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2014-07-21

2014年7月20日 陽明山系小觀音山西峰 - 大パノラマを眺める

北新莊付近から小觀音山と左に下る北北西稜を望む
通信施設の建つ小觀音山連峰と大屯溪の谷間
台湾は今が夏の真っ盛りだ。台北市内は気温が36度を越える日が続いている。このような天気では、長い登りの山はとても辛い。しかし、天気は良いので午前中に主要部分を歩くような山登りは、景色のよい山や沢に近い道の場合、良いチャンスである。小觀音山は自宅近くの新生南路から北を見た時、その向こうに控えている山である。今までに二回登ったが、二回とも天気に恵まれず、景色を見ることができなかった。そこで、天気の良い日を選んで、登りが少ない百拉卡公路の鞍部バス停から登り、北北西に延びる稜線道を下った。

南側の鞍部バス停から山を越えて北新荘へ
下り中心の歩き
多くの登山客が待つ劍潭バス停、紅5番で陽明山に向かう
小觀音山は、火山で形成された山でピークが幾つかある細長い山である。以前歩いた大屯溪古道の谷は、その火口にあたるそうだ。航空機ガイド用も含め民間通信設備が並んでいる部分を境に、北は主峰、西側は西峰がある。西峰からは、主峰方向への主稜線と、北北西に延びる稜線、西に延びる稜線がある。山道は、この稜線上にある。それ以外にも大屯溪古道へ下る道もある。今回の歩きは、主稜線をたどって西峰へ行き、その更に西にある北竹子山(1056峰)から北北西稜線を下る。季節風が吹きぬけ樹木が育たないこの山は、矢竹がびっしり表面を覆っている。北北西稜線も標高700数十メートルぐらいまでは矢竹や草が繁茂し、藪こぎしなければならない。

通信設備の立ち並ぶ小觀音山に向けて戰備道を登る
道脇に登山口がある、黄色の警告板のところ
今回の登山もZさんが同行する。7時半にMRT劍潭駅で落ちあい、紅5番バスで陽明山バスターミナルに向かう。休祭日の陽明山方面バスは、長蛇の列である。紅5番は本数が多いが、小15番バスは小型バスで長蛇の列、大変だ。立席で乗車30分、8時過ぎに陽明山ターミナルに到着、ここで108番バスに乗り換える。こちらも行列ができて待っている。8時24分頃に108番バスがやって来て乗車。こちらも約30分足らずで、8時42分目的地の鞍部バス停に到着する。

熊笹の道から対岸に大屯山、右の菜公坑山との間に淡水が望める
矢竹の道を登る、背後に台北の街
このバス停では我々二人のみが下車だ。ここから小觀音山へ向けて登っていく戰備道を登る。登るにつれて、周囲の景色が見えるようになる。今日は快晴青空のもと、対面の大屯山が次第に全容が見えるようになる。前に来た時はガスの中でわからなかった。更に登ると遠く淡水の河口付近も見えるようになってくる。小觀音山上の通信設備が近づいてくる。9時9分、登山口に着く。ここから、土の道を登る。杉林を通り過ぎると、矢竹の道が始まる。矢竹の上から遠くが覗ける場所に来る。先ほどの戰備道からよりも更に広く見える。空が晴れ渡り、これから先もっと開けた場所からの展望が待ち遠しい。

左の小觀音山、七星山から大屯山への大パノラマ、間に台北の街が見える。大屯山の右には面天山
台北の街と背後の山々をクローズアップ
主稜線を西峰、北竹子山へ進む
道は、そのうち稜線上を進む。熊笹の間にある岩に登ると展望ができる。通信施設が載っている小觀音山の連峰がある。そこから急に落ちていく大屯溪の谷間もはっきり見える。前回見えなかった雄大な景色がそこにある。目を反対側に向けると、台北の街が広がっている。その背後には青い山々が重なりあってずっと続いている。手前の標高数百メートルの山々から、その背後の2000m級の山、更に南には雪山連峰の超3000mの山々も見える。大屯山の西には面天山、菜公坑山などの山とその麓が海に向けて広がっている。小觀音山は実に素晴らしい展望台である。

菜公坑山と淡水方向を望む
この道行き止まりの柱、この方向に進む
9時35分、小觀音山西峰に着く。基石がある。以前あった山名板はなくなっている。稜線をさらに進む。草は人の背丈よりも高いが、道筋はしっかりしている。ここは人気コースである。岩場を越えて、少し登り9時48分、大石の北竹子山(1056峰)に着く。右に大屯溪古道が分岐する。大屯溪古道を登ってくると、ここで雄大な景色に遭遇できる。以前見れなかった景色は、そこにある。天気は快晴、太陽は燦々と輝いているが、風が吹いているので暑く感じない。前方から登山グループがやってくる。駐車場から西稜の道を登ってきたそうだ。身軽な装備で、道案内役の登山者を除いて、他のメンバーは経験はあまりなさそうだ。しかし、夏のこの時期天気が良ければ、問題も無いだろう。

1056峰からやって来た主稜線を振り返る
草が密生する北北西稜、遠くにコブ上のピーク
この道は不通(此路不通)と書かれている木柱があるが、そのまま進む。チョットした岩を乗り越えて今日の最終登山点に着く。地図上では小觀音山西峰と記されているところだ。勿論実際とは違うが。ここから道は左右に分岐する。左は駐車場へ続く西稜の道、右はこれから下る北北西稜の道である。下方を覗くと草がびっしり茂った稜線が降りていく。道は草に隠れて全く見えない。尾根の降りていった先には、三芝の台地が海へ向かって広がっている。10時6分、この道を下り始める。

下り途中から小觀音山北方と主峰方向を見る
矢竹を藪こぎして下る
先ほどの主稜線に比べると、こちらは道は歩かれている程度が低い。それでも草の中の踏跡はしっかりしている。草で足もとは見えないので、ところどころ草をかき分けて道筋を探す必要がある。下るに連れ、大屯溪対岸の竿尾崙の尾根が同じような高さになってくる。こちらも稜線上を行く道がある。これも上半分は、こちらと同じような草に覆われている。いずれは歩いてみるつもりだ。尾根道は、コンスタントな下りが続く。ところどころに岩もあり、足もとには注意が必要だ。矢竹の部分は、体の巾分は刈られているので助かる。それほどの人気コースでないにしても、それなりにコンスタントに歩かれているので、自然に戻ってしまうことはないようだ。

帽子にのった大きな毛虫



10時40分過ぎ、約30分ほど下ってくる。左の菜公坑山が同じような高さに見える。標高は800数十メートルで、約200mほど下ってきた。反対側の竿尾崙も同様の高さだ。その後ろには竹子山があるが、頂上はここだけ朝からずっと霧に隠れている。帽子のつばから大きな毛虫がぶら下がっている。帽子を脱いでみると、果たして数センチの長さの毛虫が載っかっている。藪こぎをしている間に着いたのだろう。取ろうとしてもなかなか離れない。

前方のピークを越えて進む、左は菜公坑山
頂上は遠くなった
熊笹が少なくなり樹林に入る
更に10分ほど下る。上部から稜線上のコブのように見えていた小ピークの下に来る。岩が露出した上を越えていく。最後は左側に巻いて下る。その下で熊笹が少なくなり、11時頃樹木の中へと入る。約1時間の藪こぎ下りである。もしこの道を上りにとったら、かなりきついだろう。風もない夏に登ると、それこそ急坂の藪こぎだけでなく、暑さにまいるだろう。11時15分、風が吹き抜けていく稜線上の木陰で休憩をとる。

稜線上の分岐部




10分ほど休憩後下り始めるとすぐ、分岐が現れる。右は、北北西稜を更に下っていく。左は、尾根から山腹を下り、沢沿いの小屋部分で焼炭古道に合流する。左にとって進む。道筋はあまりはっきりしない。北北西稜をそのまま下る道のほうが多く歩かれているようだ。かなりの急坂もある。12時少し過ぎ、沢音が聞こえてきて焼炭古道にであう。稜線から約30分の下りだ。更に沢沿いに降りて、小屋前に出る。小屋の前では数名のパーティが休んでいた。焼炭古道をくだって来たそうだ。途中蜂に襲われたそうで、蜂の巣も取ったということで、見せてくれた。我々もここで休憩をとる。沢の近くで涼しく、暑さを忘れる。今日はもう残りも少ないので、ゆっくりと食事をとり休む。

沢沿いの小屋の前で休憩する
沢を越える
20分ほど休憩のあと、再出発する。もともとは三板橋方向に行くことを予定していたが、菜公坑の集落を過ぎて、北新荘へ行くことにする。こちらのほうが距離的に近い。道は沢へ下り渡渉する。大きな石が並んでおり、全く問題ない。対岸にのぼりすぐ分岐が現れる。道標では右の道は三板橋へ続くとなっている。左にとり進む。すぐ土の産業道路に合流する。左側はすぐ先に鉄の門がある。右に曲がり菜公坑集落方向へ進む。しばらく登ったあと、道は平になり山裾を巻いて進む。土の道から舗装路に変わり、12時52分に菜公坑集落に着く。沢沿いの小屋から20分と少しである。前方には菜公坑山とその右に烘爐山がそびえている。

土の道を菜公坑集落へ歩く
舗装路は照り返しで歩くと暑い。幸いに微風がある。上蘇厝路口のコミュニティバス停を過ぎる。ここは、菜公坑古道を登った時、通り過ぎた場所だ。その先すぐ右に折れて坂を下る。道なりに下り、三板橋古道と合流する。道脇には地図があるが、描き方が実際の地理と左右反対で判りにくい。古道といっても、普通の産業道路である。途中左側の苗木農場からは、遠くに先ほど下ってきた小觀音山北北西稜の尾根筋がはっきり望める。道なりに下り、108省道にでる。三板橋古道の山門がある。左にチョット進めばバス停だ。13時35分、バス停に到着。バス停前の雑貨屋でビールを買って乾杯する。20分ほど待つと875番バスがやって来た。

菜公坑集落、左は菜公坑山、右は烘爐山
北新莊はあとすこし、道端に判りにくい地図
歩行約5時間、距離は約7kmである。距離も時間も、多くない。登り200数十m、下り800mで下り中心の歩きだ。素晴らしい展望を満喫できた山行である。道がよれけば萬人に進められるが、小觀音山からの下り道は、体力的にはそうでもないが、経験者向けの道である。少なくとも、藪こぎの経験が無いと、戸惑う場面もある。山道の困難度はクラス4、体力は3である。

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