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2014-10-06

2014年10月5日 陽明山系小觀音山西峰 - 燒炭古道 - 菜公坑古道西線 古道をつなげて回遊

松が生える枕頭山(別名百拉卡山)頂上
陽明山山系は台北に面した南側であれば、自宅から簡単に行ける。今までけっこう歩いてきたが、まだ足を踏み入れていない道もある。今回は、残っている部分の落ち穂拾い的な歩きである。小觀音山から燒炭古道をくだり、沢を渡って対岸の菜公坑山にある菜公坑古道西線を枕頭山へ登り返し、出発点近くの二子坪へ回遊した。九月は記録的な暑い日が続いていたが、さすがに十月の声を聞くと東北風が吹き始め、涼しくなってきている。これは天候の変更をもたらし、雨が降りやすくなる。天気予報では週末は雨天ということだったが、前日の晩にはどうやら雨は降らないようなので、もともと考えていたこのルートを歩くことにした。

南の大屯山鞍部駐車場から出発、反時計周りに二子坪駐車場(バス停)へ回遊
駐車場一角にある登山口、背後は小觀音山
小觀音山は最近よく訪れているが、8月末に新たな山道が切り開かれた。大屯山鞍部近くの駐車場から直接小觀音山西峰につながる道がそれである。稜線近くには背よりも高い矢竹が密生し、台北に近い割には登るのが容易でなかったが、ボランティアのお陰で広く歩きやすい道が出現している。北竹子山(1056峰)から北北西と西に枝尾根が延びる。前者は七月に藪こぎをして下った。今回は西稜を下ったが、こちらは矢竹が綺麗に刈られて歩きやすい道になっていた。小觀音山の山腹をゆく燒炭古道は、途中に炭焼窯の遺跡があることで名付けられている。西稜山道は燒炭古道につながっている。沢を挟んだ対岸には昨年すでに歩いた菜公坑古道東線がある。菜公坑古道は、東線とは別に烘爐山側に登っていく西線がある。これを行き更に枕頭山へ登って山を越し、菜公坑山歩道をへて大屯公園、二子坪バス停へ歩いた。

森の小径を山の家遺跡へ、黄色い台湾山菊が咲いている
前日に行くことを決めたので、単独行を考えていたがZさんが山行予定を聞いていたので、連絡し二人山行となった。朝7時10分にMRT劍潭駅で待ち合わせる。休日の劍潭駅バス停は小18番バスなど、長い行列ができている。陽明山に向かう紅5番は、平日は文化大学通学の学生で混むが休日は少ない。30分ほどで陽明山バスターミナルに到着、少し待って8時過ぎ108番バスに乗り換える。8時15分、大屯山鞍部バス停に到着し進行方向に少し歩き駐車場に来る。身支度をして8時23分、出発する。曇りだが眼前の小觀音山ははっきり見える。

山の家跡、石積みの煙突が残る
背丈より高い矢竹の中の急坂
駐車場わきの登山口からまず下る。良い道が続く。3分ほどで山の家遺跡に来る。山の家は、日本統治時代の昭和13年(1938年)に大屯山国立公園の登山宿泊施設として建設されたそうだ。今は石積の煙突や基礎石が残っているだけで、建物はすでにない。当時はこの周辺にはテント場もあったそうだ。こうした煙突が残っているということは、けっこう洒落た建物だったのではないだろうか。日中戦争の勃発やその後の太平洋戦争で、国立公園拡充などはストップしてしまった。戦後は、そのまま忘れされたようだ。

道脇に冥錢が置かれている


山道は、ここから谷にそって燒炭古道へ下って行く。燒炭古道から小觀音山西稜の道が分岐するが、これは後に下りに通った。今回は、山の家遺跡からダイレクトに西峰に登る新しく切り開かれた道を登る。真新しい8月31日付の道標に従い、右の道を進む。すぐ右に小觀音山の通信施設に続く戰備道へ続く道が分岐する。更に10分ほど登っていくと、また右に戰備道への道を分岐する。道は勾配を増し矢竹が現れる。道わきに冥錢(お寺などで燃やしてあの世の霊へ渡すお金)の束がところどころに置いてある。また、わきに竹の中に入っていく道がある。これらの道は、タケノコ採りのためのものだ。

霧が掛かってきた、右下には出発点の駐車場がある
ガスのかかる1056峰を行く
山の家から20分ほど上ってくると、いよいよ刈られた矢竹の間の急登が始まる。切られた矢竹は、切り口が鋭くまさに矢じりのようなので注意が必要だ。背丈より高い竹の葉を叩く雨音がする。9時過ぎに矢竹が低いところから展望ができる。残念なことに霧が出てきて、時折下の駐車場が見えるが、周囲はあまりはっきり見えない。更に急登を行き9時9分に尾根上の道に着く。西峰はすぐ左だ。数名の登山者が頂上にいる。戰備道登山口からやって来たようだ。七月には草深かった頂上は、広く刈取られスッキリしている。稜線道も広くなっている。周囲の景色はガスで残念ながら見えない。ただ、前回すでに見ているのでそれほど失望はない。それより雨が停まっていることの方が助かる。

西稜から見る雲の下に三芝方向の風景、左が菜公坑山、右に北北西稜とその奥に竿尾崙
しっかり草が刈られた西稜の山道
途中岩を乗り越えて尾根を進み、数分で北竹子山(1056峰)に着く。右に大屯溪古道を分岐し、「この道通じず」の木柱を通り越し直進する。9時30分、北北西稜道と西稜道の分岐に来る。左にとり西稜道を下り始める。数分で下り坂は急になる。霧の掛かっている部分を過ぎたようで、垂れ込めた雲の下に三芝方面の展望が広がる。右には、北北西稜の尾根が下っていくのが見える。下っていく方向には、左に大屯山と右に菜公坑山、その奥に面天山が望める。風がかなり強く、草をたなびかせて吹き抜けていく。風は冷たく、秋が到来しているのを感じる。すすきの穂も出始めた。

尾根の道からこれから下る谷あいを望む
森の中に下り、分岐が現れる
道は矢竹の中を尾根にそって下っていく。矢竹は綺麗に刈られ、幅広い道になっている。ただ、土が露出し濡れて滑りやすい。下ること約30分、矢竹が切れて森の中に入る。すぐに分岐が現れる。道標はないが、左は山の家に続く道だろう。右に尾根上の道を下る。さらに10分ほど下り、10時12分別の分岐が現れる。ここには道標がある。左は山の家に進む。先ほどの分岐は近道となる山道のようだ。ここで少し休憩する。

岩の間を下る
数分の休憩後、尾根を更に下る。岩がゴロゴロするセクションを過ぎる。土の道になり下りきる。10時32分、燒炭古道と合流する。分岐は右にとり谷沿いに進む。草が道筋を覆い隠す。山腹を下っていく。10時47分、大石が重なる涸れ沢を渡る。10時57分、左に沢を越えて菜公坑古道(東線)への道が分岐する。これは新しい道のようだ。分岐のすぐ先に古道の名前の由来である炭焼窯あとがある。陽明山山系の他の場所でみるような、壁を石で積んだ大きなものだ。11時9分、右から北北西稜から下ってくる道と合流し、更にくだると右に大屯渓古道への道を分け、そのすぐ下で11時11分、溪畔小屋に到着する。ここで一休みし、食事を取る。前回は、蜜蜂の巣を取った登山者と出会ったが、今日は我々二人だけだ。この一帯はもともと蜜蜂養殖が行われていたが、その後廃棄されて蜂が野生に返り多いということだ。

涸沢を渡る
炭焼窯跡
治山工事が進行中、正面は烘爐山
20分ほど休憩し出発する。沢を越える。ここが今日の行程中最低点となる。標高約430mである。対岸を進み、右に三板橋への道を分岐する。土の産業道路を登る。振り返ると木々の枝を通して小觀音山が高い。産業道路を数分歩く。左に標識リボンがかかり、山道が登っていく。菜公坑古道へ続く道である。巾のひろい枝尾根を登ること十二、三分。廃棄された舗装路の突端にでる。道は下りになり、その先草薮を過ぎる。先ほどから土木機器の音がしていたが、それは山治工事の音だった。トラックやクレーン車が作業している。すでに工事が終了した沢を過ぎる。そのすぐ左に二階建洋館がある。再び道は登りになり、ヘアピンカーブを曲がり進む。その右に標識リボンがたくさんある。菜公坑古道西線の入口だ。時刻は12時10分。去年この場所を通りすぎているが、その時は気づかなかった。
菜公坑山西線の入口
巾の広い古道
グーグル地図の道は、山地についてはあまり信頼できないが、この部分は正確だ。道幅は広いが、草に埋もれた土の道は四駆でも大変だ。つづら折りを通り過ぎ進み、約10分ほどで道は山崩れで途切れる。もともとは沢を越していたのだろうが、大規模な山崩れが発生し巨岩や倒木で塞がれている。倒木を見ると、それほど前に発生したものでは無いように思える。重なる岩を乗り越え迂回する。ここで一休みする。

山崩れが古道を塞ぐ
山崩れの場所から少し下がり、また古道を進む。左に大きくまがり12時41分、分岐に来る。右は烘爐山をへて百拉卡公路へ続く。左は枕頭山を越えて大屯公園に行ける。左側の道はほどなく急な上り坂道の下の分岐にくる。道はそのまま進んでいくがどこへ通じるのか。標識リボンのたくさんかかる山道に取り付いて登る。急坂が続く。ここからは等高線が混んでいる急勾配の道が落差200mほど続く。枝尾根上の道が続き、右に巻いていくと分岐に着く。約35分ほどの登攀であった。左は菜公坑登山步道へ続く。分岐のすぐ先の開けたところでしばし休憩する。右に少し行けば枕頭山頂上だ。今日の主要な登りはこれで終わりである。

草深い急坂を枕頭山へ登る
枕頭山頂上の松の間に七星山が望める
枕頭山への道は、先に菜公坑古道から登ってきた道より踏跡がはっきりしている。登山者が多いのだろう。ほぼ平な道をほんの二、三分いくと、枕頭山(百拉卡山、標高909m)の頂上だ。広い頂上には楠木に混じり松が数本生えている。ちょうど松の間から、遠くに七星山が去来する霧で見え隠れしている。すぐ右は大屯山だ。頂上から十八彎古道へ下る道もあるが、引き返し先ほどの分岐を過ぎる。少し下り気味になり進む。台湾山菊がそこここに咲いている。山はもう秋だ。人声が聞こえてきたと思ったら、この山道に入ってきた数十人のパーティとすれ違う。13時57分、石畳の登山道に出る。右にとり下る。前方に、さっきの枕頭山が望める。苔で緑の石段を下りきり14時8分、百拉卡公道の登山口に着く。

石畳の菜公坑山登山道を下る、前方は枕頭山
大屯自然公園の中に入り、しばし休憩する。公園の向こうに見える大屯山は頂上がガスの中だ。公園の中を横切り進む。休日の公園は行楽客が多い。公園の端から石段を登り、14時38分二子坪バス停へ着く。バス停で、20分ほど直接陽明山バスターミナルへ行く108番区間車を待つ。十数分でターミナルに戻る。ちょうど紅5番が発車するところで、そのまま乗車し下山した。

二子坪駐車場から見る小觀音山


今回は歩行距離約8kmを休憩込みで6時間15分ほどで歩いた。小觀音山西峰へ先に登ったが、前半は下りがメイン、そして下り切った後はまた登り返すルートである。健脚のZさんと二人だけだったので、あまり休まずに歩き終了した。頂上はガスが去来していたが、幸い雨に降られずに歩くことができた。小觀音山は、最近一躍人気ルートになっているが、それ以外菜公坑山の歩道で大パーティに出会うまでは、休日にかかわらず他の登山者に出会わなかった。大屯公園や二子坪バス停辺りは、行楽客が大勢でバスもすし詰めなのに比べると対称的だ。このルートは、一部草で踏跡が隠れる場所もあるが、それほど困難なところはない。普段運動していれば、問題ない。困難度は山道、体力共にクラス3である。

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