3.8km展望点(標高約2100m)から見る夕方の雲海 |
稜線から見る高屏平野 |
晴れていく稜線の霧 |
大武祠(神社) |
二日間の歩行軌跡 |
二日間の歩行高度プロファイル |
北大武山は台湾南部の第一高山 |
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第一日 11月28日(土曜日)
第一日歩行軌跡 |
第一日歩行高度 |
泰武の教会脇屋根下の専用車 |
大武山之門 |
登り途中からみる高雄方面の眺め |
前面の山の間から頭をだす北大武山 |
新登山口 |
7時46分、道路わきに車が多く駐車している。どうやら登山口が近い。休日の今日は、登山者がとても多い。支度をして8時に出発する。自分のザックは約15㎏だ。今回は、夜と朝の食事、またテントは業者に任せたので、重量は少ない。登山経験がまだ浅いメンバーもいるし、二泊二日のちょっときつい予定なので、今回はこれでよかった。登山口からは、すぐ大崩落を避ける高巻き道が始まる。急坂をのぼること約20分、台風のため廃棄された産業道路に出る。コンクリ舗装の道を約15分ほど登っていく。そこからまた高巻き道が始まる。ここも急坂が続く。
廃棄産業道路部分を歩く |
日湯真山への分岐部 |
旧登山口はもうすぐだ、電柱が残っている |
旧登山口 |
尾根を越えて右側の山腹を進む |
山腹道から谷を眺める |
鉄製橋と1㎞キロポスト |
第一、第二休憩所の間の道 |
がけ崩れ部分を歩く |
2.5㎞キロポストと前方の第二休憩所 |
階段道をゆく |
急坂を登る |
3.8㎞の展望点 |
虹がでた、背後は北に続く山並み |
檜谷山莊、左側が調理場 |
テント場 |
檜谷山莊はもともと林業の作業場として使われたものを改造し、宿泊できるようにしたものだ。42名の定員である。宿泊するには、事前に林野局に申請するが、週末はそれより多くの登山者が宿泊希望するので抽選で決まる。我々も事前申請したがダメだった。今回は、テントを持参し露営することを考えたが、メンバーが食事とテント貸し出しの業者を探し、そのアレンジで宿泊と食事の対応となった。我々は山荘すぐ下の6人用のテント二つで夜を過ごす。
山荘すぐ下の沢 |
3.8㎞へ戻る |
雲海を望む |
大武山は、美しい雲海が有名だ。16時ごろ、登りに通過した3.8㎞展望点に戻る。数名のメンバーは先にいって場所を確保していた。今日は登山者がとても多いので、よい場所は早い者勝ちだ。登りでは少しぐずついていた天気は、すっかり持ち直し日差しが温かい。11月下旬の高山とはいえ、日本中央の高山に比せば初秋のころの陽気だ。太陽がまだ結構高い。しかし、千変万化の雲や山の様子を見ていると、知らず知らずのうちに時間がたち、17時過ぎに太陽は沈み始める。西側の雲を赤く染め、その光が背後の山にかかる雲を黄金色に変える。17時18分、太陽は沈みあたりは急に暗くなる。展望点にいる大勢の登山者とともに山荘に引き上げる。
時間とともに雲海は薄くなる |
黄金色の雲をかぶる南大武山 |
大勢の登山者でいっぱいだ |
いよいよ日没 |
晩ごはん |
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第二日 11月29日(日曜日)
第二日歩行軌跡 |
第二日歩行高度プロファイル |
1時すぎ朝食をとる |
休憩し服装を調整する、周囲は暗い |
2時に歩き始める。大木の茂るテント地から空を見あげれば、枝の間から星がのぞく。天気は良さそうだ。平らな道を進み分岐から、山頂へ向け登り始める。標高差1000m、距離4.5㎞の登りである。ヘッドライト頼りの歩きだが、道の状態はよいので問題ない。もちろん、ちょっとした岩場などもあるが、補助ロープなどもしっかりしているので、心配はいらない。30分ほどのあと休憩し、服装を調整する。思ったより気温が高い。
岩場を通り過ぎる |
初めの登りが過ぎると、しばらく山腹を緩やかに登っていく。檜の神木を通りすぎる。暗いので、写真は下山時だ。神木の先、5.5㎞キロポストを過ぎ、また急登が始まる。暗いので、ひたすら登るだけだ。月が明るい。4時少し前、木々の間に屏東方向の夜景が見える。前後して、最後の水場を通り過ぎる。4時19分、7㎞キロポストを過ぎる。稜線まではあとわずかだ。熊笹が現れる。空を見上げると、月が丸く輪が掛かっている。霧が出てきている。
水場を通り過ぎる |
4時42分、稜線上の分岐に来る。右は南大武山へ続く。稜線は風が吹き抜けていく。ジャケットを取り出し着る。5時7分、7.5㎞キロポストを過ぎる。山頂まであと2㎞だ。5時半、大武祠(神社跡)に来る。ここは少し広場になっている。テントを張って宿泊している登山者がいる。ちょうど出発の支度をしている。神社は、筆者がぜひ見たいと思っていた場所だが、まだ暗いので帰りにゆっくり見ることにしよう。
霧のなかの鉄杉 |
急坂をのぼる、頂上はあと少しだ |
山頂の筆者 |
山頂のパーティメンバー |
下山を開始 |
鉄杉の向こうに青空が見え始める |
大武祠 |
鳥居の台座 |
鳥居の柱と思われる |
高砂族義勇軍記念碑 |
碑文が埋め込まれた台座 |
登りでは暗くて見えなかった稜線を下る |
稜線から見る高屏平野、遠くには台湾海峡 |
青空のもとの鉄杉 |
朝陽のもとの稜線道 |
稜線上の分岐道しるべ |
岩場を過ぎる |
登りでは暗かった、岩場の様子も今はよくわかる。9時16分、7㎞キロポストを過ぎる。9時40分、水場を通過、標高は約2650m、林相は変わり鉄杉は少なくなる。この先、しばらくは緩い山腹道が続く。檜の大木が目につく。また、急坂を下り、5.5㎞キロポストを過ぎてまもなく、神木の下を通る。登りの時は、暗くて全容がわからなかった。明るい中で見ると、実に大きい。説明では高さ25m、幹周り12m、推定樹齢1000年だそうだ。
笹の茂る斜面を下る |
だいぶ高度が下がってきた |
紅檜神木 |
断崖に滝がかかる |
登山者が出はらった檜谷山莊内部 |
荷を担いで登山口へ下る |
石楠花林を通過 |
霧のなかから突如南大武山が姿を現す |
最終目的地が左の山腹に見える |
旧登山口で、メンバーはまだ元気だ |
廃棄産業道路から見る南大武山 |
新登山口からみる南大武山と前方の山腹を登山道がゆく前衛山 |
北大武山は、冬でも冠雪はなく一年を通じて登山ができる台湾の高山である。台湾を代表する五嶽の一つに数えられている。頂上からの展望がなかったが、それ以外には天気も良く景色を堪能できた。二日目はきつい日程だが、メンバー全員問題なく歩ききった。ルートはとてもよい。レベル1である。二日の日程であれば、体力要求度はレベル5だ。ちなみに今回の費用は、専用車一台往復で NT$16,000 、食事とテントで一人約 NT$800である。今回は八人なので、一人当たり NT$2,800。日本円換算で1万500円ぐらいだ。
以前新高山と呼ばれた台湾の玉山は、日本でも知られているがそれ以外の台湾高山となると、ずっと認知度が低い。千々岩助太郎によれば、昭和5年に英国登山家マレー・ウォルトンが台湾の山を訪れ、その時の話に「日本内地にアルプスという言葉があるが、台湾の山に登ってはじめてアルプスと呼ぶにふさわしい山であることを感じた...」とある。今は、日本の領土ではないが、その昔日本人アルピニストが情熱をかけて登ったこれらの山々、今の日本のアルピニストにも登り、その大きさ、その魅力にぜひ触れてほしい。筆者は、来年から精力的に台湾の高山を登り、紹介していくつもりだ。