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2014-09-30

2014年9月29日 逐鹿山-拔刀爾山縱走 10時間18kmのハードコース

逐鹿山山頂,左の赤の道標は拔刀爾山の方向を示している
台北から南にゆくと台湾の背骨になる雪山山脈と中央山脈が現れる。雪山山脈の前衛には、1000~2000m級のいわゆる中級山が連なる。烏來や三峽には中級山があり、山がだんだん深くなる。今までに登った拔刀爾山逐鹿山卡保山などこれら中級山で標高も1000mを越える。烏來に近い拔刀爾山と三峽との境界にある逐鹿山は、尾根沿いにつなげて縦走することができる。ただ、その距離は長く一旦縦走路に入ると簡単に途中で終了することはできない。かなりのチャレンジである。

西の熊空から東の烏來へ稜線を歩く
歩行高度、逐鹿山の下り途中記録が中断したため、高度が飛んでいる
807番バスで熊空に7:45に到着
8月に卡保山から逐鹿山へ縦走した時に、この長距離でも十分縦走できる事に自信を得た。しかし10時間にも及ぶルートを歩くには、早い出発が不可欠である。三峽から7時発の807番バスに乗れることにめどがつき、今回の実行となった。歩いてみると、果たして歩行距離約18km、所要時間10時間強の強行軍であった。天候にも恵まれ、日暮れ前に完歩できて幸いであった。

産業道路から卡保山を望む


今回の山行は、常連のZさんLさん以外に初参加のYさんとそのご主人Tさんの全員5名パーティである。最寄のMRT駅から景安へ向かい、908番バスで三峽へ。このバスは高速道路を経由するので、距離はあるが約30分で台北大学三峽キャンパスバス停に到着。そこから少し歩いて807番バスの発車する三峽一站へ7時5分前ほどに到着する。他の四名とここで落あい、807番バスに乗車する。この時間帯のバスは通学の学生で満員になる。大半は途中で下車するが、それでも車内は空席がない。7時45分、熊空に到着した。

稜線に向けて斜面を登る
支度をすませ出発、熊空溪にそって車道を少し登り、右の民家わきから登り始める。この道は上方にある畑とを結ぶ道で、途中野菜を収穫して下ってくる農婦とすれ違う。上りつめたところは産業道路である。熊空バス停から約20分で、雲森瀑布への分岐を通り過ぎる。道なりに行くと、右側の樹木が切れ、遠くに卡保山から樂佩山への稜線が朝陽の中に望める。産業道路はヘアピンカーブで曲がる。この角にある第一登山口からもいけるが、今回はさらに産業道路をいき第二登山口から山道に入る。8時22分、ここまで約30分強だ。

枝尾根に取り付き登る


山道を歩きはじめ約10分で第一登山口からの道を合わせる。山腹をぬうように進み、そのうち斜面の登りになる。8時57分、枝尾根上に上る。ここで少し休憩する。この道を上るのは、昨年八月についで二度目である。大体のようすがわかっているので、頂上までの時間も読める。熊空バス停から逐鹿山山頂まで約1100mの標高差、予定時間は3時間半である。ここは標高約750m、1414mの頂上までのこり三分の二の場所だ。

雲森瀑布からの道との分岐を過ぎ、涸沢状の道を進む
最後の急坂を登る

しばらくは枝尾根上の登り一本の道である。樹木の中の稜線をひたすら登る。途中小休憩をし、9時37分標高約1000mの地点を通過する。このあたりから尾根上を外れ、山腹を進む。杉林を過ぎ9時57分、雲森瀑布から逐鹿山西峰をへて上ってくる登山道と合流する。標高は1100mを越え残りは約300mである。結構よいペースで登ってきている。YさんとTさんは初めての参加だが、普段は自転車を乗っているとのことで、基礎体力にはまったく問題がない。

三度目の逐鹿山山頂
逐鹿山頂上の木々の切れ目から波露山が望める
10時13分、水場を通り過ぎる。ここからは、また急な最後の登りが続く。八月末には咲いていた道脇の根節蘭の紫の花はすでになく、季節の移り変わりを感じる。補助ロープのある急坂を越え、10時46分逐鹿山頂上に着く。熊空からの所要時間3時間、予定より早く到着した。陽光が差し込む頂上は、明るい。三度目の登頂だが、今日が一番よい天気だ。頂上わきの木々の間から、対岸に波露山の大きな山容が見える。しばし頂上で休憩する。

草の刈られた縦走路上の小ピーク

25分ほどの休憩のあと、11時9分いよいよ拔刀爾山への縦走開始だ。ここからは初めての道である。縦走路前半は、最低鞍部に向けて標高差約500mの下降である。しばらく緩やかな道で、小ピークを二つほど越す。木々の切れ目から周囲の山が見える。十数分進み、稜線が北に向けて曲がると、今度は別の方向の山々が見えてくる。草が刈ってある小ピークより急下降が始まる。補助ロープのある垂直に近い場所を通り過ぎる。緩やかになってきた後、12時右に信賢へ下る尾根道を分岐する。万一の避難路として使えるが、下山後も烏來へはかなり遠い。

稜線上から遠くの山々が望める
信賢への分岐部
尾根上の縦走路を進む。12時20分、風通しのよい場所で休憩し食事を取る。標高は約1170m、最低鞍部までの約半分の位置だ。休憩後また下る。鞍部まであと200mの落差である。巾の広い尾根道を下り、12時45分に杉林を抜けていく。杉の大木が美しい。少し登り返し12時57分、分岐に来る。直進すれば紅河谷古道の峠へ、右に折れて拔刀爾山へ向かう。逐鹿山からの稜線道ははっきりしているが、右に折れたあとは踏跡が細くはっきりしない場所も現れる。あまり歩かれていないようだ。

杉美林の間を進む
鞍部に向けて下る、踏跡は細い


13時14分、最低点の鞍部に到着する。ここは左に紅河谷古道峠へ通じる道が分岐するが、これも草に埋もれている。これも歩かれていないようだ。鞍部から直進して登り始める。先に緩やかな登りで小ピークを越える。尾根をすこし外れて巻いていく場所もある。少し休憩をとる。

鞍部の分岐、右の草の中に紅河谷古道峠への道が続く
補助ロープの急登をよじ登る


尾根を少し進み、14時拔刀爾山への急登が始まる。いきなり岩の登攀が二カ所続く。下がっている補助ロープは細く頼りない。急登をすぎ樹木が低い場所から、やって来た方向を振り返る。今しがた歩いた尾根の向こう遠く、頭に雲をかぶった逐鹿山が高い。更に登った地点からは、主稜線の向こうに加九嶺、そしてその奥に獅子頭山への尾根が続いている。残念ながら、ぼんやりしていて更に遠くは判別できない。そのさき、14時18分また左側に開けたところで休憩する。対岸に向湖天山の連峰が伸びている。そのすぐ下の谷は紅河谷である。

登り途中に振り返る、左奥には逐鹿山が雲の中に、右に下る主稜線の右に加九嶺が望める
岩の痩せ尾根を登る


痩せた岩尾根が続く。右側に樹木を通して見える拔刀爾山の山頂がまだ高い。尾根巾が広がるが、相変わらず登りはきつい。一度ピークを越した後くだり、登り返したところが稜線の分岐だ。右に僅か進む。拔刀爾山の頂上(標高1117m)だ。14時51分、二度目の登頂である。主要な登りが終わりほっとする。天気は良く日差しが強いが、周囲の山はぼんやりしていてほとんど判別できない。ただここまで快調にやってこれたのは、天気がよいことが大きく関係している。

拔刀爾山頂上の筆者
保慶宮へ向け状態の山道を下る
少し戻り休憩する。これから先はよく歩かれている山道で、まだ時間も早く十分日暮れ前に下山ができる。15時15分、保慶宮に向けて歩き始める。山道はまもなく左に紅河谷へ下る道を分岐する。その後道は下り始める。水の流れる沢の中を過ぎ、15時35分高腰山への道を分岐する。二年前にはなかった、遭難対策の番号札6番が幹に取り付けられている。右にとって更に下る。15時45分、開けた場所で小休憩を取る。

緊急連絡番号9番、保慶宮は近い

休憩した場所のすぐ下には、高腰山への道を分岐する。これは先の分岐からやってくる。太陽がだいぶ下りてきたので、光線が森の中に斜めに差し込んでくる。夕方が近くなってきている。15時55分、今年3月に取り付けれた藍天隊の道標がある。ここから美鹿山山腹を巻いて美鹿山から下っていく稜線に続くようだ。登り返し16時2分、美鹿山山頂への道を分岐する。そのあとすこしで、美鹿山南峰を通過。ここは標高850m、標高100m強の烏來へはまだ数百メートルの高度差がある。補助ロープのある下りが続き、道は山腹を平に進んでいく。また下りが始まりまもなくコンクリの道が現れる。16時半、保慶宮に到着する。ここまでくれば一安心だ。万一暗くなっても車道を歩けば全く問題ない。必要であればタクシーを呼んで下山することもできる。

保慶宮についた
保慶宮歩道を下り、西羅岸路と合流
水道で顔を洗い最後の長い20分の休憩をとり、16時50分烏來に向けて車道を下り始める。歩き始めてすぐ右に烏來瀑布へ下る山道を分岐する。そのまま下り西羅岸路と合流、右に下っていく。道なりに進み、二度ヘアピンカーブを過ぎたところで、遠回りする車道をつなげる近道の保慶宮歩道を下る。二年前歩いた時と同様、ここは補修されていないので草が深く倒木もあるが、長く歩かずにすむ。同様にあと三ヶ所の近道歩道を下り、温泉リゾートの中にでる。環山路へ下り、18時に烏來に着いた。街灯が灯り、日暮れが迫っているが、果たして日没前に完歩できた。Zさんの馴染みの店で食事と祝杯をあげ、その後バス停へ歩き、19時に家路に着いた。

夕暮れせまる烏來に到着
予想通り体力的に厳しいルートである。天候が悪く、踏跡を見誤ったり滑りやすく時間を要すれば、更に時間がかかるだろう。普段は自転車で、山歩きはあまり経験がないというTさんには、特に下りが厳しかったようだが、それでも基礎体力がいかに大切かが示しているように、このルートは体力に自信がない人には勧められない。縦走路半ばでは、逃げようが無いからだ。困難度は山道についてはクラス3で、一部拔刀爾山への部分はクラス4、体力要求度はクラス5である。

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