橋へ下る |
沢を渡り数分で、産業道路の末端部分に来る。車が数台停めてある。下って行くと、レジャー客達が沢に降りて水遊びをしている。今は夏の真っ盛りである。民家を左に見て、更に下る。振り返れば、小觀音山の北北西稜を真ん中に、右に
菜公坑山が、左奥は小觀音山主峰のレーダーが見える。ここも以前通過しているが、遠くまで見えるの初めてだ。朝登って行った産業道路にでる。すぐ右に下りる道がある。これはちょうど近道となっており、下るとすぐ三板橋に着いた。三板橋も遊楽客でいっぱいだ。少し進み、振り返る。竿尾崙が遠くにある。朝と同じ風景だが、すでに登ってきた。15時58分、北新荘バス停に到着、大勢の登山客がバスを待っている。数分待つと875番バスがやって来た。
歩行距離11.4km、休憩込み行動時間7時間50分、登攀累計は1184mである。今回は休憩時間が長いので、実質の歩行時間は6時間10分ぐらである。夏の山は、むやみに歩くより、余裕をもって楽しんだほうがよい。困難度は、ルートはクラス3~4程度、体力要求度はクラス4である。
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主稜線上から竿尾崙の尾根を眺める |