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太和山山頂から見る鶯子嶺,手前は縦走してきた稜線 |
台湾本島の北東に位置する宜蘭県は、東側を太平洋、その他は屏風のように続く山々に囲まれた蘭陽平野が中心である。屏風となる山々の内、蘭陽平野の北端、頭城のすぐ上に標高942mの鶯子嶺が控えている。前回登った
烘爐地山とともに、蘭陽五名山の一つに数えられている。
五月に頭城の太和山と古道を尋ねた。太和山頂上から南側を望むと、奥に高い山がありその稜線で蘭陽平野の一部は遮られていた。その山が鶯子嶺である。
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北西の灣潭から歩く(一部の軌跡なし) |
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灣潭から登ると登攀高度は少ない |
頭城から山を越えると美しい古道が数多く残る新北市雙溪区に入る。今回は、その最奥にある灣潭から出発である。
七月に歩いた灣潭古道から烏山古道へ行く途中、灣潭で鶯子嶺登山道の入口を通り過ぎた。灣潭から鶯子嶺へは、もう一つの枝尾根である打鐵寮山を登る道もある。鶯子嶺からは南へ礁水坑山を経て頭城へ降りていく。その途中で、東に折れて太和山へ枝尾根を行き、太和山からは坪溪古道を経て梗枋古道を下って亀山駅へ歩いた。
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蘭陽平野の北端にある今回の登山地域、海上には龜山島 |
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タクシーで灣潭橋まで乗車 |
ネット上にある鶯子嶺登山記録は、あまり多くない。特に灣潭から鶯子嶺への登山記録は多くなく、道の状態については少し心配であった。一度山に入ってしまうと、逃げ道がない。行ってみると、草がかぶっているが踏跡はあり問題がなかった。想定外だったのが、鶯子嶺から太和山への部分である。特に礁水坑山への分岐を過ぎた後は、僅か二年前に藍天隊が整理したが、草に埋もれ踏跡もはっきりしない状態に戻っていた。太和山は石空方面からは宗教登山でよく歩かれているのとは対称的に、このセクションはほとんど歩かれていないようだ。鶯子嶺から太和山まで距離は1.8km、そのうち礁水坑山への分岐からは僅か0.8kmで1時間半を費やしている。時速は何と0.5km/hでしかない。
先月下旬歩いた大平林山から内平林山の縦走路を同じような水準だ。ここを歩く場合は、その事を理解した上で入る必要がある。
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産業道路わきの第二登山口 |
台北から自強号急行列車で、雙溪駅へ向かう。メンバーは、最近常連のZさんとLさんだ。前回同じ列車で行った時は、遅れて8:36分発のF811無料コミュニティーバスに間に合わなかった。今回は間に合ったものの、マイクロバスは満員、立席は不可ということで結局乗車できなかった。そこで、前回同様駅前のタクシーで向かう。灣潭へは、虎豹潭への二倍NT$800である。くねくね曲がる産業道路を進み、9時15分に灣潭に到着する。バスだと、様々なところを回って来るので、10時頃の到着だ。費用はかかったものの、一時間ほど早く到着した。
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補助ロープの急登を行く |
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草原の部分に飛び出る、周囲の展望が広がる |
尾根道は、急登がしばらく続く。10時12分、平になった場所で休憩する。緩い坂道を進む。尾根は結構巾があり、快適だ。道の状態も予想以上によい。もう一つの急登を行く。一度補助ロープの登りがあるが短い。木々のあいだより鶯子嶺が見える。10時54分、大石のところでもう一度小休憩する。灌木がまばらな林間の坂道は続く。11時27分、樹木が低くなってくると同時に、草が現れる。そのすぐ上で、草の間に飛び出る。周囲の景色が目に飛び込んでくる。その広大な展望にしばし見とれる。豎旗山が同じような高さになり、その背後に金瓜石の山々も望める。灣潭竹子山から坪林へ続く山々も見える。草の道を数分のぼり、右に鶯子頂山への道が分岐する。そのすぐ上が鶯子嶺頂上だ。11時36分、灣潭第二登山口から約二時間の道のりである。
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草に囲まれた鶯子嶺山頂、三角点基石の周囲は草が刈られている |
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山頂から海側を見る、海上には龜山島,左の山は叢雲山 |
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山側のパノラマ、灌木のすぐ右が豎旗山その右に橫山三方向山、間に金瓜石の燦光寮山、草山が遠くに見える |
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三角点基石での筆者 |
鶯子嶺頂上はなだらかで結構広いが、草に囲まれている。幸い最近草刈りが行われたようで、二等三角点基石の周囲は草がない。蘭陽五名山の一つに数えられることに恥じない、360度の展望ができる。蘭陽平野は勿論、亀山島が少し雲を頭にたなびかせが海に浮かんでいるのが見える。海のすぐ近くの山は
六月に途中撤退した叢雲山である。その奥には桃源谷の
灣坑頭山、その左は
横山から
三方向山への稜線だ。晴天下の頂上は暑いので、わきの木の下でゆっくり食事を取りながら休憩する。心配だった道が問題なかったので、ほっとする。しかし、それは少し甘かったようだ。
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鶯子嶺からの下り道、左に太和山が見える、海上には龜山島 |
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草の間に補助ロープの道が下っていく |
約50分ほどの休憩の後、下り始める。道脇の灌木に取り付けられた藍天隊道標の方向に歩き始める。草が押し倒されて誰かが歩いたように見える。それを下ってみる。しかし、草の下に踏跡がなく、様子がおかしい。先ほど休んだ別の灌木わきの先に道があるようで、そちらに戻って進む。果たしてこちらが登山道であった。草の下に踏跡が続いている。草間なので、標識リボンは結んでないがしばらく進むと、灌木に付いている。先ほどの道のように見えた草が倒された踏跡は、おそらく最近登山者が、藍天隊道標が示している先ほどの方向に強引に下っていったのだろう。
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礁水坑山への分岐点 |
13時20分、頂上からくだること約45分、礁水坑山への分岐に来る。左にとり、進む。道に入ると今までより踏跡が細い。狭い尾根上部分を登っていく。残っている標識リボンは、だいぶ年季の入ったものが多い。あまり歩かれていないようだ。密生した草が現れ藪こぎをする。13時45分、分岐にくる。右に行くと礁水坑山への道に続く。そちらは踏跡がすこしわかるが、太和山方向へは草が密生して道が判らない。方向を見定めて、草の間を強引に進む。すると、別の分岐が現れる。ここは、太和山の麓を沢沿いに進む道との分岐だが、その道もはっきりしない。
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藪こぎをして太和山へ進む、背後の山は鶯子嶺 |
太和山への尾根沿いの道に入り進む。踏跡ははっきりしない。時々現れる標識リボンが頼りだ。尾根上のピークに登る。前方には太和山の小屋が見えるが、その手前にはいくつか小ピークがあり、まだまだ遠い。草の部分から振り返れば、鶯子嶺がすでに高い。稜線をほぼ忠実に追っていく。雑木林の中に杉の大木が現れ始める。これが最後のピークで、大きく下った後急坂を登る。14時48分、やっと太和山頂上(標高705m)に着いた。この僅か0.8kmの尾根道に1時間半を要している。ここまでは不人気ルートであるが、これほどの状態であるとは予想外だった。藍天隊が二年前に道の整理をした後、あまり歩かれず自然に戻ってしまったようだ。アクセスもあまり便利でない場所の山道は、人気ルートでない限りこうした藪こぎは不可欠であるし、時間もかかる。
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