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紅葉谷瀑布(柳仔楠瀑布) |
新北市三芝区には、山と里の間に藍染料、炭や金、そして今もタケノコ取りで歩かれてきた古道が数箇所並んでいる。いままで、何回かにわけて歩いてきたが、今回も別の古道を歩いた。先月訪れた
茄苳坑古道は、小觀音山の北にある菜頭崙から北西に延びる二本の枝尾根の間の谷を行く。南側の稜線は
竿尾崙の尾根で、稜線上の竿尾崙古道とその山腹を行く圓柳古道がある。もう一つ北側の尾根上には五腳松古道が行く。この尾根の別側の谷に、內柑宅古道が行く。この谷には、落差が大きく見応えのある紅葉谷瀑布(別名柳仔楠瀑布)がある。この谷の上方は、竹子山の立入禁止区域である。そのためこの谷の上方稜線には、隣の古道をとつなぐ道がなかった。それが、七月に藍天隊が昔の古道を整理、さらにその先を伸ばして五腳松古道をつないだ。今回の山行は、この道ができたことで実現している。
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後店から山に上り北新荘へ下る |
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陽明山系の北側三芝にある古道 |
この地区は、公共交通機関で行くには少し不便だ。內柑宅古道に一番近いバス停は後店になる。北新荘まではそこそこ便数があるが、それから先後店などを通って101公路を行くバスは、便数が少ない。青溪路を歩き、谷を下った先からは八連溪農園への産業道路を青山路へあがり、そのすこし先の內柑宅古道入口へゆく。古道をその最奥の紅葉谷瀑布へ、そこから新たな紅葉谷山腰歩道を五腳松古道へ上る。五腳松古道を山側に上り圓柳古道へ入る。下って茄苳坑古道を右にわけた後、山腹を下る。台北郷城近くまで下った後、沢を越えて竿尾崙につなぎ、これを下って三板橋へ出た。
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後店、左の青渓路を行く、右は101号公路 |
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青渓路から見る、前方の山は雲が掛かっている |
今回は、常連のLさんとZさんに加え、Hさん、Wさんそして友人Wさんの合計六名のパーティである。後店バス停を通過するバスは便数が少ない。6時台の始発のあと9時半までない。MRT淡水駅バスターミナルで集合し876番バスで向かう。今日は多人数の老齢ハイカーが乗り、途中地元住人も乗るので、バスは満員だ。しかし新北荘で大部分が下車、後店では我々以外は乗客一名だ。10時少し過ぎに下車し、支度をして青渓路を進む。
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內柑宅古道入口 |
道は、八連溪の谷を左に見ながら、ほぼ平らに進む。空は曇っていて、車道歩きだが比較的楽だ。晴れていれば望める竹子山の稜線などは雲の中だ。十数分歩いてくると、道は下り始める。下って橋を越える。その先右に産業道路にはいる。八連溪農園の道標に従い、五腳松二路の坂を登る。結構急坂である。登ること12分、八連溪農園につく。犬が吠えて門から出てきた。更に登る。大きな手のひらのモニュメントがある分岐で青山路と合流、右に曲がって進むこと間もなく10時44分、內柑宅古道に着く。バス停から歩いて約40分である。青山路をそのまま登っていけば、茄苳坑古道入口に行く。少し休憩する。
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渡渉部分、ロープがあり安全に渡れる |
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菁礐遺址 |
古道に入る。この部分は廃棄された土の産業道路で道巾がある。そのうち道は狭くなる。倒木などを越え、11時10分、沢越え部分にくる。補助ロープが渡してある。ここを歩く人が多いのだろう。渡った対岸で、もう一つ西內柑宅橋からの道と合流する。ここから古道はずっと右岸を進む。左に竹子山戰備道へと続く道を分岐する。11時21分、もう一つ戰備道への道を分ける。道は一度沢を別れ、折り返して高度を上げる。11時42分、藍染料を作るための池の跡(菁礐遺址)にくる。池は複数個あり、結構規模のある作業をしていたようだ。合成染料に押されて廃れたが、大菁の花の色素を煮詰め、それに石灰をいれて固めるために使われた池である。その先、また左に道を分岐し11時48分、紅葉谷瀑布につく。今日は曇り空で、それほど暑くはないが、滝の近くは空気がひんやりしている。ここで食事休憩をとる。
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滝わきに咲く鴨腳秋棠花 |
滝は落差十数メートルの滑滝である。滝壺はそれほど深くない。晴天が続いているが、この滝はそこそこ水量があり立派だ。12時35分、ほぼ50分の休憩後出発する。道を少しもどり、滝の近くの分岐にくる。この分岐は、さきほど內柑宅古道上であった二つの分岐からの道とは違うルートで竹子山戰備道へ続く道である。この道を登っていく。途中急な岩場を登る。補助ロープが頼りだ。分岐から10分ほどで、右に山腹を行く道が分岐する。この道が、新たに開かれた道である。山腹を行く道を進む。
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滝から下流方向を見る |
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ロープを頼りに岩の急坂を登る |
道は少し下って沢を越す。ここは紅葉谷瀑布に流れる沢の上部だ。渡渉部分には補助ロープが渡してある。沢を渡ったあと、尾根上の急登が始まる。数分でそのまま尾根をゆく道と分かれ、右に山腹を進む。この道は、その名の通り紅葉谷の水源山腰を巻いていく。もともと右岸からスタートして左岸になる五腳松古道につながるのだ。踏跡は、まだそれほど固まっておらず、柔らかいところも結構ある。13時9分、もう一度沢を越す。そのすぐ上には、炭焼窯跡がある。ここまで、麓から作業のために住民が通っていた古道だ。
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山腰古道の二度目の沢越え |
何本かある枝尾根を縫うように山腹を進む。滝を出発する時、すこしポツポツと降っていた雨は、本降りになってきた。13時40分、雨具を着ける。その先数分進むと、矢竹が現れ始める。矢竹の中に竹を切り取った道が急坂で登っていく。10分ほどの竹林の中の急登が続き、平らになってまもなく五腳松古道と合流する。分岐のすぐ近くは、厚葉衛矛の老樹がある。14時、滝近くの分岐から約1時間20分近く、休みなく来たので休憩する。幸いに雨も上がりはじめた。矢竹の中を歩いてきて、全身ずぶ濡れだ。
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厚葉衛矛老樹 |
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820峰からの展望、霧が晴れていく |
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金孔平 |
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五腳松古道、矢竹林の間を進む |
14時6分、五腳松古道を進む。矢竹の間を進むこと数分、820峰に着く。霧が晴れて、矢竹の向こうに竹子山から菜頭崙の稜線が望める。ここが今日唯一の展望点だ。尾根沿いに下る。14時21分、左に深い竪穴がある。ここは金を探るための竪穴だった。茄苳坑古道には、同じく金鉱坑道が五つあったが、ここは竪堀をしている。更にすすむこと数分、大きな窪地に出る。ここも幾つかの金探しの竪穴があり、金孔平という。茄苳坑古道の金探しと同時期約70年前に、ここでも行われていたようだ。
また矢竹の間の道を進み、約10分ほどで圓柳古道との古道分岐に着く。先月は、菜頭崙から下ってきたが、今日はここから下っていく。残りは、基本下り坂だ。補助ロープの続く急坂を下り、第5号金孔を過ぎる。15時、茄苳坑古道との分岐に来る。一休みする。
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圓柳古道を進む |
圓柳古道は竿尾崙の山腹を行く道である。概ねゆるやかな下り道が続く。しばらく進むと、先ほど歩いた五腳松古道の820峰が、木々を通して対岸にに高い。20分ほど歩くと、谷に沿った道から広い尾根上を進むようになる。15時40分、炭焼窯跡が現れる。先ほどの雨で濡れているものの、歩きやすい道が続く。部分部分は、草がかぶっているが概ね状態はよい。15時53分、茄苳坑古道への道を右にわけ、台北郷城方面へ進む。そこから3、4分で陽明山国家公園の境界コンクリ標識柱がある。そこから右に道が分岐するが、こちらはあまり歩かれていないようだ。
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圓柳古道炭焼窯跡 |
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雨に濡れた草の間を下る |
更に下っていく。大きなステンレスタンクが道脇に現れる。塩ビ管も地上をはっている。その先、また二三個のステンレスタンクがあり、そのすぐ先で沢をこす。ここで少し休憩する。少し上り返し、竿尾崙の尾根道に出る。右にとり進む。僅かな下りで左からの竿尾崙古道と合流、更に下り17時35分、産業道路の登山口に出る。山道はこれでおわりだ。三板橋へ下り、お手洗いのある休憩所で濡れた衣服を着替える。靴は中まで濡れているが、その他は乾いたものに着替え気分も爽快だ。ずっとスパッツをつけていたが、半ズボンに着替えるとすねに一箇所血を吸われたあとがある。スパッツの中からヤマビルが入り込み、そのまま落ちたようだ。他のメンバーも、結構やられている。
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竿尾崙古道の左右路分岐部、七月には右側を進んだ |
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北新荘への下り、夕陽が海に映える |
17時5分、北新荘に向けて歩く。残りは、二、三キロの車道歩きだ。今日は出発が遅いので、下山時間もそれに連れて遅い。それでも日暮れまでまだ一時間、余裕がある。この道は、数回歩いているが、この時間帯は初めてだ。夕陽が遠くの海に映えている。海に船が浮かんでいる。17時35分、北新荘のバス停に着く。18時19分、淡水行きの875番バスがやって来た。
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875番バスがやってきた |
今回は、久しぶりに雨に降られた山行となった。ずっと天気が良いが、ここ二、三日は午後夕立が発生しやすく、それに遭遇したわけだ。歩行距離約12km、行動時間は休憩を含めて7時間半である。昼休憩は長かったが、それ以外は雨が降って休みづらいこともあり比較的短い。困難度は、山道クラス4、体力クラス3である。新しい紅葉谷山腰古道はすこし歩きにくい場所もあるが、それに注意すれば、他の古道は結構歩かれており特に難しい場所はない。紅葉谷瀑布だけを往復するのであれば、気楽なハイキングである。その場合はクラス2だ。
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