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白石山の大石頂上から歩いた峰々を眺める |
今までに訪れた岩稜で有名な
三峽五寮尖と
大溪白石山は、同じ山脈の両端に位置している。この二つの間をつなぐ稜線を全部歩く縦走は、五寮尖の五と白石山の石と同じ発音である十をとって五十縦走と呼ばれる。下山は白石山のすぐわきにある石厝坑山から打鐵寮古道を経て下った。五寮尖登山口から歩き始めて打鐵寮古道入口まで、十時間を越える強行軍である。
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東から西へ縦走する |
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多くのピークを越えていく縦走 |
最近は、長時間の山歩きをしている。これは、山を多く歩きたいという気持ちもあるが、同時に自分の年令で今後更に高い山を登るための確認とトレーニングの意味もある。これから人生の残り三分の一を過ごしていくにつき、どこまで元気で山に登れるか、突き詰めれば健康で過ごせるかのテーマを実践していきたい。そんな事を思っている。
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車道を登る、合作橋からの山道を合わせる |
今回の山行は、四名のパーティーだ。最近一緒に登っているLさんLSさん、そして初めての参加する女性Gさんだ。三峽のバス停で集合する。7時発車の807番バスで登山口、互助橋へ向かう。先月
逐鹿山-拔刀爾山縦走の時も同じバスで向かったが、通学バスとして利用されているので大埔國小バス停まで学生で満員だ。そこから僅か数分で7時22分互助橋につく。秋の気配は山里に来ている。半袖だと少し涼しい。身支度をして、車道を登り始める。わきの電柱にペンキで道標が書いてある。数分で赤レンガの古い建物の雑貨屋の前に来る。店主が道を示してくれる。
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玉観音寺、右に進む |
急坂が続く。7時46分、左から合作橋から上ってくる土の道がある。そのすぐ上が玉觀音寺である。左に分岐する道は、岩尾根方向に行く。振り返って望めば、谷を挟んで対岸に
白雞三山がある。そのまま舗装路を登る。すぐ右にコンクリ製の水槽がある。左に土の道が登っていく。ここが登山口である。7時57分、少し休憩する。
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尾根道を五寮尖へ登る |
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急坂をゆく |
五寮尖は、多くの登山者が訪れる人気の山である。普通は岩尾根を登りこの道で下山する。筆者も以前そのように歩いた。今日は五寮尖から更に縦走するので、時間を要する岩尾根は通らずこの道から登頂する。ジグザグ道を登り5分ほどで尾根に取り付く。展望が開け、三峽の街が眼下に望める。ステンレスタンクが道わきにあり、水が飲めるようになっている。コップも置かれているが、ホコリをかぶっている。
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五寮尖頂上も近い |
尾根道は急坂や緩やかな道が折り返し続く。道のどまんなかに大きな人面蜘蛛が巣をはっている。玉觀音寺製の道案内板11号を見る。登山口から頂上までの道のりの約半分の位置だ。岩が現れ、補助ロープのセクションを過ぎる。そこここに岩が露出する五寮尖の特徴が出てきた。最後の坂を登り、松が岩のわきに生える場所を過ぎる。頂上のすぐ下は岩壁であるが、縄梯子だけでなく前回来訪時にはなかったアルミ梯子も取り付けられている。
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五寮尖頂上からの眺め、前方中央は白雞三山、左に三峡が見える |
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插天山脈方向を望む |
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岩尾根への分岐部 |
8時52分五寮尖頂上(標高645m)に着く。登り約1時間半弱、結構よいペースだ。前回岩尾根経由で来た時は、3時間以上要している。好天の山頂からは、とても良い眺めだ。眼前の白雞三山から
熊空山への大きな連山の奥には、插天山脈が望める。熊空谷の突き当りに大きな山容を見せる山は逐鹿山のようだ。更に右を見れば金平山、東眼山の向こうに南插天山の峰が頭を見せている。白雞三山の左には、
天上山連山の向こうに板橋あたりの街が望める。今日はとっても良い天気だ。
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三峡歩道のキロポスト |
休憩後9時過ぎに縦走路を歩み始める。岩が露出する道を下り、岩尾根からの道との分岐を右にとり、龍山巖を目指す。このセクションは三峽歩道として、地方行政によるメンテがされているので、道の状態はよい。龍山巖へは、まだ2km強ある。小さなピークを数多く越えていく。崖際などには、ロープ手すりなどが取り付けられている。約30分ほどで、龍山巖まであと1.2kmのキロポストを過ぎる。稜線道は、上り下りを繰り返す。
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天然石浮彫 |
10時12分、天然石浮彫に着く。設置から時間がすぎ、だいぶ汚れてしまっている説明板によれば、様々なものに見立てた奇岩がたくさんあるようだ。しかしどれだどれだかよく判らない。またピークを登り下ると、黒松三姉妹の姉と妹松が道わきにある。そのすぐ先は標高660mの貳龍尖である。下って行くと、龍山巖のお寺が現れた。10時32分、五寮先から約1時間半の道のりである。お寺の先にベンチがあり休憩する。水道も引かれている。ここから右に阿屘尖への道が分岐する。
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貳龍尖(龍山巖) |
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龍山巖 |
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車道を進む、右奥に金面山がのぞく |
縦走は、まずお寺からくだり車道を進む。すぐ右に道が分岐する。この道をとって登ったが、通信塔で終わりになっている。引き返し下り気味の車道をいく。右前方に金面山の尖ったピークがのぞく。約10分強で、右に山道が分岐し登っていく。ここが縦走路だ。孟宗竹林を過ぎると、道の状態は悪くなる。分岐わきの電柱に優良で歩きやすいと書いてあったが、どうやら皮肉かもしれない。草深い道は、他の不人気山と同じ程度だが、先ほどの龍山巖までの道と比べると落差が大きい。この部分は歩く登山者が少ないようだ。実際、我々のような全稜線縦走でなければ、ここを歩く意味があまりない。
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上り下りを繰り返す |
小ピークが続き、上り下りを繰り返す。振り返れば阿屘尖と貳龍尖が望める。右の大渓側の街も、ところどころ木々の間から見える。土の縦走路を進むこと約45分、左に大きく曲がりこみジメジメした場所を過ぎる。コンクリ柱が立っている。少し休憩するが、藪蚊が多く閉口する。虫除けを取り出し塗る。一度よい道を横切り、また草深い縦走路を進む。根節蘭の黄色い花が咲いている。金面山がだいぶ近づいてきている。12時28分、左からの山道が合流する。心持ち道の状態が良くなったかと思いながら更に進むと、12時38分に金面山への分岐に着く。ここで食事休憩を取る。ここまで歩行5時間、今日の全行程のほぼ中間点だ。
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草に覆われた縦走路 |
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金面山への分岐部 |
30分ほどの休憩後、出発する。本来金面山へ往復するつもりであった。これからの道のりと日没時間を考えると、他メンバーも以前訪れたことがあるので金面山へは行かず、そのまま縦走路を進むことにする。約二年前に歩いているので、様子はわかっている。道の状態も龍山巖からのセクションに比べれば良い。露出する大岩からは、金面山が、そしてその右の遠くには阿屘尖と貳龍尖がだいぶ遠くになっている。竹林を通り過ぎ、上り下りを経て13時56分、十三分山(標高615m)に着く。頂上を横切るように倒木が倒れている。
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竹林をゆく樹走路 |
時間は14時を回っている。休憩のあと、縦走路を進む。桂竹から孟宗竹に変わる。孟宗竹は、他の植物が生えないように毒を出すということで、地面には草木がない。そのためすっきりした林相になり、ひときわ美しい。竹林をくだると土の産業道路に下りる。その先を進むとまた桂竹林の上り坂を行く。岩の露出部に来る。ここからも展望がよい。右に桃園の台地が広がっている。小ピークをすぎ14時40分、右に石厝坑山への道を分ける。あとでここを進むが、先に白石山頂上を往復する。14時52分、白石山(標高625m)頂上の大きな石の上に上がる。振り返れば金面山の右に、やって来た峰々が重なって遠くに見える。
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孟宗竹林を進む |
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石厝坑山山頂 |
小休憩のあと、先ほどの分岐へ戻り石厝坑山へ向かう。数分下っていくと土の産業道路を越える。そこから数分登り返す。15時33分、石厝坑山(標高573m)に着く。麓までまだ距離がある。ここから方向を南西に換えて進む。この尾根は、白石山と平行しているが、少し下ったあと、小ピークが幾つか現れ高度がなかなか下がらない。木々のあいだより、左にその名前の由来である白石山の白い岩壁が見える。松林を進み16時、小ピークの頂上に設けられたベンチで少し休憩する。16時20分、送電鉄塔の下に着く。近くで左より打鐵寮古道からの道を合わせる。
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左に白石山が見える |
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急坂を下る |
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夕陽の中打鐵寮古道を下る |
右に保線路を下がっていく。数分でヘヤピンカーブのところで左にまた山道を分ける。急坂が続く。16時47分、打鐵寮古道が左から合わさる。ここから先は古道を下る。太陽はだいぶ傾き、黄色い夕方の光線をなげている。16時55分、草嶺山へ続く尾根上の分岐に着く。廃棄された歩哨家屋のわきで少し休む。石の階段が続く急坂を降り切り、小沢を橋で越えると道はゆるやかな坂道となる。15時15分、濟安橋につく。ガサガサッと音がするので見ると、山雉が逃げていく。考えてみれば、今日は五寮尖頂上で登山者、龍山巖で寺の世話をしている人に出会っただけだ。太平橋で沢を越え、登り返して15時24分、登山口に着く。互助橋を出発して約10時間である。
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濟安橋につく、残り僅かだ |
前回来た時は大溪まで歩いたが、相談してタクシーを呼ぶことにする。登山口にある倉庫のところで、電話番号を尋ねると親切に教えてくれた。日はすでに暮れて、月が空に登っている。18時、タクシーがやってくる。10分足らずの乗車で大溪バスターミナルに到着、18時30分発の9103バスで帰途に着いた。
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タクシーがやって来た |
この縦走は、ほとんど山道だけで距離は13.2kmである。縦走は、ピークを多く越えていくので、そこそこ時間を要する。秋になり、登山にはよい季節だが、日が短くなっているので日暮れ前に下山できるように、休憩は控えめに歩いた。他の二人は健脚で問題ないが、Gさんも初めての同行であったがよく歩いた。終日天気がよかったのも、とても助かった。道はレベル3~4である。体力要求度はレベル5としておこう。脚に自信がなければ、このルートは勧めない。
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